mission 30:going to travel ~日本~
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揺さぶられてディーヴァが起きたのは、何度目かの呼び声の後だった。
僅かな時間だったがディーヴァは夢を見た。
神社などによくある御神籤が人生を、全てを左右し、狂わせ、遊ばれ、疲れたり楽しかったり…。
そこには、輪郭と声だけだったが、見た事聞いた事がある懐かしい人達も一緒にいる、そんな夢だった。
そして更に見たのは、初夢に見ると縁起がいいとされる一富士二鷹三茄子のメンツ。
但しディーヴァが見たのは富士山ではなくテメンニグル、二鷹ではなくロック鳥によく似た大きな鳥、茄子ではなくディーヴァの大好物のリンゴ…という、謎の夢。
テメンニグルは以前行った場所、リンゴは好物だからいいとして、ロック鳥はなんの暗示だろう…ディーヴァは今後ダンテがロック鳥によく似た悪魔に対峙するのを知らない。
「ん…、ふぁぁ、なんか不思議な夢見た~。これって初夢…だよね」
「そりゃ良かった、どんな夢だ?……って、今それどころじゃないの、見てわかんねぇか」
「ほぇっ!?」
起きて早々、寝ぼけ眼で周りを確認させられた。
すでに実家に着いているものと思っていたのに、出迎えてくれたのは祖父母でなく悪魔の群れ。
「ひょぇーーーっ!!
「ぐぇっ!ぐ、ぐびがじま゛る゛…っ!」
びっくりしてダンテにしがみつく力が強くなった。
思い切り締まるダンテの首。
「ごごごごめんんん!ととととにかくににに逃げ逃げ…!」
「逃げてるよ!最終的には倒しとかねぇとだろうけど!」
ズンズン迫ってくる悪魔と、走るダンテに、ディーヴァの言葉は思い切りどもる。
ディーヴァはもっと急いでと、ダンテを励ました。
「とりあえずディーヴァ、起きたな?手ぇ離すからしっっっかり全身でオレに捕まっててくれ!舌、噛むなよっ」
「ふぇぃっ!!」
それから少しして。
「…たく。山の中腹に逆戻りたぁな」
「仕方ないよ、人里に悪魔を降りさせるわけにいかないもの」
「まぁな。しかし、戦うにも下手にディーヴァを山ン中に置いていけねぇ…」
「あたしは大丈夫だよ?」
「いやな、いつもならまだしも、オレら土地勘ねぇし、あと数時間で日の出っつってもまだ暗いし、あと冬でこんなに寒いだろ。心配なんだよ」
「でも、いつまでも藪の中に潜伏してたってダメでしょ。サバイバルゲームじゃあるまいし」
「うーむ…」
ちりん…。
その時、何か鈴の音が向こうの方から響いた。
自分は気がついたが、あんなに大きく聞こえたのにも関わらず、ダンテは気がつかなかったようだ。
聞こえた方角を見ると、巫女さんの服のような物の切れ端が、木々の間から見えた。
それは童子のようでその背丈はかなり小さい。
幼い子が夜中の山に、しかも悪魔がいる状態のここにいるのは危ない!
