mission 32:Jackalope ~天使の飼う悪魔~
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カフェから出た2人の行き先は日々の食料品の買い出し。
本当ならばコ●トコのような大きな店舗に車で行きたいところだが、残念な事にうちに車はない。
というか、ダンテはバイクこそ乗るが、車は運転できるのかどうかも定かではないし…。
軽く「ねぇダンテ、車の運転免許証持ってるー?」と聞けばいいのだが、車が欲しいなどと言われても困るので聞かないでおいた。
そしてショッピングモールのレストラン街で軽くお昼を食べ、食料品を買い込んだ帰り道。
「重いでしょ。1つくらいあたしが持つよ?」
「いや、いい。オレはこれくらいじゃ重さを感じないから大丈夫だけど、ディーヴァには1つでも重いと思うぜ」
たくさん食料品を買い込んだ2人。
右腕に2つ左腕に2つのビニール袋、両手で大きめな紙袋…という大量の荷物を抱えたダンテが、ディーヴァの隣を歩く。
反対にディーヴァは身軽で、自分のポシェットタイプのバッグのみ。
なんだか悪い気がして、さっきから何度か自分も荷物を持つと申し出ているのだが、ダンテは平気だの一点張りで聞いてくれないのだった。
ダンテが言う通り、もうそのままお言葉に甘えよう。
「今日のお夕飯は何が食べたい?好きなの作るよ」
「夕飯か……。ディーヴァが食「はい却下ー」最後まで言わせろよ」
「ちゃんとした料理名を言ってよね」
「ならピザ。というか、もともとピザ作る予定なんだろ?」
「よくわかったね!」
トマト缶に新鮮な各種野菜、フルーツ、チーズに、生地に使う小麦粉。
それにすぐピザが作れるようにと、具材を乗せて焼くだけという、冷凍のクラスト生地をやたらと多く買っているのでよくわかる。
「時期じゃないがストサンも作る予定入ってるだろ、ディーヴァ」
「ありゃ、そこまでわかってたのね。でも、確かにダンテの大好きなストロベリーサンデーも作るけど、冷凍庫イチゴだからそんなに美味しくないかも」
「ディーヴァが作った物に不味いのはない」
キッパリと言い切るので、聞いているこっちが恥ずかしい。
「ダンテ、ありがと……」
小さく呟くように言い、ダンテの服の端をきゅっと掴む。
気付いたダンテはこっちを見て微笑むのだった。
“ゅ……”
そんな微笑ましいような帰り道のさなか、微かに聞こえる動物の鳴き声。
「ねぇダンテ、なんか動物の鳴き声みたいなの聞こえない?」
「鳴き声?」
ディーヴァの言葉に耳を澄まして周りの音に集中する。
“きゅ……”
「ほらまた!」
「ちょ。おい!ディーヴァ!」
ディーヴァは聞こえた方角…近くの茂みへガサガサと進む。
そんな彼女を止めたくとも、自分の両手は荷物で塞がっているため、どうにも出来ない。
「ここ!ダンテ、この中にいるよ!…動物がうずくまってる…」
茂みを掻き分けて動物を見つけたディーヴァは、ダンテを呼んで共に覗き込む。
そこにいたのはベージュのふさふさした体毛に覆われた耳の長い小さな体。
どこかで見たことがあるようなないような…。
「あ。この子ってさっき教会で見かけたうさぎさんだ」
怪我をしているのか、目を閉じてぷるぷる震えているのを抱え上げてダンテに見せる。
「教会にウサギ?って、ちょっと待て。そいつツノ生えてるぞ!」
「え?ホントだ。今気がついた~。……………って、もしかしなくても悪魔、だよね??」
体毛と同じベージュ色でわかりづらかったが、よく見ればその頭には小ぶりながらも鹿のようなツノが。
そして纏う空気はもう馴染みとなった『魔』の物。
「ああ、もしかしなくてもどっからどう見ても悪魔。そいつから悪魔の気配がしてる。ディーヴァ、ポイしろポイ!」
「でも……でも、ひどい怪我してるよ。手当てしなきゃ」
ダンテはシッシッと追い払うようなジェスチャーで、捨てるよう言う。
しかし、いくら悪魔の類だとしても、抱き上げたウサギはこのまま放っておくと死んでしまうレベルの、何らかのグチャグチャな噛み跡と出血が見られるのだ。
「せめて手をかざす治療くらいしてあげたいんだけど…」
「ダメだダメだ。怪我しててもダメだ。それに手負いの獣は何するかわからなくて危ないんだからな。早く捨てろって」
「でも、…でも、かわいそうだよ……」
ダンテとディーヴァの会話が刺激となったか、その閉じられていたまぶたがぱちっと音を立てそうな勢いで開いた。
真っ赤な瞳は悪魔のしるし。
なのに、ディーヴァを映す赤いガラス玉のようなつるんとしたくりくりの目は、全然恐ろしくなくてむしろとってもチャーミング。
女の子は対象が何だろうと、かわいいものが好きであり、それはディーヴァにも言える事。
「か…かわいい……ッ!!かわいい~~~!でも、こんなにかわいいのに、悪魔…なんだよね、キミ」
ディーヴァがウサギの前足の後ろに手を入れ、自分の目線の高さまで持ち上げると、ウサギはキョトンと首を傾げてみせた。
そして持ち上げるディーヴァの手の匂いを鼻をひくつかせ、くんくん。
……ガブッ!
