mission 30:going to travel ~日本~
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結局はその後、らぶらぶいちゃいちゃ、ふざけ合いながら洞窟を抜けた。
洞窟を抜ければそこはすぐ赤い鳥居。
朽ちて赤い塗料の剥がれ落ちた鳥居はところどころ木面が見えてしまっていた。
いつから人が来ていないのだろうと思わせる有様で、どこもかしこも雪に埋もれていた。
祠は、その奥にひっそりと佇んでいた。
石造りの小さな小さな祠だ。
周りは雪だけでなく、高く生い茂った草で覆われ荒れ果ててしまっている。
「もっと大きいもんだと思ったぜ」
「うん。でも、祠だしねぇ…。とりあえず、鳥居潜ろっか」
鳥居は小さくとも必ず潜れ、そう言われた。
ディーヴァはともかく、背の高いダンテは頭をぶつけそうになりながらも2人で潜る。
なぜだろうか、鳥居を潜った後は、夜中なのが嘘のように明るく感じた。
「電気もないのにまるで朝方みたいな明るさ…」
「まだ夜中のはずだ。…ん?なんか空気悪くないか?」
「え、そう?逆にすごく心地いいけど」
神聖な感じがする。
ディーヴァは空気がとても澄んでいるように感じた。
が、ダンテは何故か少し居心地が悪そうにしていた。
お供えをする前にと、ディーヴァはまず近くにあった小さな御手洗の水道蛇口を捻る。
最初は少し凍っていたが、すぐに透き通った水が出てきた。
…凍えそうなほど冷たいが、まぁ少しだし我慢だ。
掃除用具やら雪かき道具もその裏に立てかけてあり、ディーヴァは腕をまくってそれらを手にした。
「よし、綺麗にしちゃお!」
「は?なんで掃除なんかするんだよ。供えるブツ置いて札を持ってとっとと帰ろうぜ」
「だぁめ。こんなに汚れてたらかわいそうじゃない」
2人で草を抜き雪を掻いて、それから水拭きまで丁寧に。
30分とかからず、辺りはとても綺麗になった。
「ふー…とんだ労働だぜ」
こきこきと肩を鳴らしながらダンテは、疲れたと漏らす。
ここまでの冒険では疲れたなどと、一っ言も言わなかったくせに、労働となるとすぐに文句を言うのはダンテの悪い癖だ。
それはともかく、気を取り直して、と。
「さぁて、札はどこにある?」
「まぁまぁ、まずはお稲荷さんのお供えでしょ。中も綺麗にしないとだし……」
「マジかよ」
一度置いた雑巾を手に取り、祠の観音開きの戸を開ける。
そこに祀られていたのは小さな木彫りの猫のような犬のような動物。
耳と尾が異様に長いそれを、2人はじっと覗き込む。
「なんの動物かな」
「狐かコヨーテじゃねぇか?」
「日本にコヨーテはいないから…狐、かもね」
ササッとゴミを取り水拭き。
持ってきていたお稲荷さんを備えると、ディーヴァはぺこりとお辞儀して手を合わせた。
ダンテもそれに合わせ、一礼拍手。
目を開け御神体をちらと見ると、さっきまでなかった気がするのに、供えたお稲荷さんのすぐ傍に、一枚のお札があるのが目に入った。
「お札!」
「目の前にあったのかよ。あれ、でも待てよ?さっきあったか?」
「あるんだからあるんでしょ。…ありがたく頂戴いたしまーす」
真っ白な和紙に書かれた赤と黒の文字。
何て書いてあるかは、日本語を勉強していても達筆過ぎてわからない。
が、とても有り難い言葉が書いてあるには違いない。
ははー!と再びお辞儀しながら、それを両手でそっと持つディーヴァ。
「とりあえずあとは戻るだけだ」
「うん。でも疲れちゃった~」
「ここまで大冒険だったからな、お疲れ。こういうの、テメンニグル以来だよなー」
長くかかったがようやくお札も手に入れ、これでもう戻るのみ。
掃除以外は楽しかった!などと笑うダンテと反対に、疲労困憊しているディーヴァを見やり、ダンテはしばし何かを思案する…。
「うし、時短テク使ってかえるか!」
「時短…テク?」
「まあまあ。いいから背中に乗れよ」
「ああ…そゆこと」
札を大事そうに胸元にしまい込んだディーヴァ。
ダンテの背中に「お邪魔します」と背負われ、そのまま山を降り始める。
結果、こんなに早く移動できるなら最初からダンテに背負って来ればよかったんじゃないか?…と思ったディーヴァでした。
山もあと少しで終わり。
この深い森を抜ければあとは実家までの田んぼや畑のあぜ道のみだ。
いつの間にか背中のディーヴァからはすーすー、という寝息が聞こえる。
