mission 33:devil castle ~悪魔だらけの依頼~
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…なんだこの茶番。
もう寝ちゃおうかな、とピーターが思い始めて、ようやくピーターの話になった。
「それはそうと…」
ダンテの目が、そしてディーヴァの目線もそれを追うように、上に向けられる。
上の回廊にこちらを見下ろすようにしてずらーりと並ぶのは、ジャッカロープの大群。
圧巻だ。
だけども、なんだかかわいいとさえ感じるのは、悪魔とはいえ素体がウサギだからか、それとも彼らには敵対する意思はないからか。
すべてピーターがスタンピングで呼び過ぎたピーターの仲間達だ。
「この大量のジャッカロープ、どうすんだよ」
「うーん、どうしよう?」
もう敵対する悪魔はいないというに、まだ帰らないようだった。
「ウサギの肉って高タンパク低カロリーなんだろ?もはやウサギ鍋にして食べるしか…」
「え!?」
「ぎゅっ!?」
じっとジャッカロープを見つめていたダンテの口からものすごい発言が。
そして、鳴り響くダンテの胃袋。
「冗談だ。ウサギのナリしてても悪魔の肉だ、食うわけないだろ」
冗談に聞こえなかったのは、ジャッカロープ達だけではないだろう。
「とにかく、だ。おいピーター。お前が呼んだんだろ?なんとかしろよ」
このあとどうすればいいのか聞きたいのは、何もダンテだけではない。
たくさんの仲間からの視線に気がついたピーターは、トントンとスタンピングし、他のジャッカロープ達を安全な場所へ帰るよう、指示した。
安全な場所、つまり元々生息していた縄張りの州だ。
それからは早かった。
月で照らされた山が一斉に動いた。
否、山に見えるそれらはすべてジャッカロープ。
山ごと動いているような錯覚を起こし、壮観だった。
皆がいなくなったあとに残るのは、数匹のジャッカロープと、ダンテ、ディーヴァ、そしてピーター。
ディーヴァは気がついた。
数匹のジャッカロープは、ピーターの帰りを待っている近しい仲間だと。
仲間…もしかしたら、恋人か兄弟かもしれない。
わからないが、ピーターを待ち望んでいる。
「ピーター、もし…もし、キミが群れに帰りたいなら…帰ってもいいんだよ?
ううん、帰った方がいいって、そう思うの…」
「きゅ、…」
ピーターは迷っているのだ。
血の契約に縛られてここにいるのかもしれないが、ディーヴァの世話になって愛される喜びを知ったこの場所と。
大切な思い出の溢れる、元いた群れのいる場所。
「ピーターのホントの居場所は仲間のところ。ピーターの家族も、あの中にいるんでしょ?
さみしいけど、あたしとはお別れだよ…」
「きゅうう…」
すんすん、とディーヴァに甘えるように擦り寄るも、それを拒否するディーヴァ。
ピーターを仲間の方へ向かせ、一歩押して進ませる。
仲間の一匹の1番小さなジャッカロープが、ピーターをきゅう、とか細く呼んだ。
ディーヴァと仲間を交互に見ていたが、ピーターはとうとう諦めたようだ、ディーヴァが撫でるのを耳を垂らして甘受しているだけ。
「…今度は、群れからはぐれちゃだめだからね」
「気をつけて帰れよ」
今度はダンテが撫でた。
『ダンテ、も、な』
「お前、喋れたんだな…しかもディーヴァの声かよ」
『ちょっと、だけ』
そうだ、ダンテは、ジャッカロープが人語を話せるのを知らなかったのだ。
最後だからと、人語で会話する2人。
『かがんで』
そして、今一度ディーヴァに向き直り、ディーヴァに顔を近づけるよう指示する。
ダンテは何をするかわかっていたが、最後だからと、黙って好きにさせていた。
ちゅ。
今度はピーターから、ディーヴァに口付けを落とした。
『さ…よ、なら…。ありがと、ディーヴァ』
「うん、さよなら、ピーター。元気でね」
そう言って、ピーターは仲間と共に群れを追って消えた。
藪を越え、草原を越え、その姿は遥か彼方、すぐに見えなくなってしまった。
「……ぐすっ」
「泣くくらいなら群れに帰さなきゃよかっただろ?」
タキシードの端でディーヴァの目元の涙を拭ってやった。
ディーヴァはしばし涙を流していたが、次に見た時はその顔に笑顔を浮かべていた。
「うん、…でもいいの。まだあたしにはダンテがいるもの…」
「そうかよ」
まだ夜中だ。
歩くのに支障はなさそうな月明かりだが、こんなところにずっといても仕方ない。
「そろそろオレ達も着替えて帰るか」
「こんな山奥からどーやって?」
「来る時乗ってきた車、キーがつけっぱなしだったんで拝借する予定。
それとも、ディーヴァは悪魔の巣窟だった城に朝までいるのか?寝る場所ありそうだし、オレは構わんぞ」
「今すぐ帰りますので車出してくださいダンテ様」
「よろしい」
こうなったら仕方ない。
はやく帰りたい思いの方が強いのだから。
ダンテが運転免許証を持っているのか否かは敢えて聞かない。
とにかく麓までダンテに運転していただこう。
「車か…車もいいな!」
「えー。車欲しいとか言わないでね?」
「今は言わねえよ、今はな」
「今は…?」
ダンテの性格に反して、その運転は静かで振動も少なく、山道を走っているというに、そこそこ快適だった。
もしかしたら、助手席に乗るのが大事な人だからと、気をつけているのかもしれない。
運転中、静かになれば、ダンテが思い出すのはバージルの事。
「なあディーヴァ、バージル…アレ生きてたんだよな?
