mission 33:devil castle ~悪魔だらけの依頼~
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その時、ディーヴァが台車をガラガラとうるさい音を出して押しながら、息を切らして勢いよく会場に入ってきた。
嬉しくない事に、後方に悪魔の増援を引っさげて。
「ダンテ!」
「ディーヴァっ!!」
ここは今や吐き溜めと言っても過言じゃないような、魔の巣窟。
ディーヴァはそこに現れた、言わば美しい鶴である。
吐き溜めに鶴とはよく言う。
ダンテは周りの悪魔をいないものとばかりにブッ飛ばしながら、ディーヴァの元へ駆け、抱きついた。
愛の力ってスゲー。
「良かった、無事だったか!!」
「ん、だいじょぶ」
たまにディーヴァの気配を確認していたから無事だったのは知っていたが、怪我の有無まではわからない。
その体のどこにも異変はなさそうで、安否確認後に浮かべた笑顔を見て安心する。
ドゴッ!
安心しているところを邪魔する悪魔を、見もせずに片手で殴ってまたブッ飛ばした。
ディーヴァもいつもの事だと、特に動じない。
「マジ良かった…。って、ウサギはどうした?」
「ピーターは、ピーターは…あたしを逃して…きっともう……」
ちゃんと戻ってきて、そう言ったけれども大きな悪魔相手にちっちゃなピーターが勝てるとは思えない。
最悪な事態を想定し、ディーヴァは涙ぐんだ。
ガウンッ!
表情を曇らせて悲しむディーヴァをあやしつつ、再び迫る悪魔を今度は見ないで撃つ。
ついでにディーヴァのためにと、ピーターの行方を探ってやった。
ディーヴァを探すより大変だったが、天使であるディーヴァと普段べったりなためか、その気を身体に馴染ませた小さな悪魔の気配はすぐに見つかった。
「…大丈夫だ、アイツは簡単に殺られるタマじゃない。無事だ」
「ほんと?」
頷いて安心させてやると、ようやくディーヴァは再び笑った。
「よかったぁ…!あ、ダンテ、これ持ってきたの」
「サンキュ、助かるぜ」
一瞬忘れていたが、ディーヴァの隣には押してきた台車があり、その上の段ボール箱にリベリオンが入っていたのだった。
それを重そうに手に取り、ダンテに手渡すディーヴァ。
その様子では段ボール箱に入れるのも一苦労だったろう。
「重かっただろ」
「うん。でも、この重さは命を背負う重みってやつ?だから、重いけど大事な重みに感じたよ」
「違いねぇ」
そこではた、と気がつくディーヴァ。
他の人間を助けるため、戦いやすくするため、自分はリベリオンを持ってきたのだ。
だが、その他の人間は誰も残っていないように見える。
「他の便利屋さん達はもう逃したの?」
「いいや。残念だが、みーんな悪魔だったんだとよ」
「みーんな…。て事は、あたし達って悪魔の策略にまんまと引っかかったってことじゃない…」
「まーな」
やはりディーヴァの嫌な予感は当たってしまった。
しかしこうなった以上、悪魔を倒さねば帰ることはできないだろう。
突然スピーカーからダンスに使われる曲が会場内に流れ込んできた。
不協和音を奏でるように、原曲より少し歪められたそれは、ノスタルジアという名のオーソドックス名のワルツ曲だ。
いきなりのことで不安げな目をダンテに向けるディーヴァ。
何があってもディーヴァはオレが守る。
ぎゅっと唇を結んで、ダンテはディーヴァの腰を強く引き寄せた。
「ダンテ…?」
「なあディーヴァ、オレとダンスしてくれないか?」
「え、この状況で何言って…!」
ダンテがこちらに飛びかかってこようとしている悪魔を見据えて、ディーヴァに懇願する。
だが、今は悠長にダンスをしている場合ではないことくらい、ダンテにだってわかるはずだ。
