mission 32:Jackalope ~天使の飼う悪魔~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一足先に食べ終えたダンテは空になった皿から目を離し、今度は冷たいオレンジジュースを飲みながら、サラダをもきゅもきゅと食べているディーヴァに目を移す。
「さーて、ディーヴァのこれからの御予定は?」
「んむ?」
サラダに集中していたディーヴァが、口の端からサニーレタスをはみ出させ、こちらを見た。
その表情は餌を食べている時のウサギにそっくりだ。
「今日は休みだろ」
外でデートするか家でベッド上で楽しむか、ゆるく腕を組み返答を待つダンテの表情は、非常にウキウキしていた。
が、次にディーヴァから返ってきた答えにダンテはげんなりする事になる。
「今日はせっかく日曜日に取れた休日だよ。たまにはミサに行かなきゃ」
「ミサ……?げっ!!」
ミサという事は、すなわち教会に行くということ。
ディーヴァは自分の方が祈りを捧げられそうな『天使』の血族という存在にもかかわらず、たまにキリストが掲げられた十字架に祈りを捧げに教会へ行く。
が、ダンテはあまり教会が好きではないため、この時ばかりはディーヴァと一緒に行かない。
いつもディーヴァのそばにいたがるダンテが、唯一ついていかない場所代表だ。
なぜ行かないのか、それは。
半分悪魔だとバレるとか祓われるとか退治されるとか、そういった事は特にないのだがこの血に組み込まれた悪魔の遺伝子によるものなのか、胃のあたりがザワザワしてなんとなく居心地が悪いのだ。
進んで気分の悪い思いをしてまで、聖歌や聖書の一節をなぞりたくはない。
もちろん、どうしても!とディーヴァにお願いされれば行くが、ディーヴァもそれについては強要してこないし。
「あーあ、ディーヴァは教会なんぞで眠くなりそうな話を聞きに行くのかよ。そんな暇あるならオレとデートしてた方がマシだろ」
「なんぞとは失礼ね。あ、たまにはダンテも来る?心が洗われるよ~」
「ぜってぇ行かねぇ」
軽~く声をかけてきたディーヴァに、先ほどよりも更に渋い顔でダンテは教会に足を踏み入れるのを拒否した。
それにしても、エプロンを脱いだディーヴァの本日の格好は白地のストライプブラウスに、ふんわりしたシルエットの黒のシフォンスカートか。
教会に行くならちょうどいいモノトーンなまとめ具合だろう。
ダンテもどちらかというとモノトーンな格好なので、ペアルックに見えぬ事もない。
その事に少しばかり嬉しさを見いだして胸の内をほっこりさせながら、食べ終えた皿を流し台に置くついでにディーヴァの頭をなでなでする。
「今日も美味かった、ごっそーさん。
ディーヴァが教会にいる間、オレはカフェにいるから。早く終わらせて来いよ?」
「いつものカフェね」
ディーヴァが教会に行く時にダンテが待機しているカフェがある。
そこでおとなしくコーヒー片手にディーヴァの帰りを待っているダンテは、端から見たらイケメンモデルか彫刻か何かのようで自分にはもったいないくらいのカッコよさ。
いつもこの時みたく黙っていれば、ホントにもっとカッコいいのにと思う。
「そのあとの予定は家に帰ってオレとベッドでランデブーだよな?」
「そんな予定はございません!」
とりあえず一言余計。
まあ、これ以上モテられても困るのはこっちなのでこれくらいおちゃらけているのがちょうどいいか。
自分も食べ終わったので洗い物だけ手早に済ませ、先に出かける準備が終わって待っているダンテの元へ。
外へ出ると今日も今日とて結構暑い。
ギリギリ歩いて行ける距離に教会があるので、2人はバスも使わずゆっくりと歩道を歩いていくことに。
自分も暑いだろうに、なるべくディーヴァが日陰を通れるよう手を引いて、ダンテ自身は日向を歩いてしまっている。
