mission 35:total eclipse, demon world~魔界、そして太陽と月~
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しかし、やはり臭う。
こんな臭いところでうだうだやっていられない。
このまま嗅いでいたら鼻が曲がってしまいそうだし、何よりもダンテの元へ帰りたいという自分の願いとは裏腹にダンテからどんどん遠のくばかり。
帰り方はわからないが、ダンテとて今頃ディーヴァを必死になって探しているはずだ。
どうにかして帰らなければ。
それに、ここも怖いがディーヴァを連れ去ったあの3つ目は、こことは比べ物にならない程、とてつもなく恐ろしかった。
魔界であるここは多分、アレの本拠地なのだろう。
アレにいつ見つからないとも限らない。
とは言いつつも、どちらにしたって魔界である以上、怖いに決まっている。
とりあえずこんな世界にいては、どこに隠れようと何かしらの悪魔に見つかるだろうし、早く動いた方がいい。
ブーーーーーン……噂をすれば影がさす。
何かの羽音、魔の気配、そしてジメッとした黒い地面でもぞりと蠢く何か。
「こ、今度は何っ!?」
唇を戦慄かせながら闇に目を凝らすと見えて来るのは、一対の羽根を生やした魔物。
ディーヴァよりも大きく、体毛の一本一本がびっしり生えて気持ちの悪い、青いハエと緑のハエだった。
ハエ特有の複眼が妖しく赤く光り、見る者の嫌悪感を誘う。
ぞわっ…!
虫嫌いのディーヴァの背中に悪寒、肌に鳥肌が走る。
ウイルスを媒介したり汚物に集ったりとばい菌だらけで、ハエなんて小さくても汚らわしいのに、それが巨大なのだ。
これに比べれば、先ほどまでディーヴァを追っていた悪魔の方がまだマシに思えた。
ハエ達の赤い目が、ディーヴァへと注がれる。
青い個体はブンブンと羽根を震わせて空から、緑の個体は体が重いのか羽根を使わず地を這いながら、こちらに猛スピードで向かってきた。
「ああもう、ホント嫌っ!」
追われれば逃げる。
ハエ達がやってくるのと反対方向へ、ディーヴァは一目散に駆け出す。
そのディーヴァを足止めしようと、青いハエがその体から白くてむっちりしたものを飛ばして来た。
まさかの幼虫、いやむしろ妖虫、うじ虫だ。
「ぎゃーーーー!やだやだ、気持ち悪いっ」
ウネウネもぞもぞと蠢くそれらをディーヴァに取り憑かせるべく、投げ続ける。
まとわりつかれるとどうなるのかよくわからないが、ろくなことにならないのだけはわかる。
というか気持ち悪いの一点に尽きる。
ディーヴァは全速力で道というには荒廃したそこを駆け抜けた。
どれだけ無尽蔵なのだろう。
どんなに逃げてもディーヴァの真上、真横とひょいひょい投げられ続けるうじ虫…の形をした多分魔力の塊。
「もうっしつこいなぁ!勘弁してよ、あたしはダンテと違って戦えないんだって!」
ちらと後方を確認すれば、青の個体は緑の個体から魔力を吸い取って補給、またこちらに投げつけるを繰り返していた。
ディーヴァはこんなにヘトヘトで疲弊しているのに、相手はまだまだ体力満タンということか。
最悪だ。
「ひぃあ!」
…ブン…!
極々至近距離で羽音がした、と思った時には既に遅し。
素早くディーヴァに近づいた一匹が、長い前脚を使い、ディーヴァを羽交い締めするように後ろから取り付いた。
体は巨大でも、元がハエだけあって脚は細め。
だが、そんな細っこい脚のどこにそんな力があるのだろうか、と思うほど信じられない力がディーヴァの背骨に加えられる。
痛い、折られる…!