意味がわからずディーヴァは頭の上にクエスチョンマークを掲げるばかり。
「大丈夫だって。ディーヴァはただ、オレにしっかりつかまっててくれればいい。そしたら上手くリードするさ」
「……怪我するのはごめんだからね」
ダンテには何か考えがあるに違いない。
ダンテはこうと決めたら変わらない人だ…諦めたディーヴァは、ため息と共にそう返した。
比較的緩やかな曲調に合わせ、ディーヴァを抱えてくるくると会場を回るダンテ。
ステップ、ステップ、ターン。
そしてダンスの勢いを利用し、手に取ったリベリオンで悪魔を薙ぎ払う。
「ひゃ!」
ダンテが叩き斬った悪魔の血飛沫が、回るディーヴァの視界の中で、やたら鮮明に見える。
床に落ちる頃には、それらはすべてレッドオーブへと化した。
今度は自然な動きでディーヴァの手を自身の首に回させると、抱いたまま悪魔に向かって銃を乱射した。
なるほど、よくわかってきた。
ディーヴァをその辺に置いておけなかったからこそ、ディーヴァをダンスしながら守りつつ、悪魔を倒そうという寸法だったか。
しかし、耳が痛かった。
「あう、耳がキーンってするぅ…」
「あ、わりわり」
ダンテは慣れているが、ディーヴァは本当の意味での至近距離の発砲音は耳が慣れていない。
ましてやダンテの銃ときたら、通常の銃よりも桁外れに大きく重いため、それに伴って発砲音も大きなものだ。
ディーヴァは耳を抜けて目までチカチカさせるその音を、なんとかやり過ごした。
曲が切り替わった。
先ほどの曲よりテンポの良い、ジェラシーという名のタンゴのための曲だ。
ダンテはくるっと回ってディーヴァと立ち位置を変え、より深くディーヴァの腰を抱いた。
レッドオーブの欠片が空中をキラキラと舞う中、ダンテがディーヴァの手や腰を引いて、時に力強く、時に優しく踊っていく。
それも、優雅に華麗に、悪魔を剣と銃で薙ぎ払いながら。
ダンテの瞳は、悪魔を睨みつける時は鋭く研ぎ澄まされているのに、ディーヴァを見る時は蕩けるような熱を孕んでいる。
なんと情熱的かつドラマチックなダンスだろう…。
いつも見慣れているダンテの顔なのに、思わずぽーっと見とれてしまうほどの端正な顔立ち。
ここが悪魔の巣窟でなく、ホントのダンスフロアだったらどんなにいいか…。
「よし、今度は耳しっかり塞いどけよ」
「うんっ…!」
ディーヴァが落ちないよう、ダンテはディーヴァの細腰をしっかりとホールド。
そのままの持ちにくい姿勢だったが、右手左手にエボニー&アイボリーを構える。
耳を塞ぐどころか、目までぎゅっと瞑ったディーヴァを満足そうに確認し、ダンテによる悪魔処刑は開始された。
嬉しくない事に、後方に悪魔の増援を引っさげて。
「ダンテ!」
「ディーヴァっ!!」
ここは今や吐き溜めと言っても過言じゃないような、魔の巣窟。
ディーヴァはそこに現れた、言わば美しい鶴である。
吐き溜めに鶴とはよく言う。
ダンテは周りの悪魔をいないものとばかりにブッ飛ばしながら、ディーヴァの元へ駆け、抱きついた。
愛の力ってスゲー。
「良かった、無事だったか!!」
「ん、だいじょぶ」
たまにディーヴァの気配を確認していたから無事だったのは知っていたが、怪我の有無まではわからない。
その体のどこにも異変はなさそうで、安否確認後に浮かべた笑顔を見て安心する。
ドゴッ!
安心しているところを邪魔する悪魔を、見もせずに片手で殴ってまたブッ飛ばした。
ディーヴァもいつもの事だと、特に動じない。
「マジ良かった…。って、ウサギはどうした?」
「ピーターは、ピーターは…あたしを逃して…きっともう……」
ちゃんと戻ってきて、そう言ったけれども大きな悪魔相手にちっちゃなピーターが勝てるとは思えない。
最悪な事態を想定し、ディーヴァは涙ぐんだ。
ガウンッ!