「ぴぃっ!!うぅ…痛い……」
噛まれた。
「ほら!言わんこっちゃねぇ!」
げっ歯類の薄く鋭い前歯がディーヴァの柔らかな肌に食い込む。
思い切りではなかったものの、そこにはしっかりと跡がつき血がじわりと滲んでいた。
噛まれた本人より慌てたダンテが、荷物を置いてディーヴァに駆け寄る。
「大丈夫かディーヴァ!」
「大丈夫…ちょっとびっくりしちゃっただけ。痛いって言っても血もそんなに出てないし……」
びっくりしても尚ウサギを抱いたまま立ち尽くし、血の流れた箇所をのんびりチェックするディーヴァ。
ウサギの方も、噛み付いた事以外は大人しく抱かれていた。
ちなみに、噛まれた時の血も少しだけだったため、低級悪魔が喚ばれる事もなかった。
「そういう問題じゃないだろ、やっぱり危険だ」
「でも、悪魔なら噛みちぎるくらいもっと強く噛むよ。だってあたしは悪魔にとって餌にしかならない存在だもの。でしょ?」
「餌にしかならないって…そんな悲しい事言うなよ。とりあえず噛み付く元気があるならもういいだろ。そこに置いて帰るぞ」
「でも…でも………」
ぎゅっとウサギを抱きしめて離さないディーヴァ。
これでは動物を拾ってきてしまい飼いたがる子どもと、それを許可しない親だ。
「ディーヴァ、そいつは可愛いウサギのナリしててもお前の嫌いな悪魔だぞ?」
「ダンテだって半分とはいえ悪魔じゃんか…」
「オレはいいんだよ、オレはな」
「悪魔差別反対~」
人種差別ならぬ悪魔差別だと、口を尖らせて抗議するディーヴァ。
大きくため息を吐き出したダンテは荷物を持ち直し、ディーヴァにいい含めるように強く言って聞かせる。
「……………はぁ。いいか、ウチで怪我を治療するだけだからな」
「う゛……。わ、わかった…」
ディーヴァは治療したあと飼うように仕向ける気満々。
だがダンテが飼わないぞ、と念を押すように言っていることからも、その魂胆はバレバレだ。
それでも、自分には優しくて甘いダンテの事だ、上手く誘導すればなんとかなるだろう。
「ちょっとでもディーヴァに何かしたらオレはお前を殺す。悪魔ならそれはわかってるだろ」
ディーヴァが何やら考え込む横で、ダンテはウサギにだけ聞こえるように、冷たい視線と共にドスのきいた声を出した。
ウサギはわかってるんだかわかっていないんだがわからない表情で鼻をヒクヒクさせただけだった。
そして今度はディーヴァにも聞こえるように、努めて明るく言う。
「さ、そうと決まればそいつ連れて帰るぞ」
「ありがとうダンテ!!」
ぱあっ!と嬉しそうな笑顔になってウサギを抱いたままダンテに飛びつくと、ディーヴァは自分とダンテの間で窮屈そうなウサギを撫でた。
本当ならばコ●トコのような大きな店舗に車で行きたいところだが、残念な事にうちに車はない。
というか、ダンテはバイクこそ乗るが、車は運転できるのかどうかも定かではないし…。
軽く「ねぇダンテ、車の運転免許証持ってるー?」と聞けばいいのだが、車が欲しいなどと言われても困るので聞かないでおいた。
そしてショッピングモールのレストラン街で軽くお昼を食べ、食料品を買い込んだ帰り道。
「重いでしょ。1つくらいあたしが持つよ?」
「いや、いい。オレはこれくらいじゃ重さを感じないから大丈夫だけど、ディーヴァには1つでも重いと思うぜ」
たくさん食料品を買い込んだ2人。
右腕に2つ左腕に2つのビニール袋、両手で大きめな紙袋…という大量の荷物を抱えたダンテが、ディーヴァの隣を歩く。
反対にディーヴァは身軽で、自分のポシェットタイプのバッグのみ。
なんだか悪い気がして、さっきから何度か自分も荷物を持つと申し出ているのだが、ダンテは平気だの一点張りで聞いてくれないのだった。
ダンテが言う通り、もうそのままお言葉に甘えよう。
