mission 34:lost ~剣と髪~
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ディーヴァが逃げたことに気がついたか、蜘蛛は傷の確認作業を中断し、再び追ってくる。
カサカサと音を立てて高速で。
捕まったら今度こそ一巻の終わりだ。
先ほどの骨が脳裏をよぎる。
ディーヴァは、悲鳴をあげながら、悪魔の結界の中を走った。
「もうやだーー!やっぱり素直に帰ってればよかったーーー!!」
そうすれば、こんなことにはならなかったかもしれない。
家の中には魔具の1人すらいないけれど。
「ぎゃぶっ!ひぇっ…!って、ダンテ!!」
「前を見て走らねぇと危ないぜ?」
たまに後ろを見て走っていたら何かにぶつかった。
鼻を強かに打って痛い中目の前の恐怖を確認すると、そこにいたのはいつだって自分を助けてくれるダンテ。
ディーヴァを見つけてホッとしているのか、髪や腕に蜘蛛の糸がまだついた状態の彼は、優しく抱きとめてくれている。
「うう、助けるの、遅い…。あたし、あとちょっとで食べられちゃうところだったよ」
「待たせてごめんな」
遅い、と少しワガママな女の子っぽく抗議してみれば、困ったように眉根を下げるダンテ。
悪魔との戦いの最中にあっても、ダンテはディーヴァにこういった表情を見せる。
…とても安心する。
追ってくる気配を察知したダンテは、ディーヴァを抱えて飛ぶように走り移動。
悪魔が戦いやすい森よりは、その外であるひらけた場所の方がダンテに有利、ということだろう。
それに、森だろうとその外だろうと、いつの間にやら張られている悪魔の結界の中ならば、どこへ出ても一般人に見られる心配はない。
「ディーヴァ、今度こそぜっっったい、離れるなよ。2度も同じこと、繰り返すんじゃねぇぞ?」
「さっきだって捕まりたくて捕まったわけじゃないのに。…あ、」
走るダンテの頬にも、良く見れば糸がついていた。
それだけ急いでくれたのだと思うと、文句は言わないでダンテの言うことに素直になろうと思う。
ドドドドドドドドド!!!!
暴走列車かと思わせる勢いで、蜘蛛悪魔が突っ込んできた。
脚が千切れ五体満足ではなくなったというに、ここまで全速力で来るとは、まったく元気な悪魔だ。
蜘蛛はフルパワーフルスピードでダンテに突っ込む。
足止めしようと撃つ弾丸を体で受け止めながら、蜘蛛は糸と前脚でダンテの双銃を絡め取り、遠くへと投げ飛ばしてしまった。
取りに行く暇などない。
手に取るリベリオン。
「くっ!ディーヴァ、やっぱちっとだけ、離れてろ……っ!」
「ええっ!離れるなって言ったり離れろって言ったり……もうっ!!」
リベリオンで斬っても、硬い装甲の前にはやはり届かぬその刃。
刀身が軋み、悲鳴をあげている。
それでも負けてたまるかと、剣の表面で巨体を押し返す様は、どう見ても日本の国技、相撲のようだったとディーヴァはのちに語る。
「硬…っってぇぇぇ!!クソ、このやろう…!」
ダンテは、力任せに弾いた蜘蛛の体を、刀を滑らせるように、斬り伏せようと目論む。
