mission 30:going to travel ~日本~
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「ようこそお越しくださいました」
中へ入ると従業員だろう、仲居さん女将などが一斉にこちらに向き深々とお辞儀と共にそう言ってきた。
アメリカでは考えられない礼儀正しい対応に、びっくりして2人とも声が出なかった。
チケットを出し案内され辿り着いた部屋。
一通りの説明を受けたディーヴァは、ここまで連れてきてくれた女将さんだろう、人に心付を渡しておいた。
ダンテが迷惑をかけるといけないと思ったわけではない。
日本では心付を渡すという習慣があると、何かで読んでいたからやってみたかったのだ。
女将さんは心付の代わりにだろうか、ある事を耳打ちしてくれた。
ダンテもディーヴァも、それを喜んで受け入れた。
そして十数分後…。
「はぁ~やっとつーいたっ!きゅーけいきゅーけい!」
室内の暖かさと寒い外気温との差で結露した窓。
カララ、とその窓を開ければそこにあるのは、マイナスイオンをたくさん放出していそうな、清らかにかつ激しく流れる川だった。
更に上流の方に行けば滝も見れるらしい。
「流れ速いな。窓から落ちないよう気をつけろ」
「落ちないってば」
「どうだかな~…ディーヴァ、おっちょこちょいだし?」
その言葉にムッとするが、まあいい。
淹れてもらった緑茶と茶菓子をやっつけながら、2人はしばし川を眺める。
雪の白と、氷の透明さ、川の流れのコントラストがとても綺麗だ。
なぜ日本の物ってこんなに綺麗なのだろうと思いながら、その中に潜んでいるかもしれない生き物を探す。
「お魚さんいるかな?」
「冬だしなぁ、あったかいとこに隠れてるんじゃねぇか?」
「そっかぁ…」
残念そうに眉を下げるディーヴァ。
じっと見ていても、ピチョンと跳ねる魚は一匹も見当たらないが、相変わらずその景観は美しかった。
「ほら、お前も魚と同じで冷えちまうぜ。もう窓閉めろ」
「んー、もうちょっとだけ」
「オレが寒いんだ。…あっためてくれよ、darling……」
後ろから抱き込み、耳元で甘い吐息と共に囁く。
「そういうのはまたあとで」
ダンテの吐息と唇が、首筋や耳にくすぐったい。
ディーヴァはクスクス笑って『お誘い』をやんわり拒むと、ダンテに向き直ってその行動から逃れた。
「それより、お散歩しよ」
「この格好で、か?」
「もちろん」
実は旅館についた今、ダンテとディーヴァは備え付けの浴衣に着替えている。
ダンテの着ている浴衣は流水と鯉の描かれた鉄紺色の生地に、月白色の紗綾形帯でとてもシックな感じ。
対するディーヴァは、大振りの花が描かれた白藤色の浴衣に、市松紋様のツツジ色の帯という出で立ちで可愛らしい見た目だ。
旅館の備え付けの浴衣にしては、いささかデザインやカラーがこっている。
いずれにせよ、旅館の浴衣ということで生地や帯は薄めに出来ており、ダンテはともかく、ディーヴァは風邪をひいてしまうのではないかと心配である。
「ちゃんと羽織物も着るからあったかいよー。お散歩して、温泉入って、そしたらお夕飯にちょうどいいと思うんだよね」
「…しゃあねぇな」
ディーヴァとのお楽しみはあとにとっておこうと諦めたダンテは、差し出した手でディーヴァの指を絡めとり、恋人繋ぎへ。
2人仲良く散歩に行くことにした。
繋がった互いの体温は、羽織がいらないんじゃないかと一瞬間違えるくらい暖かく感じた。
旅館の名前が入った暖かい羽織を着込み、玄関口にあった下駄を履く。
上から下まで日本式になった2人は、カランコロンと下駄を鳴らして川沿いの小道を歩いていた。
聞こえるものといえば川の音、鳥の鳴き声くらい。
のどかで時の流れを忘れそうだ。
ディーヴァの体と同じで、自分の成長も止まってしまったのではなかろうか、と勝手な想像までもが浮かんでくる。
自分は半分は悪魔だが、もう半分は人間…不老不死でも成長しないわけでもない。
ディーヴァの成長はどうやったら始まるのかと、そんな考えが脳裏をよぎる。
このままでは、自分ばかりが歳をとって見えてしまう。
「ダンテ、どうしたの?」
眉間に皺寄ってる、と指摘されてハッとした。
今はそんなことを悩む必要なんてない。
「なんでもねぇよ」
「そう……?あ、お土産屋さんかな?記念になるもの見たいーっ!」
ダンテから離れたディーヴァは、土産物店に駆けていく。
「転ぶなよー?」
「うん!わかってる」
いつにも増してウキウキゴキゲンなディーヴァに、苦笑が漏れる。
