mission 34:lost ~剣と髪~
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翌朝、朝食をしっかりと摂った2人は、早速フォースエッジの保管場所である物置部屋へと向かった。
ダンテはいつも以上に気を引き締めて挑もうとしているのか、銃を念入りに整備し、しっかり腰に差さっているのにもかかわらず、何度も確認するほどだ。
フォースエッジは物置部屋の1番奥、悪魔の大きな姿見やら、いらない家具やらが乱雑におかれた更に奥に、立てかけるように放置されていた。
「随分な場所に置きっぱなんだね」
「使う予定なかったからな」
違う。
ただ単に、自分に扱えなかったから、腹が立って見えないところに置いたんだ。
何せバージルだけでなく、実は少しの間とはいえ、あのアーカムですら、振るっていたのだから。
そうわかっていたが、ディーヴァは何も言わなかった。
「おい、フォースエッジ。お前を使いたい。オレがお前を扱えるようになんとかしろ」
「うっわ、ダンテそれ上から目線…」
「使うための試練があるってんなら、試練でもなんでもかかってこいや」
ズズズ…。
試練、の言葉を聞き入れたが、今までうんともすんとも言わなかったフォースエッジが、魔剣たる黒い空気を垂れ流しながら、頭の中に直接語りかけるような声を出した。
『私に認められるため、命をかける覚悟はあるのか?』
ダンテは臆することなく「ある」と答えた。
2人を真っ白な光が包むのは一瞬。
目を開ければそこは。
「闘技、場…?」
円状のコロシアム上に、同じ丸い形状で分厚い岩石を削り出したような闘技スペースが置かれ、広がっていた。
空は真っ暗だが、夜中とは違う。
空気も澱んでいないところを見るに、魔界でもなく、なんらかの異次元空間だと思われた。
ダンテが隣を見れば、あらま。
試練を受けるダンテだけではなく、無関係であろうディーヴァの姿。
「なんでディーヴァまでいるんだよ」
「知らない。同じ部屋にいたから一緒に取り込まれた、みたいな?」
「あ、そ。邪魔だけはするなよ」
「邪魔って…。巻き込まれてこっちは大迷惑なんだからね!」
「はいはい」
『君も無関係ではないよ。かわいい天使のお嬢さん』
ぷりぷり怒るディーヴァを諌めるダンテの前に、音も立てず黒い影が降り立つ。
「あ、そうなんですか。でもあたしは戦わなくてもいいん…ですよね?」
『もちろんだ』
「ならいいや」
「軽っ!」
かわいいと言われたからか、ディーヴァはかる~いノリでそう返した。
敬語も消えている。
黒い影を纏うその者は、ただただ真っ黒にもかかわらず、どっしりとした鎧でも身につけているかのように、そこに異彩な存在感を放って構えている。
その傍らには、フォースエッジそのものが。
どう考えても、さあ俺を倒しに来い!と言っているようにしか見えない。
「試練とやらの相手はこいつか…。胸糞悪い見た目してやがる」
先述したように、相手は真っ黒。
ダンテはクロ…つまり何年か前にとんでもないことをしでかして消えた、あのドッペルゲンガーを思い出した。
そういえばアイツはあれからどこでどうしてるのだろう、頭の片隅でふと考える。
ーーーヒュンッ!