「ダンテ、追うよ」
「は?ディーヴァ、今動くと危ないぜ!?…ったく!」
突然走り出したディーヴァを、わけもわからぬまま後を追いかけるダンテ。
ディーヴァは夜道で見えぬはずなのに、不思議と躓く事なくまっすぐ走っていた。
「あれ?あの子いない…」
「ディーヴァ、いきなりどうしたんだよ…って小屋?」
走り出すのも突然ならば、立ち止まるのも突然。
ディーヴァがピタリと立ち止まったその場所で、ダンテは木材や資材が乱雑に置かれているだけの小屋発見。
ここならば武器になりそうな物も見つかりそうだ。
ちりん…。
ダンテが周りと中を物色中、ディーヴァはまた鈴の音を聞き、聞こえた方…裏手へとまわった。
そしてしばらく。
「ディーヴァ、いいブツ見つけたぜ。これでいっちょ暴れてくるからこの中で待ってろ」
斧を手にすぐやってきたダンテは、自分の手を見つめるディーヴァに気がつく。
手にはりんごの絵が描かれた大きな丸い飴玉ひとつ、コロンと乗っていた。
「なんだそれ」
「飴ちゃん。狐のお面つけたちっちゃい子どもに『掃除してくれてありがとう』って言われてお礼に貰ったの。多分、さっきの祠の森神様、かな?」
「はぁ?よくわからねぇが、よかったな。…いや、よくはない、か……」
会話していれば周りに見知った気配。
振り返るとようやくこちらを見つけたらしい、悪魔が総出で迎えに来たのが見えた。
「鬼ごっことかくれんぼはこれでおしまい、か」
小屋の中に入ってろ、そう顎でしゃくってディーヴァを中に退避させると、ダンテは斧をしっかりと構えた。
***
「せぁっ…!」
乱雑に生えている木を壁代わりに蹴ったダンテは、そのまま高くジャンプ。
空中で錐揉み回転して勢いをつけると、斧で最後の悪魔の首を斬った。
斬られた悪魔の首が宙を舞う。
それが空中で砂と化して四散し、悪魔は全滅。
砂霧の向こうで、ディーヴァがホッとした顔でダンテを迎えていた。
ずいぶんかかってしまったが、日が昇り始める頃、ようやく祖父母の待つ実家へとたどり着く。
祖父母は一晩中寝ていなかったのか、玄関先で待機していた。
「ただいま戻りました~」
「おう、お疲れ」
「お疲れ様」
「あー…ホント疲れたよ…精神的にな。ほら、お札、これでいいか」
ディーヴァから渡された札。
少しヨレてしまっているが、そこは仕方ない。
本物かどうか、マジマジとその札を見つめる祖父母。
「まぁ、合格だな。本当に持って帰ってくるとは思わなんだが…」
「持って帰ってこれたのはあまりいないから、この人、はなからやり遂げると思ってないのよ」
「やっぱり…そんなことだろうと思ったんだよね。だって、あんな崖登るとか紐にしか見えない橋を渡るとか、普通なら昼間でも無理だもん。超人やアスリートじゃあるまいし」
「な、なんだって…!」
これはダンテだったからこそかなったこと。
普通の人間じゃとうに根をあげるか、もっと悪ければ死んでいた。
自分達が送り出したといえ、祖父母が不安げに待っていたのは当然といえよう。
しかしそれでは骨折り損のくたびれ儲けと同じではないか。
余計どっと疲れがやってきた気がするダンテ。
「ましてや今は昔より祠に行きづらくなってるしねぇ。祠の周り、荒れ果てていたはずよ」
「うん。おばあちゃんの言う通り祠の周りは草でボーボーだったよ」
勝手にお掃除しちゃったし、神様に会ったけど…。
それは言葉に出さない。
「一応、裏からなら崖も橋も洞窟もない道はあるのよ。でも、近隣住民も若い人はいないでしょう?行く人が減っていてね~」
「たまに行って掃除を、とは思っているんじゃがのう」
がっくり肩を落として、orz状態のダンテを励ますように手を置き、その真理を聞いてみる。
こんな事、祖父だっていくらなんでも気まぐれで言い付けたりはしないはずだ。
