mission 35:total eclipse, demon world~魔界、そして太陽と月~
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絶体絶命だ。
絶望にその身を支配され、ディーヴァが体をぺたんと地につける。
最後にダンテに会いたかったな。
もっとたくさん、ダンテに愛してるって日頃から伝えとけばよかった。
思うのはそんな後悔の念ばかり。
涙さえ出てこない。
悪魔達に囲まれたディーヴァは、このあとやってくるであろう悪魔の攻撃、いや攻撃というより自分を餌とした捕食光景を予想した。
一瞬の沈黙の後、ハエの悪魔とハエトリソウの悪魔が雄叫びをあげて飛びかかってきた。
迫る牙や攻撃、痛みを待って目をぎゅっと瞑る。
ああ、神様仏様天使様あたしの先祖の大天使様、ついでにダンテの祖先の悪魔様スパーダ様。
ここで終わりだとしても、せめてそんなに痛くありませんように…。
と、微妙にズレた方向含め、頭に浮かんだ多種多様な神々に祈りを捧げる。
しかし、いつまでたっても痛みは来なかった。
代わりに訪れたもの、それはディーヴァを通り越し、その頭上で響く何かがぶつかり合う音。
そろりとディーヴァが目を開けると、そこにあったのは双方違う悪魔同士が攻撃し合う光景だった。
ディーヴァを無視し、お互いを羽交い締め脚で引き裂き、噛みつき締め付け、戦い合う姿。
「…ぇ、悪魔同士戦ってる…?」
もしかして獲物であるディーヴァを取り合っているのだろうか。
…いや、違う。
その大元がハエとハエトリソウだからだったりするのかもしれない。
ハエトリソウはその名の通り、ハエや虫を食す、食虫植物なのだ。
ということは、ハエトリソウが優勢か?と思いきやそうでもなく、どちらが勝ってもおかしくなさそうだった。
『ギギィッ!!』
「ひゃっ!」
ディーヴァのすぐ隣までハエ型の悪魔が吹っ飛んで来た。
仰向けに倒れると酸性の毒を撒き散らすように出来ているのか、羽根をジタバタと震わせながら辺りをジュウジュウと焼き尽くしている。
そこに覆いかぶさるようにハエトリソウがやってきて、毒で大口を溶かされながらの噛みつき、捕食攻撃。
なんと危険な。
悪魔同士が戦い、殺しあっていたとして、ここにいてディーヴァが危険なのは変わりない。
相手方が悪魔に対しこちらは天使。
いつこちらに牙を剥いて襲いかかって来ないとも限らない。
そもそも、攻撃の余波がこちらまでやって来ないと誰が言い切れる?
今だってともすれば、毒がこちらまで飛んでいたかもしれないし、ハエトリソウの大口がディーヴァまで巻き込んで食べていたかもしれない。
はなから襲われるのは嫌だが、とばっちりを受けるのはもっとごめんだ。
ディーヴァは悪魔達が戦っている横を、ひぃひぃ這いながら避けて通りなんとか逃れた。
悪魔の起こす喧騒から逃れしばらく。
やっとこさ上へと登れそうなところを見つけて、へとへとの状態で崖の上へと戻る。
なんだか暑いなぁと思っていたが、上がってきてびっくり。
ディーヴァの視界に飛び込んできたのは、グネグネした魔界の木々が煌々と炎で燃えているという火の海。
誰かが火事を起こしている、というかは元からこんな様相の場所のようだ。
「うへぇ、何ここ~…」
ここまで登ってきたことも相成って、じっとり汗が背中を伝う。
喉が渇いても、魔界の水なんて飲めるかどうかわからないので、ここも早く離れた方がいいだろう。
そんなディーヴァの視界の端、やたらと大きな蜘蛛がのしのしと歩いている。
その体に灼熱の炎を纏い、絶えず吐き出しながら、だ。
なるほど、この蜘蛛の領域だから、木々が燃えていたのかと考えつくが、ディーヴァの気にするところはそこじゃない。
「げっ!おっきい蜘蛛だ!…今度はバレないようにしよ」
ダンテと歩く夜道、大きな蜘蛛の悪魔に襲われて食べられかけたのは今より少し前のことだ。
あの屈辱と恐怖、気持ち悪さ、ディーヴァ絶対忘れない!キリッ!