背骨を折られ、動けなくされ、そして生きたまま食べられる。
その最悪の事態が走馬灯のように、ディーヴァの脳裏をよぎった。
ギシ、ミシ…、骨が嫌な音を立てる。
「はな、して…っ!」
しがみついたハエを吹き飛ばすように、ディーヴァの翼が再びこの魔界の地に顕現する。
闇を照らす光を纏い、全てを浄化するように。
悪魔達も一瞬動きを止めた。
吹き飛ばされたハエは、岩壁に当たって生き絶えたようだ。
案外弱いが、とりあえずは間一髪間に合った。
あと一歩遅かったらと思うと…いや、その先を考えるのはやめておこう。
そして、陽の差さないそこに、ディーヴァの翼が光る。
その聖なる翼の輝きで、辺り一面の様子が明らかになった。
…いる。
いっぱい、いる。
いっぱいいるぅぅぅぅ!!
ここまでいるとは思わなんだ。
ディーヴァの落ちてきたここは、このハエ悪魔達の住処だったようだ。
ブンブン、ブンブン、ブーーン、…。
まるで暴走族の集まりに来てしまったかのように、次々に奥の方からやってくるハエの悪魔。
その特性上、元々群れるタイプの悪魔のようだが、天使の気配やらディーヴァの翼から発せられる光に集まってきているようでもあった。
街灯に集まる蛾さながら……ハエだけど。
…うん。
確かに、ダンテの言う通りこれで、自分が悪魔ホイホイだということが実証された。
それに真っ暗よりマシだけど、でも…でも…。
「ちょっと集まりすぎだと思うんですけどっっっ!?」
キレるディーヴァが叫ぶ。
あ、やばい。
叫んだことで上で先ほどまでディーヴァを追っていた、あのハエトリソウの悪魔達を呼んでしまったみたいだ。
崖の上から大量の悪魔の気配が、砂塵を舞い上げてこちらに向かってくる。
根で出来た足で器用に崖を降り、こちらへとやってくる植物型悪魔。
ああ、絶体絶命。
前門の虎後門の狼、といったところか。
前には巨大な虫の悪魔。
後ろからは植物の悪魔。
どっちに逃げても、待つのは『死』…。
こんな臭いところでうだうだやっていられない。
このまま嗅いでいたら鼻が曲がってしまいそうだし、何よりもダンテの元へ帰りたいという自分の願いとは裏腹にダンテからどんどん遠のくばかり。
帰り方はわからないが、ダンテとて今頃ディーヴァを必死になって探しているはずだ。
どうにかして帰らなければ。
それに、ここも怖いがディーヴァを連れ去ったあの3つ目は、こことは比べ物にならない程、とてつもなく恐ろしかった。
魔界であるここは多分、アレの本拠地なのだろう。
アレにいつ見つからないとも限らない。
とは言いつつも、どちらにしたって魔界である以上、怖いに決まっている。
とりあえずこんな世界にいては、どこに隠れようと何かしらの悪魔に見つかるだろうし、早く動いた方がいい。
ブーーーーーン……噂をすれば影がさす。
何かの羽音、魔の気配、そしてジメッとした黒い地面でもぞりと蠢く何か。
「こ、今度は何っ!?」
唇を戦慄かせながら闇に目を凝らすと見えて来るのは、一対の羽根を生やした魔物。
ディーヴァよりも大きく、体毛の一本一本がびっしり生えて気持ちの悪い、青いハエと緑のハエだった。
ハエ特有の複眼が妖しく赤く光り、見る者の嫌悪感を誘う。
ぞわっ…!