「多分なんだけど、おじいちゃん…ダンテがどこまで頑張るか、どのタイミングで戻ってくるか、そういうの試したんでしょ?」
「まぁそんなところだが、ミッションコンプリートして帰ってきたからのぅ…こちらの完敗じゃ」
「あとは2人の愛の絆がどのくらいの深さか、ってところよね」
完敗。
その言葉が出たということは。
「ってことはオレ達の結婚は……!」
「ああ、癪だが認めてやる」
「やっっっ………た!!」
「うん!良かったぁ!」
両手を繋ぎ合わせて喜びを分かち合うダンテとディーヴァ。
笑顔の2人とは反対に祖父は、少し寂しそうだった。
「はぁ…悪魔に大事な子供を攫われる親の気分じゃな」
『悪魔』の言葉にギクリとするのは、ダンテ。
「え゛」
「うーん、おじいちゃん鋭い……」
言い得て妙である。
眠気は限界まで来ていたのだが、祖母のお風呂が沸いているの言葉に体が汗でベタベタなのを思い出す。
共に入りたがるダンテだが、結婚を許されたとはいえ実家で一緒に入らせてはもらえず、別々に。
そこでまたひと騒動あったがそれは置いておこう…。
僅かな時間だったがディーヴァは夢を見た。
神社などによくある御神籤が人生を、全てを左右し、狂わせ、遊ばれ、疲れたり楽しかったり…。
そこには、輪郭と声だけだったが、見た事聞いた事がある懐かしい人達も一緒にいる、そんな夢だった。
そして更に見たのは、初夢に見ると縁起がいいとされる一富士二鷹三茄子のメンツ。
但しディーヴァが見たのは富士山ではなくテメンニグル、二鷹ではなくロック鳥によく似た大きな鳥、茄子ではなくディーヴァの大好物のリンゴ…という、謎の夢。
テメンニグルは以前行った場所、リンゴは好物だからいいとして、ロック鳥はなんの暗示だろう…ディーヴァは今後ダンテがロック鳥によく似た悪魔に対峙するのを知らない。
「ん…、ふぁぁ、なんか不思議な夢見た~。これって初夢…だよね」
「そりゃ良かった、どんな夢だ?……って、今それどころじゃないの、見てわかんねぇか」
「ほぇっ!?」
起きて早々、寝ぼけ眼で周りを確認させられた。
すでに実家に着いているものと思っていたのに、出迎えてくれたのは祖父母でなく悪魔の群れ。
「ひょぇーーーっ!!
「ぐぇっ!ぐ、ぐびがじま゛る゛…っ!」
びっくりしてダンテにしがみつく力が強くなった。
思い切り締まるダンテの首。
「ごごごごめんんん!ととととにかくににに逃げ逃げ…!」
「逃げてるよ!最終的には倒しとかねぇとだろうけど!」
ズンズン迫ってくる悪魔と、走るダンテに、ディーヴァの言葉は思い切りどもる。
ディーヴァはもっと急いでと、ダンテを励ました。
「とりあえずディーヴァ、起きたな?手ぇ離すからしっっっかり全身でオレに捕まっててくれ!舌、噛むなよっ」
「ふぇぃっ!!」
それから少しして。
「…たく。山の中腹に逆戻りたぁな」
「仕方ないよ、人里に悪魔を降りさせるわけにいかないもの」
「まぁな。しかし、戦うにも下手にディーヴァを山ン中に置いていけねぇ…」
「あたしは大丈夫だよ?」
「いやな、いつもならまだしも、オレら土地勘ねぇし、あと数時間で日の出っつってもまだ暗いし、あと冬でこんなに寒いだろ。心配なんだよ」
「でも、いつまでも藪の中に潜伏してたってダメでしょ。サバイバルゲームじゃあるまいし」
「うーむ…」
ちりん…。
その時、何か鈴の音が向こうの方から響いた。
自分は気がついたが、あんなに大きく聞こえたのにも関わらず、ダンテは気がつかなかったようだ。
聞こえた方角を見ると、巫女さんの服のような物の切れ端が、木々の間から見えた。
それは童子のようでその背丈はかなり小さい。
幼い子が夜中の山に、しかも悪魔がいる状態のここにいるのは危ない!