キリッとするところ違う。
ちなみにこの蜘蛛の悪魔はファンタズマラネアといい、どこぞの魔帝の臣下であるファ●トムとは似て非なる悪魔である。
どちらもかなりの強さは持っているが。
見つかっては大変だ。
ディーヴァは崖の途中へと一度戻り、顔だけ出して蜘蛛が通り過ぎるのをひたすら待った。
蜘蛛は獲物たる天使の気配に気がつかず、そのままゆっくりと通り過ぎ、道の端々を炎で炙りつつやがて消えて行った。
「ふー…行ったみたい。あんなのに捕まったら丸焼きにされてぺろっと食べられちゃうもんね…」
先ほど思い出した蜘蛛悪魔よりも大きな体なのだ。
蜘蛛の糸ぐるぐる巻きどころではない、上手に焼けました~、からのそのまま一口で飲み込まれるのがオチだったであろう。
おお、怖い怖い。
魔界のムカデに、ハエに蜘蛛。
虫型の悪魔ばかりで、虫嫌いのディーヴァはここまで何度気を失いかけるほどの嫌悪を覚えただろう。
それもそのはず。
こういった種が多いのは、ここが虫型やら植物系の悪魔の主だった生息地なのだから。
そこまでの知性の高さはなく、ダンテ換算すればそこまで脅威にならない悪魔なので、ある意味では過ごしやすい、否、生き残りやすい場所である。
かといってこの強烈な弱肉強食の世界で生き残れるかどうかで言えば、ディーヴァはそのピラミッドの底辺の存在。
生き残れる可能性はゼロと言い切れた。
「よいしょっ…と。さて、どこに行けばいいんだろ。ちょっと疲れちゃった…」
ようやく立ち上がったディーヴァが、服についた埃をパンパンと払う。
埃まみれだ。
「あーあ、こんなに汚れちゃって…。ダンテにこんな姿見せたくないなぁ。見せないで助けてもらう方法、なんかないかなー」
そんな器用な事、いくらダンテでも無理である。
いきなりの事だったから仕方ないが、白いブラウスなんて着ていなければよかった。
下に履いていた黒のスカートも、埃で白く汚れていた。
上下とも、死神のような悪魔のせいでところどころ切れてしまっている。
鏡がないので確認のしようがないが、この分だと顔や髪も汚れているだろう。
その様相を想像し、ため息が出た。
絶望にその身を支配され、ディーヴァが体をぺたんと地につける。
最後にダンテに会いたかったな。
もっとたくさん、ダンテに愛してるって日頃から伝えとけばよかった。
思うのはそんな後悔の念ばかり。
涙さえ出てこない。
悪魔達に囲まれたディーヴァは、このあとやってくるであろう悪魔の攻撃、いや攻撃というより自分を餌とした捕食光景を予想した。
一瞬の沈黙の後、ハエの悪魔とハエトリソウの悪魔が雄叫びをあげて飛びかかってきた。
迫る牙や攻撃、痛みを待って目をぎゅっと瞑る。
ああ、神様仏様天使様あたしの先祖の大天使様、ついでにダンテの祖先の悪魔様スパーダ様。
ここで終わりだとしても、せめてそんなに痛くありませんように…。
と、微妙にズレた方向含め、頭に浮かんだ多種多様な神々に祈りを捧げる。
しかし、いつまでたっても痛みは来なかった。
代わりに訪れたもの、それはディーヴァを通り越し、その頭上で響く何かがぶつかり合う音。
そろりとディーヴァが目を開けると、そこにあったのは双方違う悪魔同士が攻撃し合う光景だった。
ディーヴァを無視し、お互いを羽交い締め脚で引き裂き、噛みつき締め付け、戦い合う姿。
「…ぇ、悪魔同士戦ってる…?」
もしかして獲物であるディーヴァを取り合っているのだろうか。
…いや、違う。
その大元がハエとハエトリソウだからだったりするのかもしれない。
ハエトリソウはその名の通り、ハエや虫を食す、食虫植物なのだ。
ということは、ハエトリソウが優勢か?と思いきやそうでもなく、どちらが勝ってもおかしくなさそうだった。
『ギギィッ!!』
「ひゃっ!」
ディーヴァのすぐ隣までハエ型の悪魔が吹っ飛んで来た。
仰向けに倒れると酸性の毒を撒き散らすように出来ているのか、羽根をジタバタと震わせながら辺りをジュウジュウと焼き尽くしている。
そこに覆いかぶさるようにハエトリソウがやってきて、毒で大口を溶かされながらの噛みつき、捕食攻撃。
なんと危険な。
悪魔同士が戦い、殺しあっていたとして、ここにいてディーヴァが危険なのは変わりない。
相手方が悪魔に対しこちらは天使。
いつこちらに牙を剥いて襲いかかって来ないとも限らない。
そもそも、攻撃の余波がこちらまでやって来ないと誰が言い切れる?
