mission 32:Jackalope ~天使の飼う悪魔~
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「あ、そうそう。ダンテ、今日はあたしお仕事あるから、後の事はよろしくね」
パンケーキを小さく切り分け生クリームとフルーツを共にフォークに刺して、もぐもぐ。
美味しそうに食べながら、ディーヴァが思い出したようにそう言った。
そうか、昨日は休みだったがディーヴァのやつ、今日は仕事のシフトが入ってたか。
もっとディーヴァとゆっくり過ごしたかったが、仕事なら仕方がない。
「ああ、今日は依頼もねぇし、どこも出かける予定はないから大丈夫だ」
「うーん…予定、というか…どっちにしろ今日1日はおうちでお留守番してて欲しい、かな」
「留守番?」
「うん。ピーターのことお願いしようと思って」
「は……?ウサギのことをオレにお願い…?」
言われた意味がよくわからなくて、つい目を瞬かせて復唱してしまった。
そんな困惑しっぱなしのダンテも知らず、ディーヴァはにっこり笑顔を浮かべながらお願いしてきている。
「今夜ロダンさんのところにピーターがどんな悪魔なのかお話聞きに行くでしょ?あたしが仕事の間だけでいいからみてて欲しいなーって」
「はあああああああ!?オレがコイツの面倒!?絶っ対嫌だね!」
やっと理解したダンテ。
だがそれはダンテにとってすごく嫌な内容で、今まさに目の上のタンコブとしか認識できない者の事。
ディーヴァの仕事は9時から2時か3時まで…といったところであり、約6時間。
ディーヴァがいない1日の4分の1もの時間を、コイツと過ごすのは正直キツい。
「それにコイツだって絶対オレに面倒みられるのは嫌だろ」
今のダンテとピーターはいわばディーヴァをめぐって争う犬猿の仲状態である。
それ以前に何度も言うが相手は悪魔。
どんなに弱かろうが、ディーヴァを傷つけその生命を脅かす存在になり得る可能性があるのは変わりない。
ダンテはディーヴァを傷つける者はたとえダンテ自身であっても許しはしない。
そんなピーターが進んでダンテに自分の身を預けるだろうか。
この話を聞いているだろうピーターを見れば……あれ?
我関せずとでもいう風に、大きくあくびをして後ろ足で耳裏をポリポリ掻いているではないか。
「はあ…。ダンテが嫌ならベオウルフや ネヴァンが一緒でもいいよ。
彼らなら悪魔としての経験も知識も豊富だし、ここに来たことで人間社会にもそこそこ順応してる。だからきっと面倒みるくらい簡単にしてくれるだろうしね~?」
むか。
なんだか煽られているように感じる。
「それに、うさぎさんじゃなくてもペットのお世話とかってダンテには荷が重そうだもんねーぇ?」
むかむか。
オレ1人じゃ何も出来ないとでも言いたげだ。
「ダンテにはどうせ無理だよね、うん。お願いしたあたしが馬鹿だったよ」
どうせ、無理、だって?
むかむかむかっ!ブチッ!!
「ああ゛!?オレだってコイツの面倒を見ることくらい1人でできるっての!!」
「ちょ、ダンテ怖い怖い。顔怖い」
ディーヴァに詰め寄ったダンテの顔は、まるで悪魔に相対する時のそれに似て実に恐ろしい。
「おっと悪い。…まあ、オレ1人でもウサギ1匹面倒みるくらい出来るから心配するな」
怖い、と指摘されて急いでいつもの顔に戻す。
まだ心中おこ状態は続いていたが、なるべく穏やかな言い方になるよう気をつけて、ダンテは言った。
何はともあれダンテがやる気になってくれるならそれでいい。
もうちょっと仲良くなって欲しいな、というディーヴァなりの考えがあってのお願いでもあるのだから。
ディーヴァは食べ終えた皿をちゃっちゃか洗いながらそんな風に思った。
「うし!仲良くしようぜ。ウサギちゃんよぉ」
ぐわし!