剣だから斬ることも可能なのはよくわかっている。
けれど、リベリオンはどちらかというと滑らせて斬るより、叩き斬る方が得意な剣なのだと、ディーヴァは考えている。
刀には刀の、剣には剣の特性がある。
リベリオンは、蜘蛛の妖怪を斬ったとされる膝丸…日本刀とは違うのだ。
なのにダンテの戦い方ときたら、ダンテにもリベリオンにも負担が大きくて、無茶苦茶なのだ。
悪魔の剣だからと、何でも斬れると思っているのだろうか。
そんなダンテの手元で、ピシリと何かヒビの入る音がした気がした。
今までこんなに硬い悪魔と相対したことがあっただろうか?あったかもしれないが、悲しいかな覚えていない。
剣に小さな違和感を感じつつ、ダンテは次の策を巡らせる。
「ディーヴァ、蜘蛛って何に弱い!?」
「え!?さ、殺虫剤…?蜘蛛を獲物にする鳥?」
「悪魔に効くかっ!」
「って、虫嫌いのあたしが虫の悪魔の嫌うもの知るわけないでしょ!」
「そりゃそうだ」
蜘蛛はやられはしていないものの、脚はなく、背も傷があるのだから、確実に疲弊は見せている。
攻め口を思考錯誤しながら、漫才のようなやり取りを交わすダンテとディーヴァ。
「蜘蛛も虫!ん?虫…?『飛んで火に入る夏の虫』!!」
「は?」
「火に弱いかなぁ、なんて…」
日本のことわざで確かそんなのがあった気がする。
それとどう関係があるかわからないが、なんとなく火が弱点なのではないか、と思いついた。
テメンニグルの悪魔とて、各属性に何かしら弱点があったことだし…。
それによく考えてみよう。
ダンテとディーヴァの時代にはまだ発売されていないが、日本の有名なゲームでも、虫タイプは炎タイプに弱い。
うん、火に弱いの確定。
「なるほど。でも火がない!」
今こそ炎を操る剣、つまり小煩い双剣のアグニとルドラが欲しいと思った。
「ダンテ、火を起こす方法ならあるよっ!」
「何っ!?」
蜘蛛を再び力任せに弾いて、ディーヴァの元へと勢いよく振り向く。
ディーヴァが腕に抱える酒瓶が目に入った。
「ずっと持ってたのかよ!」
「持ってたよ?蜘蛛に捕らわれた時からずっとね」
「よく持ってたな…というか、よく割れなかったよ」
迫る蜘蛛の攻撃から逃げるべく魔人化して、ディーヴァを抱き上げ飛んでかわすダンテ。
ネヴァン装備での飛行ではないためずっとは飛んでいられないが、少しなら落ちる速度も遅くできる。
「浴びせて火花を起こすの!やたらと度数高いお酒だから火がつくはず…」
「へぇ…なら、ディーヴァを酔わせてあんなことやこんなことするのに良かったのに残念だ」
「残念でしたー」
「というわけで喰らえ蜘蛛野郎っ!!」
ダンテは降り立った先で、ディーヴァから受け取った酒瓶を蜘蛛目掛け投げつけた。
蜘蛛のど真ん中、背に当たりパリーンと盛大に割れた瓶からはむわりとした臭気と、アルコールのツンとした刺激臭が辺り一面に広がる。
酒は液体。
液体の状態では火を近づけても燃えないが、それは気化した時に性質をガラリと変える。
これだけ高い度数の酒で、こんなにも被っていれば。
ギャリギャリギャリッ!!