あいつから…幻影剣が刺さった時に感じたのはバージルの魔力だった」
半分うつらうつらしていたディーヴァも、ダンテの独白とも取れる言葉に、意識を覚醒して耳を傾ける。
「やっぱり、生きて…たんだな…」
「うん、そうだね」
よかったね、言葉にはしないが、そんな意味を込めて、ダンテの右手が置かれたサイドブレーキに手のひらをポンと置く。
「…あいつが言った言葉…魔帝ってのが気になる」
「まてい?」
「魔界で1番強いっていう悪魔……お袋の仇だ」
苦虫を噛み潰したように眉間にシワを寄せ、ダンテは考え込む。
バージルも魔帝がお袋の仇なのは知っているはず、なのにそれに従っている…?
「バージル…もしかして奴に操られてるのか…?」
「でもあたしには幻影剣当ててこなかったよ?当てる隙はいくらでもあったのに…。
それって、まだ自我があるってことにならない?」
「さぁな…。あいつが何考えて、何で今更オレを殺そうとしたのか、どうやって魔界から来たのか…何もかもさっぱりわかんねぇ。
……ディーヴァはどう思う?」
「うーん…ダンテがわかんないなら、あたしにもわかんないよ」
謎は深まるばかり。
それでもいつか、魔帝がこちら側に、ダンテに攻めてくるかもしれないというのはわかった。
今は力をつけるしか出来ない。
ディーヴァを守る、そのためだけじゃない、バージルと再び相見えるためにも、魔帝と戦うためにも、強くならなくては。
ダンテは唇を固く結んで誓った。
●あとがき
お別れはしましたが、ピーターは今後もディーヴァのファミリアーです。
つまりどこかでまた活躍する…?
もう寝ちゃおうかな、とピーターが思い始めて、ようやくピーターの話になった。
「それはそうと…」
ダンテの目が、そしてディーヴァの目線もそれを追うように、上に向けられる。
上の回廊にこちらを見下ろすようにしてずらーりと並ぶのは、ジャッカロープの大群。
圧巻だ。
だけども、なんだかかわいいとさえ感じるのは、悪魔とはいえ素体がウサギだからか、それとも彼らには敵対する意思はないからか。
すべてピーターがスタンピングで呼び過ぎたピーターの仲間達だ。
「この大量のジャッカロープ、どうすんだよ」
「うーん、どうしよう?」
もう敵対する悪魔はいないというに、まだ帰らないようだった。
「ウサギの肉って高タンパク低カロリーなんだろ?もはやウサギ鍋にして食べるしか…」
「え!?」
「ぎゅっ!?」
じっとジャッカロープを見つめていたダンテの口からものすごい発言が。
そして、鳴り響くダンテの胃袋。
「冗談だ。ウサギのナリしてても悪魔の肉だ、食うわけないだろ」
冗談に聞こえなかったのは、ジャッカロープ達だけではないだろう。
「とにかく、だ。おいピーター。お前が呼んだんだろ?なんとかしろよ」
このあとどうすればいいのか聞きたいのは、何もダンテだけではない。
たくさんの仲間からの視線に気がついたピーターは、トントンとスタンピングし、他のジャッカロープ達を安全な場所へ帰るよう、指示した。
安全な場所、つまり元々生息していた縄張りの州だ。
それからは早かった。
月で照らされた山が一斉に動いた。
否、山に見えるそれらはすべてジャッカロープ。
山ごと動いているような錯覚を起こし、壮観だった。
皆がいなくなったあとに残るのは、数匹のジャッカロープと、ダンテ、ディーヴァ、そしてピーター。
ディーヴァは気がついた。
数匹のジャッカロープは、ピーターの帰りを待っている近しい仲間だと。
仲間…もしかしたら、恋人か兄弟かもしれない。
わからないが、ピーターを待ち望んでいる。
「ピーター、もし…もし、キミが群れに帰りたいなら…帰ってもいいんだよ?
ううん、帰った方がいいって、そう思うの…」
「きゅ、…」
ピーターは迷っているのだ。
血の契約に縛られてここにいるのかもしれないが、ディーヴァの世話になって愛される喜びを知ったこの場所と。
大切な思い出の溢れる、元いた群れのいる場所。
「ピーターのホントの居場所は仲間のところ。ピーターの家族も、あの中にいるんでしょ?
