mission 35:total eclipse, demon world~魔界、そして太陽と月~
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右も左もわからない場所な以上、どこに行っても同じな気がした。
ならば、隠れられる可能性のある木々のある方に行った方が得策なのでは?
そう思ったディーヴァは、風の向くまま気の向くままといった憶測ない足取りで、木々の生い茂る方へと進んでいった。
暗い暗い木々が乱立し行く手を阻むような道の中、おっかなびっくり進んでいくディーヴァ。
隠れられる場所さえあればそれで良かったのだが、このあたりはあまり隠れられそうにない。
やがてたどり着く大きな幹、ここが最奥地のようだ。
それ自体が悪魔なのではないか?そう思わせるほど不気味に蠢く謎の幹に、赤く輝く宝石のようなコアが埋まっていた。
魔界には似つかわしくない美しさを湛えて。
「…綺麗。まるでダンテの持つアミュレットみたい」
と言ってもアミュレットの方が数百倍は綺麗だけれども。
まるで触ってくれ、とでも言いたげにキラキラ輝くそれに、ディーヴァは吸い寄せられるように指で触れた。
ゴゴゴゴゴ、地鳴りするような音を立て大木の幹が動く。
動くというか、天使の聖気にあてられてか、生き物のように脈動激しく蠢いている。
「え、あ、もしかして触っちゃダメだった!?」
立っているのもやっとなほどの地響きを幹に抱きつくことでなんとかやり過ごし、ディーヴァが叫ぶ。
結局触っているではないか、というのは言ってはいけない。
そうこうしている内に、幹が大きくうねってしなり、ムカデのような動きを一瞬見せてから上へと伸びる一本の細い道になった。
立ったままここを通るのは正直キツそうだが、ここを通れば、違う場所に行けるはず。
先の方、ずっとずっと上を見上げると、あれ…?どこに繋がっているのかはよく見えない。
けれど、もしかしたらもしかするかもしれない。
ダンテの元へ帰る手立てが、その先に待っているかもしれない。
「…うん。行ってみよう」
唇をきゅっと結び、ディーヴァはその一歩を踏み出した。
踏み出すというか、綱渡りと変わらぬ細い道なので跨ってゆっくりと登るという、情けない姿勢だが。
「やっとついた!わぁ、この森、ほんと深い…」
ダンテならば1分とかからず通りきる距離を、ディーヴァはその通り方の遅さにより、小一時間かけてようやく渡りきった。
なんとなく誘導されていた気もしないでもない。
ディーヴァがムカデ道と呼びたくなる道を通り、辿り着いたのは、魔界から逃れるために目指していたてっぺん…ではなくて、深い深い森のど真ん中だった。
途中から辿り着くのが森なのは知っていたが、それに気がついたのは悲しいかな、残りの距離が4分の1ほどになったあたりだ。
長い間ずるずると芋虫のように這って移動していたディーヴァに、引き返して倍以上の時間を使うという選択肢はなかった。
「はぁ…、つか、れた…」
太ももが擦れて痛い。
この分だと酷い筋肉痛も近い内にやってくるだろう。
ここまで来るのに、何度も悪魔に襲われた。
身体中についた切り傷やすり傷が痛い。
かつてないほどの満身創痍具合。
そこかしこに悪魔の大好きな天使の血が付着しており、常に滲む血で傷が乾くのを拒んでいた。
貧血かもしれない。
目眩がする。
頭痛がする。
もう、長く立ってはいられない。
魔界の真っ只中に天使が休めそうな場所など皆無だとは思うが、それでも休息の地を求めてディーヴァは半ば這うようにして歩いた。
血の匂いにつられてか、はたまた元々この森が住処なのか、その後も次から次へとディーヴァを襲ってくる悪魔達。
そのほとんどがディーヴァでも逃げ切れる所謂『雑魚』レベルで本当に良かった。
小動物や小鳥にもどこか似た悪魔は、ディーヴァが一時期保護していたジャッカロープの悪魔よりも弱く、引っ掻かれたり軽く噛み付かれたりはあれど、手で追い払うだけで事足りた。
無数に刻まれた小さな傷は増えども、おかげさまでちゃんと生きてる。
命あっての物種、死んでない。
しかし。
血の跡を点々と残し、血の香りを辺りに撒き散らしながら、ディーヴァは仄暗い森を進んでいたのだが、そろそろ限界。
本当に限界。
もう無理、本当に無理。
「どこか、ちょっと休むところ…」
はぁはぁと息を切らしたディーヴァが膝をつき地に手を置くのは、蔓と蔦に覆われた多分、木…の立つ場所。
多分と言ったのは、木すら悪魔と化して襲いかかってくるのではないか?と疑ってかかっているからである。
え、さっきは蠢く幹の赤いコアに触ってた?
