mission 32:Jackalope ~天使の飼う悪魔~
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「美味い」
ほかほか焼きたてのピザとサラダ、ダンテの大好きなストロベリーサンデーを囲んでのダンテとディーヴァの夕食の時間。
「相変わらずディーヴァの作るメシは美味いな」
「ありがと。美味しそうに食べてくれるダンテがいるから頑張れるんだよ」
いつも通り会話を楽しみながらの2人っきりの食事。
その楽しい食事の輪の中に、今日はウサギの見た目をした異邦人がいる。
異邦人というより悪魔か。
同族嫌悪しているのも理由の1つだろうダンテはいい顔しないが、ディーヴァの椅子の隣に台を置いてその上にウサギが鎮座している。
ちょっぴり慣れたのかはたまたお腹が空いているのか、ディーヴァの手から人参、そして人参だけでなく他の野菜も食べていた。
「美味い。美味いんだけどな、ディーヴァ。1つだけ良いか?」
「うん?」
ウサギと一緒になってサラダを食べていたディーヴァがダンテの顔を見る。
サラダを与える手が止まった事で、ウサギまでもこっちを見た。
ちょ、こっち見んな。
「なんでそいつも一緒にメシ食ってんだ」
「え、別にいいじゃない。何か問題でもある?ダンテに迷惑かけた?」
「……ないッス」
そのうち手まで食われるぞと言いたかったが、やめておこう。
楽しそうに餌付けしているディーヴァに今何か言ったら、食べているピザもストロベリーサンデーも没収になりそうな気がする。
…没収になる前にサッサと食べとこう。
かきこむように食べたためか、デザートのストロベリーサンデーはいつもより味気なく感じた。
決してディーヴァが言うような、冷凍のイチゴだったからではない。
というか早食いしたからであって、ディーヴァの作るストロベリーサンデーが不味かったとかでは絶対にない、むしろ美味かった!!!(力説)
それから、食休みと称してテレビを見ながらしばしソファで休んでいれば。
「うさぎさんかー…」
傍でじっとしているウサギを物思いにふけるような表情で撫でながら、ディーヴァがぽつりと呟いた。
もし昔飼ってたとかならば、ウサギにご執心なのも頷けるがどうなのだろう。
「ウサギになんか思い入れでもあるのか?」
「んーん。うちの会社のロゴマークがうさぎさんなだけだよ」
会社……。
ディーヴァはどこかの会社のご令嬢だった…ってことは、もちろんその親は社長だよな。
「そういえばディーヴァの親父の会社って、何の会社なんだ?」
「白い粉とかを扱う会社」
「白い…粉…?」
白い粉などと言われれば、思い当たるのは、あまりよろしくない物。
もしダンテの考えている通りだとしたなら、ディーヴァはマフィア一家の一人娘になってしまう…天使から一転、一気に恐ろしくなったぞ。
「まさかドラッグとか……」
「あはは、まっさかー!白い粉っていっても小麦粉とかホットケーキミックスとかそういうものだよ。パパの会社は色んな製菓用材料を扱う会社だったの」
製菓材料……なるほど、だから菓子作りも上手いのか。
色々わかってちょっとホッとした。
「白い粉なんて言い方するから危ないモンかと思っちまったじゃねぇか。紛らわしいなー…」
「えへへ、ごめんごめん」
「ったく…ドラッグ、ダメ、絶対!なんだぞ!」
「わかってるって。
あ、そうそう。言ってなかったけど、今は信頼の置けるパパの右腕だった人にぜーんぶ経営とか株とか?そういうもの任せちゃったから何にも気にしなくていいんだよ。いや~、ほんと良かった良かった、だよね!」
「任せた?今更かもしれないが、お前は継がなくてよかったのか?お前にもその権利はあったろうに」
本当に今更すぎる話だが、後継者がディーヴァしか残っていない以上、ディーヴァが継ぐのが道理だろう。
「うん。でも、あたしはもともと継ぐ気はなかったし、ずっとお兄ちゃんが継ぐ予定でいたから…」
「お兄ちゃん、か…。ディーヴァの兄貴と話してみたかったぜ」
「そういえばダンテってお兄ちゃんと同い年だったんだよねー…」
「え、そうだったか?」
確かにディーヴァの兄の亡骸を目にした時、自分の少し下か?いいや同い年かもしれないな、ぐらいの年齢に見えたが、さすがは童顔一家である。
ディーヴァはものすごく童顔だが、兄も童顔だった模様。
ふと、隣のディーヴァの表情が次第に翳りを帯びていくのがダンテの目に入った。
落ち込むようでいて、懐かしんでいるようにも見えるそれ。
「兄貴が恋しいか?」
「ふぇっ!?」
図星、か。
目をまぁるくして素っ頓狂な声をあげたかと思えば、今度は少し照れたように頬を染めるディーヴァ。
相変わらずディーヴァは表情豊かだ。
そのあと、ディーヴァは憂い顔でゆっくりとその思いを吐露した。
「……恋しいよ。会いたい、お兄ちゃんに会いたい。パパにもママにも会いたいよ。あたしが殺したも同然なのに恋しいだなんて言っちゃいけないかもしれない。それでも、夢でも何でもいい。会えるなら会いたい…」
話しながらディーヴァがぎゅっと強めに抱きしめるので、腕の中のピーターが「きゅう、」と鳴く。
ディーヴァにとっての禁句、『家族の死』。
自分のせいで悪魔に殺された事実が今も尚、ディーヴァを苦しめる。
それでもダンテのおかげでここまで生きてこれた……ダンテが自分の生きる理由となった。
