mission 35:total eclipse, demon world~魔界、そして太陽と月~
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ミシ、ミシミシ…と壊れかけた壁から軋むような音が聞こえはじめ、天井から埃が落ちて来るまでになってきた。
ダンテの後方、つまり部屋の奥に控えていたディーヴァはギョッとする。
「ひぃぇ!部屋壊れるぅ!ダンテ、この部屋はただの洞穴なの!!このままじゃ鏡と一緒にあたし達も埋まっちゃうよーっ!」
あと顔超怖いよダンテ!
ダンテの凶悪な顔がディーヴァからも見えたようで、かわいそうにディーヴァは、ガタガタと震えて怖がってしまっていた。
ディーヴァを怖がらせるのもよろしくない。
だが、鏡が壊れて帰れなくなりでもしたらディーヴァが怖がるのと比べ物にならないくらい困ることになると、ダンテも気がついたらしい。
「しゃあねぇ。ならもっと広いところでこいつらをぶっ飛ばすか。
絶対にゆるさねぇからな。ぜつゆる!」
ネットスラングで使われそうな略語を言い放ったのは、果たして悪魔に対してだけなのか、戦いに水を差したディーヴァにか。
そんなのわかりきったこと。
「おらぁ!吹っ飛べ!!!!」
ダンテはフォースエッジを今までにないくらい大きく振りかぶり、野球のバッターの要領で壁ごと悪魔を地上へとぶっ飛ばした。
背後を確認すると、大丈夫、ディーヴァと鏡だけは死守されている。
そんなことができるなら、もっと早くそうして欲しかった。
自分はただひたすらに守られる側だが、それくらい思っても、怒られやしないはずだ。
「さ、貧血で立てないだろ?ディーヴァはオレに優しく運ばれてろよ~」
「う、うんー?」
とても優しいキラッキラの笑顔でダンテがこっち向いた。
フォースエッジを背中に吊るすと、壊れ物を扱うようにそっとディーヴァを抱きかかえ、額に小さくキスを落とす。
痛いところはないか?辛かったらすぐ言えよ?など、言葉も態度もどこまでも甘い。
ようやく助けることが叶った愛しい者、という立ち位置的にダンテの気持ちは痛いほど理解しているが、悪魔に対する態度との温度差が激しすぎる。
その優しさが逆に恐ろしく感じるほどに。
ていうか、そのまま鏡を使って帰るという選択肢はないのだろうか。
そう思ったのは地上に向かって一直線に空いた壁の穴を通り、地の果てに追いやる勢いでぶっ飛ばした悪魔を追った先だった。
「グゥルルルル……ガァウッ!!」
「おおっと!」
地上では狼の悪魔が、既に体勢を立て直して臨戦状態に入っていた。
ダンテとディーヴァの姿を目にした途端、襲って来た青黒い体毛のそいつに、降ろしたディーヴァを背に庇ってダンテは迎え討つ。
フォースエッジの刃で牙を防ぎ、その隙間から口の中めがけて弾丸を放てば、甲高くひと声鳴いて遠く離れて行った。
「さすがに一発じゃ倒せねぇか」
硬そうな体毛と違い、柔らかな体内からの攻撃でもまだピンピンしているところを見るに、元々の体力は多そうだ。
「へえ…。ゲームで言えば中ボスレベル、て言ったとこか」
変なフラグ立てんな。
中ボスレベルなんて表現を使うと、更にこのあと大ボスが来そうで怖いのだが、もう遅いか。
それにしてもさっきから、赤黒い狼の方が見当たらないような気がする…?
吹っ飛んだ時に消滅したのだろうか、奴だけ気配がない。
それに気がついた時にはもう遅い。
「きゃあ!!」
「しまった、ディーヴァ!」
背後から忍び寄っていたらしい、そのもう1匹の悪魔。
ディーヴァの悲鳴に後ろを見れば、煤塵と共に燃え上がる黒い焔のような、赤黒い体毛を逆立てた狼がディーヴァを襲っていた。
後ろから襲って転倒させたディーヴァの背中に飛び乗り、首の後ろ側から頸動脈を噛み潰す予定だったのだろうが、突然の襲来に現れてそれを防ぐのはご存知、5枚の天使の翼である。
根元の骨さえ無事ならば失うことのない清らかな羽が、再びこの地に降臨して悪魔の攻撃の邪魔をしていた。
それでも痛みも血も本物。
悪魔の牙が、爪が、翼へと振り下ろされ、ここに落とされてから何度も味わった痛みが、再び繰り返される。
白い翼は、瞬く間に血色へと染められていった。
ああ、このままやがて翼を突き抜けて悪魔の牙が肉に届き、食われてしまうのだろうか。
助けようとしてくれているダンテの目の前で。
気を失いそうな激しい痛みを我慢しながら、ディーヴァはそんなことを考えた。
その時、悪魔の牙がディーヴァの肩口を裂くように走る。
体に感じるのは熱く燃えるような痛み。
「いっ…いやぁぁぁあ゛っ!!」
「くっ、ディーヴァ…!」
どこまでも執拗に追い、ディーヴァを喰らおうとするその様子たるや、まるでディーヴァ…太陽を喰らうべく狙うスコルのようではないか。
けどオレの太陽は隠させやしない。
ラグナロクのそれのように、太陽を喰らわせなんてしない。
ということは、太陽と対になるという意味でダンテを月に見立てれば、ダンテが相手取っているのは月を喰らうとされるハティということになる。
太陽も月も、オレが空に輝かせ続けてやる。
絶対に!!