くるぅり、その場で回転してはしゃぎ、ケラケラと笑うディーヴァ。
そして、ダンテもそれに混じる事にした。
中へ入ると従業員だろう、仲居さん女将などが一斉にこちらに向き深々とお辞儀と共にそう言ってきた。
アメリカでは考えられない礼儀正しい対応に、びっくりして2人とも声が出なかった。
チケットを出し案内され辿り着いた部屋。
一通りの説明を受けたディーヴァは、ここまで連れてきてくれた女将さんだろう、人に心付を渡しておいた。
ダンテが迷惑をかけるといけないと思ったわけではない。
日本では心付を渡すという習慣があると、何かで読んでいたからやってみたかったのだ。
女将さんは心付の代わりにだろうか、ある事を耳打ちしてくれた。
ダンテもディーヴァも、それを喜んで受け入れた。
そして十数分後…。
「はぁ~やっとつーいたっ!きゅーけいきゅーけい!」
室内の暖かさと寒い外気温との差で結露した窓。
カララ、とその窓を開ければそこにあるのは、マイナスイオンをたくさん放出していそうな、清らかにかつ激しく流れる川だった。
更に上流の方に行けば滝も見れるらしい。
「流れ速いな。窓から落ちないよう気をつけろ」
「落ちないってば」
「どうだかな~…ディーヴァ、おっちょこちょいだし?」
その言葉にムッとするが、まあいい。
淹れてもらった緑茶と茶菓子をやっつけながら、2人はしばし川を眺める。
雪の白と、氷の透明さ、川の流れのコントラストがとても綺麗だ。
なぜ日本の物ってこんなに綺麗なのだろうと思いながら、その中に潜んでいるかもしれない生き物を探す。
「お魚さんいるかな?」
「冬だしなぁ、あったかいとこに隠れてるんじゃねぇか?」
「そっかぁ…」
残念そうに眉を下げるディーヴァ。
じっと見ていても、ピチョンと跳ねる魚は一匹も見当たらないが、相変わらずその景観は美しかった。
「ほら、お前も魚と同じで冷えちまうぜ。もう窓閉めろ」
「んー、もうちょっとだけ」
「オレが寒いんだ。…あっためてくれよ、darling……」
後ろから抱き込み、耳元で甘い吐息と共に囁く。
「そういうのはまたあとで」
ダンテの吐息と唇が、首筋や耳にくすぐったい。
ディーヴァはクスクス笑って『お誘い』をやんわり拒むと、ダンテに向き直ってその行動から逃れた。
「それより、お散歩しよ」
「この格好で、か?」
「もちろん」
実は旅館についた今、ダンテとディーヴァは備え付けの浴衣に着替えている。
ダンテの着ている浴衣は流水と鯉の描かれた鉄紺色の生地に、月白色の紗綾形帯でとてもシックな感じ。
対するディーヴァは、大振りの花が描かれた白藤色の浴衣に、市松紋様のツツジ色の帯という出で立ちで可愛らしい見た目だ。
旅館の備え付けの浴衣にしては、いささかデザインやカラーがこっている。
いずれにせよ、旅館の浴衣ということで生地や帯は薄めに出来ており、ダンテはともかく、ディーヴァは風邪をひいてしまうのではないかと心配である。
「ちゃんと羽織物も着るからあったかいよー。お散歩して、温泉入って、そしたらお夕飯にちょうどいいと思うんだよね」
「…しゃあねぇな」
ディーヴァとのお楽しみはあとにとっておこうと諦めたダンテは、差し出した手でディーヴァの指を絡めとり、恋人繋ぎへ。
2人仲良く散歩に行くことにした。
繋がった互いの体温は、羽織がいらないんじゃないかと一瞬間違えるくらい暖かく感じた。
旅館の名前が入った暖かい羽織を着込み、玄関口にあった下駄を履く。
上から下まで日本式になった2人は、カランコロンと下駄を鳴らして川沿いの小道を歩いていた。
聞こえるものといえば川の音、鳥の鳴き声くらい。
のどかで時の流れを忘れそうだ。
ディーヴァの体と同じで、自分の成長も止まってしまったのではなかろうか、と勝手な想像までもが浮かんでくる。
自分は半分は悪魔だが、もう半分は人間…不老不死でも成長しないわけでもない。
ディーヴァの成長はどうやったら始まるのかと、そんな考えが脳裏をよぎる。
このままでは、自分ばかりが歳をとって見えてしまう。
「ダンテ、どうしたの?」
眉間に皺寄ってる、と指摘されてハッとした。
今はそんなことを悩む必要なんてない。
「なんでもねぇよ」
「そう……?あ、お土産屋さんかな?記念になるもの見たいーっ!」
ダンテから離れたディーヴァは、土産物店に駆けていく。
「転ぶなよー?」
「うん!わかってる」
いつにも増してウキウキゴキゲンなディーヴァに、苦笑が漏れる。
くるぅり、その場で回転してはしゃぎ、ケラケラと笑うディーヴァ。
そして、ダンテもそれに混じる事にした。