だからこそ、ダンテはディーヴァにとって優しく照らす月の光なのだ。
ほかほか焼きたてのピザとサラダ、ダンテの大好きなストロベリーサンデーを囲んでのダンテとディーヴァの夕食の時間。
「相変わらずディーヴァの作るメシは美味いな」
「ありがと。美味しそうに食べてくれるダンテがいるから頑張れるんだよ」
いつも通り会話を楽しみながらの2人っきりの食事。
その楽しい食事の輪の中に、今日はウサギの見た目をした異邦人がいる。
異邦人というより悪魔か。
同族嫌悪しているのも理由の1つだろうダンテはいい顔しないが、ディーヴァの椅子の隣に台を置いてその上にウサギが鎮座している。
ちょっぴり慣れたのかはたまたお腹が空いているのか、ディーヴァの手から人参、そして人参だけでなく他の野菜も食べていた。
「美味い。美味いんだけどな、ディーヴァ。1つだけ良いか?」
「うん?」
ウサギと一緒になってサラダを食べていたディーヴァがダンテの顔を見る。
サラダを与える手が止まった事で、ウサギまでもこっちを見た。
ちょ、こっち見んな。
「なんでそいつも一緒にメシ食ってんだ」
「え、別にいいじゃない。何か問題でもある?ダンテに迷惑かけた?」
「……ないッス」
そのうち手まで食われるぞと言いたかったが、やめておこう。
楽しそうに餌付けしているディーヴァに今何か言ったら、食べているピザもストロベリーサンデーも没収になりそうな気がする。
…没収になる前にサッサと食べとこう。
かきこむように食べたためか、デザートのストロベリーサンデーはいつもより味気なく感じた。
決してディーヴァが言うような、冷凍のイチゴだったからではない。
というか早食いしたからであって、ディーヴァの作るストロベリーサンデーが不味かったとかでは絶対にない、むしろ美味かった!!!(力説)
それから、食休みと称してテレビを見ながらしばしソファで休んでいれば。
「うさぎさんかー…」
傍でじっとしているウサギを物思いにふけるような表情で撫でながら、ディーヴァがぽつりと呟いた。
もし昔飼ってたとかならば、ウサギにご執心なのも頷けるがどうなのだろう。
「ウサギになんか思い入れでもあるのか?」
「んーん。うちの会社のロゴマークがうさぎさんなだけだよ」
会社……。
ディーヴァはどこかの会社のご令嬢だった…ってことは、もちろんその親は社長だよな。
「そういえばディーヴァの親父の会社って、何の会社なんだ?」
「白い粉とかを扱う会社」
「白い…粉…?」
白い粉などと言われれば、思い当たるのは、あまりよろしくない物。
もしダンテの考えている通りだとしたなら、ディーヴァはマフィア一家の一人娘になってしまう…天使から一転、一気に恐ろしくなったぞ。
「まさかドラッグとか……」
「あはは、まっさかー!白い粉っていっても小麦粉とかホットケーキミックスとかそういうものだよ。パパの会社は色んな製菓用材料を扱う会社だったの」
製菓材料……なるほど、だから菓子作りも上手いのか。
色々わかってちょっとホッとした。
「白い粉なんて言い方するから危ないモンかと思っちまったじゃねぇか。紛らわしいなー…」
「えへへ、ごめんごめん」
「ったく…ドラッグ、ダメ、絶対!なんだぞ!」
「わかってるって。
あ、そうそう。言ってなかったけど、今は信頼の置けるパパの右腕だった人にぜーんぶ経営とか株とか?そういうもの任せちゃったから何にも気にしなくていいんだよ。いや~、ほんと良かった良かった、だよね!」
「任せた?今更かもしれないが、お前は継がなくてよかったのか?お前にもその権利はあったろうに」
本当に今更すぎる話だが、後継者がディーヴァしか残っていない以上、ディーヴァが継ぐのが道理だろう。
「うん。でも、あたしはもともと継ぐ気はなかったし、ずっとお兄ちゃんが継ぐ予定でいたから…」
「お兄ちゃん、か…。ディーヴァの兄貴と話してみたかったぜ」
「そういえばダンテってお兄ちゃんと同い年だったんだよねー…」
「え、そうだったか?」
確かにディーヴァの兄の亡骸を目にした時、自分の少し下か?いいや同い年かもしれないな、ぐらいの年齢に見えたが、さすがは童顔一家である。
ディーヴァはものすごく童顔だが、兄も童顔だった模様。
ふと、隣のディーヴァの表情が次第に翳りを帯びていくのがダンテの目に入った。
落ち込むようでいて、懐かしんでいるようにも見えるそれ。
「兄貴が恋しいか?」
「ふぇっ!?」
図星、か。
目をまぁるくして素っ頓狂な声をあげたかと思えば、今度は少し照れたように頬を染めるディーヴァ。
相変わらずディーヴァは表情豊かだ。
そのあと、ディーヴァは憂い顔でゆっくりとその思いを吐露した。
「……恋しいよ。会いたい、お兄ちゃんに会いたい。パパにもママにも会いたいよ。あたしが殺したも同然なのに恋しいだなんて言っちゃいけないかもしれない。それでも、夢でも何でもいい。会えるなら会いたい…」
話しながらディーヴァがぎゅっと強めに抱きしめるので、腕の中のピーターが「きゅう、」と鳴く。
ディーヴァにとっての禁句、『家族の死』。
自分のせいで悪魔に殺された事実が今も尚、ディーヴァを苦しめる。
それでもダンテのおかげでここまで生きてこれた……ダンテが自分の生きる理由となった。
だからこそ、ダンテはディーヴァにとって優しく照らす月の光なのだ。