mission 34:lost ~剣と髪~
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続いてグリーンビーンキャセロールを食べてみる。
うん、これも美味しく出来てる。
缶詰めで簡素に作る家庭の多い中、今回はフレッシュなインゲンを使って自分で作った力作だ。
なのにダンテときたら、付け合わせにはキャンディード・ヤムばっかり食べているけれど。
「ダンテ?いくら甘党だからって、それ抱えて食べるのやめようか?
そのペースだと、あたしの分なくなっちゃう」
「ディーヴァは焼きマシュマロ食べたんだろ?」
見てたのね。
「それとこれとは話が別。ううん、別腹って言った方が正しいかな。
デザートのアップルパイあげないよ?」
「なら返す。結構食っちまったがな」
「もうほとんどないじゃない。まったく…」
せっかくの感謝祭だし、これくらい目をつぶろう、…喧嘩したくないし。
それに、美味しいって食べてくれているのだからいいか。
デザートであるアップルパイを温かな紅茶と共に楽しみながら、明日の予定を話し合う。
「ダンテ、明日はブラックフライデーだけど、安くなったもの買いに行く?」
「クリスマス前商戦のアレか…特に買いたい物はないが、ちょっと行ってみるかな」
ブラックフライデーとは、日本で言えば正月の福袋と、売り尽くしタイムセールを足して2で割ったものに近い。
その商品は、食料品、薬などの日用品から、アクセサリー、服、家電に家具、ゲームや車まで多岐に渡る。
「なんでもかんでも半額以上安くなるってのは、主婦じゃないオレですら、魅力的に感じるよ」
「うんうん、魅力的だよね。もしかしたら見てるうちに欲しいもの見つかるかもしれないよねぇ」
「…怪我には注意だけどな」
ブラックフライデーには人が溢れ、『怪我人続出』という見出しの新聞がよくでまわる。
それに自分達が載らぬよう気をつけつつ、明日の午後イチでショッピングしよう。
そう約束し、ダンテとディーヴァはデザートに舌鼓を打つのを再開した。
ちなみにご馳走はたくさん作りすぎて食べ切れないので、明日の朝ごはんはこれらを挟んだサンドイッチに決まった。
安上がりだし手も抜ける、簡単で便利だ。
そんなある意味手抜き料理でも、ダンテは美味い美味いと言って、朝から何個も平らげてくれた。
やっぱり身内びいきなんじゃないかとさえ思うほど。
とか言って、自分で食べてみてもかな~り美味しかったのだが。
「出掛けるぞディーヴァ。外は肌寒いから、ちゃんと防寒しろよ」
「大丈夫、厚めのタイツ履いてる」
ディーヴァの格好はショート丈のコンパクトな赤いダッフルコートに、白のショートパンツと黒タイツとブーティ。
首元にはポンポンのついたマフラーをぐるぐると巻いている。
人ごみに揉みくちゃにされてもすぐ抜け出せるよう、動きやすく目立つ服装を心がけてみた結果だ。
が、ダンテは一部不服そう。
「ダンテとお揃いの赤だよ。どう?ペアルックみたいじゃない?」
「んー、赤いコートは似てる。でも、スカートじゃないってのがな…」
「何か問題でも?」
「…別に」
男性には狩猟時代の名残として、動くものに反応する性質がある。
揺れるポニーテールやスカートを見ると反応するものだが、ダンテはその気がやたら強い。
つまり、スカート大好き。
だが、ディーヴァの有無を言わさぬその言葉に、ダンテはそれ以上何も言わず押し黙った。
それからバスを使うこと1時間ほど。
ダンテとディーヴァは、大型アウトレット店へ来ていた。
いつも行くようなショッピングモールではなく、その更に先にあるまだ2人が来た事のない場所だ。
今回なぜそんな場所に来たのかといえば、ただ単にチラシ広告で見かけたから。
来て早々、後悔。
「人多すぎじゃね?」
「うん…、よく考えたらアウトレットって元々安いんだよね。なのにブラックフライデーの影響でそこから更にお安く叩き売り状態…」
年末の築地市場、否、コミケのように見渡す限り人、人、人。
見よ人がゴミのようだ!
これでは御目当ての品を買うのも探すのも一苦労どころか、警備員や警察官さえ、ろくに仕事出来ないだろう。
右見て、うんざり、左見て、げんなり。
前を見ても、がっくり、ここまですごいとは思わなかった。
「ディーヴァ、どっか違うとこ…」
さすがのダンテも、買うのは諦めてどこか静かな場所にでも、と提案しようと思っていたのだが…。
「え?なになに!?ダンテ!!」
さっきまでため息混じりだったはずのディーヴァが、いやに興奮気味だ。
オラワクワクすっぞ!状態。
まさか、買うというのか…?この中に無謀にも突撃しようとしているのかっ!?
