mission 32:Jackalope ~天使の飼う悪魔~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それはもう、ひどい喧嘩をした。
ただし、相手は悪魔といえど、ただの喧嘩であって通常の悪魔退治のような殺し合いではない。
そもそもダンテが本気を出していたとしたら、ピーターはすぐに死ぬ事になっていただろう。
それは動物同士の喧嘩のようでいて、見方によっては台風一過のそのあとのようでもあった。
実際、部屋の中の現状はすさまじくちらかっている状態。
ディーヴァの私物や大きな家具が壊れなかったのが唯一の救いかもしれない。
拳を交えれば交えただけお互いの事が理解できる…とはよく言ったもので、お昼過ぎにはお互いをほんの少しだけ認めあうまでになっていた。
本当に、ほんのすこーしだったが。
「お前、イケる口なんだろ?」
そしてピーターの真向かいに胡座をかいて座り込んだダンテがドン!と床に置いたもの。
それは昨日の夜にディーヴァと家飲みしていたバーボンウイスキーだ。
「高い酒だが、残しといてもどうせそうそうディーヴァと飲めるもんじゃない。
1人で飲んでもつまらないからな。お前にわけてやるよ」
そう言って自分用のグラスと、ピーターが飲みやすいように液体が入る平皿を用意するダンテ。
トクトクトク、注いだ先からはバーボン独特の甘くほろ苦い芳醇な薫りが漂う。
まさかダンテがくれるとはピーターも思わなかったようで、つぶらな瞳が驚きにまんまるく大きく見開かれている。
ウサギ特有のY字形の鼻も、ヒクヒクヒクヒク…と動きが早く、匂いを嗅ぎまくっているよう。
「ほら、乾杯」
ずい、と差し出された皿を見てもまだ疑っているピーターは、一歩も踏み出さない。
「なんだよ、昨日飲んでたんだからわかるだろ?聖水なんか入ってねぇっての」
聖水はストリキーネやバトラコトキシンなんかよりも悪魔にとってとてつもなく恐ろしい効果を発揮する物質。
弱い悪魔など触れるだけで消滅してしまう。
ピーターはダンテが自分に聖水を飲ませ、亡き者にしようとしているのではないかと不安なのだ。
「見てろ。
……かーっ!美味いっ!ほれみろ、オレが飲んでもなんともないだろうが」
ダンテが手酌で入れた自分のグラスを大きく呷ってみせる。
ゴク、ゴク…喉を過ぎた液体がダンテの体内に染み渡っていくも、その身体にはなんの変化もない。
これが聖水だったとしたら悪魔にとって即効性の毒のことだ、少量でもダンテは苦しんでいたはず。
ダンテの様子を見てピーターはようやくこれがバーボンだと確信した。
そこからはもう行動が早い。
飛びついて平皿の前に陣取り、顔を埋めるようにして注がれた酒をガブ飲み。
「はははっ!昨日も思ったがいい飲みっぷりだ。ホントそのすげぇ飲みっぷりだけは認めるに値するぜ」
まぁるい瞳に映り込む琥珀色の液体が嬉しそうに揺れているのを見て、ダンテは自分の酒をあおりながら笑う。
悪魔とはいえウサギと一対一で向き合う事になるのは初めてで。しかもその悪魔がぴちゃぴちゃ音を立てて一心不乱に飲んでいるは酒である。
まさか悪魔と酒を酌み交わすことになろうとは、思いもしなかった。
「もうちょいくれてやるよ」
自身も体に酒が入ってほろ酔いのいい気分なのか、ダンテもいつもより太っ腹。
空になったピーターの皿に、2杯目の酒を注ぎ足している。
そのダンテの様子をじっと見つめながら、ピーターは思うのだ。
ダンテの方も少し認めてくれたことだし、ちょっとくらいは認めるの先、信頼しても大丈夫かな、と。
少しだけダンテのそばへ寄り、ピーターは貰ったバーボンを飲み続けた。
台風一過の惨状の中、しばし1人と1匹で続く酒盛り。
1杯目は普通。
しかし2杯目、3杯目と杯数を重ねるごとにダンテよりもピーターの方が飲む量が多くなっている気がする。
微妙に酔ってきているダンテと反対に、ピーターは酔っていないのかケロリとしていた。
「はあ…お前酒強いのな。オレのが先に根を上げそうだっての」
ため息と共に吐き出される呼気にも、アルコールが多数混じる。
酔いどれ状態までいかないが、そろそろやめておいた方が良さそうである。
時計を見れば…やばい、すでにディーヴァが帰ってくる時間に突入しているではないか!