虫嫌いのディーヴァの背中に悪寒、肌に鳥肌が走る。
ウイルスを媒介したり汚物に集ったりとばい菌だらけで、ハエなんて小さくても汚らわしいのに、それが巨大なのだ。
これに比べれば、先ほどまでディーヴァを追っていた悪魔の方がまだマシに思えた。
ハエ達の赤い目が、ディーヴァへと注がれる。
青い個体はブンブンと羽根を震わせて空から、緑の個体は体が重いのか羽根を使わず地を這いながら、こちらに猛スピードで向かってきた。
「ああもう、ホント嫌っ!」
追われれば逃げる。
ハエ達がやってくるのと反対方向へ、ディーヴァは一目散に駆け出す。
そのディーヴァを足止めしようと、青いハエがその体から白くてむっちりしたものを飛ばして来た。
まさかの幼虫、いやむしろ妖虫、うじ虫だ。
「ぎゃーーーー!やだやだ、気持ち悪いっ」
ウネウネもぞもぞと蠢くそれらをディーヴァに取り憑かせるべく、投げ続ける。
まとわりつかれるとどうなるのかよくわからないが、ろくなことにならないのだけはわかる。
というか気持ち悪いの一点に尽きる。
ディーヴァは全速力で道というには荒廃したそこを駆け抜けた。
どれだけ無尽蔵なのだろう。
どんなに逃げてもディーヴァの真上、真横とひょいひょい投げられ続けるうじ虫…の形をした多分魔力の塊。
「もうっしつこいなぁ!勘弁してよ、あたしはダンテと違って戦えないんだって!」
ちらと後方を確認すれば、青の個体は緑の個体から魔力を吸い取って補給、またこちらに投げつけるを繰り返していた。
ディーヴァはこんなにヘトヘトで疲弊しているのに、相手はまだまだ体力満タンということか。
最悪だ。
「ひぃあ!」
…ブン…!
極々至近距離で羽音がした、と思った時には既に遅し。
素早くディーヴァに近づいた一匹が、長い前脚を使い、ディーヴァを羽交い締めするように後ろから取り付いた。
体は巨大でも、元がハエだけあって脚は細め。
だが、そんな細っこい脚のどこにそんな力があるのだろうか、と思うほど信じられない力がディーヴァの背骨に加えられる。
痛い、折られる…!
背骨を折られ、動けなくされ、そして生きたまま食べられる。
その最悪の事態が走馬灯のように、ディーヴァの脳裏をよぎった。
ギシ、ミシ…、骨が嫌な音を立てる。
「はな、して…っ!」
しがみついたハエを吹き飛ばすように、ディーヴァの翼が再びこの魔界の地に顕現する。
闇を照らす光を纏い、全てを浄化するように。
悪魔達も一瞬動きを止めた。
吹き飛ばされたハエは、岩壁に当たって生き絶えたようだ。
案外弱いが、とりあえずは間一髪間に合った。
あと一歩遅かったらと思うと…いや、その先を考えるのはやめておこう。
そして、陽の差さないそこに、ディーヴァの翼が光る。
その聖なる翼の輝きで、辺り一面の様子が明らかになった。
…いる。
いっぱい、いる。
いっぱいいるぅぅぅぅ!!
ここまでいるとは思わなんだ。
ディーヴァの落ちてきたここは、このハエ悪魔達の住処だったようだ。
ブンブン、ブンブン、ブーーン、…。
まるで暴走族の集まりに来てしまったかのように、次々に奥の方からやってくるハエの悪魔。
その特性上、元々群れるタイプの悪魔のようだが、天使の気配やらディーヴァの翼から発せられる光に集まってきているようでもあった。
街灯に集まる蛾さながら……ハエだけど。
…うん。
確かに、ダンテの言う通りこれで、自分が悪魔ホイホイだということが実証された。
それに真っ暗よりマシだけど、でも…でも…。
「ちょっと集まりすぎだと思うんですけどっっっ!?」
キレるディーヴァが叫ぶ。
あ、やばい。
叫んだことで上で先ほどまでディーヴァを追っていた、あのハエトリソウの悪魔達を呼んでしまったみたいだ。
崖の上から大量の悪魔の気配が、砂塵を舞い上げてこちらに向かってくる。
根で出来た足で器用に崖を降り、こちらへとやってくる植物型悪魔。
ああ、絶体絶命。
前門の虎後門の狼、といったところか。
前には巨大な虫の悪魔。
後ろからは植物の悪魔。
どっちに逃げても、待つのは『死』…。