そんな擬音がつきそうな掴み方で、あろう事かピーターの耳を掴んで上に持ち上げたダンテ。
この持ち上げ方、体を持ち上げて揺さ振るとか、後ろ足を掴んで逆さで宙ぶらりんよりも、一番やっちゃダメなやつである。
ピーターもびっくり&痛そうに身をよじってきゅーきゅー鳴いている。
「こらダンテ!うさぎさんを抱っこする時は耳持っちゃだめでしょ」
「いでででで!」
その瞬間、再びダンテの耳もディーヴァの手に掴まれ、そして思い切り引っ張られて叱りつけられた。
「もー!うさぎさんはストレスにすっごく弱いって言ったじゃない。
だから、間違っても一番敏感な耳を掴んで持ち上げたりしちゃダメなの。わかった?」
「ディーヴァと同じで耳が性感帯ってことか」
「な、何変なこと言ってるの!」
「ははっ!違った、ディーヴァは全部性感帯だったな」
「~~~…!ダ、ン、テ?」
「あだっ!!悪かった、オレが悪かったよ!」
ダンテの手から取り返したピーターを抱きしめてダンテの『性感帯』などという言葉で恥ずかしがっていたディーヴァだったが、再度揶揄われたのがあまりにも嫌だったもよう。
今度はダンテの足を思い切り踏みつけた。
「まったく!懲りないんだから!!
…ピーター、ちょーっとお着替えしてくるから待っててね」
ピーターを下に降ろすとぷんすかしたまま、仕事の準備に取り掛かるべくダンテに何も言わずにディーヴァは二階へ。
何も言ってくれなかったディーヴァの後ろ姿を寂しげに眺め数秒後…。
「くっそぉ…!お前のせいでディーヴァに怒られちまったじゃねーか!」
再び喧嘩勃発。
ダンテはピーターの顔面を握りつぶす勢いで勢いよく手を伸ばした。
「いでぇっ!!くっ、この…ッ!」
が、掴もうとした手のひらを、またしても噛みつかれた。
噛まれた手の痛みに驚いている隙に、軽くぽーんと飛び上がったピーターが、大きく突き出した後ろ足でダンテの脳天に力強い蹴りを入れたのだ。
コイツの足技、結構痛い。
普通の人間が同じ場所に蹴りを受けたとしたら頭蓋骨陥没は免れないだろう、こんなところからも確かにピーターが悪魔だとわかる。
「効いたぜ…お前のキック……」
ダンテはサムズアップポーズでその強さを認めてやった……強さだけ。
ピーターもどこか得意げにファイティングポーズをとっており、これから2ラウンド3ラウンドが始まるのかもしれない。
それを仕事の準備を終えたディーヴァが、微笑ましさ半分心配が半分の表情で階段上から見ている。
うさぎさんは寂しいと死んじゃうってよく言うから心配だけど…ダンテと一緒なら賑やかで寂しさはなさそうだし、大丈夫そう、かな?
…その扱いには少々不安が残るが。
一通りダンテとピーターのやり取りを見学したディーヴァは、後のことをダンテに頼み仕事へと向かった。
パンケーキを小さく切り分け生クリームとフルーツを共にフォークに刺して、もぐもぐ。
美味しそうに食べながら、ディーヴァが思い出したようにそう言った。
そうか、昨日は休みだったがディーヴァのやつ、今日は仕事のシフトが入ってたか。
もっとディーヴァとゆっくり過ごしたかったが、仕事なら仕方がない。
「ああ、今日は依頼もねぇし、どこも出かける予定はないから大丈夫だ」
「うーん…予定、というか…どっちにしろ今日1日はおうちでお留守番してて欲しい、かな」
「留守番?」
「うん。ピーターのことお願いしようと思って」
「は……?ウサギのことをオレにお願い…?」
言われた意味がよくわからなくて、つい目を瞬かせて復唱してしまった。
そんな困惑しっぱなしのダンテも知らず、ディーヴァはにっこり笑顔を浮かべながらお願いしてきている。
「今夜ロダンさんのところにピーターがどんな悪魔なのかお話聞きに行くでしょ?あたしが仕事の間だけでいいからみてて欲しいなーって」
「はあああああああ!?オレがコイツの面倒!?絶っ対嫌だね!」
やっと理解したダンテ。
だがそれはダンテにとってすごく嫌な内容で、今まさに目の上のタンコブとしか認識できない者の事。
ディーヴァの仕事は9時から2時か3時まで…といったところであり、約6時間。
ディーヴァがいない1日の4分の1もの時間を、コイツと過ごすのは正直キツい。
「それにコイツだって絶対オレに面倒みられるのは嫌だろ」
今のダンテとピーターはいわばディーヴァをめぐって争う犬猿の仲状態である。
それ以前に何度も言うが相手は悪魔。
どんなに弱かろうが、ディーヴァを傷つけその生命を脅かす存在になり得る可能性があるのは変わりない。
ダンテはディーヴァを傷つける者はたとえダンテ自身であっても許しはしない。
そんなピーターが進んでダンテに自分の身を預けるだろうか。
この話を聞いているだろうピーターを見れば……あれ?
