mission 32:Jackalope ~天使の飼う悪魔~
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滞りなくミサを無事に終えたディーヴァ。
人の少なくなって静寂に包まれた大聖堂の中は神聖な空気で満たされており、ディーヴァの身に宿る天使の血が喜んでいるのを感じる。
ダンテには終わったら早く戻って来いと言われていたけれどもそれを忘れ、しばらくは聖母マリアがキリストをその胸に抱く様子が描かれたステンドグラスを眺めていた。
叶う事ならば、いつかはあの聖母マリアのようにこの腕に我が子を抱けるようになりたい。
愛する人との子どもが欲しい。
女性として生まれてきた以上、そう思うのは当たり前だろう。
だが、こればかりはディーヴァだけの問題でもなく、今はいくら考えても答えは出ないのだ。
「こういう考えはやめやめ。ここの空気は気持ちいいけど、ダンテが待ってる。早く行かなきゃね」
ディーヴァが急ぎ足で教会の観音扉を出たと同時、ふわりと夏の風が吹いて爽やかな香りを運んできた。
場所は教会の敷地内のすぐ裏手。
「ん……なんだろう、ミントっぽい匂いがする」
ちょっと気になったディーヴァは、本当にちょっとだけ、覗いてみる事にする。
建物からひょっこり顔を出して見た先には、緑の絨毯と割と小さいながら青々と茂る林が広がっていた。
「建物はそこまでおっきくないって知ってたけど、林やお庭があるから敷地が広いんだ」
一応町の真ん中である事だし大型の動物こそいなさそうだが、小動物の類は生息している事だろう。
そして、近づいてよく見ると緑の絨毯だと思っていた物こそ良い匂いの発生源。
「あ、これ全部ミントだ。教会のお庭にいろんなミントが分け植えされてる…!」
ミントの分け植えは人の手が入らない事には上手く出来ない。
なぜならミントは分け植えしないと強い種類が弱い種類を駆逐してしまうからであり、それで1度ディーヴァも失敗した事がある。
「冷たいミントティー飲みたいな」
勝手に摘む事は出来ないので、しゃがんで匂いだけ楽しむ。
ダンテのところに行くのはそれからだって遅くない。
夢中で指の腹でミントの葉を擦っていると、嗅覚でなく今度は聴覚を刺激してくる者が現れた。
タンタンタン!
「ほへ?なんの音?」
何かを踏み鳴らすような音の出所は林方面か。
目を凝らしてよく見ていると、茂みの中から長い耳のようなものが一瞬だけ飛び出してぴくぴくと揺れた。
茂みで暗いのでよくはわからないが、ウサギのようだ。
ということはウサギ達の意思伝達手段である地面を鳴らすスタンピングの音だろうと推測する。
「へー。本当にちっちゃい動物もいるんだなぁ。野うさぎかな?」
ちょっと撫でたい気もするが、いい加減ダンテの元に行かないと。
あまり待たせすぎると、心配をかけるかもしれないし、何より油を売っていた事がバレてあとが怖い。
ウサギから目を離し、ディーヴァは立ち上がる。
「…てか、一瞬背筋がゾワッとしたような…なんでだろ?んー??」
ここは教会の敷地内。
神聖な空気にちょっぴりだけお邪魔するように、悪魔を近くに感じるような、そんな気配を感じた。
ダンテがここまで送ってくれたから、きっとダンテの悪魔部分の気配だけ、ここに漂っているのかもしれない。
そう考える事にして、ディーヴァはそこをあとにした。
このウサギの頭には普通のウサギにないものが付いている事も、赤い目で茂みの中からディーヴァをずっと見ていた事も、ディーヴァは知らなかった。
人の少なくなって静寂に包まれた大聖堂の中は神聖な空気で満たされており、ディーヴァの身に宿る天使の血が喜んでいるのを感じる。
ダンテには終わったら早く戻って来いと言われていたけれどもそれを忘れ、しばらくは聖母マリアがキリストをその胸に抱く様子が描かれたステンドグラスを眺めていた。
叶う事ならば、いつかはあの聖母マリアのようにこの腕に我が子を抱けるようになりたい。
愛する人との子どもが欲しい。
女性として生まれてきた以上、そう思うのは当たり前だろう。
だが、こればかりはディーヴァだけの問題でもなく、今はいくら考えても答えは出ないのだ。
「こういう考えはやめやめ。ここの空気は気持ちいいけど、ダンテが待ってる。早く行かなきゃね」
ディーヴァが急ぎ足で教会の観音扉を出たと同時、ふわりと夏の風が吹いて爽やかな香りを運んできた。
場所は教会の敷地内のすぐ裏手。
「ん……なんだろう、ミントっぽい匂いがする」
ちょっと気になったディーヴァは、本当にちょっとだけ、覗いてみる事にする。
建物からひょっこり顔を出して見た先には、緑の絨毯と割と小さいながら青々と茂る林が広がっていた。
「建物はそこまでおっきくないって知ってたけど、林やお庭があるから敷地が広いんだ」
一応町の真ん中である事だし大型の動物こそいなさそうだが、小動物の類は生息している事だろう。
そして、近づいてよく見ると緑の絨毯だと思っていた物こそ良い匂いの発生源。
「あ、これ全部ミントだ。教会のお庭にいろんなミントが分け植えされてる…!」
ミントの分け植えは人の手が入らない事には上手く出来ない。
なぜならミントは分け植えしないと強い種類が弱い種類を駆逐してしまうからであり、それで1度ディーヴァも失敗した事がある。
「冷たいミントティー飲みたいな」
勝手に摘む事は出来ないので、しゃがんで匂いだけ楽しむ。
ダンテのところに行くのはそれからだって遅くない。
夢中で指の腹でミントの葉を擦っていると、嗅覚でなく今度は聴覚を刺激してくる者が現れた。
タンタンタン!
「ほへ?なんの音?」
何かを踏み鳴らすような音の出所は林方面か。
目を凝らしてよく見ていると、茂みの中から長い耳のようなものが一瞬だけ飛び出してぴくぴくと揺れた。
茂みで暗いのでよくはわからないが、ウサギのようだ。
ということはウサギ達の意思伝達手段である地面を鳴らすスタンピングの音だろうと推測する。
「へー。本当にちっちゃい動物もいるんだなぁ。野うさぎかな?」
ちょっと撫でたい気もするが、いい加減ダンテの元に行かないと。
あまり待たせすぎると、心配をかけるかもしれないし、何より油を売っていた事がバレてあとが怖い。
ウサギから目を離し、ディーヴァは立ち上がる。
「…てか、一瞬背筋がゾワッとしたような…なんでだろ?んー??」
ここは教会の敷地内。
神聖な空気にちょっぴりだけお邪魔するように、悪魔を近くに感じるような、そんな気配を感じた。
ダンテがここまで送ってくれたから、きっとダンテの悪魔部分の気配だけ、ここに漂っているのかもしれない。
そう考える事にして、ディーヴァはそこをあとにした。
このウサギの頭には普通のウサギにないものが付いている事も、赤い目で茂みの中からディーヴァをずっと見ていた事も、ディーヴァは知らなかった。