「今日のお夕飯は何が食べたい?好きなの作るよ」
「夕飯か……。ディーヴァが食「はい却下ー」最後まで言わせろよ」
「ちゃんとした料理名を言ってよね」
「ならピザ。というか、もともとピザ作る予定なんだろ?」
「よくわかったね!」
トマト缶に新鮮な各種野菜、フルーツ、チーズに、生地に使う小麦粉。
それにすぐピザが作れるようにと、具材を乗せて焼くだけという、冷凍のクラスト生地をやたらと多く買っているのでよくわかる。
「時期じゃないがストサンも作る予定入ってるだろ、ディーヴァ」
「ありゃ、そこまでわかってたのね。でも、確かにダンテの大好きなストロベリーサンデーも作るけど、冷凍庫イチゴだからそんなに美味しくないかも」
「ディーヴァが作った物に不味いのはない」
キッパリと言い切るので、聞いているこっちが恥ずかしい。
「ダンテ、ありがと……」
小さく呟くように言い、ダンテの服の端をきゅっと掴む。
気付いたダンテはこっちを見て微笑むのだった。
“ゅ……”
そんな微笑ましいような帰り道のさなか、微かに聞こえる動物の鳴き声。
「ねぇダンテ、なんか動物の鳴き声みたいなの聞こえない?」
「鳴き声?」
ディーヴァの言葉に耳を澄まして周りの音に集中する。
“きゅ……”
「ほらまた!」
「ちょ。おい!ディーヴァ!」
ディーヴァは聞こえた方角…近くの茂みへガサガサと進む。
そんな彼女を止めたくとも、自分の両手は荷物で塞がっているため、どうにも出来ない。
「ここ!ダンテ、この中にいるよ!…動物がうずくまってる…」
茂みを掻き分けて動物を見つけたディーヴァは、ダンテを呼んで共に覗き込む。
そこにいたのはベージュのふさふさした体毛に覆われた耳の長い小さな体。
どこかで見たことがあるようなないような…。
「あ。この子ってさっき教会で見かけたうさぎさんだ」
怪我をしているのか、目を閉じてぷるぷる震えているのを抱え上げてダンテに見せる。
「教会にウサギ?って、ちょっと待て。そいつツノ生えてるぞ!」
「え?ホントだ。今気がついた~。……………って、もしかしなくても悪魔、だよね??」
体毛と同じベージュ色でわかりづらかったが、よく見ればその頭には小ぶりながらも鹿のようなツノが。
そして纏う空気はもう馴染みとなった『魔』の物。
「ああ、もしかしなくてもどっからどう見ても悪魔。そいつから悪魔の気配がしてる。ディーヴァ、ポイしろポイ!」
「でも……でも、ひどい怪我してるよ。手当てしなきゃ」
ダンテはシッシッと追い払うようなジェスチャーで、捨てるよう言う。
しかし、いくら悪魔の類だとしても、抱き上げたウサギはこのまま放っておくと死んでしまうレベルの、何らかのグチャグチャな噛み跡と出血が見られるのだ。
「せめて手をかざす治療くらいしてあげたいんだけど…」
「ダメだダメだ。怪我しててもダメだ。それに手負いの獣は何するかわからなくて危ないんだからな。早く捨てろって」
「でも、…でも、かわいそうだよ……」
ダンテとディーヴァの会話が刺激となったか、その閉じられていたまぶたがぱちっと音を立てそうな勢いで開いた。
真っ赤な瞳は悪魔のしるし。
なのに、ディーヴァを映す赤いガラス玉のようなつるんとしたくりくりの目は、全然恐ろしくなくてむしろとってもチャーミング。
女の子は対象が何だろうと、かわいいものが好きであり、それはディーヴァにも言える事。
「か…かわいい……ッ!!かわいい~~~!でも、こんなにかわいいのに、悪魔…なんだよね、キミ」
ディーヴァがウサギの前足の後ろに手を入れ、自分の目線の高さまで持ち上げると、ウサギはキョトンと首を傾げてみせた。
そして持ち上げるディーヴァの手の匂いを鼻をひくつかせ、くんくん。
……ガブッ!