かかったとしても帰宅まであと5分もない。
「やべ、このグラスと酒だけでも片付けねぇと…」
いつから呑んだくれていたか忘れたが、相当な時間飲んでいたかもしれない。
とりあえずディーヴァがここに到着するその前に、酒瓶やら散らかったものやらそこかしこの諸々を急いで片付けなくては。
ダンテは酒瓶、グラス、皿…他にも周囲に散らかった物を持てる分だけ持とうと手に抱えた。
だがそのダンテの健闘虚しく背後で響いたドアノブが回る音。
「ただい………ま…?」
そこでタイムアップ!
固まるダンテと部屋をぐるぅり、見渡すディーヴァ。
ダンテより1つ分以上小さなディーヴァの頭に、にょきり!鬼の角が生えたような感覚を覚えた。
「お、おかえり…」
「ダンテ……これはどういうことなの?ダンテが持ってるお酒の瓶は何かなぁ?」
周囲にむわっと立ち込める、独特の酒の臭気とダンテの抱えた酒瓶。
ほぼ現行犯逮捕である。
「あー…えっと、その……」
そして凄まじく散らかる部屋の惨状。
ダンテが暴れたあとにこうなったのを見たことがあるため、これもほぼ現行犯。
「これ…やったのダンテだよね?
部屋をこんな有様になるまでめちゃくちゃにした挙句、真昼間から酒盛り……。良い度胸………だよねぇダンテ?」
スルーできそうにないディーヴァの怒りに、もともとそこまで酔っていなかったダンテの酔いが一気にさめた。
「これはオレだけじゃなくてコイツが……って寝てるぅ!?」
部屋を散らかす元凶であるピーターの方を急いで指差すも、そこにいたのはスヤスヤと可愛らしく眠るただのウサギの姿。
さっきまで起きてたと思ったのに、ディーヴァが帰ってきた途端に寝るとは…、寝たふりとかじゃないだろうな。
「なに責任転嫁しようとしてるの!ピーターがこんなこと出来るわけないでしょうが!!」
ディーヴァは持っていたバッグをダンテのお尻めがけて振り回し、バシバシとぶつける。
HPが下がるとかは特にないが、やはりこれまた地味に痛い。
「いて!いてぇよディーヴァ!物で叩くの禁止!!」
「あ、そうね。ダンテのかったいお尻になんて当てたら、バッグが壊れちゃうもんね」
「ちげーわ!」
いくらダンテが屈強な肉体を持っているとしても、恋人を叩くというのはあまりいただけない。
猟奇的な彼女すぎる。
だというのに、ディーヴァは軽くスルーすると、更に罰を与えるべく次の思考に移るしまつ。
「ペナルティ、何にしようかなー」
「ペナル、ティ…?ちょ、今片付けるっ!片付けるからそういうのはナシにしてくれって!!」
わたわたと慌てて周囲の片付けに入るダンテ。
だがダンテの健闘虚しく、ディーヴァの口は死の宣告ともとれる一言を紡いだ。
「んー…1週間キス禁止で」
「嘘だろ!?」
おはようのキスも。
行ってきますのキスも。
ただいまのキスも。
おやすみのキスも。
それどころか怪我をした時にそれを治す手段の1つであるキスも。
キスがお預けなら、その先の夜の営みだってお預けということだ。
それら全てが、全部ぜーんぶ、1週間もの間お預け!?
オレの1日を幸福なものにする大事な、大事なキスがお預けぇ!??
