mission 31:we love amusement park ~王道の遊園地デート~
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季節は春うらら。
とは言え夜はまだまだ冷えるこの時期。
ダンテとディーヴァはそんな寒い夜だというに、寒風吹き荒ぶ屋外にいた。
「なんであたしまで来なくちゃいけないの?」
ファー付きのダウンジャケットを着込んで防寒していても寒いのか、鼻の頭を赤くしたディーヴァが不服そうな顔で凍えてみせる。
「仕方ないだろ。今回の悪魔は男女カップルの前にしか出てこないってんだから…」
「だからって何も夜に来なくてもいいのに」
廃墟と化した遊園地の前、管理人に借りてきたという金網で出来た扉の鍵をカチャカチャ言わせながらダンテは答えた。
その金属音とすらとても耳障りで、聞いているだけでも寒さが増大する気がする。
「この依頼は夜限定なんだよ、お子ちゃまディーヴァちゃん?」
「お子ちゃま言わないで。あーあ、あったかいベッドが恋しいよぅ……」
「終わったらオレがベッドの中でよーーーーく暖めてやるって」
「ダンテの『暖める』はスケベな事だからいりません。
よーし、こうなったらさっさと終わらせる!早く行こ!!」
いやらしい手つきで腰を撫でてくるダンテの手を軽く振りはらい、ディーヴァは我先にと金網の扉の向こうへ。
ダンテを置いていくというかのような早さで足を踏み出したのもつかの間……。
「どしたディーヴァ、歩みを止めて。さっきまでの勇み足はどしたよ?」
「だって……ここ廃墟なんでしょ?気味が悪くて怖いじゃない。それに………」
「それに?」
「この中のアトラクションで行くところがどこだかも、依頼がどんな内容なのかも聞いてないもん」
その瞬間、ダンテは盛大に吹き出した。
「依頼はこの廃遊園地に出る悪魔をなんとかする事。悪魔はカップルで訪れた人々を連れ去って数日間行方不明にしちまうんだと」
「行方不明って数日間だけ?」
「そうだ。いなくなった場所にいきなりパッと戻ってきて……。
どこか体調や体の変化がないのかも調べたみたいだが、数日間飲まず食わずの分の栄養不足と、怪奇現象への恐怖が強まったくらいで特に何もないらしい」
ダンテはディーヴァの手をしっかり握り、少しでも恐怖がなくなるようたまに抱きしめつつ今回の依頼の説明をする。
ちょっとだけ歩きづらいが、ディーヴァが夜の闇を怖がるなら仕方ない。
「ふーん。悪魔なのに魂とか命取るわけじゃないんだね。愉快犯かな?」
ほっておいても問題なさそうな気がしちゃう、というディーヴァの言葉もあながち間違ってはいない。
「それはオレも思った。実害ほとんどなしで寧ろご利益があるってんなら、そのままでいいんじゃねぇか、ってな………」
「ご利益って、なんかいいことあるの?」
「巻き込まれたカップルは戻ってきたあとラブラブになる、というジンクスがあるらしい」
「へぇ~愛のキューピッドか~。悪魔が関係するにしてはすごく素敵なジンクスだね」
「そんなの自分達の愛の力でラブラブになったんだから胸を張れ、と言ってやりたいけどな。