それはそれ、これはこれ。
チョンチョン。
指先でおっかなびっくり触れてみる。
何もない。
ぺしぺし、コンコン、ゲシッ、手のひらで叩き、拳でノック、最後にちょっぴりお行儀は悪いが蹴りを入れてみる。
うん、キックを繰り出した足が痛んだだけで、他には何事もなく大丈夫そうだ。
少しだけ影になって、身を隠せそうなそこに、ディーヴァはその身を潜り込ませ、ほんの少し休むことにした。
「痛…、ふぅ…っ、うぇ……っ」
潜り込む際に、また肌が擦れた。
体の痛みでか、心の痛みでか、じわりと涙が滲む。
「ダンテ、痛いよ、会いたい、よ…もう、こんなのやだよぉ……」
これがただの悪夢で、起きたらダンテの部屋でダンテに抱きしめられて眠っているのだったらどんなにいいだろう。
しかし、この痛みと流れる血は現実だと訴える。
嗚呼、ダンテが恋しい。
ダンテに会いたい。
今ほどそう思ったことがかつてあったろうか。
どうやって帰ればいいかも、どこに行けばいいのかもわからない。
起きたらまた考えるしかない。
起きた時既に、悪魔の腹の中でなければ。
ならば、隠れられる可能性のある木々のある方に行った方が得策なのでは?
そう思ったディーヴァは、風の向くまま気の向くままといった憶測ない足取りで、木々の生い茂る方へと進んでいった。
暗い暗い木々が乱立し行く手を阻むような道の中、おっかなびっくり進んでいくディーヴァ。
隠れられる場所さえあればそれで良かったのだが、このあたりはあまり隠れられそうにない。
やがてたどり着く大きな幹、ここが最奥地のようだ。
それ自体が悪魔なのではないか?そう思わせるほど不気味に蠢く謎の幹に、赤く輝く宝石のようなコアが埋まっていた。
魔界には似つかわしくない美しさを湛えて。
「…綺麗。まるでダンテの持つアミュレットみたい」
と言ってもアミュレットの方が数百倍は綺麗だけれども。
まるで触ってくれ、とでも言いたげにキラキラ輝くそれに、ディーヴァは吸い寄せられるように指で触れた。
ゴゴゴゴゴ、地鳴りするような音を立て大木の幹が動く。
動くというか、天使の聖気にあてられてか、生き物のように脈動激しく蠢いている。
「え、あ、もしかして触っちゃダメだった!?」
立っているのもやっとなほどの地響きを幹に抱きつくことでなんとかやり過ごし、ディーヴァが叫ぶ。
結局触っているではないか、というのは言ってはいけない。
そうこうしている内に、幹が大きくうねってしなり、ムカデのような動きを一瞬見せてから上へと伸びる一本の細い道になった。
立ったままここを通るのは正直キツそうだが、ここを通れば、違う場所に行けるはず。
先の方、ずっとずっと上を見上げると、あれ…?どこに繋がっているのかはよく見えない。
けれど、もしかしたらもしかするかもしれない。
ダンテの元へ帰る手立てが、その先に待っているかもしれない。
「…うん。行ってみよう」
唇をきゅっと結び、ディーヴァはその一歩を踏み出した。
踏み出すというか、綱渡りと変わらぬ細い道なので跨ってゆっくりと登るという、情けない姿勢だが。
「やっとついた!わぁ、この森、ほんと深い…」
ダンテならば1分とかからず通りきる距離を、ディーヴァはその通り方の遅さにより、小一時間かけてようやく渡りきった。