そう思うがしかし、ダンテは目の前の悪魔の相手で手が離せなかった。
「くそっ…!そこをどけっーーー!!」
剣刃を振るようにして払い、目の前の悪魔を弾き飛ばすと、フォースエッジをかなぐり捨ててその手を伸ばすダンテ。
すぐに復活した弾き飛ばされた青黒い悪魔がダンテに噛みつこうとも、それも気にせず、ディーヴァへと向かう。
ディーヴァさえ無事ならば、あとはどうとでもなる。
たどり着いたダンテの指先、今にもディーヴァの喉笛に喰らい付かんとする赤黒い悪魔の口へ自分の拳を食わせる。
牙がかすめ、拳が裂けたが、気になどしていられない。
強制的に食わせた自分の拳をそのまま口の中深くへ叩き込めば、悪魔はアッパーの要領で上に吹っ飛ぶ。
そして抱き込んだディーヴァごと身体をひねって転がし、なんとかそこから逃れることに成功した。
「ん…、痛っ、…」
ダンテだけでなくディーヴァも地面に強かに身体を打ったが、狼の強靭な顎に噛み砕かれるよりはマシだろう、ディーヴァも痛みを訴えこそすれ、他には何も言わなかった。
転がったことで美しい翼は純白から血と地に色づいて汚れたものへと変わる。
その痛々しい姿を一瞬だけ悲しそうに視界に入れてから、ダンテは次いで湧いてきた怒りの矛先を悪魔に向ける。
「弾でも食ってろ!」
「ギャンッ!」
「ひぇぇ…」
ディーヴァを抱き寄せたまま、懐の銃器を取りだして悪魔を蜂の巣にすべく、連続で弾丸を放つ。
ダンテが連射するのに合わせて、悪魔の体はマリオネットのように弾み、ディーヴァは小さく悲鳴をあげてその轟音に耳を塞ぎ通しだった。
ダンテの後方、つまり部屋の奥に控えていたディーヴァはギョッとする。
「ひぃぇ!部屋壊れるぅ!ダンテ、この部屋はただの洞穴なの!!このままじゃ鏡と一緒にあたし達も埋まっちゃうよーっ!」
あと顔超怖いよダンテ!
ダンテの凶悪な顔がディーヴァからも見えたようで、かわいそうにディーヴァは、ガタガタと震えて怖がってしまっていた。
ディーヴァを怖がらせるのもよろしくない。
だが、鏡が壊れて帰れなくなりでもしたらディーヴァが怖がるのと比べ物にならないくらい困ることになると、ダンテも気がついたらしい。
「しゃあねぇ。ならもっと広いところでこいつらをぶっ飛ばすか。
絶対にゆるさねぇからな。ぜつゆる!」
ネットスラングで使われそうな略語を言い放ったのは、果たして悪魔に対してだけなのか、戦いに水を差したディーヴァにか。
そんなのわかりきったこと。
「おらぁ!吹っ飛べ!!!!」
ダンテはフォースエッジを今までにないくらい大きく振りかぶり、野球のバッターの要領で壁ごと悪魔を地上へとぶっ飛ばした。
背後を確認すると、大丈夫、ディーヴァと鏡だけは死守されている。
そんなことができるなら、もっと早くそうして欲しかった。
自分はただひたすらに守られる側だが、それくらい思っても、怒られやしないはずだ。
「さ、貧血で立てないだろ?ディーヴァはオレに優しく運ばれてろよ~」
「う、うんー?」
とても優しいキラッキラの笑顔でダンテがこっち向いた。
フォースエッジを背中に吊るすと、壊れ物を扱うようにそっとディーヴァを抱きかかえ、額に小さくキスを落とす。
痛いところはないか?辛かったらすぐ言えよ?など、言葉も態度もどこまでも甘い。
ようやく助けることが叶った愛しい者、という立ち位置的にダンテの気持ちは痛いほど理解しているが、悪魔に対する態度との温度差が激しすぎる。
その優しさが逆に恐ろしく感じるほどに。
ていうか、そのまま鏡を使って帰るという選択肢はないのだろうか。
そう思ったのは地上に向かって一直線に空いた壁の穴を通り、地の果てに追いやる勢いでぶっ飛ばした悪魔を追った先だった。
「グゥルルルル……ガァウッ!!」
「おおっと!」
地上では狼の悪魔が、既に体勢を立て直して臨戦状態に入っていた。
ダンテとディーヴァの姿を目にした途端、襲って来た青黒い体毛のそいつに、降ろしたディーヴァを背に庇ってダンテは迎え討つ。
フォースエッジの刃で牙を防ぎ、その隙間から口の中めがけて弾丸を放てば、甲高くひと声鳴いて遠く離れて行った。
「さすがに一発じゃ倒せねぇか」
硬そうな体毛と違い、柔らかな体内からの攻撃でもまだピンピンしているところを見るに、元々の体力は多そうだ。
「へえ…。ゲームで言えば中ボスレベル、て言ったとこか」
変なフラグ立てんな。
中ボスレベルなんて表現を使うと、更にこのあと大ボスが来そうで怖いのだが、もう遅いか。
それにしてもさっきから、赤黒い狼の方が見当たらないような気がする…?