そんな小さな気遣いある優しさに嬉しくなり、やっぱり添い寝くらいならしてもいいかな、なんて思ったりして。
もしくは帰りに買い出ししに行った時、ダンテの好きな物をたくさん買おう。
久しぶりにピザとストロベリーサンデーを作るのもいいかなぁ。
…などとダンテに甘い考えが頭をよぎる。
そんなことばかり考えて歩いていたら、いつの間にやら教会の前へ到着。
ちなみにダンテはまだ隣にいるが、ダンテがこれから小一時間待つカフェはこの教会と同じ通り沿いであり、今しがた通り抜けてきたところだった。
「二度手間になっちゃうからダンテはカフェに行ってても良かったのに」
「オレがディーヴァを送りたかったんだからいいんだよ」
「ダンテは過保護……」
カフェから教会まで200mもない。
ちょっと遠回りしたってなんともないのに、ディーヴァに過保護と言われてしまった。
細やかな鉄柵に囲まれた教会は、敷地内に足を踏み入れるだけで神聖な空気に包まれる。
ディーヴァから出るダンテを歓迎してくれる馴染みある神聖な空気とは別で、ダンテを異質と見るような混じることない神聖な空気が漂っている。
まるで水と油のようだ。
微妙な違和を感じて不満げな表情のダンテがけなすように鼻を鳴らす。
「相変わらず古臭い教会だ。なんでこんなところが聖なる力持ってるのか…わけわかんねぇ」
「それだけ歴史があるって事だよ」
控えめでありながらも厳然なステンドグラスに囲まれた教会は、何十年も前に建てられて古いのかところどころ壁の塗装が剥がれてしまっている。
それでも鐘と十字架は大切にピカピカと磨き上げられ、変わらぬ美しさを保っていた。
「じゃあ、行ってくるね」
「ああ、しっかりお祈り……いや、適当にお祈りしてこいよ」
「はいはい」
ミサの時間は定刻通り行われるようで、周りの人間もどんどん教会へ入っていく。
もうすぐ時間だと、ディーヴァもそれにならうようにダンテから離れ、教会の入り口方面へ歩いていく。
ダンテはディーヴァが教会へ入るのをしっかりと見届け、今一度そびえ立つ教会をため息とともに見上げ、そしてカフェへと踵を返した。
「さーて、ディーヴァのこれからの御予定は?」
「んむ?」
サラダに集中していたディーヴァが、口の端からサニーレタスをはみ出させ、こちらを見た。
その表情は餌を食べている時のウサギにそっくりだ。
「今日は休みだろ」
外でデートするか家でベッド上で楽しむか、ゆるく腕を組み返答を待つダンテの表情は、非常にウキウキしていた。
が、次にディーヴァから返ってきた答えにダンテはげんなりする事になる。
「今日はせっかく日曜日に取れた休日だよ。たまにはミサに行かなきゃ」
「ミサ……?げっ!!」
ミサという事は、すなわち教会に行くということ。
ディーヴァは自分の方が祈りを捧げられそうな『天使』の血族という存在にもかかわらず、たまにキリストが掲げられた十字架に祈りを捧げに教会へ行く。
が、ダンテはあまり教会が好きではないため、この時ばかりはディーヴァと一緒に行かない。
いつもディーヴァのそばにいたがるダンテが、唯一ついていかない場所代表だ。
なぜ行かないのか、それは。
半分悪魔だとバレるとか祓われるとか退治されるとか、そういった事は特にないのだがこの血に組み込まれた悪魔の遺伝子によるものなのか、胃のあたりがザワザワしてなんとなく居心地が悪いのだ。
進んで気分の悪い思いをしてまで、聖歌や聖書の一節をなぞりたくはない。
もちろん、どうしても!とディーヴァにお願いされれば行くが、ディーヴァもそれについては強要してこないし。
「あーあ、ディーヴァは教会なんぞで眠くなりそうな話を聞きに行くのかよ。そんな暇あるならオレとデートしてた方がマシだろ」
「なんぞとは失礼ね。あ、たまにはダンテも来る?心が洗われるよ~」
「ぜってぇ行かねぇ」
