mission 33:devil castle ~悪魔だらけの依頼~
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ディーヴァが廊下の先に消えていったのをちらと確認すると、後方へ向き直る。
禍々しい悪魔の気配がずんずん近づいてくる毎に、ピーターの小さな鼓動は恐怖で早まっていく。
『悪魔さん、こちら。てのなる、ほうへ』
手じゃなくて脚だけど。
スタンピングみたいな足踏みだけど。
口ではディーヴァの声を真似て、脚ではトントントンと床を鳴らす。
そして声真似は続けながら、文字どおり脱兎の如く、近場の部屋へと潜り込む。
物音や声を出すことで、悪魔をおびき寄せて欺く作戦だ。
『グルルゥ…そっちか……』
進んでいた悪魔が立ち止まり、そしてピーターのいる場所まで近づいてくる気配。
今ピーターがいるのは、高くそびえ立つ家具の上の小さな隙間。
開け放されたこの部屋内に入り、キョロキョロとディーヴァの姿を巨体を揺さぶりながら探す悪魔が、ピーターの足の下でよく見えた。
しかしずっと隠れてばかりはいられない。
なぜなら、相手は犬の顔も持つ悪魔、ということは即ち、嗅覚もそこそこ優れているということ。
その内、匂いで本物のディーヴァの場所を追い始めてしまうだろう。
隠れるのも潮時…か。
「きゅきゅーい!」
『ぐおっ!?』
鳴き声と共に飛び降りたピーター渾身の踵落としが、悪魔の脳天に炸裂した。
先ほど受けた攻撃ほどのダメージはないが、怯んだようだ。
『ようもやりおったな!貴様はあの天使と共にいたウサギの魔性…よろしい、貴様など一口に食ろうてやるわ!!』
怖くないかと聞かれれば、その体格差だけでも怖いに決まっている。
怖い…けど、こちらとて弱くとも悪魔、これ以上怖がったり、逃げたりなんてするもんか。
『窮鼠猫を噛む』などとよく言うじゃないか。
…とはいえ、相手は体は虎だが猫ではないし、自分は鼠ではなくウサギだけれど。
自分の体毛の許す限界まで毛を逆立て、ピーターは悪魔と相対した。
***
ダンテがいるであろう会場の方から悪魔の咆哮が響いている。
咆哮に混ざって、時折聞き覚えある重い銃声も聞こえるという事は、ダンテが応戦中に他ならない。
ダンテの銃はやたら重くて撃てばやたらうるさい。
「あ…。もしかしたら、」
早くダンテの元へ、と急いでいたディーヴァが一つ気がついたこと。
あの会場にはたくさんの人間がいた。
とすれば、だ。
悪魔の奇襲を受けた会場には、便利屋とはいえ普通の人間が逃げ遅れているかもしれない。
ダンテはダンテで、そんな人間を逃しつつ、間を縫って悪魔だけを倒すなんて、上手く出来ないだろう。
ディーヴァは会場の人間がすべて、悪魔だったことは知らないのだ。
そう思っても仕方がなかった。
…ならば遠距離で使う銃より、近距離で使う武器の方が都合がいいはず。
確かダンテの剣、リベリオンは会場には邪魔になると、ドレスやタキシードに着替えた部屋に置いてきてある。
アレをダンテに届けよう、うん、そうしよう。
そこまで咄嗟に考えつくディーヴァは、悪魔退治について慣性と耐性がついてきたと思う。
そんな事を指摘したらきっとそんな野蛮じゃない、心外だと怒りそうだが。
「やっ…!こっちにも悪魔…!?」
右に折れる場所のあるT字路まできた。
今のところからまっすぐ行って突き当たりが着替えた部屋なのだが、右の奥に悪魔が1匹潜んでいる。
奥はほんとに奥、ディーヴァまでは少し遠い上、なんだか自分で自分の尻尾を噛もうとしてる…?ように見える。
これは例によって犬の頭と蛇の尾が喧嘩をしているだけなのだが、それはディーヴァにはわからずじまい。
とにかく今の内に行ってしまおう、通りを横切るのは一瞬なのだから。
「う、重い…」
部屋に入ってすぐ、見つけたリベリオン。
ダンテの分のロッカールームの鍵をも、自分が預かっていてよかったと心底思った。
しかし、わかっていたがかなり重い。