さみしいけど、あたしとはお別れだよ…」
「きゅうう…」
すんすん、とディーヴァに甘えるように擦り寄るも、それを拒否するディーヴァ。
ピーターを仲間の方へ向かせ、一歩押して進ませる。
仲間の一匹の1番小さなジャッカロープが、ピーターをきゅう、とか細く呼んだ。
ディーヴァと仲間を交互に見ていたが、ピーターはとうとう諦めたようだ、ディーヴァが撫でるのを耳を垂らして甘受しているだけ。
「…今度は、群れからはぐれちゃだめだからね」
「気をつけて帰れよ」
今度はダンテが撫でた。
『ダンテ、も、な』
「お前、喋れたんだな…しかもディーヴァの声かよ」
『ちょっと、だけ』
そうだ、ダンテは、ジャッカロープが人語を話せるのを知らなかったのだ。
最後だからと、人語で会話する2人。
『かがんで』
そして、今一度ディーヴァに向き直り、ディーヴァに顔を近づけるよう指示する。
ダンテは何をするかわかっていたが、最後だからと、黙って好きにさせていた。
ちゅ。
今度はピーターから、ディーヴァに口付けを落とした。
『さ…よ、なら…。ありがと、ディーヴァ』
「うん、さよなら、ピーター。元気でね」
そう言って、ピーターは仲間と共に群れを追って消えた。
藪を越え、草原を越え、その姿は遥か彼方、すぐに見えなくなってしまった。
「……ぐすっ」
「泣くくらいなら群れに帰さなきゃよかっただろ?」
タキシードの端でディーヴァの目元の涙を拭ってやった。
ディーヴァはしばし涙を流していたが、次に見た時はその顔に笑顔を浮かべていた。
「うん、…でもいいの。まだあたしにはダンテがいるもの…」
「そうかよ」
まだ夜中だ。
歩くのに支障はなさそうな月明かりだが、こんなところにずっといても仕方ない。
「そろそろオレ達も着替えて帰るか」
「こんな山奥からどーやって?」
「来る時乗ってきた車、キーがつけっぱなしだったんで拝借する予定。
それとも、ディーヴァは悪魔の巣窟だった城に朝までいるのか?寝る場所ありそうだし、オレは構わんぞ」
「今すぐ帰りますので車出してくださいダンテ様」
「よろしい」
こうなったら仕方ない。
はやく帰りたい思いの方が強いのだから。
ダンテが運転免許証を持っているのか否かは敢えて聞かない。
とにかく麓までダンテに運転していただこう。
「車か…車もいいな!」
「えー。車欲しいとか言わないでね?」
「今は言わねえよ、今はな」
「今は…?」
ダンテの性格に反して、その運転は静かで振動も少なく、山道を走っているというに、そこそこ快適だった。
もしかしたら、助手席に乗るのが大事な人だからと、気をつけているのかもしれない。
運転中、静かになれば、ダンテが思い出すのはバージルの事。
「なあディーヴァ、バージル…アレ生きてたんだよな?
あいつから…幻影剣が刺さった時に感じたのはバージルの魔力だった」
半分うつらうつらしていたディーヴァも、ダンテの独白とも取れる言葉に、意識を覚醒して耳を傾ける。
「やっぱり、生きて…たんだな…」
「うん、そうだね」
よかったね、言葉にはしないが、そんな意味を込めて、ダンテの右手が置かれたサイドブレーキに手のひらをポンと置く。
「…あいつが言った言葉…魔帝ってのが気になる」
「まてい?」
「魔界で1番強いっていう悪魔……お袋の仇だ」
苦虫を噛み潰したように眉間にシワを寄せ、ダンテは考え込む。
バージルも魔帝がお袋の仇なのは知っているはず、なのにそれに従っている…?
「バージル…もしかして奴に操られてるのか…?」
「でもあたしには幻影剣当ててこなかったよ?当てる隙はいくらでもあったのに…。
それって、まだ自我があるってことにならない?」
「さぁな…。あいつが何考えて、何で今更オレを殺そうとしたのか、どうやって魔界から来たのか…何もかもさっぱりわかんねぇ。
……ディーヴァはどう思う?」
「うーん…ダンテがわかんないなら、あたしにもわかんないよ」
謎は深まるばかり。
それでもいつか、魔帝がこちら側に、ダンテに攻めてくるかもしれないというのはわかった。
今は力をつけるしか出来ない。
ディーヴァを守る、そのためだけじゃない、バージルと再び相見えるためにも、魔帝と戦うためにも、強くならなくては。
ダンテは唇を固く結んで誓った。
●あとがき
お別れはしましたが、ピーターは今後もディーヴァのファミリアーです。
つまりどこかでまた活躍する…?