つか、そんなんただの吊り橋効果だろ」
共に危険を乗り越えた男女は、危険に陥った時のドキドキを恋愛のドキドキと勘違いしその結果、恋に発展しやすいという有名な話である。
ただし、その恋は冷めやすいとも言われているので注意が必要だと言っておこう。
「そんなジンクスがあるせいかな……この依頼はどっちかってーと、たまにここで消えるカップルのせいで廃遊園地の取り壊し工事が進まねぇから悪魔を何とかして欲しい……っていう感じの内容だな」
「なんかかわいそう」
「ああ。悪魔も住みづれぇ世の中になっちまって……」
ちょっとわざとらしいが、ヨヨヨと涙を流すようなジェスチャーをしてみせるダンテ。
自分も半分は悪魔なので他人事とは思えない、とでも言いたげ。
「おっと、だからと言って悪魔に同情してる暇はないぜ。
前金もらっちまってるからなんとかしないとオレ達が干される」
「げ。なんで前金なんかもらってるのよ。全くもう……じゃあ急がないと」
「急ぐのもいい。ただ、とてつもなく恐ろしい目に合うという点は、我慢しなくちゃならねぇからな?」
「恐ろしい目?」
「ホラーハウスに出るゴーストに扮した悪魔なんだと」
「えっ……」
ディーヴァの嫌いなものは暗闇や独りきりや雷。
そういうのか嫌いだということはもちろん、怖いものもそれ相当に苦手である。
「さ、着いた」
いつの間にか目的地である『元ホラーハウス』にたどり着いたようだ。
ホラーハウスのガイド役よろしく、ニヤァ~と暗めの笑みを浮かべたダンテがディーヴァの手を引っ張り、中へ案内しようとする。
「や!あたし帰る!!」
「そうは行くか、さーディーヴァも楽しい悪魔狩りに逝くぞー」
「行くの字が違うよぉ……!」
悲しいかな、ディーヴァの拒否も虚しく、ダンテに強制連行されてしまうのでした。
キィィィ~……。
そっと開けるにしても、建てつけの古くなってきた扉はホラー感たっぷりな悲鳴をあげる。
音だけでも怖くてたまらない。
今のディーヴァは、箸が転がっても恐怖で大パニックになること間違いなしだ。
カタン、……。
「ひぇっ!!」
「ディーヴァ、自分のたてる足音にまで驚くなよ」
「だ、だって~~」
ダンテが真横にいてもこれである。
肖像画が怖い。
揺れるカーテンが怖い。
自分が作る影も怖い。
何故ならここはホラーハウス、幽霊や悪魔が出る出ないに関わらずどうしたって人間の恐怖を煽るような設計をしてある。
「ぎゃあ!い、今半分とーめいな人が窓に!窓にぃ!!」
「おいおい、ンなわけねぇだろ。
脅かし役の従業員もいねぇんだから窓には……ほら、ハリボテだ」
泣き出しそうになりながら横を進むダンテに進言。
うんざりしながら確認するダンテは、かれこれ何回も同じような指摘を受け、その度にこうして安心させているのだ。
メキョ。
「あ、やべ。また壁ぶっ壊した。まぁいいか、どうせ取り壊し予定の物件だ」
ディーヴァを安全に連れて行く道すがら、こちらを驚かすための装置やハリボテに拳を振るって壊しぎみのダンテ。
今なんかは壁に思い切り穴を開けてしまった。
「うう…別に壊しても大丈夫かもしれないけどさ、実際に運営中のホラーハウスでは同じことやらないでよ?