軽~く声をかけてきたディーヴァに、先ほどよりも更に渋い顔でダンテは教会に足を踏み入れるのを拒否した。
それにしても、エプロンを脱いだディーヴァの本日の格好は白地のストライプブラウスに、ふんわりしたシルエットの黒のシフォンスカートか。
教会に行くならちょうどいいモノトーンなまとめ具合だろう。
ダンテもどちらかというとモノトーンな格好なので、ペアルックに見えぬ事もない。
その事に少しばかり嬉しさを見いだして胸の内をほっこりさせながら、食べ終えた皿を流し台に置くついでにディーヴァの頭をなでなでする。
「今日も美味かった、ごっそーさん。
ディーヴァが教会にいる間、オレはカフェにいるから。早く終わらせて来いよ?」
「いつものカフェね」
ディーヴァが教会に行く時にダンテが待機しているカフェがある。
そこでおとなしくコーヒー片手にディーヴァの帰りを待っているダンテは、端から見たらイケメンモデルか彫刻か何かのようで自分にはもったいないくらいのカッコよさ。
いつもこの時みたく黙っていれば、ホントにもっとカッコいいのにと思う。
「そのあとの予定は家に帰ってオレとベッドでランデブーだよな?」
「そんな予定はございません!」
とりあえず一言余計。
まあ、これ以上モテられても困るのはこっちなのでこれくらいおちゃらけているのがちょうどいいか。
自分も食べ終わったので洗い物だけ手早に済ませ、先に出かける準備が終わって待っているダンテの元へ。
外へ出ると今日も今日とて結構暑い。
ギリギリ歩いて行ける距離に教会があるので、2人はバスも使わずゆっくりと歩道を歩いていくことに。
自分も暑いだろうに、なるべくディーヴァが日陰を通れるよう手を引いて、ダンテ自身は日向を歩いてしまっている。
そんな小さな気遣いある優しさに嬉しくなり、やっぱり添い寝くらいならしてもいいかな、なんて思ったりして。
もしくは帰りに買い出ししに行った時、ダンテの好きな物をたくさん買おう。
久しぶりにピザとストロベリーサンデーを作るのもいいかなぁ。
…などとダンテに甘い考えが頭をよぎる。
そんなことばかり考えて歩いていたら、いつの間にやら教会の前へ到着。
ちなみにダンテはまだ隣にいるが、ダンテがこれから小一時間待つカフェはこの教会と同じ通り沿いであり、今しがた通り抜けてきたところだった。
「二度手間になっちゃうからダンテはカフェに行ってても良かったのに」
「オレがディーヴァを送りたかったんだからいいんだよ」
「ダンテは過保護……」
カフェから教会まで200mもない。
ちょっと遠回りしたってなんともないのに、ディーヴァに過保護と言われてしまった。
細やかな鉄柵に囲まれた教会は、敷地内に足を踏み入れるだけで神聖な空気に包まれる。
ディーヴァから出るダンテを歓迎してくれる馴染みある神聖な空気とは別で、ダンテを異質と見るような混じることない神聖な空気が漂っている。
まるで水と油のようだ。
微妙な違和を感じて不満げな表情のダンテがけなすように鼻を鳴らす。
「相変わらず古臭い教会だ。なんでこんなところが聖なる力持ってるのか…わけわかんねぇ」
「それだけ歴史があるって事だよ」
控えめでありながらも厳然なステンドグラスに囲まれた教会は、何十年も前に建てられて古いのかところどころ壁の塗装が剥がれてしまっている。
それでも鐘と十字架は大切にピカピカと磨き上げられ、変わらぬ美しさを保っていた。
「じゃあ、行ってくるね」
「ああ、しっかりお祈り……いや、適当にお祈りしてこいよ」
「はいはい」
ミサの時間は定刻通り行われるようで、周りの人間もどんどん教会へ入っていく。
もうすぐ時間だと、ディーヴァもそれにならうようにダンテから離れ、教会の入り口方面へ歩いていく。
ダンテはディーヴァが教会へ入るのをしっかりと見届け、今一度そびえ立つ教会をため息とともに見上げ、そしてカフェへと踵を返した。