表情を曇らせて悲しむディーヴァをあやしつつ、再び迫る悪魔を今度は見ないで撃つ。
ついでにディーヴァのためにと、ピーターの行方を探ってやった。
ディーヴァを探すより大変だったが、天使であるディーヴァと普段べったりなためか、その気を身体に馴染ませた小さな悪魔の気配はすぐに見つかった。
「…大丈夫だ、アイツは簡単に殺られるタマじゃない。無事だ」
「ほんと?」
頷いて安心させてやると、ようやくディーヴァは再び笑った。
「よかったぁ…!あ、ダンテ、これ持ってきたの」
「サンキュ、助かるぜ」
一瞬忘れていたが、ディーヴァの隣には押してきた台車があり、その上の段ボール箱にリベリオンが入っていたのだった。
それを重そうに手に取り、ダンテに手渡すディーヴァ。
その様子では段ボール箱に入れるのも一苦労だったろう。
「重かっただろ」
「うん。でも、この重さは命を背負う重みってやつ?だから、重いけど大事な重みに感じたよ」
「違いねぇ」
そこではた、と気がつくディーヴァ。
他の人間を助けるため、戦いやすくするため、自分はリベリオンを持ってきたのだ。
だが、その他の人間は誰も残っていないように見える。
「他の便利屋さん達はもう逃したの?」
「いいや。残念だが、みーんな悪魔だったんだとよ」
「みーんな…。て事は、あたし達って悪魔の策略にまんまと引っかかったってことじゃない…」
「まーな」
やはりディーヴァの嫌な予感は当たってしまった。
しかしこうなった以上、悪魔を倒さねば帰ることはできないだろう。
突然スピーカーからダンスに使われる曲が会場内に流れ込んできた。
不協和音を奏でるように、原曲より少し歪められたそれは、ノスタルジアという名のオーソドックス名のワルツ曲だ。
いきなりのことで不安げな目をダンテに向けるディーヴァ。
何があってもディーヴァはオレが守る。
ぎゅっと唇を結んで、ダンテはディーヴァの腰を強く引き寄せた。
「ダンテ…?」
「なあディーヴァ、オレとダンスしてくれないか?」
「え、この状況で何言って…!」
ダンテがこちらに飛びかかってこようとしている悪魔を見据えて、ディーヴァに懇願する。
だが、今は悠長にダンスをしている場合ではないことくらい、ダンテにだってわかるはずだ。
意味がわからずディーヴァは頭の上にクエスチョンマークを掲げるばかり。
「大丈夫だって。ディーヴァはただ、オレにしっかりつかまっててくれればいい。そしたら上手くリードするさ」
「……怪我するのはごめんだからね」
ダンテには何か考えがあるに違いない。
ダンテはこうと決めたら変わらない人だ…諦めたディーヴァは、ため息と共にそう返した。
比較的緩やかな曲調に合わせ、ディーヴァを抱えてくるくると会場を回るダンテ。
ステップ、ステップ、ターン。
そしてダンスの勢いを利用し、手に取ったリベリオンで悪魔を薙ぎ払う。
「ひゃ!」
ダンテが叩き斬った悪魔の血飛沫が、回るディーヴァの視界の中で、やたら鮮明に見える。
床に落ちる頃には、それらはすべてレッドオーブへと化した。
今度は自然な動きでディーヴァの手を自身の首に回させると、抱いたまま悪魔に向かって銃を乱射した。
なるほど、よくわかってきた。
ディーヴァをその辺に置いておけなかったからこそ、ディーヴァをダンスしながら守りつつ、悪魔を倒そうという寸法だったか。
しかし、耳が痛かった。
「あう、耳がキーンってするぅ…」
「あ、わりわり」
ダンテは慣れているが、ディーヴァは本当の意味での至近距離の発砲音は耳が慣れていない。
ましてやダンテの銃ときたら、通常の銃よりも桁外れに大きく重いため、それに伴って発砲音も大きなものだ。
ディーヴァは耳を抜けて目までチカチカさせるその音を、なんとかやり過ごした。
曲が切り替わった。
先ほどの曲よりテンポの良い、ジェラシーという名のタンゴのための曲だ。
ダンテはくるっと回ってディーヴァと立ち位置を変え、より深くディーヴァの腰を抱いた。
レッドオーブの欠片が空中をキラキラと舞う中、ダンテがディーヴァの手や腰を引いて、時に力強く、時に優しく踊っていく。
それも、優雅に華麗に、悪魔を剣と銃で薙ぎ払いながら。
ダンテの瞳は、悪魔を睨みつける時は鋭く研ぎ澄まされているのに、ディーヴァを見る時は蕩けるような熱を孕んでいる。
なんと情熱的かつドラマチックなダンスだろう…。
いつも見慣れているダンテの顔なのに、思わずぽーっと見とれてしまうほどの端正な顔立ち。
ここが悪魔の巣窟でなく、ホントのダンスフロアだったらどんなにいいか…。
「よし、今度は耳しっかり塞いどけよ」
「うんっ…!」
ディーヴァが落ちないよう、ダンテはディーヴァの細腰をしっかりとホールド。
そのままの持ちにくい姿勢だったが、右手左手にエボニー&アイボリーを構える。
耳を塞ぐどころか、目までぎゅっと瞑ったディーヴァを満足そうに確認し、ダンテによる悪魔処刑は開始された。