「よし行こ、ダンテ!ぜっっったい、いいものあるからっっ!」
「おいおいおい、嘘だろ…」
ディーヴァはダンテの手を引いて、人ごみの中に突撃。
女性は買い物、オシャレとスイーツ、恋バナの好きな生き物だが、ディーヴァもそうだったとは…。
セール品の魅力には、ダンテという悪魔も勝てない。
30分後、すっかり疲弊しきったボロボロなダンテと、お肌がツヤツヤ大満足のディーヴァがいた。
良い買い物ができたようで何より。
疲れ切ったダンテは、ようやく座れたまぁるいカフェ席でぐったり突っ伏しつつ、ディーヴァと仲良くティーブレイク。
コーラを一気に啜るダンテの前で、まだ元気なディーヴァが、目をまん丸にして通り沿いを見つめていた。
ダンテには気にする余裕はない。
「ねぇねぇダンテ、すごいたくさん買い物してる人がいるよ!」
「あー?」
すごいったって、どうせそんな大した量じゃ………。
すげー量だったァーーー!!
ディーヴァの言葉に少し気だるげに後ろを振り向くと、ダンテは目が飛び出そうなほど驚いた。
どうやって持っているのか手に埋もれるほど山高く買い物の箱を重ね、腕にもこれまた大量に買い物袋を下げた人間が歩いていた。
周りもぎょっとした表情をしたのち、そそくさと道を開けるほどだ。
「ね?すごい量だよね~」
「素面でアレ見ていられるお前もすげえよ……って、アイツどっかで見たことある奴だな」
「そういえば、そうかも?」
厳つい体に黒いスキンヘッド、特徴あるサングラスをかけた知り合いは1人しかいない。
相手も気がついたようで荷物はそのままに、こちらへと歩いてきた。
「よぉ。ダンテ、ディーヴァ、こんなところで奇遇だな」
全くそうは見えないが、元天使にして現堕天使、つまりは悪魔という、ゲイツオブヘルのマスター、ロダンだった。
うん、これも美味しく出来てる。
缶詰めで簡素に作る家庭の多い中、今回はフレッシュなインゲンを使って自分で作った力作だ。
なのにダンテときたら、付け合わせにはキャンディード・ヤムばっかり食べているけれど。
「ダンテ?いくら甘党だからって、それ抱えて食べるのやめようか?
そのペースだと、あたしの分なくなっちゃう」
「ディーヴァは焼きマシュマロ食べたんだろ?」
見てたのね。
「それとこれとは話が別。ううん、別腹って言った方が正しいかな。
デザートのアップルパイあげないよ?」
「なら返す。結構食っちまったがな」
「もうほとんどないじゃない。まったく…」
せっかくの感謝祭だし、これくらい目をつぶろう、…喧嘩したくないし。
それに、美味しいって食べてくれているのだからいいか。
デザートであるアップルパイを温かな紅茶と共に楽しみながら、明日の予定を話し合う。
「ダンテ、明日はブラックフライデーだけど、安くなったもの買いに行く?」
「クリスマス前商戦のアレか…特に買いたい物はないが、ちょっと行ってみるかな」
ブラックフライデーとは、日本で言えば正月の福袋と、売り尽くしタイムセールを足して2で割ったものに近い。
その商品は、食料品、薬などの日用品から、アクセサリー、服、家電に家具、ゲームや車まで多岐に渡る。
「なんでもかんでも半額以上安くなるってのは、主婦じゃないオレですら、魅力的に感じるよ」
「うんうん、魅力的だよね。もしかしたら見てるうちに欲しいもの見つかるかもしれないよねぇ」
「…怪我には注意だけどな」
ブラックフライデーには人が溢れ、『怪我人続出』という見出しの新聞がよくでまわる。
それに自分達が載らぬよう気をつけつつ、明日の午後イチでショッピングしよう。
そう約束し、ダンテとディーヴァはデザートに舌鼓を打つのを再開した。
ちなみにご馳走はたくさん作りすぎて食べ切れないので、明日の朝ごはんはこれらを挟んだサンドイッチに決まった。
安上がりだし手も抜ける、簡単で便利だ。
そんなある意味手抜き料理でも、ダンテは美味い美味いと言って、朝から何個も平らげてくれた。
やっぱり身内びいきなんじゃないかとさえ思うほど。