ダンテの背中という安心できるゆりかごで気持ちよさそうに就寝中だ。
早く温かい布団に寝かせてやりたい、とあどけない寝顔を横目に風のように走るダンテ。
こうして見ると子どもの寝顔だ。
成長が止まっているためこんなあどけないのか、それともただ単にディーヴァが子供っぽいのか…どちらも当たりだろう。
そういえばディーヴァの祖父母は、ディーヴァのあまりの幼さについて何も聞いてこなかったが、成長しないままな事…話さなくていいのだろうか。
天使の血筋やら悪魔の事やら、何かと秘密が多すぎる。
それについてはディーヴァから話したくなったら話すだろう…。
自分はディーヴァの思うまま、その進む道についていくのみだ。
急ぐダンテの足元へと、よく見知った悪魔の鎌が飛んできたのは『悪魔』について考えていたその時だ。
「チッ…こんなところにまでテメェらは出るってのかよ……」
パッと横に飛び退き、軽く躱す。
ディーヴァを起こさぬよう気をつけながら、ダンテは集まってきた悪魔と相対した。
暗い森の中、四方八方を悪魔に囲まれている。
数は…右に7、左に8、前方後方も合わせると約30体というところか…。
天使であるディーヴァと、反逆者の息子として有名なダンテの気配に喚ばれたようだ。
今度、悪魔にばれぬ結界を張る方法でも考えておいた方が良いかもしれない。
「ここは日本だぜ?魔界に帰りな」
ディーヴァが落っこちないよう支えつつ、上着に隠したガンホルダーをまさぐる。
……スカッ!
スカ…?それに…軽い。
「ん……?げぇっ!オレの銃が……ない!!」
あるはずの場所に探し物はなかった。
銃刀法違反、という面倒な法律が日本にはあるため、かなり苦心してせーっかく持ち込んだエボニーとアイボリー。
だというに、肝心な時に携帯し忘れた。
その間にも飛びかかってくる数が多いため、素手で相手にするのは少々骨が折れる。
「こういう時は…ディーヴァ流に行くぜ。一時退却っ」
ディーヴァ流とはいえど、ディーヴァのように完全なる『三十六計逃げるに如かず』とはいかない。
一度こちら側へ出てきた悪魔を野ざらしにして放っておくわけにはいかないのだ。
とはいえ、まずディーヴァを安全な場所に下ろすか何とかしなくては、戦うにも不利すぎる。
「って…当たり前だが追ってきてやがる。しゃーねぇ、ディーヴァ!起きろ!!」
洞窟を抜ければそこはすぐ赤い鳥居。
朽ちて赤い塗料の剥がれ落ちた鳥居はところどころ木面が見えてしまっていた。
いつから人が来ていないのだろうと思わせる有様で、どこもかしこも雪に埋もれていた。
祠は、その奥にひっそりと佇んでいた。
石造りの小さな小さな祠だ。
周りは雪だけでなく、高く生い茂った草で覆われ荒れ果ててしまっている。
「もっと大きいもんだと思ったぜ」
「うん。でも、祠だしねぇ…。とりあえず、鳥居潜ろっか」
鳥居は小さくとも必ず潜れ、そう言われた。
ディーヴァはともかく、背の高いダンテは頭をぶつけそうになりながらも2人で潜る。
なぜだろうか、鳥居を潜った後は、夜中なのが嘘のように明るく感じた。
「電気もないのにまるで朝方みたいな明るさ…」
「まだ夜中のはずだ。…ん?なんか空気悪くないか?」
「え、そう?逆にすごく心地いいけど」
神聖な感じがする。
ディーヴァは空気がとても澄んでいるように感じた。
が、ダンテは何故か少し居心地が悪そうにしていた。
お供えをする前にと、ディーヴァはまず近くにあった小さな御手洗の水道蛇口を捻る。
最初は少し凍っていたが、すぐに透き通った水が出てきた。
…凍えそうなほど冷たいが、まぁ少しだし我慢だ。
掃除用具やら雪かき道具もその裏に立てかけてあり、ディーヴァは腕をまくってそれらを手にした。
「よし、綺麗にしちゃお!」
「は?なんで掃除なんかするんだよ。供えるブツ置いて札を持ってとっとと帰ろうぜ」
「だぁめ。こんなに汚れてたらかわいそうじゃない」
2人で草を抜き雪を掻いて、それから水拭きまで丁寧に。
30分とかからず、辺りはとても綺麗になった。
「ふー…とんだ労働だぜ」
こきこきと肩を鳴らしながらダンテは、疲れたと漏らす。
ここまでの冒険では疲れたなどと、一っ言も言わなかったくせに、労働となるとすぐに文句を言うのはダンテの悪い癖だ。
それはともかく、気を取り直して、と。
「さぁて、札はどこにある?」
「まぁまぁ、まずはお稲荷さんのお供えでしょ。中も綺麗にしないとだし……」
