mission 35:total eclipse, demon world~魔界、そして太陽と月~
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脱兎のごとく駆け出したディーヴァだったが、当初の予定である鏡の捜索は忘れていない。
鏡のように自然にない物があるとすれば、この辺りではこういう場所のみだ。
ピラミッドのように建造された石と岩の間、地下に降りれる場所を見つけて真っ暗な闇の中を進んでゆくディーヴァ。
コツ、コツ、コツと響く足音は自分のものだけ。
悪魔のものはひとつもない。
前方からの悪魔の気配もなく、悪魔の住処…という考えは杞憂だったことに胸を撫でおろす。
地下へと降りてすぐ、まっすぐな道となった。
相変わらずの薄闇と石廊下を、一歩一歩確かめるように歩きながらそこかしこに点在する部屋を探っていく。
その全てが地下で生活するタイプの悪魔が昔に使っていたのであろう、居住スペースだったり倉庫のようなものだったりと、土竜の巣穴のようなイメージがわく。
この分ならばどこかに姿を確認するための鏡もあろう。
「鏡、鏡…、ないなぁ。あ、これはうーん。砥石?に火床?かなぁ」
どれも埃をかぶっているが、昔の武器や食器のようなもの、生活用品がたくさんあった。
一室に砥石と鉄の塊、焼き入れのための火床があるのを見るに、この家のような石造りの城の主は鍛冶屋だったのかもしれない。
色々なものから悪魔たちの文化が垣間見えて、こんな状況でなければもう少し楽しめただろうと思う。
暗闇の中目を凝らして感心していれば、ぞくりと背筋が粟立つ気配。
悪意ある魔の物だった。
良くない気配は2つ、ディーヴァが入ってきた方から近づいてくる。
前方からは悪魔の気配はなかった。
が、後方からは…?
後方からの悪魔については、完全にノーマークだった。
気がついた時にはもう遅く、結構な距離まで悪魔が迫っているのがよくわかった。
そしてこの気配は先ほどディーヴァが倒した(倒したというのは本人談)狼の悪魔のそれ。
2つに増えているのは群れでも呼んだのだろうと仮定して、どうやってやり過ごすか。
前門の虎後門の狼再び。
風の動きを見るに、この先にはきっと行き止まりが待っているだろうし、後ろから迫るのは連携プレー仕掛けてきそうな2匹の狼。
相手は明確な殺意と空腹を伴ってディーヴァを追ってきているのがよくわかる。
逃げられない、オワタ。
「もう、ダメだろうな…」
あはは、乾いた笑いと涙が一雫ぽろり。
今度こそここで終わり。
こんな一本道ではろくに逃げられず、翼やら天使の力で退けるというパターンも二番煎じでは通用しない。
追い詰められてぺろくり、いや、噛み付かれて生きたまま咀嚼され骨までバリボリ食べられ、挙句の果てに魂まで魔界に囚われる…そんな痛々しく悲しい結末がしかと見えた。
でも。
脳裏をよぎるダンテの諦めるなという言葉。
諦めんなよ、諦めんなよお前!どうしてそこでやめるんだ、そこで!もう少し頑張ってみろよ!
まるで某S造の言葉のように、ストンと入ってくる。
え?ダンテの諦めんなよの言葉より某S造の言葉の方が響くのかよって?