「ぐっ…!?」
『余計なこと考えてると怪我するよ』
その瞬間、相手がダンテの間合いに滑るように踏み込んだ。
フォースエッジを使うまでもないということなのか、長い足を活かした鋭いキックがダンテのこめかみ目掛け振り下ろされる。
ダンテの体は、いとも簡単に横に吹っ飛ばされた。
「ダンテッ!!」
「大丈夫だ。……やるな」
こめかみからツゥ…と伝うダンテの血。
血に縁取られてしまっている目は、先ほどの飄々としたものではなく、眼光鋭い本気の目だ。
「まさか、もう始まってるとは知らなかったな…」
『悪魔との戦いに戦闘開始の合図など皆無だろう?奴らは待ってくれない』
「…言えてる」
こめかみから伝い落ちた血の雫が、ぽたりと垂れる。
指で拭って舐めとると、ダンテは目の前の『敵』を睨みつけ、戦闘体勢に入った。
そんなダンテの前に、1本の剣が現れる。
光の粒子に包まれて出現したそれは、相手が持つ剣と瓜二つ。
つまり、フォースエッジと同じ剣だ。
だか、ダンテは見るだけでそれがただのレプリカだと見抜いた。
『それを使って私に力を示せ』
「おい、まさかこれで戦えと?魔力も何も纏ってねぇぞ。贋作か?」
『フォースエッジと同じ形をしているが、フォースエッジにあらず。これは人間が鍛えたとさえ言えるくらい、何の力もない剣だ。
そしてそれは、私の方も同じ…』
そう言って自らの剣を天を仰ぐが如く掲げ、ダンテに向かって『かかってこい』と手招きしている。
影ゆえ表情は読み取れないが、ダンテが悪魔相手に挑発している時のそれと、よく似ていた。
『なんなら、その腰に差さっている飛び道具を使っても構わない』
「遠距離攻撃のハンデ付きとはね…。いいぜ、やってやる。
とっととアンタを満足させてこっから出てやろうじゃねぇか!!」
ダンテも剣を取り、そして空いた方の手に銃を構えた。
これから始まるのは本気の戦闘。
ならば、一般人と変わらぬディーヴァには少しでも避難してもらったほうがいい。
「ディーヴァ、危ないからこっから離れてろ」
「うん…気をつけてね」
小走りに駆けてゆくディーヴァの後ろ姿を見送り、再び目の前の陰に向き直る。
この丸い闘技スペースから出さえすれば、そこまで攻撃の余波が来ることは、まずないだろうと踏んでの行動だ。
「ぎゃぷ!?…え、あれ?」
「…何遊んでるんだディーヴァ」
が、降りようと一歩踏み出すと、ただ強かに顔を打っただけで終わり、何か透明な壁のようなものに阻まれていた。
…結界のようだ。
「遊んでない!あのー…ここから出られないんだけど…?」
『私は君も無関係ではない、と言ったはずだ。誰もこの上からは出られないようになっている』
「えーーー!」
「はは、なるほど。ディーヴァはここで逃げ足を鍛える修行ってか!イイねぇ、気に入った」
「よくないよ!でも頑張る!!」
ダンテが頑張っているんだもの。
自分も同じように頑張らないと、パートナーとして失格だ。
ダンテはいつも以上に気を引き締めて挑もうとしているのか、銃を念入りに整備し、しっかり腰に差さっているのにもかかわらず、何度も確認するほどだ。
フォースエッジは物置部屋の1番奥、悪魔の大きな姿見やら、いらない家具やらが乱雑におかれた更に奥に、立てかけるように放置されていた。
「随分な場所に置きっぱなんだね」
「使う予定なかったからな」
違う。
ただ単に、自分に扱えなかったから、腹が立って見えないところに置いたんだ。
何せバージルだけでなく、実は少しの間とはいえ、あのアーカムですら、振るっていたのだから。
そうわかっていたが、ディーヴァは何も言わなかった。
「おい、フォースエッジ。お前を使いたい。オレがお前を扱えるようになんとかしろ」
「うっわ、ダンテそれ上から目線…」
「使うための試練があるってんなら、試練でもなんでもかかってこいや」
ズズズ…。
試練、の言葉を聞き入れたが、今までうんともすんとも言わなかったフォースエッジが、魔剣たる黒い空気を垂れ流しながら、頭の中に直接語りかけるような声を出した。
『私に認められるため、命をかける覚悟はあるのか?』
ダンテは臆することなく「ある」と答えた。
2人を真っ白な光が包むのは一瞬。
目を開ければそこは。
「闘技、場…?」
円状のコロシアム上に、同じ丸い形状で分厚い岩石を削り出したような闘技スペースが置かれ、広がっていた。
空は真っ暗だが、夜中とは違う。
空気も澱んでいないところを見るに、魔界でもなく、なんらかの異次元空間だと思われた。
ダンテが隣を見れば、あらま。
試練を受けるダンテだけではなく、無関係であろうディーヴァの姿。
「なんでディーヴァまでいるんだよ」
「知らない。同じ部屋にいたから一緒に取り込まれた、みたいな?」
「あ、そ。邪魔だけはするなよ」
「邪魔って…。巻き込まれてこっちは大迷惑なんだからね!」
「はいはい」
『君も無関係ではないよ。かわいい天使のお嬢さん』
ぷりぷり怒るディーヴァを諌めるダンテの前に、音も立てず黒い影が降り立つ。
「あ、そうなんですか。でもあたしは戦わなくてもいいん…ですよね?」
『もちろんだ』
「ならいいや」
「軽っ!」
かわいいと言われたからか、ディーヴァはかる~いノリでそう返した。
敬語も消えている。
黒い影を纏うその者は、ただただ真っ黒にもかかわらず、どっしりとした鎧でも身につけているかのように、そこに異彩な存在感を放って構えている。
その傍らには、フォースエッジそのものが。
どう考えても、さあ俺を倒しに来い!と言っているようにしか見えない。
「試練とやらの相手はこいつか…。胸糞悪い見た目してやがる」
先述したように、相手は真っ黒。
ダンテはクロ…つまり何年か前にとんでもないことをしでかして消えた、あのドッペルゲンガーを思い出した。
そういえばアイツはあれからどこでどうしてるのだろう、頭の片隅でふと考える。
ーーーヒュンッ!