なんとなく誘導されていた気もしないでもない。
ディーヴァがムカデ道と呼びたくなる道を通り、辿り着いたのは、魔界から逃れるために目指していたてっぺん…ではなくて、深い深い森のど真ん中だった。
途中から辿り着くのが森なのは知っていたが、それに気がついたのは悲しいかな、残りの距離が4分の1ほどになったあたりだ。
長い間ずるずると芋虫のように這って移動していたディーヴァに、引き返して倍以上の時間を使うという選択肢はなかった。
「はぁ…、つか、れた…」
太ももが擦れて痛い。
この分だと酷い筋肉痛も近い内にやってくるだろう。
ここまで来るのに、何度も悪魔に襲われた。
身体中についた切り傷やすり傷が痛い。
かつてないほどの満身創痍具合。
そこかしこに悪魔の大好きな天使の血が付着しており、常に滲む血で傷が乾くのを拒んでいた。
貧血かもしれない。
目眩がする。
頭痛がする。
もう、長く立ってはいられない。
魔界の真っ只中に天使が休めそうな場所など皆無だとは思うが、それでも休息の地を求めてディーヴァは半ば這うようにして歩いた。
血の匂いにつられてか、はたまた元々この森が住処なのか、その後も次から次へとディーヴァを襲ってくる悪魔達。
そのほとんどがディーヴァでも逃げ切れる所謂『雑魚』レベルで本当に良かった。
小動物や小鳥にもどこか似た悪魔は、ディーヴァが一時期保護していたジャッカロープの悪魔よりも弱く、引っ掻かれたり軽く噛み付かれたりはあれど、手で追い払うだけで事足りた。
無数に刻まれた小さな傷は増えども、おかげさまでちゃんと生きてる。
命あっての物種、死んでない。
しかし。
血の跡を点々と残し、血の香りを辺りに撒き散らしながら、ディーヴァは仄暗い森を進んでいたのだが、そろそろ限界。
本当に限界。
もう無理、本当に無理。
「どこか、ちょっと休むところ…」
はぁはぁと息を切らしたディーヴァが膝をつき地に手を置くのは、蔓と蔦に覆われた多分、木…の立つ場所。
多分と言ったのは、木すら悪魔と化して襲いかかってくるのではないか?と疑ってかかっているからである。
え、さっきは蠢く幹の赤いコアに触ってた?
それはそれ、これはこれ。
チョンチョン。
指先でおっかなびっくり触れてみる。
何もない。
ぺしぺし、コンコン、ゲシッ、手のひらで叩き、拳でノック、最後にちょっぴりお行儀は悪いが蹴りを入れてみる。
うん、キックを繰り出した足が痛んだだけで、他には何事もなく大丈夫そうだ。
少しだけ影になって、身を隠せそうなそこに、ディーヴァはその身を潜り込ませ、ほんの少し休むことにした。
「痛…、ふぅ…っ、うぇ……っ」
潜り込む際に、また肌が擦れた。
体の痛みでか、心の痛みでか、じわりと涙が滲む。
「ダンテ、痛いよ、会いたい、よ…もう、こんなのやだよぉ……」
これがただの悪夢で、起きたらダンテの部屋でダンテに抱きしめられて眠っているのだったらどんなにいいだろう。
しかし、この痛みと流れる血は現実だと訴える。
嗚呼、ダンテが恋しい。
ダンテに会いたい。
今ほどそう思ったことがかつてあったろうか。
どうやって帰ればいいかも、どこに行けばいいのかもわからない。
起きたらまた考えるしかない。
起きた時既に、悪魔の腹の中でなければ。