mission 34:lost ~剣と髪~
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それから数日後、ダンテはディーヴァのいない隙に、本当に魔具をロダンの元へ置いてきてしまった。
魔具達はそれについてかなり文句を言ってはいたが、契約している主はダンテ。
そのダンテがいうことには、逆らうことはできない。
ディーヴァが魔具達のいないことに気がつくのは早かった。
置いてきた次の日の午後、仕事から帰ってきたディーヴァが、魔具達がいつもいる階段下の物置を掃除しようとしていたからだ。
「あれっ?魔具さん達がいない!?ダンテ、みんないないよー!!」
箒片手にディーヴァがキョロキョロと探し、最後にダンテの元へ大慌てでやってくる。
ダンテはディーヴァが必死に探すのを見て、読んでいる雑誌の陰で可笑しそうに笑った。
「ああ、ロダンとこだ」
「なんで!??」
「ロダンが魔具の研究がしたいんだと」
「え、みんなの?それでケルベロスもネヴァンも行っちゃったってこと!?
あたしに何も言わず!?」
「そ。みんな行った」
雑誌から顔を上げないまま、ダンテはそう言う。
「ふーん…そうなんだ、さみしいね」
うるさいと思うときもたまにはあったが、いざいなくなると物足りなく感じる、というのはダンテもわからないでもない。
特にディーヴァなんかは、魔具も含めての悪魔(プラス天使の)大家族という気がしていたのだろうからその気が顕著だ。
とにかくこれで邪魔者はいないのだ。
今夜は楽しむことにするが、とりあえず今は昼間…ディーヴァとゆっくり過ごしたいところ。
そうだ、雑誌なんか読んでる場合じゃないな。
「仕事から帰ってきてまで掃除しなくていいだろ?そういうことだから、そこの掃除はあとで。
ディーヴァ、おいで」
「え、あ…うん」
来いよ、などと言われるのはよくある事。
だけれども、慈しむように目元を弛ませておいで、なんて優しく手招きされてしまうと、どうも断りづらい。
箒も恥もぽいとかなぐり捨て、ディーヴァはふらふら誘われるままにダンテの腕の中にダイブした。
「今日もお疲れ、ディーヴァ」
「ランチタイムだけのシフトだったからそんな疲れてないけど…でも、ありがと。
ダンテだって、昨日の夜は依頼だったじゃない?お疲れ様」
本当なら昨夜、楽しく2人きりで過ごせたはずだった。
なのに、悪魔退治の依頼が入って今日に持ち越し。
ダンテは今、かなりのお預け状態に近い。
でも今は我慢、試練の時……これさえ我慢すればきっと…!
昼はディーヴァを甘やかす時間で、夜はオレがディーヴァに甘える時間だ。
腕の中に迎い入れたディーヴァをしばらく抱きしめていたダンテが、体勢を変え全身で抱き込む形でディーヴァを膝に座らせた。
自分よりも低い位置にくる頭をゆるゆると撫でるためだ。
「ダンテ、何?なんでそんなに撫でてくるの?」
「撫でられるの嫌いだっけか」
「嫌いじゃない…好き」
それがダンテになら、尚のこと。
「ならいいだろ?ディーヴァがよく気にしてる暖房代の節約になるし」
「確かに…」
暖房なんかなくったって触れた先から暖かくなってくる。
それは単に有機物同士がくっついているからではないことくらい、ディーヴァにもよくわかっていた。
撫でていればその小さな頭が目に入る。
薄いエメラルドグリーンの、天辺に天使の輪が光る長い髪の毛も。
ディーヴァの髪は滑らかで指通りがいい。
指にまったく絡んでこない。
夜だってどんなに乱れ乱しても、ぐちゃぐちゃになったり寝癖がつく事はあれど、絡むことがなかった。
頭を撫でられ髪を梳かれ、喉を鳴らす猫のようにご満悦なディーヴァに、ふと思いついた事を聞く。
「なあ、今夜の夕食は何にするんだ?」
「んー。今夜はねぇ、パスタ!!」
「パスタか…肉は入ってるか?」
肉でも食わないとディーヴァの体力が持つかどうか…。
まあ、肉を食べたからといって、ディーヴァが先に意識を遣るのは変わらない。
いかん、何を見ても聞いても、最終的に夜の話に思考がいってしまう。
「入ってるよ。この間たっくさんお買い物したでしょ?豚頬肉の塩漬けとか保存食いっぱい買ったからそれ使うの」
今夜はダンテがアマトリチャーナ・ロッソ、あたしがアマトリチャーナ・ビアンコ!