今だってともすれば、毒がこちらまで飛んでいたかもしれないし、ハエトリソウの大口がディーヴァまで巻き込んで食べていたかもしれない。
はなから襲われるのは嫌だが、とばっちりを受けるのはもっとごめんだ。
ディーヴァは悪魔達が戦っている横を、ひぃひぃ這いながら避けて通りなんとか逃れた。
悪魔の起こす喧騒から逃れしばらく。
やっとこさ上へと登れそうなところを見つけて、へとへとの状態で崖の上へと戻る。
なんだか暑いなぁと思っていたが、上がってきてびっくり。
ディーヴァの視界に飛び込んできたのは、グネグネした魔界の木々が煌々と炎で燃えているという火の海。
誰かが火事を起こしている、というかは元からこんな様相の場所のようだ。
「うへぇ、何ここ~…」
ここまで登ってきたことも相成って、じっとり汗が背中を伝う。
喉が渇いても、魔界の水なんて飲めるかどうかわからないので、ここも早く離れた方がいいだろう。
そんなディーヴァの視界の端、やたらと大きな蜘蛛がのしのしと歩いている。
その体に灼熱の炎を纏い、絶えず吐き出しながら、だ。
なるほど、この蜘蛛の領域だから、木々が燃えていたのかと考えつくが、ディーヴァの気にするところはそこじゃない。
「げっ!おっきい蜘蛛だ!…今度はバレないようにしよ」
ダンテと歩く夜道、大きな蜘蛛の悪魔に襲われて食べられかけたのは今より少し前のことだ。
あの屈辱と恐怖、気持ち悪さ、ディーヴァ絶対忘れない!キリッ!
キリッとするところ違う。
ちなみにこの蜘蛛の悪魔はファンタズマラネアといい、どこぞの魔帝の臣下であるファ●トムとは似て非なる悪魔である。
どちらもかなりの強さは持っているが。
見つかっては大変だ。
ディーヴァは崖の途中へと一度戻り、顔だけ出して蜘蛛が通り過ぎるのをひたすら待った。
蜘蛛は獲物たる天使の気配に気がつかず、そのままゆっくりと通り過ぎ、道の端々を炎で炙りつつやがて消えて行った。
「ふー…行ったみたい。あんなのに捕まったら丸焼きにされてぺろっと食べられちゃうもんね…」
先ほど思い出した蜘蛛悪魔よりも大きな体なのだ。
蜘蛛の糸ぐるぐる巻きどころではない、上手に焼けました~、からのそのまま一口で飲み込まれるのがオチだったであろう。
おお、怖い怖い。
魔界のムカデに、ハエに蜘蛛。
虫型の悪魔ばかりで、虫嫌いのディーヴァはここまで何度気を失いかけるほどの嫌悪を覚えただろう。
それもそのはず。
こういった種が多いのは、ここが虫型やら植物系の悪魔の主だった生息地なのだから。
そこまでの知性の高さはなく、ダンテ換算すればそこまで脅威にならない悪魔なので、ある意味では過ごしやすい、否、生き残りやすい場所である。
かといってこの強烈な弱肉強食の世界で生き残れるかどうかで言えば、ディーヴァはそのピラミッドの底辺の存在。
生き残れる可能性はゼロと言い切れた。
「よいしょっ…と。さて、どこに行けばいいんだろ。ちょっと疲れちゃった…」
ようやく立ち上がったディーヴァが、服についた埃をパンパンと払う。
埃まみれだ。
「あーあ、こんなに汚れちゃって…。ダンテにこんな姿見せたくないなぁ。見せないで助けてもらう方法、なんかないかなー」
そんな器用な事、いくらダンテでも無理である。
いきなりの事だったから仕方ないが、白いブラウスなんて着ていなければよかった。
下に履いていた黒のスカートも、埃で白く汚れていた。
上下とも、死神のような悪魔のせいでところどころ切れてしまっている。
鏡がないので確認のしようがないが、この分だと顔や髪も汚れているだろう。
その様相を想像し、ため息が出た。