「そりゃないぜディーヴァ……」
絶望に満ちた顔でダンテは項垂れ、その頭を抱えた。
あまりの衝撃に、しばらく動くことすらできなくなったダンテにかわり、ちゃっちゃかとディーヴァが片付けを済ます。
その片付けが終わる頃になり、ダンテが震える声でディーヴァに前言撤回を求める。
「なあ、今の発言撤回」
「しません。それはどうでもいいことだとして、」
「よくねぇよ」
悲しいかな、ディーヴァはキスしなくても平気らしい。
ダンテの言葉は軽く無視された。
「ピーターの事でロダンさんのところに行かないと」
「オレ行かねえ」
ダンテは口をむすっと尖らせてそう言い切った。
昨日の友は今日の敵。
本当は逆なのだが、今はこちらの表現であっている。
さっきまでの少し良好になってきていた関係はもう破棄だ。
怒れる獅子状態のディーヴァにオレの事を売って、自分だけ眠りの世界に逃げた奴なんかそれこそどうでもいいっての。
「はあ……、1週間キスお預けぐらいで何拗ねてるんだか。
あそこにはあたし1人じゃ行けないんだからダンテも来てよ」
そうなのだ。
ダンテの魔力がロダンの店、ゲイツオブヘルへの通行証。
ディーヴァ1人ではその場所に行ってもただの廃墟でしかなく、たどり着くことは不可能なのだ。
「それともダンテは、あたしに1人でスラムの奥地に行って欲しいのかな」
そしてゲイツオブヘルへの入り口となる廃墟があるのは深いスラム街を進んだ先。
ディーヴァのような女の子が1人で歩いていくというのは、たとえ悪魔が出なかったとしても危険すぎる。
そんな危険なこと、ダンテがディーヴァにさせるわけがない。
「はぁ……オレも行くから支度してくれ」
「うんっ!ありがとダンテ!」
ディーヴァはにぱっ!と花がほころぶような笑顔を浮かべ、そのあとピーターを抱きしめた。
…おいおい、そこは恋人のオレに抱きつくところだろ。
ただし、相手は悪魔といえど、ただの喧嘩であって通常の悪魔退治のような殺し合いではない。
そもそもダンテが本気を出していたとしたら、ピーターはすぐに死ぬ事になっていただろう。
それは動物同士の喧嘩のようでいて、見方によっては台風一過のそのあとのようでもあった。
実際、部屋の中の現状はすさまじくちらかっている状態。
ディーヴァの私物や大きな家具が壊れなかったのが唯一の救いかもしれない。
拳を交えれば交えただけお互いの事が理解できる…とはよく言ったもので、お昼過ぎにはお互いをほんの少しだけ認めあうまでになっていた。
本当に、ほんのすこーしだったが。
「お前、イケる口なんだろ?」
そしてピーターの真向かいに胡座をかいて座り込んだダンテがドン!と床に置いたもの。
それは昨日の夜にディーヴァと家飲みしていたバーボンウイスキーだ。
「高い酒だが、残しといてもどうせそうそうディーヴァと飲めるもんじゃない。
1人で飲んでもつまらないからな。お前にわけてやるよ」
そう言って自分用のグラスと、ピーターが飲みやすいように液体が入る平皿を用意するダンテ。
トクトクトク、注いだ先からはバーボン独特の甘くほろ苦い芳醇な薫りが漂う。
まさかダンテがくれるとはピーターも思わなかったようで、つぶらな瞳が驚きにまんまるく大きく見開かれている。
ウサギ特有のY字形の鼻も、ヒクヒクヒクヒク…と動きが早く、匂いを嗅ぎまくっているよう。
「ほら、乾杯」
ずい、と差し出された皿を見てもまだ疑っているピーターは、一歩も踏み出さない。
「なんだよ、昨日飲んでたんだからわかるだろ?聖水なんか入ってねぇっての」
