mission 33:devil castle ~悪魔だらけの依頼~
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「このっ!三月ウサギが!」
「きゅっ!きゅきゅきゅー!!」
ダンテとピーターが今日も今日とて喧嘩している。
電光石火の体当たり、唸る拳、風切る後ろ脚、繰り出される鋭い牙…衝突する激しい技と技。
お互い悪魔ということでおいそれとは怪我はせず。
それと周りに被害がなければいいだろうと、好き勝手に勝負を繰り広げていた。
この通り最近はとても賑やか。
だけれどもディーヴァがどちらの味方をするのかといえば、いつだってピーター。
ダンテは悲しくそして寂しい思いをしている。
それと時を同じくして、不平不満と嫉妬が織り交ぜられた感情も少しずつたまり始めていたが、ダンテは増えた依頼でその鬱憤を晴らしていた。
増えた依頼はそのほとんどが悪魔関連のもの。
ダンテは仕事を選り好みするクセがある。
昔から悪魔が関わりそうな依頼ばかりをやたら受けたがるのだ。
依頼がなくば商売上がったりなもので、そういった依頼ばかり受ける彼にとって、悪魔関連の依頼が増えるのは喜ばしいこと。
ディーヴァにしてみればあまり嬉しいことではない…か。
依頼が多くなるであろう事は、ロダンから聞いてある程度は知っていた。
もちろん普通の便利屋たる依頼も今まで通り来るが、現在来ている依頼の多くは悪魔の関連するもの。
人間界に多くの悪魔が溢れ出しているというのは、悪い予感しかしない。
今の魔界の状態が気になるところだ。
それについてはダンテも小難しく考え込むことではあるが、ディーヴァとて同じ。
ダンテとピーターの声をBGMに人間界、魔界、双方についてを考えてみる。
考えたって何も答えは出ないのだが。
ディーヴァの視界の端でピーターがダンテにぶん投げられたのが見えた。
そりゃそうか、体の大きさや力云々考えればどう見たってダンテの方が強い。
「本気出して何やってるのダンテ」
「悪い。でもこうでもしないと終わらねぇし」
「だからって……あ、」
投げられた先にかかっていたのはダンテの一張羅。
真っ赤なそれの端っこを、ピーターが腹いせにかじかじしていた。
「うおお、オレのトレードマークゥ!!」
「うわぁ、汚い!ぺっしなさい!ぺっ!」
大慌てで引っぺがすダンテと、ピーターを抱きかかえてコートから離すディーヴァ。
コートはなんとか無事だったからいいものの、ディーヴァの言っていた話に気になる言葉があった。
「汚いってそいつのせいでコートが汚れるから、だよな…?」
「違うわよ。ダンテのコートは汚いでしょ。そんなのかじったらピーターが病気になっちゃう」
「ひどっ!」
なーんて。
コートについたホコリや汚れはいつだってディーヴァが綺麗にしているし、ダンテの匂いがほのかに香るのが大好きでたまに抱きしめたりしちゃってるんだけど、ね。
「だいたい、ダンテの三月ウサギ呼びもひどいんじゃない?」
イギリスにある諺で『三月のウサギは狂っている』というのがある。
ダンテがどうしてそんな言葉を知っていたのかは定かではないが、ウサギにとって自尊心を傷つける言葉であることに変わりない。
とはいってもウサギは大抵が年がら年中発情期、三月に限ったことではない。
しいて言うなら三月は発情期の始まりだから気が特に狂っている…と言いたいのだろう。
「ディーヴァに尻尾フリフリ、ついでに腰もフリフリしてそうな奴だ。
そんなやつ三月ウサギでじゅうぶんだろ」
「ソデスカ」
腰振ってるのはピーターじゃなくてダンテじゃない。
そんな少し下世話な事を言いたいが言ったが最後、その言葉通り仲良く寝室で腰振りダンスをする羽目になる。
言わなかったディーヴァ賢い。
「まあいいや。あたしちょっと裏の家庭菜園行ってくるね」
「オレも行こう」
「いいよ、すぐ終わるから待ってて」
「わかったよ。ただ、ちゃんと水分取ったか?まだ暑いから熱中症に注意しろよ?」
「わかってますとも」
ディーヴァだってもう大人、だというのに愛しい悪魔様はいつだって心配性だ。