しかたない、それが某S造語だからね。
「うん、…まだ終わりじゃない」
キッと目を鋭くし、ちょうどすぐそばにあった埃をかぶる物を見やると、ディーヴァは震える指先で、武器になりえる得物…短剣を手に取る。
おっとその前に一応気になるので、魔具化してないか、呪いがかかっていないか軽く視鑑定する。
大丈夫そうだ…多分。
「こんな時こそ、銃があればなあ…。なんであたし持ってこなかったのよ」
どこかに出かける時には、よく太ももに小さな銃を装備していたのだが、今回は屋根に登っての日蝕鑑賞のため、虚しく自宅待機である。
こんなことなら常日頃持ち歩いていれば…と後悔するのはいつものこと。
いつも持ち歩くというのは、その重さから学習できないし、する気もないのだ、残念ながら。
「そうだ、奇襲しよう」
そうだ、●都行こう的なノリで物騒な物言いだ。
武器を扱った経験が少ないからか、すごく重く感じる短剣の柄をぎゅっと握りしめ、ディーヴァは奇襲を決意した。
怖い。
奇襲をしかけるなんて、ガラじゃない。
でも、ただ鏡を探しながら逃げ歩いていたんじゃ、途中でゲームオーバー、悪魔の胃袋直行便。
ダンテのようにはいかなくとも、戦いながら探す、これ一択に限る。
今も尚、獣が息づく気配を壁一枚隔てた向こうから感じていた。
戦う決意はせども、見つからないならその方がいい。
カチカチとうるさい歯が鳴るのを止めようと、空いた方の手でしっかり口を押さえた。
だがディーヴァから今も流れる血の匂いを追ってきた狼の悪魔にとって、ディーヴァの場所は丸わかりで隠れても無駄なこと。
ドゥンッッ!!ガラガラーー………。
「きゃうっ……!!」
そんな音と悲鳴が響き、ディーヴァの目の前が埃による砂煙に包まれた。
悪魔はディーヴァが隠れ場から出てきたところを狙うでも自ら獲物を仕留めに行くでもなく、あろうことかディーヴァとの間を物理的に阻む壁を破壊してきたのだ。
定石通りに事が進まないのは、相手が悪魔だからか否か。
煙の晴れてゆく先にいるのは、驚愕に目を見開くディーヴァが頭を押さえる姿と、壁があった場所向こうで赤い目を光らせる狼2匹の姿。
「う゛ぁっ…、痛…!」
悪魔の鋭い爪がディーヴァの頭を壁ごと抉るように一閃した。
とっさに身を縮めたおかげか、それも掠るだけ。
さすが逃げ足だけが取り柄のヒロインである、え、逃げ足『だけ』は余計だって?本当のことであろう。
つつつ、と赤い血が額から伝う。
脈動に合わせるように痛みが襲ってくるが、怪我したのがまだ頭で良かったと思う。
体に傷でも残ったら、見るたびにダンテが悲しむのは想像に難くない。
だらだらと頭から血が出ているのはダンテも怪我や傷の常習犯だから、きっとすぐ慣れる。
頭の怪我というのは、軽かったとしてもたくさん出血するのだから。
2匹の悪魔対1人の天使。
正直言って、短剣を使う暇はなさそうだ。
完全に煙が晴れ、悪魔がその爪と牙で猛攻を仕掛けてくる。
転がってそれを回避しても、ディーヴァにそれを完全に躱わすというのは難しく、何度も掠っては増えて行く傷。
しまいには自分が願っていないにも関わらず、身の危険を察知したか出現する翼。
出現になんの意味があったのか、出現と同時に怪我を負い、今やただのお荷物と化した翼を携えて、ディーヴァは逃げの姿勢一直線。
やはり、戦いには向いていない気質だと、改めて理解した。
鏡のように自然にない物があるとすれば、この辺りではこういう場所のみだ。
ピラミッドのように建造された石と岩の間、地下に降りれる場所を見つけて真っ暗な闇の中を進んでゆくディーヴァ。
コツ、コツ、コツと響く足音は自分のものだけ。
悪魔のものはひとつもない。
前方からの悪魔の気配もなく、悪魔の住処…という考えは杞憂だったことに胸を撫でおろす。
地下へと降りてすぐ、まっすぐな道となった。
相変わらずの薄闇と石廊下を、一歩一歩確かめるように歩きながらそこかしこに点在する部屋を探っていく。
その全てが地下で生活するタイプの悪魔が昔に使っていたのであろう、居住スペースだったり倉庫のようなものだったりと、土竜の巣穴のようなイメージがわく。
この分ならばどこかに姿を確認するための鏡もあろう。
「鏡、鏡…、ないなぁ。あ、これはうーん。砥石?に火床?かなぁ」
どれも埃をかぶっているが、昔の武器や食器のようなもの、生活用品がたくさんあった。
一室に砥石と鉄の塊、焼き入れのための火床があるのを見るに、この家のような石造りの城の主は鍛冶屋だったのかもしれない。
色々なものから悪魔たちの文化が垣間見えて、こんな状況でなければもう少し楽しめただろうと思う。
暗闇の中目を凝らして感心していれば、ぞくりと背筋が粟立つ気配。
悪意ある魔の物だった。
良くない気配は2つ、ディーヴァが入ってきた方から近づいてくる。
前方からは悪魔の気配はなかった。
が、後方からは…?