リベリオンを地面から滑らせ、蜘蛛の体にも下段斬りで斬り上げる。
摩擦で起こるのは、花咲くように綺麗なスパーク。
「「やった!!」」
読み通り気化したアルコールに火がつき、蜘蛛が瞬く間に炎に包まれる。
「くっ!今なら貫ける…っ!!」
その炎に自身も突っ込むように、気化したアルコールを纏い焔の剣と化したリベリオンを振るう。
柄まで通すようにまっすぐに突き立てれば、あんなに硬かった蜘蛛の体があっさりと柔らかいバターのように斬れた。
「キシャァァァァッ!!!」
「これは誰かの真似みたいで癪だが、一度やってみたかったんだ、ぜっ!」
リベリオンを四方八方に振り切る事で、細やかな斬撃を繰り出す。
誰か、の場合一度で波動で出来た複数の斬撃を生み出していたが、いかんせん見よう見まね。
それでも蜘蛛には十分の威力だった。
「悪魔狩り完了っと」
カサカサと音を立てて高速で。
捕まったら今度こそ一巻の終わりだ。
先ほどの骨が脳裏をよぎる。
ディーヴァは、悲鳴をあげながら、悪魔の結界の中を走った。
「もうやだーー!やっぱり素直に帰ってればよかったーーー!!」
そうすれば、こんなことにはならなかったかもしれない。
家の中には魔具の1人すらいないけれど。
「ぎゃぶっ!ひぇっ…!って、ダンテ!!」
「前を見て走らねぇと危ないぜ?」
たまに後ろを見て走っていたら何かにぶつかった。
鼻を強かに打って痛い中目の前の恐怖を確認すると、そこにいたのはいつだって自分を助けてくれるダンテ。
ディーヴァを見つけてホッとしているのか、髪や腕に蜘蛛の糸がまだついた状態の彼は、優しく抱きとめてくれている。
「うう、助けるの、遅い…。あたし、あとちょっとで食べられちゃうところだったよ」
「待たせてごめんな」
遅い、と少しワガママな女の子っぽく抗議してみれば、困ったように眉根を下げるダンテ。
悪魔との戦いの最中にあっても、ダンテはディーヴァにこういった表情を見せる。
…とても安心する。
追ってくる気配を察知したダンテは、ディーヴァを抱えて飛ぶように走り移動。
悪魔が戦いやすい森よりは、その外であるひらけた場所の方がダンテに有利、ということだろう。
それに、森だろうとその外だろうと、いつの間にやら張られている悪魔の結界の中ならば、どこへ出ても一般人に見られる心配はない。
「ディーヴァ、今度こそぜっっったい、離れるなよ。2度も同じこと、繰り返すんじゃねぇぞ?」
「さっきだって捕まりたくて捕まったわけじゃないのに。…あ、」
走るダンテの頬にも、良く見れば糸がついていた。
それだけ急いでくれたのだと思うと、文句は言わないでダンテの言うことに素直になろうと思う。
ドドドドドドドドド!!!!
暴走列車かと思わせる勢いで、蜘蛛悪魔が突っ込んできた。
脚が千切れ五体満足ではなくなったというに、ここまで全速力で来るとは、まったく元気な悪魔だ。
蜘蛛はフルパワーフルスピードでダンテに突っ込む。
足止めしようと撃つ弾丸を体で受け止めながら、蜘蛛は糸と前脚でダンテの双銃を絡め取り、遠くへと投げ飛ばしてしまった。
取りに行く暇などない。
手に取るリベリオン。
「くっ!ディーヴァ、やっぱちっとだけ、離れてろ……っ!」
「ええっ!離れるなって言ったり離れろって言ったり……もうっ!!」
リベリオンで斬っても、硬い装甲の前にはやはり届かぬその刃。
刀身が軋み、悲鳴をあげている。
それでも負けてたまるかと、剣の表面で巨体を押し返す様は、どう見ても日本の国技、相撲のようだったとディーヴァはのちに語る。
「硬…っってぇぇぇ!!クソ、このやろう…!」
ダンテは、力任せに弾いた蜘蛛の体を、刀を滑らせるように、斬り伏せようと目論む。
剣だから斬ることも可能なのはよくわかっている。
けれど、リベリオンはどちらかというと滑らせて斬るより、叩き斬る方が得意な剣なのだと、ディーヴァは考えている。