「あと帽子もかぶること!それから…」
そこでダンテの声を遮るように鳴り響く電話の音。
「ほら、ダンテ電話」
「…へーい」
ダンテが電話の応対をしている隙にディーヴァは事務所裏手の家庭菜園へピーターも連れて向かった。
ちなみに帽子はちゃんとかぶっているし首元にはタオルもかけている。
いまいち畑仕事には向かなさそうな大ぶりのストローハットは、ダンテが似合うと言って買ってくれたリゾート向きの代物。
ハットバンド部分に白いサテンと大小の向日葵、そんな素敵な帽子をかぶりトマトやきゅうり、茄子など夏野菜の畑にぴょこんと顔を出した雑草を引き抜いていく。
ついでに鈴なりになったミニトマトなど穫れるものはどんどん収穫してしまおう。
「ピーター、これがトマトこれがきゅうり、茄子。
きゅうりは全体に、茄子にはヘタには棘があるから気をつけないとなんだよ」
「きゅ?」
「っていっても、収穫するのはあたしかダンテしかいないよねぇ」
ぷちりともいだミニトマトを軽く首元のタオルで拭き、ぽこんと口の中へ。
うん、今年もよくできている。
水を限界まで遣らないようにしたせいか皮も薄く水分たっぷり、糖度も高く美味しい。
「うさぎってトマト食べても平気かな」
ウサギとはいえ、悪魔だし大丈夫だろうと、ピーターの口元へミニトマトを差し出す。
スンスンと青臭い独特の香りを嗅いでからピーターは食べ、美味しかったようで嬉しそうにまた欲しいと鳴いた。
続けざまに収穫するのは、夏だと高冷地にばかり収穫できるはずのキャベツ。
大きく成長したそれのなり下である芯に包丁を当て、もう片手で横から添える。
…むにょん。
「んむ?」
何か柔らかな物が指に触れ、そして這う感覚。
うわぁ、なんか嫌な予感。
指に何がついたか確認すれば、小さく緑色でふっくら細長い、昔懐かしい子供番組のニャッキによく似た奴が張り付き、這っていた。
…ディーヴァの指に。
「ぴ…っ、ぴゃーーーーーっ!!」
ゾワリ、足元から頭のてっぺんまで全身に鳥肌が立ったと同じ、ディーヴァの口からでる大音量の叫び。
その大きさに傍についていたピーターがビクッとなった。
「きゅっ!きゅきゅきゅー!!」
ダンテとピーターが今日も今日とて喧嘩している。
電光石火の体当たり、唸る拳、風切る後ろ脚、繰り出される鋭い牙…衝突する激しい技と技。
お互い悪魔ということでおいそれとは怪我はせず。
それと周りに被害がなければいいだろうと、好き勝手に勝負を繰り広げていた。
この通り最近はとても賑やか。
だけれどもディーヴァがどちらの味方をするのかといえば、いつだってピーター。
ダンテは悲しくそして寂しい思いをしている。
それと時を同じくして、不平不満と嫉妬が織り交ぜられた感情も少しずつたまり始めていたが、ダンテは増えた依頼でその鬱憤を晴らしていた。
増えた依頼はそのほとんどが悪魔関連のもの。
ダンテは仕事を選り好みするクセがある。
昔から悪魔が関わりそうな依頼ばかりをやたら受けたがるのだ。
依頼がなくば商売上がったりなもので、そういった依頼ばかり受ける彼にとって、悪魔関連の依頼が増えるのは喜ばしいこと。
ディーヴァにしてみればあまり嬉しいことではない…か。
依頼が多くなるであろう事は、ロダンから聞いてある程度は知っていた。
もちろん普通の便利屋たる依頼も今まで通り来るが、現在来ている依頼の多くは悪魔の関連するもの。
人間界に多くの悪魔が溢れ出しているというのは、悪い予感しかしない。
今の魔界の状態が気になるところだ。
それについてはダンテも小難しく考え込むことではあるが、ディーヴァとて同じ。
ダンテとピーターの声をBGMに人間界、魔界、双方についてを考えてみる。
考えたって何も答えは出ないのだが。
ディーヴァの視界の端でピーターがダンテにぶん投げられたのが見えた。
そりゃそうか、体の大きさや力云々考えればどう見たってダンテの方が強い。
「本気出して何やってるのダンテ」
「悪い。でもこうでもしないと終わらねぇし」
「だからって……あ、」
投げられた先にかかっていたのはダンテの一張羅。