とか言って、自分で食べてみてもかな~り美味しかったのだが。
「出掛けるぞディーヴァ。外は肌寒いから、ちゃんと防寒しろよ」
「大丈夫、厚めのタイツ履いてる」
ディーヴァの格好はショート丈のコンパクトな赤いダッフルコートに、白のショートパンツと黒タイツとブーティ。
首元にはポンポンのついたマフラーをぐるぐると巻いている。
人ごみに揉みくちゃにされてもすぐ抜け出せるよう、動きやすく目立つ服装を心がけてみた結果だ。
が、ダンテは一部不服そう。
「ダンテとお揃いの赤だよ。どう?ペアルックみたいじゃない?」
「んー、赤いコートは似てる。でも、スカートじゃないってのがな…」
「何か問題でも?」
「…別に」
男性には狩猟時代の名残として、動くものに反応する性質がある。
揺れるポニーテールやスカートを見ると反応するものだが、ダンテはその気がやたら強い。
つまり、スカート大好き。
だが、ディーヴァの有無を言わさぬその言葉に、ダンテはそれ以上何も言わず押し黙った。
それからバスを使うこと1時間ほど。
ダンテとディーヴァは、大型アウトレット店へ来ていた。
いつも行くようなショッピングモールではなく、その更に先にあるまだ2人が来た事のない場所だ。
今回なぜそんな場所に来たのかといえば、ただ単にチラシ広告で見かけたから。
来て早々、後悔。
「人多すぎじゃね?」
「うん…、よく考えたらアウトレットって元々安いんだよね。なのにブラックフライデーの影響でそこから更にお安く叩き売り状態…」
年末の築地市場、否、コミケのように見渡す限り人、人、人。
見よ人がゴミのようだ!
これでは御目当ての品を買うのも探すのも一苦労どころか、警備員や警察官さえ、ろくに仕事出来ないだろう。
右見て、うんざり、左見て、げんなり。
前を見ても、がっくり、ここまですごいとは思わなかった。
「ディーヴァ、どっか違うとこ…」
さすがのダンテも、買うのは諦めてどこか静かな場所にでも、と提案しようと思っていたのだが…。
「え?なになに!?ダンテ!!」
さっきまでため息混じりだったはずのディーヴァが、いやに興奮気味だ。
オラワクワクすっぞ!状態。
まさか、買うというのか…?この中に無謀にも突撃しようとしているのかっ!?
「よし行こ、ダンテ!ぜっっったい、いいものあるからっっ!」
「おいおいおい、嘘だろ…」
ディーヴァはダンテの手を引いて、人ごみの中に突撃。
女性は買い物、オシャレとスイーツ、恋バナの好きな生き物だが、ディーヴァもそうだったとは…。
セール品の魅力には、ダンテという悪魔も勝てない。
30分後、すっかり疲弊しきったボロボロなダンテと、お肌がツヤツヤ大満足のディーヴァがいた。
良い買い物ができたようで何より。
疲れ切ったダンテは、ようやく座れたまぁるいカフェ席でぐったり突っ伏しつつ、ディーヴァと仲良くティーブレイク。
コーラを一気に啜るダンテの前で、まだ元気なディーヴァが、目をまん丸にして通り沿いを見つめていた。
ダンテには気にする余裕はない。
「ねぇねぇダンテ、すごいたくさん買い物してる人がいるよ!」
「あー?」
すごいったって、どうせそんな大した量じゃ………。
すげー量だったァーーー!!
ディーヴァの言葉に少し気だるげに後ろを振り向くと、ダンテは目が飛び出そうなほど驚いた。
どうやって持っているのか手に埋もれるほど山高く買い物の箱を重ね、腕にもこれまた大量に買い物袋を下げた人間が歩いていた。
周りもぎょっとした表情をしたのち、そそくさと道を開けるほどだ。
「ね?すごい量だよね~」
「素面でアレ見ていられるお前もすげえよ……って、アイツどっかで見たことある奴だな」
「そういえば、そうかも?」
厳つい体に黒いスキンヘッド、特徴あるサングラスをかけた知り合いは1人しかいない。
相手も気がついたようで荷物はそのままに、こちらへと歩いてきた。
「よぉ。ダンテ、ディーヴァ、こんなところで奇遇だな」
全くそうは見えないが、元天使にして現堕天使、つまりは悪魔という、ゲイツオブヘルのマスター、ロダンだった。