聖水はストリキーネやバトラコトキシンなんかよりも悪魔にとってとてつもなく恐ろしい効果を発揮する物質。
弱い悪魔など触れるだけで消滅してしまう。
ピーターはダンテが自分に聖水を飲ませ、亡き者にしようとしているのではないかと不安なのだ。
「見てろ。
……かーっ!美味いっ!ほれみろ、オレが飲んでもなんともないだろうが」
ダンテが手酌で入れた自分のグラスを大きく呷ってみせる。
ゴク、ゴク…喉を過ぎた液体がダンテの体内に染み渡っていくも、その身体にはなんの変化もない。
これが聖水だったとしたら悪魔にとって即効性の毒のことだ、少量でもダンテは苦しんでいたはず。
ダンテの様子を見てピーターはようやくこれがバーボンだと確信した。
そこからはもう行動が早い。
飛びついて平皿の前に陣取り、顔を埋めるようにして注がれた酒をガブ飲み。
「はははっ!昨日も思ったがいい飲みっぷりだ。ホントそのすげぇ飲みっぷりだけは認めるに値するぜ」
まぁるい瞳に映り込む琥珀色の液体が嬉しそうに揺れているのを見て、ダンテは自分の酒をあおりながら笑う。
悪魔とはいえウサギと一対一で向き合う事になるのは初めてで。しかもその悪魔がぴちゃぴちゃ音を立てて一心不乱に飲んでいるは酒である。
まさか悪魔と酒を酌み交わすことになろうとは、思いもしなかった。
「もうちょいくれてやるよ」
自身も体に酒が入ってほろ酔いのいい気分なのか、ダンテもいつもより太っ腹。
空になったピーターの皿に、2杯目の酒を注ぎ足している。
そのダンテの様子をじっと見つめながら、ピーターは思うのだ。
ダンテの方も少し認めてくれたことだし、ちょっとくらいは認めるの先、信頼しても大丈夫かな、と。
少しだけダンテのそばへ寄り、ピーターは貰ったバーボンを飲み続けた。
台風一過の惨状の中、しばし1人と1匹で続く酒盛り。
1杯目は普通。
しかし2杯目、3杯目と杯数を重ねるごとにダンテよりもピーターの方が飲む量が多くなっている気がする。
微妙に酔ってきているダンテと反対に、ピーターは酔っていないのかケロリとしていた。
「はあ…お前酒強いのな。オレのが先に根を上げそうだっての」
ため息と共に吐き出される呼気にも、アルコールが多数混じる。
酔いどれ状態までいかないが、そろそろやめておいた方が良さそうである。
時計を見れば…やばい、すでにディーヴァが帰ってくる時間に突入しているではないか!
かかったとしても帰宅まであと5分もない。
「やべ、このグラスと酒だけでも片付けねぇと…」
いつから呑んだくれていたか忘れたが、相当な時間飲んでいたかもしれない。
とりあえずディーヴァがここに到着するその前に、酒瓶やら散らかったものやらそこかしこの諸々を急いで片付けなくては。
ダンテは酒瓶、グラス、皿…他にも周囲に散らかった物を持てる分だけ持とうと手に抱えた。
だがそのダンテの健闘虚しく背後で響いたドアノブが回る音。
「ただい………ま…?」
そこでタイムアップ!
固まるダンテと部屋をぐるぅり、見渡すディーヴァ。
ダンテより1つ分以上小さなディーヴァの頭に、にょきり!鬼の角が生えたような感覚を覚えた。
「お、おかえり…」
「ダンテ……これはどういうことなの?ダンテが持ってるお酒の瓶は何かなぁ?」
周囲にむわっと立ち込める、独特の酒の臭気とダンテの抱えた酒瓶。
ほぼ現行犯逮捕である。
「あー…えっと、その……」
そして凄まじく散らかる部屋の惨状。
ダンテが暴れたあとにこうなったのを見たことがあるため、これもほぼ現行犯。
「これ…やったのダンテだよね?