ニコニコしながら言うディーヴァは、すでに性欲より食欲に支配されている。
というか、性欲にはあまりいかないだろう、だから代わりにダンテがそちらの欲求担当なのだ。
足して2で割ってちょうど良い。
ちなみにアマトリチャーナパスタとは、アマトリーチェ出身のローマ料理の定番であり、ロッソは赤を意味、すなわちトマトソースをベースに加え、ビアンコはトマトソースなしで作るパスタ。
つまりダンテが好きなのは~~~…ロッソ。
頬肉ゴロゴロたっぷりにするとかなりボリューミーで味濃く美味しく、羊乳のチーズを多めにすればチーズ大好き人間も喜ぶ一品となる。
「そりゃ楽しみだ」
ダンテは髪を梳くのをやめ、ディーヴァを今一度閉じ込めるようにしてしっかりと抱きしめた。
美味しく夕食をいただき、ゆっくりゆったりバスタイムを終え、これまたゆるりとした就寝前の時間をナイトティー片手に過ごした2人。
満月でもなく新月でもない、雫となって垂れそうな三日月が寒くなった夜に浮かぶ中、ダンテはそれはもう、蜂蜜みたいなとろりと甘い時間を過ごしたらしい。
ちょっとした気配に鋭いダンテのことだ。
今までは、魔具の起きる気配やら独り言でも気がちってしょうがなかったのだが、今夜は違う。
誰にも邪魔されないというのは、ほんとうに幸せなこと。
朝目覚めて、隣で腰の痛みに少々ふて腐れるディーヴァを見て、ああ…結局優しくしてやれなかった、と後悔するのはしかたないだろう。
しかし、ディーヴァがまず発した言葉は「ダンテの髪の毛くすぐったかった」だった。
魔具達はそれについてかなり文句を言ってはいたが、契約している主はダンテ。
そのダンテがいうことには、逆らうことはできない。
ディーヴァが魔具達のいないことに気がつくのは早かった。
置いてきた次の日の午後、仕事から帰ってきたディーヴァが、魔具達がいつもいる階段下の物置を掃除しようとしていたからだ。
「あれっ?魔具さん達がいない!?ダンテ、みんないないよー!!」
箒片手にディーヴァがキョロキョロと探し、最後にダンテの元へ大慌てでやってくる。
ダンテはディーヴァが必死に探すのを見て、読んでいる雑誌の陰で可笑しそうに笑った。
「ああ、ロダンとこだ」
「なんで!??」
「ロダンが魔具の研究がしたいんだと」
「え、みんなの?それでケルベロスもネヴァンも行っちゃったってこと!?
あたしに何も言わず!?」
「そ。みんな行った」
雑誌から顔を上げないまま、ダンテはそう言う。
「ふーん…そうなんだ、さみしいね」
うるさいと思うときもたまにはあったが、いざいなくなると物足りなく感じる、というのはダンテもわからないでもない。
特にディーヴァなんかは、魔具も含めての悪魔(プラス天使の)大家族という気がしていたのだろうからその気が顕著だ。
とにかくこれで邪魔者はいないのだ。
今夜は楽しむことにするが、とりあえず今は昼間…ディーヴァとゆっくり過ごしたいところ。
そうだ、雑誌なんか読んでる場合じゃないな。
「仕事から帰ってきてまで掃除しなくていいだろ?そういうことだから、そこの掃除はあとで。
ディーヴァ、おいで」
「え、あ…うん」
来いよ、などと言われるのはよくある事。
だけれども、慈しむように目元を弛ませておいで、なんて優しく手招きされてしまうと、どうも断りづらい。
箒も恥もぽいとかなぐり捨て、ディーヴァはふらふら誘われるままにダンテの腕の中にダイブした。
「今日もお疲れ、ディーヴァ」
「ランチタイムだけのシフトだったからそんな疲れてないけど…でも、ありがと。
ダンテだって、昨日の夜は依頼だったじゃない?お疲れ様」
本当なら昨夜、楽しく2人きりで過ごせたはずだった。
なのに、悪魔退治の依頼が入って今日に持ち越し。
ダンテは今、かなりのお預け状態に近い。
でも今は我慢、試練の時……これさえ我慢すればきっと…!