「マジかよ」
一度置いた雑巾を手に取り、祠の観音開きの戸を開ける。
そこに祀られていたのは小さな木彫りの猫のような犬のような動物。
耳と尾が異様に長いそれを、2人はじっと覗き込む。
「なんの動物かな」
「狐かコヨーテじゃねぇか?」
「日本にコヨーテはいないから…狐、かもね」
ササッとゴミを取り水拭き。
持ってきていたお稲荷さんを備えると、ディーヴァはぺこりとお辞儀して手を合わせた。
ダンテもそれに合わせ、一礼拍手。
目を開け御神体をちらと見ると、さっきまでなかった気がするのに、供えたお稲荷さんのすぐ傍に、一枚のお札があるのが目に入った。
「お札!」
「目の前にあったのかよ。あれ、でも待てよ?さっきあったか?」
「あるんだからあるんでしょ。…ありがたく頂戴いたしまーす」
真っ白な和紙に書かれた赤と黒の文字。
何て書いてあるかは、日本語を勉強していても達筆過ぎてわからない。
が、とても有り難い言葉が書いてあるには違いない。
ははー!と再びお辞儀しながら、それを両手でそっと持つディーヴァ。
「とりあえずあとは戻るだけだ」
「うん。でも疲れちゃった~」
「ここまで大冒険だったからな、お疲れ。こういうの、テメンニグル以来だよなー」
長くかかったがようやくお札も手に入れ、これでもう戻るのみ。
掃除以外は楽しかった!などと笑うダンテと反対に、疲労困憊しているディーヴァを見やり、ダンテはしばし何かを思案する…。
「うし、時短テク使ってかえるか!」
「時短…テク?」
「まあまあ。いいから背中に乗れよ」
「ああ…そゆこと」
札を大事そうに胸元にしまい込んだディーヴァ。
ダンテの背中に「お邪魔します」と背負われ、そのまま山を降り始める。
結果、こんなに早く移動できるなら最初からダンテに背負って来ればよかったんじゃないか?…と思ったディーヴァでした。
山もあと少しで終わり。
この深い森を抜ければあとは実家までの田んぼや畑のあぜ道のみだ。
いつの間にか背中のディーヴァからはすーすー、という寝息が聞こえる。
ダンテの背中という安心できるゆりかごで気持ちよさそうに就寝中だ。
早く温かい布団に寝かせてやりたい、とあどけない寝顔を横目に風のように走るダンテ。
こうして見ると子どもの寝顔だ。
成長が止まっているためこんなあどけないのか、それともただ単にディーヴァが子供っぽいのか…どちらも当たりだろう。
そういえばディーヴァの祖父母は、ディーヴァのあまりの幼さについて何も聞いてこなかったが、成長しないままな事…話さなくていいのだろうか。
天使の血筋やら悪魔の事やら、何かと秘密が多すぎる。
それについてはディーヴァから話したくなったら話すだろう…。
自分はディーヴァの思うまま、その進む道についていくのみだ。
急ぐダンテの足元へと、よく見知った悪魔の鎌が飛んできたのは『悪魔』について考えていたその時だ。
「チッ…こんなところにまでテメェらは出るってのかよ……」
パッと横に飛び退き、軽く躱す。
ディーヴァを起こさぬよう気をつけながら、ダンテは集まってきた悪魔と相対した。
暗い森の中、四方八方を悪魔に囲まれている。
数は…右に7、左に8、前方後方も合わせると約30体というところか…。
天使であるディーヴァと、反逆者の息子として有名なダンテの気配に喚ばれたようだ。
今度、悪魔にばれぬ結界を張る方法でも考えておいた方が良いかもしれない。
「ここは日本だぜ?魔界に帰りな」
ディーヴァが落っこちないよう支えつつ、上着に隠したガンホルダーをまさぐる。
……スカッ!
スカ…?それに…軽い。
「ん……?げぇっ!オレの銃が……ない!!」
あるはずの場所に探し物はなかった。
銃刀法違反、という面倒な法律が日本にはあるため、かなり苦心してせーっかく持ち込んだエボニーとアイボリー。
だというに、肝心な時に携帯し忘れた。
その間にも飛びかかってくる数が多いため、素手で相手にするのは少々骨が折れる。
「こういう時は…ディーヴァ流に行くぜ。一時退却っ」
ディーヴァ流とはいえど、ディーヴァのように完全なる『三十六計逃げるに如かず』とはいかない。
一度こちら側へ出てきた悪魔を野ざらしにして放っておくわけにはいかないのだ。
とはいえ、まずディーヴァを安全な場所に下ろすか何とかしなくては、戦うにも不利すぎる。
「って…当たり前だが追ってきてやがる。しゃーねぇ、ディーヴァ!起きろ!!」