上手くやったとして、手で引き摺ってもっていくしか、ディーヴァには持ってゆく方法がなさそうだ。
「んぎぎぎぃ~!」
否、それも厳しく、腰も痛くなりそうだ。
それもそうか、今のディーヴァの足元は高めのヒールがついたパンプスで、焦っているのかそのことに気づいていない。
とにかく、重い荷物を持つのには適していない。
「はぁ、これ絶対持ってく途中で悪魔に見つかるよねぇ……んん?」
はてさて、困った…と周りを見回すディーヴァの目に入ってきたもの。
それはドレスやタキシードの詰まった段ボール箱をこの部屋に運び込む時に使ったであろう、コロコロガラガラと押すタイプの台車である。
「これならなんとかイケる、かも?」
ただし音が出るのが玉に瑕。
手で運べない以上は仕方ないのだが、悪魔には確実に見つかる。
***
ダンテの言葉に一斉に飛びかかってくる大量の悪魔。
すぐ横や上をスレスレで通り過ぎる爪や牙、蛇の尾の噛みつき攻撃。
どれもこれもを紙一重でかわしながら、ダンテは連射を続ける。
いっぺんに来た悪魔には、周囲にぐるりと放つレインストームの嵐を。
間に合わずに懐へと飛び込んできた悪魔には、銃弾でなく直接の拳をぶつける。
正に乱闘騒ぎ。
「次から次に来やがって、お前らそんなにオレが好きって?
なら、お前らには、魔力を込めた銃弾のプレゼントだ。ありがたく受け取りな!」
一方を連射してる間に、一度引っ込めて限界まで溜め込んだ魔力を、悪魔に向けて解放する。
その瞬間、ダンテの姿が一瞬魔人化した程の衝撃。
ただの連射で倒れなかった悪魔も、この直撃には耐えきれずに消滅する他ない。
「…ふん、オレが愛を与えてやれるのはディーヴァだけだ」
硝煙の燻る銃口をそのままに、ダンテは呟き笑みを浮かべた。
それにしても、この間相手にした合成獣ばかりだ。
ばかり、とはいえ、その力は前より強く、言葉を発することが出来るほどに進化している。
今思えば、あの依頼はダンテの力を試し、悪魔の力を更に強力なものとするための実験だったのかもしれない。
なんにせよまだまだ悪魔はいる。
さっさと倒してディーヴァを迎えに行かなければ。
禍々しい悪魔の気配がずんずん近づいてくる毎に、ピーターの小さな鼓動は恐怖で早まっていく。
『悪魔さん、こちら。てのなる、ほうへ』
手じゃなくて脚だけど。
スタンピングみたいな足踏みだけど。
口ではディーヴァの声を真似て、脚ではトントントンと床を鳴らす。
そして声真似は続けながら、文字どおり脱兎の如く、近場の部屋へと潜り込む。
物音や声を出すことで、悪魔をおびき寄せて欺く作戦だ。
『グルルゥ…そっちか……』
進んでいた悪魔が立ち止まり、そしてピーターのいる場所まで近づいてくる気配。
今ピーターがいるのは、高くそびえ立つ家具の上の小さな隙間。
開け放されたこの部屋内に入り、キョロキョロとディーヴァの姿を巨体を揺さぶりながら探す悪魔が、ピーターの足の下でよく見えた。
しかしずっと隠れてばかりはいられない。
なぜなら、相手は犬の顔も持つ悪魔、ということは即ち、嗅覚もそこそこ優れているということ。
その内、匂いで本物のディーヴァの場所を追い始めてしまうだろう。
隠れるのも潮時…か。
「きゅきゅーい!」
『ぐおっ!?』
鳴き声と共に飛び降りたピーター渾身の踵落としが、悪魔の脳天に炸裂した。
先ほど受けた攻撃ほどのダメージはないが、怯んだようだ。
『ようもやりおったな!貴様はあの天使と共にいたウサギの魔性…よろしい、貴様など一口に食ろうてやるわ!!』
怖くないかと聞かれれば、その体格差だけでも怖いに決まっている。
怖い…けど、こちらとて弱くとも悪魔、これ以上怖がったり、逃げたりなんてするもんか。
『窮鼠猫を噛む』などとよく言うじゃないか。
…とはいえ、相手は体は虎だが猫ではないし、自分は鼠ではなくウサギだけれど。
自分の体毛の許す限界まで毛を逆立て、ピーターは悪魔と相対した。
***
ダンテがいるであろう会場の方から悪魔の咆哮が響いている。