刀には刀の、剣には剣の特性がある。
リベリオンは、蜘蛛の妖怪を斬ったとされる膝丸…日本刀とは違うのだ。
なのにダンテの戦い方ときたら、ダンテにもリベリオンにも負担が大きくて、無茶苦茶なのだ。
悪魔の剣だからと、何でも斬れると思っているのだろうか。
そんなダンテの手元で、ピシリと何かヒビの入る音がした気がした。
今までこんなに硬い悪魔と相対したことがあっただろうか?あったかもしれないが、悲しいかな覚えていない。
剣に小さな違和感を感じつつ、ダンテは次の策を巡らせる。
「ディーヴァ、蜘蛛って何に弱い!?」
「え!?さ、殺虫剤…?蜘蛛を獲物にする鳥?」
「悪魔に効くかっ!」
「って、虫嫌いのあたしが虫の悪魔の嫌うもの知るわけないでしょ!」
「そりゃそうだ」
蜘蛛はやられはしていないものの、脚はなく、背も傷があるのだから、確実に疲弊は見せている。
攻め口を思考錯誤しながら、漫才のようなやり取りを交わすダンテとディーヴァ。
「蜘蛛も虫!ん?虫…?『飛んで火に入る夏の虫』!!」
「は?」
「火に弱いかなぁ、なんて…」
日本のことわざで確かそんなのがあった気がする。
それとどう関係があるかわからないが、なんとなく火が弱点なのではないか、と思いついた。
テメンニグルの悪魔とて、各属性に何かしら弱点があったことだし…。
それによく考えてみよう。
ダンテとディーヴァの時代にはまだ発売されていないが、日本の有名なゲームでも、虫タイプは炎タイプに弱い。
うん、火に弱いの確定。
「なるほど。でも火がない!」
今こそ炎を操る剣、つまり小煩い双剣のアグニとルドラが欲しいと思った。
「ダンテ、火を起こす方法ならあるよっ!」
「何っ!?」
蜘蛛を再び力任せに弾いて、ディーヴァの元へと勢いよく振り向く。
ディーヴァが腕に抱える酒瓶が目に入った。
「ずっと持ってたのかよ!」
「持ってたよ?蜘蛛に捕らわれた時からずっとね」
「よく持ってたな…というか、よく割れなかったよ」
迫る蜘蛛の攻撃から逃げるべく魔人化して、ディーヴァを抱き上げ飛んでかわすダンテ。
ネヴァン装備での飛行ではないためずっとは飛んでいられないが、少しなら落ちる速度も遅くできる。
「浴びせて火花を起こすの!やたらと度数高いお酒だから火がつくはず…」
「へぇ…なら、ディーヴァを酔わせてあんなことやこんなことするのに良かったのに残念だ」
「残念でしたー」
「というわけで喰らえ蜘蛛野郎っ!!」
ダンテは降り立った先で、ディーヴァから受け取った酒瓶を蜘蛛目掛け投げつけた。
蜘蛛のど真ん中、背に当たりパリーンと盛大に割れた瓶からはむわりとした臭気と、アルコールのツンとした刺激臭が辺り一面に広がる。
酒は液体。
液体の状態では火を近づけても燃えないが、それは気化した時に性質をガラリと変える。
これだけ高い度数の酒で、こんなにも被っていれば。
ギャリギャリギャリッ!!
リベリオンを地面から滑らせ、蜘蛛の体にも下段斬りで斬り上げる。
摩擦で起こるのは、花咲くように綺麗なスパーク。
「「やった!!」」
読み通り気化したアルコールに火がつき、蜘蛛が瞬く間に炎に包まれる。
「くっ!今なら貫ける…っ!!」
その炎に自身も突っ込むように、気化したアルコールを纏い焔の剣と化したリベリオンを振るう。
柄まで通すようにまっすぐに突き立てれば、あんなに硬かった蜘蛛の体があっさりと柔らかいバターのように斬れた。
「キシャァァァァッ!!!」
「これは誰かの真似みたいで癪だが、一度やってみたかったんだ、ぜっ!」
リベリオンを四方八方に振り切る事で、細やかな斬撃を繰り出す。
誰か、の場合一度で波動で出来た複数の斬撃を生み出していたが、いかんせん見よう見まね。
それでも蜘蛛には十分の威力だった。
「悪魔狩り完了っと」