「ぴぃっ!!うぅ…痛い……」
噛まれた。
「ほら!言わんこっちゃねぇ!」
げっ歯類の薄く鋭い前歯がディーヴァの柔らかな肌に食い込む。
思い切りではなかったものの、そこにはしっかりと跡がつき血がじわりと滲んでいた。
噛まれた本人より慌てたダンテが、荷物を置いてディーヴァに駆け寄る。
「大丈夫かディーヴァ!」
「大丈夫…ちょっとびっくりしちゃっただけ。痛いって言っても血もそんなに出てないし……」
びっくりしても尚ウサギを抱いたまま立ち尽くし、血の流れた箇所をのんびりチェックするディーヴァ。
ウサギの方も、噛み付いた事以外は大人しく抱かれていた。
ちなみに、噛まれた時の血も少しだけだったため、低級悪魔が喚ばれる事もなかった。
「そういう問題じゃないだろ、やっぱり危険だ」
「でも、悪魔なら噛みちぎるくらいもっと強く噛むよ。だってあたしは悪魔にとって餌にしかならない存在だもの。でしょ?」
「餌にしかならないって…そんな悲しい事言うなよ。とりあえず噛み付く元気があるならもういいだろ。そこに置いて帰るぞ」
「でも…でも………」
ぎゅっとウサギを抱きしめて離さないディーヴァ。
これでは動物を拾ってきてしまい飼いたがる子どもと、それを許可しない親だ。
「ディーヴァ、そいつは可愛いウサギのナリしててもお前の嫌いな悪魔だぞ?」
「ダンテだって半分とはいえ悪魔じゃんか…」
「オレはいいんだよ、オレはな」
「悪魔差別反対~」
人種差別ならぬ悪魔差別だと、口を尖らせて抗議するディーヴァ。
大きくため息を吐き出したダンテは荷物を持ち直し、ディーヴァにいい含めるように強く言って聞かせる。
「……………はぁ。いいか、ウチで怪我を治療するだけだからな」
「う゛……。わ、わかった…」
ディーヴァは治療したあと飼うように仕向ける気満々。
だがダンテが飼わないぞ、と念を押すように言っていることからも、その魂胆はバレバレだ。
それでも、自分には優しくて甘いダンテの事だ、上手く誘導すればなんとかなるだろう。
「ちょっとでもディーヴァに何かしたらオレはお前を殺す。悪魔ならそれはわかってるだろ」
ディーヴァが何やら考え込む横で、ダンテはウサギにだけ聞こえるように、冷たい視線と共にドスのきいた声を出した。
ウサギはわかってるんだかわかっていないんだがわからない表情で鼻をヒクヒクさせただけだった。
そして今度はディーヴァにも聞こえるように、努めて明るく言う。
「さ、そうと決まればそいつ連れて帰るぞ」
「ありがとうダンテ!!」
ぱあっ!と嬉しそうな笑顔になってウサギを抱いたままダンテに飛びつくと、ディーヴァは自分とダンテの間で窮屈そうなウサギを撫でた。