吹っ飛んだ時に消滅したのだろうか、奴だけ気配がない。
それに気がついた時にはもう遅い。
「きゃあ!!」
「しまった、ディーヴァ!」
背後から忍び寄っていたらしい、そのもう1匹の悪魔。
ディーヴァの悲鳴に後ろを見れば、煤塵と共に燃え上がる黒い焔のような、赤黒い体毛を逆立てた狼がディーヴァを襲っていた。
後ろから襲って転倒させたディーヴァの背中に飛び乗り、首の後ろ側から頸動脈を噛み潰す予定だったのだろうが、突然の襲来に現れてそれを防ぐのはご存知、5枚の天使の翼である。
根元の骨さえ無事ならば失うことのない清らかな羽が、再びこの地に降臨して悪魔の攻撃の邪魔をしていた。
それでも痛みも血も本物。
悪魔の牙が、爪が、翼へと振り下ろされ、ここに落とされてから何度も味わった痛みが、再び繰り返される。
白い翼は、瞬く間に血色へと染められていった。
ああ、このままやがて翼を突き抜けて悪魔の牙が肉に届き、食われてしまうのだろうか。
助けようとしてくれているダンテの目の前で。
気を失いそうな激しい痛みを我慢しながら、ディーヴァはそんなことを考えた。
その時、悪魔の牙がディーヴァの肩口を裂くように走る。
体に感じるのは熱く燃えるような痛み。
「いっ…いやぁぁぁあ゛っ!!」
「くっ、ディーヴァ…!」
どこまでも執拗に追い、ディーヴァを喰らおうとするその様子たるや、まるでディーヴァ…太陽を喰らうべく狙うスコルのようではないか。
けどオレの太陽は隠させやしない。
ラグナロクのそれのように、太陽を喰らわせなんてしない。
ということは、太陽と対になるという意味でダンテを月に見立てれば、ダンテが相手取っているのは月を喰らうとされるハティということになる。
太陽も月も、オレが空に輝かせ続けてやる。
絶対に!!
そう思うがしかし、ダンテは目の前の悪魔の相手で手が離せなかった。
「くそっ…!そこをどけっーーー!!」
剣刃を振るようにして払い、目の前の悪魔を弾き飛ばすと、フォースエッジをかなぐり捨ててその手を伸ばすダンテ。
すぐに復活した弾き飛ばされた青黒い悪魔がダンテに噛みつこうとも、それも気にせず、ディーヴァへと向かう。
ディーヴァさえ無事ならば、あとはどうとでもなる。
たどり着いたダンテの指先、今にもディーヴァの喉笛に喰らい付かんとする赤黒い悪魔の口へ自分の拳を食わせる。
牙がかすめ、拳が裂けたが、気になどしていられない。
強制的に食わせた自分の拳をそのまま口の中深くへ叩き込めば、悪魔はアッパーの要領で上に吹っ飛ぶ。
そして抱き込んだディーヴァごと身体をひねって転がし、なんとかそこから逃れることに成功した。
「ん…、痛っ、…」
ダンテだけでなくディーヴァも地面に強かに身体を打ったが、狼の強靭な顎に噛み砕かれるよりはマシだろう、ディーヴァも痛みを訴えこそすれ、他には何も言わなかった。
転がったことで美しい翼は純白から血と地に色づいて汚れたものへと変わる。
その痛々しい姿を一瞬だけ悲しそうに視界に入れてから、ダンテは次いで湧いてきた怒りの矛先を悪魔に向ける。
「弾でも食ってろ!」
「ギャンッ!」
「ひぇぇ…」
ディーヴァを抱き寄せたまま、懐の銃器を取りだして悪魔を蜂の巣にすべく、連続で弾丸を放つ。
ダンテが連射するのに合わせて、悪魔の体はマリオネットのように弾み、ディーヴァは小さく悲鳴をあげてその轟音に耳を塞ぎ通しだった。