我関せずとでもいう風に、大きくあくびをして後ろ足で耳裏をポリポリ掻いているではないか。
「はあ…。ダンテが嫌ならベオウルフや ネヴァンが一緒でもいいよ。
彼らなら悪魔としての経験も知識も豊富だし、ここに来たことで人間社会にもそこそこ順応してる。だからきっと面倒みるくらい簡単にしてくれるだろうしね~?」
むか。
なんだか煽られているように感じる。
「それに、うさぎさんじゃなくてもペットのお世話とかってダンテには荷が重そうだもんねーぇ?」
むかむか。
オレ1人じゃ何も出来ないとでも言いたげだ。
「ダンテにはどうせ無理だよね、うん。お願いしたあたしが馬鹿だったよ」
どうせ、無理、だって?
むかむかむかっ!ブチッ!!
「ああ゛!?オレだってコイツの面倒を見ることくらい1人でできるっての!!」
「ちょ、ダンテ怖い怖い。顔怖い」
ディーヴァに詰め寄ったダンテの顔は、まるで悪魔に相対する時のそれに似て実に恐ろしい。
「おっと悪い。…まあ、オレ1人でもウサギ1匹面倒みるくらい出来るから心配するな」
怖い、と指摘されて急いでいつもの顔に戻す。
まだ心中おこ状態は続いていたが、なるべく穏やかな言い方になるよう気をつけて、ダンテは言った。
何はともあれダンテがやる気になってくれるならそれでいい。
もうちょっと仲良くなって欲しいな、というディーヴァなりの考えがあってのお願いでもあるのだから。
ディーヴァは食べ終えた皿をちゃっちゃか洗いながらそんな風に思った。
「うし!仲良くしようぜ。ウサギちゃんよぉ」
ぐわし!
そんな擬音がつきそうな掴み方で、あろう事かピーターの耳を掴んで上に持ち上げたダンテ。
この持ち上げ方、体を持ち上げて揺さ振るとか、後ろ足を掴んで逆さで宙ぶらりんよりも、一番やっちゃダメなやつである。
ピーターもびっくり&痛そうに身をよじってきゅーきゅー鳴いている。
「こらダンテ!うさぎさんを抱っこする時は耳持っちゃだめでしょ」
「いでででで!」
その瞬間、再びダンテの耳もディーヴァの手に掴まれ、そして思い切り引っ張られて叱りつけられた。
「もー!うさぎさんはストレスにすっごく弱いって言ったじゃない。
だから、間違っても一番敏感な耳を掴んで持ち上げたりしちゃダメなの。わかった?」
「ディーヴァと同じで耳が性感帯ってことか」
「な、何変なこと言ってるの!」
「ははっ!違った、ディーヴァは全部性感帯だったな」
「~~~…!ダ、ン、テ?」
「あだっ!!悪かった、オレが悪かったよ!」
ダンテの手から取り返したピーターを抱きしめてダンテの『性感帯』などという言葉で恥ずかしがっていたディーヴァだったが、再度揶揄われたのがあまりにも嫌だったもよう。
今度はダンテの足を思い切り踏みつけた。
「まったく!懲りないんだから!!
…ピーター、ちょーっとお着替えしてくるから待っててね」
ピーターを下に降ろすとぷんすかしたまま、仕事の準備に取り掛かるべくダンテに何も言わずにディーヴァは二階へ。
何も言ってくれなかったディーヴァの後ろ姿を寂しげに眺め数秒後…。
「くっそぉ…!お前のせいでディーヴァに怒られちまったじゃねーか!」
再び喧嘩勃発。
ダンテはピーターの顔面を握りつぶす勢いで勢いよく手を伸ばした。
「いでぇっ!!くっ、この…ッ!」
が、掴もうとした手のひらを、またしても噛みつかれた。
噛まれた手の痛みに驚いている隙に、軽くぽーんと飛び上がったピーターが、大きく突き出した後ろ足でダンテの脳天に力強い蹴りを入れたのだ。
コイツの足技、結構痛い。
普通の人間が同じ場所に蹴りを受けたとしたら頭蓋骨陥没は免れないだろう、こんなところからも確かにピーターが悪魔だとわかる。
「効いたぜ…お前のキック……」
ダンテはサムズアップポーズでその強さを認めてやった……強さだけ。
ピーターもどこか得意げにファイティングポーズをとっており、これから2ラウンド3ラウンドが始まるのかもしれない。
それを仕事の準備を終えたディーヴァが、微笑ましさ半分心配が半分の表情で階段上から見ている。
うさぎさんは寂しいと死んじゃうってよく言うから心配だけど…ダンテと一緒なら賑やかで寂しさはなさそうだし、大丈夫そう、かな?
…その扱いには少々不安が残るが。
一通りダンテとピーターのやり取りを見学したディーヴァは、後のことをダンテに頼み仕事へと向かった。