………あたしは絶対行かないけど」
ディーヴァ、小声で追加。
逆にダンテは、今度絶対連れて行こうとニヤニヤ笑みを浮かべた。
「それはともかくいつも悪魔で慣れてるだろ、しかも中身は天使様ときた。
聖なるパワーとかでホンモノとニセモノの見分けくらいつけよ」
「そんなの無理だし~」
「無理だし~じゃねぇっつの……。
つーかこのアトラクション、本当なら従業員扮するゾンビに何処までも追いかけられるヤツだったらしいぜ。ディーヴァは途中退場確実だな」
「追いかけられるのならだいじょぶだもん。……多分」
自分でもびっくりするくらい逃げ足だけは早い。
逃げ足だけは。
「ホントかよ。
ん、確か出口付近の鏡が悪魔の発生源だったな。あった、あれだ。ディーヴァ、行く、ぞ…………アレ、いない…………!?」
元凶である鏡を見つけたまでは良かった。
隣にいるはずのディーヴァを見たら、そこには誰もいない。
割れて足元に散乱していたガラスの破片に映る、自身の双眸と目が合っただけだった。
「ディーヴァ……?」
とは言え夜はまだまだ冷えるこの時期。
ダンテとディーヴァはそんな寒い夜だというに、寒風吹き荒ぶ屋外にいた。
「なんであたしまで来なくちゃいけないの?」
ファー付きのダウンジャケットを着込んで防寒していても寒いのか、鼻の頭を赤くしたディーヴァが不服そうな顔で凍えてみせる。
「仕方ないだろ。今回の悪魔は男女カップルの前にしか出てこないってんだから…」
「だからって何も夜に来なくてもいいのに」
廃墟と化した遊園地の前、管理人に借りてきたという金網で出来た扉の鍵をカチャカチャ言わせながらダンテは答えた。
その金属音とすらとても耳障りで、聞いているだけでも寒さが増大する気がする。
「この依頼は夜限定なんだよ、お子ちゃまディーヴァちゃん?」
「お子ちゃま言わないで。あーあ、あったかいベッドが恋しいよぅ……」
「終わったらオレがベッドの中でよーーーーく暖めてやるって」
「ダンテの『暖める』はスケベな事だからいりません。
よーし、こうなったらさっさと終わらせる!早く行こ!!」
いやらしい手つきで腰を撫でてくるダンテの手を軽く振りはらい、ディーヴァは我先にと金網の扉の向こうへ。
ダンテを置いていくというかのような早さで足を踏み出したのもつかの間……。
「どしたディーヴァ、歩みを止めて。さっきまでの勇み足はどしたよ?」
「だって……ここ廃墟なんでしょ?気味が悪くて怖いじゃない。それに………」
「それに?」
「この中のアトラクションで行くところがどこだかも、依頼がどんな内容なのかも聞いてないもん」
その瞬間、ダンテは盛大に吹き出した。
「依頼はこの廃遊園地に出る悪魔をなんとかする事。悪魔はカップルで訪れた人々を連れ去って数日間行方不明にしちまうんだと」
「行方不明って数日間だけ?」
「そうだ。いなくなった場所にいきなりパッと戻ってきて……。
どこか体調や体の変化がないのかも調べたみたいだが、数日間飲まず食わずの分の栄養不足と、怪奇現象への恐怖が強まったくらいで特に何もないらしい」
ダンテはディーヴァの手をしっかり握り、少しでも恐怖がなくなるようたまに抱きしめつつ今回の依頼の説明をする。
ちょっとだけ歩きづらいが、ディーヴァが夜の闇を怖がるなら仕方ない。
「ふーん。悪魔なのに魂とか命取るわけじゃないんだね。愉快犯かな?」
ほっておいても問題なさそうな気がしちゃう、というディーヴァの言葉もあながち間違ってはいない。
「それはオレも思った。実害ほとんどなしで寧ろご利益があるってんなら、そのままでいいんじゃねぇか、ってな………」
「ご利益って、なんかいいことあるの?」
「巻き込まれたカップルは戻ってきたあとラブラブになる、というジンクスがあるらしい」
「へぇ~愛のキューピッドか~。悪魔が関係するにしてはすごく素敵なジンクスだね」
「そんなの自分達の愛の力でラブラブになったんだから胸を張れ、と言ってやりたいけどな。
つか、そんなんただの吊り橋効果だろ」
共に危険を乗り越えた男女は、危険に陥った時のドキドキを恋愛のドキドキと勘違いしその結果、恋に発展しやすいという有名な話である。