部屋をこんな有様になるまでめちゃくちゃにした挙句、真昼間から酒盛り……。良い度胸………だよねぇダンテ?」
スルーできそうにないディーヴァの怒りに、もともとそこまで酔っていなかったダンテの酔いが一気にさめた。
「これはオレだけじゃなくてコイツが……って寝てるぅ!?」
部屋を散らかす元凶であるピーターの方を急いで指差すも、そこにいたのはスヤスヤと可愛らしく眠るただのウサギの姿。
さっきまで起きてたと思ったのに、ディーヴァが帰ってきた途端に寝るとは…、寝たふりとかじゃないだろうな。
「なに責任転嫁しようとしてるの!ピーターがこんなこと出来るわけないでしょうが!!」
ディーヴァは持っていたバッグをダンテのお尻めがけて振り回し、バシバシとぶつける。
HPが下がるとかは特にないが、やはりこれまた地味に痛い。
「いて!いてぇよディーヴァ!物で叩くの禁止!!」
「あ、そうね。ダンテのかったいお尻になんて当てたら、バッグが壊れちゃうもんね」
「ちげーわ!」
いくらダンテが屈強な肉体を持っているとしても、恋人を叩くというのはあまりいただけない。
猟奇的な彼女すぎる。
だというのに、ディーヴァは軽くスルーすると、更に罰を与えるべく次の思考に移るしまつ。
「ペナルティ、何にしようかなー」
「ペナル、ティ…?ちょ、今片付けるっ!片付けるからそういうのはナシにしてくれって!!」
わたわたと慌てて周囲の片付けに入るダンテ。
だがダンテの健闘虚しく、ディーヴァの口は死の宣告ともとれる一言を紡いだ。
「んー…1週間キス禁止で」
「嘘だろ!?」
おはようのキスも。
行ってきますのキスも。
ただいまのキスも。
おやすみのキスも。
それどころか怪我をした時にそれを治す手段の1つであるキスも。
キスがお預けなら、その先の夜の営みだってお預けということだ。
それら全てが、全部ぜーんぶ、1週間もの間お預け!?
オレの1日を幸福なものにする大事な、大事なキスがお預けぇ!??
「そりゃないぜディーヴァ……」
絶望に満ちた顔でダンテは項垂れ、その頭を抱えた。
あまりの衝撃に、しばらく動くことすらできなくなったダンテにかわり、ちゃっちゃかとディーヴァが片付けを済ます。
その片付けが終わる頃になり、ダンテが震える声でディーヴァに前言撤回を求める。
「なあ、今の発言撤回」
「しません。それはどうでもいいことだとして、」
「よくねぇよ」
悲しいかな、ディーヴァはキスしなくても平気らしい。
ダンテの言葉は軽く無視された。
「ピーターの事でロダンさんのところに行かないと」
「オレ行かねえ」
ダンテは口をむすっと尖らせてそう言い切った。
昨日の友は今日の敵。
本当は逆なのだが、今はこちらの表現であっている。
さっきまでの少し良好になってきていた関係はもう破棄だ。
怒れる獅子状態のディーヴァにオレの事を売って、自分だけ眠りの世界に逃げた奴なんかそれこそどうでもいいっての。
「はあ……、1週間キスお預けぐらいで何拗ねてるんだか。
あそこにはあたし1人じゃ行けないんだからダンテも来てよ」
そうなのだ。
ダンテの魔力がロダンの店、ゲイツオブヘルへの通行証。
ディーヴァ1人ではその場所に行ってもただの廃墟でしかなく、たどり着くことは不可能なのだ。
「それともダンテは、あたしに1人でスラムの奥地に行って欲しいのかな」
そしてゲイツオブヘルへの入り口となる廃墟があるのは深いスラム街を進んだ先。
ディーヴァのような女の子が1人で歩いていくというのは、たとえ悪魔が出なかったとしても危険すぎる。
そんな危険なこと、ダンテがディーヴァにさせるわけがない。
「はぁ……オレも行くから支度してくれ」
「うんっ!ありがとダンテ!」
ディーヴァはにぱっ!と花がほころぶような笑顔を浮かべ、そのあとピーターを抱きしめた。
…おいおい、そこは恋人のオレに抱きつくところだろ。