昼はディーヴァを甘やかす時間で、夜はオレがディーヴァに甘える時間だ。
腕の中に迎い入れたディーヴァをしばらく抱きしめていたダンテが、体勢を変え全身で抱き込む形でディーヴァを膝に座らせた。
自分よりも低い位置にくる頭をゆるゆると撫でるためだ。
「ダンテ、何?なんでそんなに撫でてくるの?」
「撫でられるの嫌いだっけか」
「嫌いじゃない…好き」
それがダンテになら、尚のこと。
「ならいいだろ?ディーヴァがよく気にしてる暖房代の節約になるし」
「確かに…」
暖房なんかなくったって触れた先から暖かくなってくる。
それは単に有機物同士がくっついているからではないことくらい、ディーヴァにもよくわかっていた。
撫でていればその小さな頭が目に入る。
薄いエメラルドグリーンの、天辺に天使の輪が光る長い髪の毛も。
ディーヴァの髪は滑らかで指通りがいい。
指にまったく絡んでこない。
夜だってどんなに乱れ乱しても、ぐちゃぐちゃになったり寝癖がつく事はあれど、絡むことがなかった。
頭を撫でられ髪を梳かれ、喉を鳴らす猫のようにご満悦なディーヴァに、ふと思いついた事を聞く。
「なあ、今夜の夕食は何にするんだ?」
「んー。今夜はねぇ、パスタ!!」
「パスタか…肉は入ってるか?」
肉でも食わないとディーヴァの体力が持つかどうか…。
まあ、肉を食べたからといって、ディーヴァが先に意識を遣るのは変わらない。
いかん、何を見ても聞いても、最終的に夜の話に思考がいってしまう。
「入ってるよ。この間たっくさんお買い物したでしょ?豚頬肉の塩漬けとか保存食いっぱい買ったからそれ使うの」
今夜はダンテがアマトリチャーナ・ロッソ、あたしがアマトリチャーナ・ビアンコ!
ニコニコしながら言うディーヴァは、すでに性欲より食欲に支配されている。
というか、性欲にはあまりいかないだろう、だから代わりにダンテがそちらの欲求担当なのだ。
足して2で割ってちょうど良い。
ちなみにアマトリチャーナパスタとは、アマトリーチェ出身のローマ料理の定番であり、ロッソは赤を意味、すなわちトマトソースをベースに加え、ビアンコはトマトソースなしで作るパスタ。
つまりダンテが好きなのは~~~…ロッソ。
頬肉ゴロゴロたっぷりにするとかなりボリューミーで味濃く美味しく、羊乳のチーズを多めにすればチーズ大好き人間も喜ぶ一品となる。
「そりゃ楽しみだ」
ダンテは髪を梳くのをやめ、ディーヴァを今一度閉じ込めるようにしてしっかりと抱きしめた。
美味しく夕食をいただき、ゆっくりゆったりバスタイムを終え、これまたゆるりとした就寝前の時間をナイトティー片手に過ごした2人。
満月でもなく新月でもない、雫となって垂れそうな三日月が寒くなった夜に浮かぶ中、ダンテはそれはもう、蜂蜜みたいなとろりと甘い時間を過ごしたらしい。
ちょっとした気配に鋭いダンテのことだ。
今までは、魔具の起きる気配やら独り言でも気がちってしょうがなかったのだが、今夜は違う。
誰にも邪魔されないというのは、ほんとうに幸せなこと。
朝目覚めて、隣で腰の痛みに少々ふて腐れるディーヴァを見て、ああ…結局優しくしてやれなかった、と後悔するのはしかたないだろう。
しかし、ディーヴァがまず発した言葉は「ダンテの髪の毛くすぐったかった」だった。