ただし、その恋は冷めやすいとも言われているので注意が必要だと言っておこう。
「そんなジンクスがあるせいかな……この依頼はどっちかってーと、たまにここで消えるカップルのせいで廃遊園地の取り壊し工事が進まねぇから悪魔を何とかして欲しい……っていう感じの内容だな」
「なんかかわいそう」
「ああ。悪魔も住みづれぇ世の中になっちまって……」
ちょっとわざとらしいが、ヨヨヨと涙を流すようなジェスチャーをしてみせるダンテ。
自分も半分は悪魔なので他人事とは思えない、とでも言いたげ。
「おっと、だからと言って悪魔に同情してる暇はないぜ。
前金もらっちまってるからなんとかしないとオレ達が干される」
「げ。なんで前金なんかもらってるのよ。全くもう……じゃあ急がないと」
「急ぐのもいい。ただ、とてつもなく恐ろしい目に合うという点は、我慢しなくちゃならねぇからな?」
「恐ろしい目?」
「ホラーハウスに出るゴーストに扮した悪魔なんだと」
「えっ……」
ディーヴァの嫌いなものは暗闇や独りきりや雷。
そういうのか嫌いだということはもちろん、怖いものもそれ相当に苦手である。
「さ、着いた」
いつの間にか目的地である『元ホラーハウス』にたどり着いたようだ。
ホラーハウスのガイド役よろしく、ニヤァ~と暗めの笑みを浮かべたダンテがディーヴァの手を引っ張り、中へ案内しようとする。
「や!あたし帰る!!」
「そうは行くか、さーディーヴァも楽しい悪魔狩りに逝くぞー」
「行くの字が違うよぉ……!」
悲しいかな、ディーヴァの拒否も虚しく、ダンテに強制連行されてしまうのでした。
キィィィ~……。
そっと開けるにしても、建てつけの古くなってきた扉はホラー感たっぷりな悲鳴をあげる。
音だけでも怖くてたまらない。
今のディーヴァは、箸が転がっても恐怖で大パニックになること間違いなしだ。
カタン、……。
「ひぇっ!!」
「ディーヴァ、自分のたてる足音にまで驚くなよ」
「だ、だって~~」
ダンテが真横にいてもこれである。
肖像画が怖い。
揺れるカーテンが怖い。
自分が作る影も怖い。
何故ならここはホラーハウス、幽霊や悪魔が出る出ないに関わらずどうしたって人間の恐怖を煽るような設計をしてある。
「ぎゃあ!い、今半分とーめいな人が窓に!窓にぃ!!」
「おいおい、ンなわけねぇだろ。
脅かし役の従業員もいねぇんだから窓には……ほら、ハリボテだ」
泣き出しそうになりながら横を進むダンテに進言。
うんざりしながら確認するダンテは、かれこれ何回も同じような指摘を受け、その度にこうして安心させているのだ。
メキョ。
「あ、やべ。また壁ぶっ壊した。まぁいいか、どうせ取り壊し予定の物件だ」
ディーヴァを安全に連れて行く道すがら、こちらを驚かすための装置やハリボテに拳を振るって壊しぎみのダンテ。
今なんかは壁に思い切り穴を開けてしまった。
「うう…別に壊しても大丈夫かもしれないけどさ、実際に運営中のホラーハウスでは同じことやらないでよ?
………あたしは絶対行かないけど」
ディーヴァ、小声で追加。
逆にダンテは、今度絶対連れて行こうとニヤニヤ笑みを浮かべた。
「それはともかくいつも悪魔で慣れてるだろ、しかも中身は天使様ときた。
聖なるパワーとかでホンモノとニセモノの見分けくらいつけよ」
「そんなの無理だし~」
「無理だし~じゃねぇっつの……。
つーかこのアトラクション、本当なら従業員扮するゾンビに何処までも追いかけられるヤツだったらしいぜ。ディーヴァは途中退場確実だな」
「追いかけられるのならだいじょぶだもん。……多分」
自分でもびっくりするくらい逃げ足だけは早い。
逃げ足だけは。
「ホントかよ。
ん、確か出口付近の鏡が悪魔の発生源だったな。あった、あれだ。ディーヴァ、行く、ぞ…………アレ、いない…………!?」
元凶である鏡を見つけたまでは良かった。
隣にいるはずのディーヴァを見たら、そこには誰もいない。
割れて足元に散乱していたガラスの破片に映る、自身の双眸と目が合っただけだった。
「ディーヴァ……?」