真っ赤なそれの端っこを、ピーターが腹いせにかじかじしていた。
「うおお、オレのトレードマークゥ!!」
「うわぁ、汚い!ぺっしなさい!ぺっ!」
大慌てで引っぺがすダンテと、ピーターを抱きかかえてコートから離すディーヴァ。
コートはなんとか無事だったからいいものの、ディーヴァの言っていた話に気になる言葉があった。
「汚いってそいつのせいでコートが汚れるから、だよな…?」
「違うわよ。ダンテのコートは汚いでしょ。そんなのかじったらピーターが病気になっちゃう」
「ひどっ!」
なーんて。
コートについたホコリや汚れはいつだってディーヴァが綺麗にしているし、ダンテの匂いがほのかに香るのが大好きでたまに抱きしめたりしちゃってるんだけど、ね。
「だいたい、ダンテの三月ウサギ呼びもひどいんじゃない?」
イギリスにある諺で『三月のウサギは狂っている』というのがある。
ダンテがどうしてそんな言葉を知っていたのかは定かではないが、ウサギにとって自尊心を傷つける言葉であることに変わりない。
とはいってもウサギは大抵が年がら年中発情期、三月に限ったことではない。
しいて言うなら三月は発情期の始まりだから気が特に狂っている…と言いたいのだろう。
「ディーヴァに尻尾フリフリ、ついでに腰もフリフリしてそうな奴だ。
そんなやつ三月ウサギでじゅうぶんだろ」
「ソデスカ」
腰振ってるのはピーターじゃなくてダンテじゃない。
そんな少し下世話な事を言いたいが言ったが最後、その言葉通り仲良く寝室で腰振りダンスをする羽目になる。
言わなかったディーヴァ賢い。
「まあいいや。あたしちょっと裏の家庭菜園行ってくるね」
「オレも行こう」
「いいよ、すぐ終わるから待ってて」
「わかったよ。ただ、ちゃんと水分取ったか?まだ暑いから熱中症に注意しろよ?」
「わかってますとも」
ディーヴァだってもう大人、だというのに愛しい悪魔様はいつだって心配性だ。
「あと帽子もかぶること!それから…」
そこでダンテの声を遮るように鳴り響く電話の音。
「ほら、ダンテ電話」
「…へーい」
ダンテが電話の応対をしている隙にディーヴァは事務所裏手の家庭菜園へピーターも連れて向かった。
ちなみに帽子はちゃんとかぶっているし首元にはタオルもかけている。
いまいち畑仕事には向かなさそうな大ぶりのストローハットは、ダンテが似合うと言って買ってくれたリゾート向きの代物。
ハットバンド部分に白いサテンと大小の向日葵、そんな素敵な帽子をかぶりトマトやきゅうり、茄子など夏野菜の畑にぴょこんと顔を出した雑草を引き抜いていく。
ついでに鈴なりになったミニトマトなど穫れるものはどんどん収穫してしまおう。
「ピーター、これがトマトこれがきゅうり、茄子。
きゅうりは全体に、茄子にはヘタには棘があるから気をつけないとなんだよ」
「きゅ?」
「っていっても、収穫するのはあたしかダンテしかいないよねぇ」
ぷちりともいだミニトマトを軽く首元のタオルで拭き、ぽこんと口の中へ。
うん、今年もよくできている。
水を限界まで遣らないようにしたせいか皮も薄く水分たっぷり、糖度も高く美味しい。
「うさぎってトマト食べても平気かな」
ウサギとはいえ、悪魔だし大丈夫だろうと、ピーターの口元へミニトマトを差し出す。
スンスンと青臭い独特の香りを嗅いでからピーターは食べ、美味しかったようで嬉しそうにまた欲しいと鳴いた。
続けざまに収穫するのは、夏だと高冷地にばかり収穫できるはずのキャベツ。
大きく成長したそれのなり下である芯に包丁を当て、もう片手で横から添える。
…むにょん。
「んむ?」
何か柔らかな物が指に触れ、そして這う感覚。
うわぁ、なんか嫌な予感。
指に何がついたか確認すれば、小さく緑色でふっくら細長い、昔懐かしい子供番組のニャッキによく似た奴が張り付き、這っていた。
…ディーヴァの指に。
「ぴ…っ、ぴゃーーーーーっ!!」
ゾワリ、足元から頭のてっぺんまで全身に鳥肌が立ったと同じ、ディーヴァの口からでる大音量の叫び。
その大きさに傍についていたピーターがビクッとなった。