「ぐっ…!?」
『余計なこと考えてると怪我するよ』
その瞬間、相手がダンテの間合いに滑るように踏み込んだ。
フォースエッジを使うまでもないということなのか、長い足を活かした鋭いキックがダンテのこめかみ目掛け振り下ろされる。
ダンテの体は、いとも簡単に横に吹っ飛ばされた。
「ダンテッ!!」
「大丈夫だ。……やるな」
こめかみからツゥ…と伝うダンテの血。
血に縁取られてしまっている目は、先ほどの飄々としたものではなく、眼光鋭い本気の目だ。
「まさか、もう始まってるとは知らなかったな…」
『悪魔との戦いに戦闘開始の合図など皆無だろう?奴らは待ってくれない』
「…言えてる」
こめかみから伝い落ちた血の雫が、ぽたりと垂れる。
指で拭って舐めとると、ダンテは目の前の『敵』を睨みつけ、戦闘体勢に入った。
そんなダンテの前に、1本の剣が現れる。
光の粒子に包まれて出現したそれは、相手が持つ剣と瓜二つ。
つまり、フォースエッジと同じ剣だ。
だか、ダンテは見るだけでそれがただのレプリカだと見抜いた。
『それを使って私に力を示せ』
「おい、まさかこれで戦えと?魔力も何も纏ってねぇぞ。贋作か?」
『フォースエッジと同じ形をしているが、フォースエッジにあらず。これは人間が鍛えたとさえ言えるくらい、何の力もない剣だ。
そしてそれは、私の方も同じ…』
そう言って自らの剣を天を仰ぐが如く掲げ、ダンテに向かって『かかってこい』と手招きしている。
影ゆえ表情は読み取れないが、ダンテが悪魔相手に挑発している時のそれと、よく似ていた。
『なんなら、その腰に差さっている飛び道具を使っても構わない』
「遠距離攻撃のハンデ付きとはね…。いいぜ、やってやる。
とっととアンタを満足させてこっから出てやろうじゃねぇか!!」
ダンテも剣を取り、そして空いた方の手に銃を構えた。
これから始まるのは本気の戦闘。
ならば、一般人と変わらぬディーヴァには少しでも避難してもらったほうがいい。
「ディーヴァ、危ないからこっから離れてろ」
「うん…気をつけてね」
小走りに駆けてゆくディーヴァの後ろ姿を見送り、再び目の前の陰に向き直る。
この丸い闘技スペースから出さえすれば、そこまで攻撃の余波が来ることは、まずないだろうと踏んでの行動だ。
「ぎゃぷ!?…え、あれ?」
「…何遊んでるんだディーヴァ」
が、降りようと一歩踏み出すと、ただ強かに顔を打っただけで終わり、何か透明な壁のようなものに阻まれていた。
…結界のようだ。
「遊んでない!あのー…ここから出られないんだけど…?」
『私は君も無関係ではない、と言ったはずだ。誰もこの上からは出られないようになっている』
「えーーー!」
「はは、なるほど。ディーヴァはここで逃げ足を鍛える修行ってか!イイねぇ、気に入った」
「よくないよ!でも頑張る!!」
ダンテが頑張っているんだもの。
自分も同じように頑張らないと、パートナーとして失格だ。