「ダンテ、追うよ」
「は?ディーヴァ、今動くと危ないぜ!?…ったく!」
突然走り出したディーヴァを、わけもわからぬまま後を追いかけるダンテ。
ディーヴァは夜道で見えぬはずなのに、不思議と躓く事なくまっすぐ走っていた。
「あれ?あの子いない…」
「ディーヴァ、いきなりどうしたんだよ…って小屋?」
走り出すのも突然ならば、立ち止まるのも突然。
ディーヴァがピタリと立ち止まったその場所で、ダンテは木材や資材が乱雑に置かれているだけの小屋発見。
ここならば武器になりそうな物も見つかりそうだ。
ちりん…。
ダンテが周りと中を物色中、ディーヴァはまた鈴の音を聞き、聞こえた方…裏手へとまわった。
そしてしばらく。
「ディーヴァ、いいブツ見つけたぜ。これでいっちょ暴れてくるからこの中で待ってろ」
斧を手にすぐやってきたダンテは、自分の手を見つめるディーヴァに気がつく。
手にはりんごの絵が描かれた大きな丸い飴玉ひとつ、コロンと乗っていた。
「なんだそれ」
「飴ちゃん。狐のお面つけたちっちゃい子どもに『掃除してくれてありがとう』って言われてお礼に貰ったの。多分、さっきの祠の森神様、かな?」
「はぁ?よくわからねぇが、よかったな。…いや、よくはない、か……」
会話していれば周りに見知った気配。
振り返るとようやくこちらを見つけたらしい、悪魔が総出で迎えに来たのが見えた。
「鬼ごっことかくれんぼはこれでおしまい、か」
小屋の中に入ってろ、そう顎でしゃくってディーヴァを中に退避させると、ダンテは斧をしっかりと構えた。
***
「せぁっ…!」
乱雑に生えている木を壁代わりに蹴ったダンテは、そのまま高くジャンプ。
空中で錐揉み回転して勢いをつけると、斧で最後の悪魔の首を斬った。
斬られた悪魔の首が宙を舞う。
それが空中で砂と化して四散し、悪魔は全滅。
砂霧の向こうで、ディーヴァがホッとした顔でダンテを迎えていた。
ずいぶんかかってしまったが、日が昇り始める頃、ようやく祖父母の待つ実家へとたどり着く。
祖父母は一晩中寝ていなかったのか、玄関先で待機していた。
「ただいま戻りました~」
「おう、お疲れ」
「お疲れ様」
「あー…ホント疲れたよ…精神的にな。ほら、お札、これでいいか」
ディーヴァから渡された札。
少しヨレてしまっているが、そこは仕方ない。
本物かどうか、マジマジとその札を見つめる祖父母。
「まぁ、合格だな。本当に持って帰ってくるとは思わなんだが…」
「持って帰ってこれたのはあまりいないから、この人、はなからやり遂げると思ってないのよ」
「やっぱり…そんなことだろうと思ったんだよね。だって、あんな崖登るとか紐にしか見えない橋を渡るとか、普通なら昼間でも無理だもん。超人やアスリートじゃあるまいし」
「な、なんだって…!」
これはダンテだったからこそかなったこと。
普通の人間じゃとうに根をあげるか、もっと悪ければ死んでいた。
自分達が送り出したといえ、祖父母が不安げに待っていたのは当然といえよう。
しかしそれでは骨折り損のくたびれ儲けと同じではないか。
余計どっと疲れがやってきた気がするダンテ。
「ましてや今は昔より祠に行きづらくなってるしねぇ。祠の周り、荒れ果てていたはずよ」
「うん。おばあちゃんの言う通り祠の周りは草でボーボーだったよ」
勝手にお掃除しちゃったし、神様に会ったけど…。
それは言葉に出さない。
「一応、裏からなら崖も橋も洞窟もない道はあるのよ。でも、近隣住民も若い人はいないでしょう?行く人が減っていてね~」
「たまに行って掃除を、とは思っているんじゃがのう」
がっくり肩を落として、orz状態のダンテを励ますように手を置き、その真理を聞いてみる。
こんな事、祖父だっていくらなんでも気まぐれで言い付けたりはしないはずだ。
「多分なんだけど、おじいちゃん…ダンテがどこまで頑張るか、どのタイミングで戻ってくるか、そういうの試したんでしょ?」
「まぁそんなところだが、ミッションコンプリートして帰ってきたからのぅ…こちらの完敗じゃ」
「あとは2人の愛の絆がどのくらいの深さか、ってところよね」
完敗。
その言葉が出たということは。
「ってことはオレ達の結婚は……!」
「ああ、癪だが認めてやる」
「やっっっ………た!!」
「うん!良かったぁ!」
両手を繋ぎ合わせて喜びを分かち合うダンテとディーヴァ。
笑顔の2人とは反対に祖父は、少し寂しそうだった。
「はぁ…悪魔に大事な子供を攫われる親の気分じゃな」
『悪魔』の言葉にギクリとするのは、ダンテ。
「え゛」
「うーん、おじいちゃん鋭い……」
言い得て妙である。
眠気は限界まで来ていたのだが、祖母のお風呂が沸いているの言葉に体が汗でベタベタなのを思い出す。
共に入りたがるダンテだが、結婚を許されたとはいえ実家で一緒に入らせてはもらえず、別々に。
そこでまたひと騒動あったがそれは置いておこう…。