咆哮に混ざって、時折聞き覚えある重い銃声も聞こえるという事は、ダンテが応戦中に他ならない。
ダンテの銃はやたら重くて撃てばやたらうるさい。
「あ…。もしかしたら、」
早くダンテの元へ、と急いでいたディーヴァが一つ気がついたこと。
あの会場にはたくさんの人間がいた。
とすれば、だ。
悪魔の奇襲を受けた会場には、便利屋とはいえ普通の人間が逃げ遅れているかもしれない。
ダンテはダンテで、そんな人間を逃しつつ、間を縫って悪魔だけを倒すなんて、上手く出来ないだろう。
ディーヴァは会場の人間がすべて、悪魔だったことは知らないのだ。
そう思っても仕方がなかった。
…ならば遠距離で使う銃より、近距離で使う武器の方が都合がいいはず。
確かダンテの剣、リベリオンは会場には邪魔になると、ドレスやタキシードに着替えた部屋に置いてきてある。
アレをダンテに届けよう、うん、そうしよう。
そこまで咄嗟に考えつくディーヴァは、悪魔退治について慣性と耐性がついてきたと思う。
そんな事を指摘したらきっとそんな野蛮じゃない、心外だと怒りそうだが。
「やっ…!こっちにも悪魔…!?」
右に折れる場所のあるT字路まできた。
今のところからまっすぐ行って突き当たりが着替えた部屋なのだが、右の奥に悪魔が1匹潜んでいる。
奥はほんとに奥、ディーヴァまでは少し遠い上、なんだか自分で自分の尻尾を噛もうとしてる…?ように見える。
これは例によって犬の頭と蛇の尾が喧嘩をしているだけなのだが、それはディーヴァにはわからずじまい。
とにかく今の内に行ってしまおう、通りを横切るのは一瞬なのだから。
「う、重い…」
部屋に入ってすぐ、見つけたリベリオン。
ダンテの分のロッカールームの鍵をも、自分が預かっていてよかったと心底思った。
しかし、わかっていたがかなり重い。
上手くやったとして、手で引き摺ってもっていくしか、ディーヴァには持ってゆく方法がなさそうだ。
「んぎぎぎぃ~!」
否、それも厳しく、腰も痛くなりそうだ。
それもそうか、今のディーヴァの足元は高めのヒールがついたパンプスで、焦っているのかそのことに気づいていない。
とにかく、重い荷物を持つのには適していない。
「はぁ、これ絶対持ってく途中で悪魔に見つかるよねぇ……んん?」
はてさて、困った…と周りを見回すディーヴァの目に入ってきたもの。
それはドレスやタキシードの詰まった段ボール箱をこの部屋に運び込む時に使ったであろう、コロコロガラガラと押すタイプの台車である。
「これならなんとかイケる、かも?」
ただし音が出るのが玉に瑕。
手で運べない以上は仕方ないのだが、悪魔には確実に見つかる。
***
ダンテの言葉に一斉に飛びかかってくる大量の悪魔。
すぐ横や上をスレスレで通り過ぎる爪や牙、蛇の尾の噛みつき攻撃。
どれもこれもを紙一重でかわしながら、ダンテは連射を続ける。
いっぺんに来た悪魔には、周囲にぐるりと放つレインストームの嵐を。
間に合わずに懐へと飛び込んできた悪魔には、銃弾でなく直接の拳をぶつける。
正に乱闘騒ぎ。
「次から次に来やがって、お前らそんなにオレが好きって?
なら、お前らには、魔力を込めた銃弾のプレゼントだ。ありがたく受け取りな!」
一方を連射してる間に、一度引っ込めて限界まで溜め込んだ魔力を、悪魔に向けて解放する。
その瞬間、ダンテの姿が一瞬魔人化した程の衝撃。
ただの連射で倒れなかった悪魔も、この直撃には耐えきれずに消滅する他ない。
「…ふん、オレが愛を与えてやれるのはディーヴァだけだ」
硝煙の燻る銃口をそのままに、ダンテは呟き笑みを浮かべた。
それにしても、この間相手にした合成獣ばかりだ。
ばかり、とはいえ、その力は前より強く、言葉を発することが出来るほどに進化している。
今思えば、あの依頼はダンテの力を試し、悪魔の力を更に強力なものとするための実験だったのかもしれない。
なんにせよまだまだ悪魔はいる。
さっさと倒してディーヴァを迎えに行かなければ。