後方からの悪魔については、完全にノーマークだった。
気がついた時にはもう遅く、結構な距離まで悪魔が迫っているのがよくわかった。
そしてこの気配は先ほどディーヴァが倒した(倒したというのは本人談)狼の悪魔のそれ。
2つに増えているのは群れでも呼んだのだろうと仮定して、どうやってやり過ごすか。
前門の虎後門の狼再び。
風の動きを見るに、この先にはきっと行き止まりが待っているだろうし、後ろから迫るのは連携プレー仕掛けてきそうな2匹の狼。
相手は明確な殺意と空腹を伴ってディーヴァを追ってきているのがよくわかる。
逃げられない、オワタ。
「もう、ダメだろうな…」
あはは、乾いた笑いと涙が一雫ぽろり。
今度こそここで終わり。
こんな一本道ではろくに逃げられず、翼やら天使の力で退けるというパターンも二番煎じでは通用しない。
追い詰められてぺろくり、いや、噛み付かれて生きたまま咀嚼され骨までバリボリ食べられ、挙句の果てに魂まで魔界に囚われる…そんな痛々しく悲しい結末がしかと見えた。
でも。
脳裏をよぎるダンテの諦めるなという言葉。
諦めんなよ、諦めんなよお前!どうしてそこでやめるんだ、そこで!もう少し頑張ってみろよ!
まるで某S造の言葉のように、ストンと入ってくる。
え?ダンテの諦めんなよの言葉より某S造の言葉の方が響くのかよって?
しかたない、それが某S造語だからね。
「うん、…まだ終わりじゃない」
キッと目を鋭くし、ちょうどすぐそばにあった埃をかぶる物を見やると、ディーヴァは震える指先で、武器になりえる得物…短剣を手に取る。
おっとその前に一応気になるので、魔具化してないか、呪いがかかっていないか軽く視鑑定する。
大丈夫そうだ…多分。
「こんな時こそ、銃があればなあ…。なんであたし持ってこなかったのよ」
どこかに出かける時には、よく太ももに小さな銃を装備していたのだが、今回は屋根に登っての日蝕鑑賞のため、虚しく自宅待機である。
こんなことなら常日頃持ち歩いていれば…と後悔するのはいつものこと。
いつも持ち歩くというのは、その重さから学習できないし、する気もないのだ、残念ながら。
「そうだ、奇襲しよう」
そうだ、●都行こう的なノリで物騒な物言いだ。
武器を扱った経験が少ないからか、すごく重く感じる短剣の柄をぎゅっと握りしめ、ディーヴァは奇襲を決意した。
怖い。
奇襲をしかけるなんて、ガラじゃない。
でも、ただ鏡を探しながら逃げ歩いていたんじゃ、途中でゲームオーバー、悪魔の胃袋直行便。
ダンテのようにはいかなくとも、戦いながら探す、これ一択に限る。
今も尚、獣が息づく気配を壁一枚隔てた向こうから感じていた。
戦う決意はせども、見つからないならその方がいい。
カチカチとうるさい歯が鳴るのを止めようと、空いた方の手でしっかり口を押さえた。
だがディーヴァから今も流れる血の匂いを追ってきた狼の悪魔にとって、ディーヴァの場所は丸わかりで隠れても無駄なこと。
ドゥンッッ!!ガラガラーー………。
「きゃうっ……!!」
そんな音と悲鳴が響き、ディーヴァの目の前が埃による砂煙に包まれた。
悪魔はディーヴァが隠れ場から出てきたところを狙うでも自ら獲物を仕留めに行くでもなく、あろうことかディーヴァとの間を物理的に阻む壁を破壊してきたのだ。
定石通りに事が進まないのは、相手が悪魔だからか否か。
煙の晴れてゆく先にいるのは、驚愕に目を見開くディーヴァが頭を押さえる姿と、壁があった場所向こうで赤い目を光らせる狼2匹の姿。
「う゛ぁっ…、痛…!」
悪魔の鋭い爪がディーヴァの頭を壁ごと抉るように一閃した。
とっさに身を縮めたおかげか、それも掠るだけ。
さすが逃げ足だけが取り柄のヒロインである、え、逃げ足『だけ』は余計だって?本当のことであろう。
つつつ、と赤い血が額から伝う。
脈動に合わせるように痛みが襲ってくるが、怪我したのがまだ頭で良かったと思う。
体に傷でも残ったら、見るたびにダンテが悲しむのは想像に難くない。
だらだらと頭から血が出ているのはダンテも怪我や傷の常習犯だから、きっとすぐ慣れる。
頭の怪我というのは、軽かったとしてもたくさん出血するのだから。
2匹の悪魔対1人の天使。
正直言って、短剣を使う暇はなさそうだ。
完全に煙が晴れ、悪魔がその爪と牙で猛攻を仕掛けてくる。
転がってそれを回避しても、ディーヴァにそれを完全に躱わすというのは難しく、何度も掠っては増えて行く傷。
しまいには自分が願っていないにも関わらず、身の危険を察知したか出現する翼。
出現になんの意味があったのか、出現と同時に怪我を負い、今やただのお荷物と化した翼を携えて、ディーヴァは逃げの姿勢一直線。
やはり、戦いには向いていない気質だと、改めて理解した。