mission 30:going to travel ~日本~
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「まぁ、お前達がくっつくのは百歩譲って認めてやろう」
腕組みした祖父に言われ、顔を見合わせて喜ぶダンテとディーヴァ。
「だが!!……それは、とある条件を満たしたらだ」
「「条件?」」
鸚鵡返しに2人が聞くと、ニヤリと意地悪く笑みを返された。
外履きを人数分用意した祖父は、テラスから外へと出て家の裏を向く。
同じようにダンテとディーヴァが目を向ければそこには、大きく聳える山がある。
火山だとかそういう類いではないのだが、そこそこ大きい山が。
ここへ来る時の目印にしていたからよく覚えている。
「裏の山の中に山神様の祠がある。ここからだとちょうどてっぺんあたりに赤い鳥居が見えるだろう?あそこじゃ」
指差した先を見ると本当に小さくではあるが、赤い鳥居が見えた。
「今夜の夜中に2人でそこへ行き、山神様の好物を供えてお祈りするんじゃ。
そして代わりにお札を持って帰って来い。それが条件だ」
「なんだ、簡単じゃねぇか。ブツを届けてきて、代わりのブツを持ってくりゃいいんだろ」
「うーん。でも、あたし…夜中は嫌だな~」
半分悪魔のダンテからすれば簡単な、暗闇が大嫌いなディーヴァからすればとても嫌な条件。
行きたくないなぁ、と漏らす背後でカタン、と物音が。
3人で振り返れば、昼食だと呼びに来たらしい祖母が目を丸くしていた。
「まさか2人に昔からのあのしきたりをさせる気じゃないでしょうね…?」
「おお、昼餉の時間だの。ちょうど腹が空いてきたところだ」
「話をはぐらかさない!」
「はぁ…そのまさかだ」
「あのしきたりは、もう廃れていて知っている人の方が少ないんですよ?それをさせようって…正気ですか」
「簡単なことじゃったろう?私も昔、お前さんとの結婚を認めてもらうのにやったじゃないか」
「はぁ…あきれた!貴方がやったのは昼間の明るいうちにでしょ。しかも、結局途中で棄権したわよね」
「そんなこともあったかの~?」
驚いた。
この地方では昔から結婚の許しを得るのに、そんなしきたりがあったようだ。
しかも、祖父母も挑戦した挙句、棄権した…とな。
「なんだかよくわからねぇが、ディーヴァとの幸せの為ならなんだってするぜ。魂売ってでもな」
「なら話は早い、頑張れよ~」
「え゛!やるの!?」
「当たり前だろ」
「はぁ…わかったよ。あたしも頑張…」
る、と言おうとしたところで、追加の言葉。
「ああ、そうそう。
途中に今にも落ちそうな橋や自力で登らないと上がれない崖、それに真っ暗な洞窟を通らなくてはいけないからの。気をつけるんだぞ☆」
今にも落ちそうな橋?ファイト一発な崖?真っっっ暗な洞窟!?
考えただけでくらくらする。
「…前言撤回、無理。そんな危なさそうなトコあたし行かない、行きたくない。
ダンテ一人で行ってきていいよ」
テメンニグルに行った時は、瓦礫と化した事務所前に残る方が危なかったから一緒に行った。
が、今回の場合は違う。
待っていた方がどう考えても安全だと、の脳は判断した。
「そうね、無理に行かなくてもいいのよ。そんなの年寄りの戯言とでも思ってちょうだい」
「お前さんももう充分に年寄り「え?」……いや、ナンデモアリマセン」
そして祖母もそれに賛同してくれたが、さらにさらに続きの一言。
「結ばれたい者同士、2人で行かんと意味ないからな~。なんでも、1人で行ってたどり着いた場合…お札がどこにもないそうじゃ」
「何その構造!?」
叫ぶように言うディーヴァ。
そんなディーヴァを、ダンテはポンポンと落ち着かせるよう撫でてなだめた。
「大丈夫、オレが守ってやるって。今までも、いつでもそうしてきただろ?」
「そう…だけど……」
渋るディーヴァをそのままに、ダンテは行くと決めた。
「夜中になったらディーヴァと行ってくる。それまでにヤマガミサマとやらの好物を用意しておいてくれ」
「あいわかった」
「はぁ…2人とも、無理は決してしないんですよ?」
とりあえずここでその話は終わり。
ダイニングルームへと移動した4人は、豪華なお節料理と主食に用意された囲炉裏の炭でぷくりと焼いた餅を昼食に、食事と相成った。
ディーヴァが好物だと話すや否やチーズを乗せて焼いた餅、甘い物の好きなダンテのためか金柑の甘露煮に、2人とも好きなリンゴのコンポート、そして甘口辛口と揃った日本酒。
それに各種三段に詰め込まれたお節の数々。
祖母の作った料理はとても美味しかった。
そう、とても美味しかったのだが、ディーヴァは今夜の事を思うと、あまり味わう暇もなく食べてしまったのである。
心に余裕があったならその作り方や食材の変わった切り方など、たくさん聞いて得る物も多かったろう…。
お風呂もいただき夜になって居間にあったこたつでぬくぬくうとうと、山へ出かけることも忘れ始めた頃。
ダンテが目を輝かせて「行くぞ」と呼びかけてきた。
夜は悪魔の時間、つまりダンテの活動も活発になってくる時間だ。
普段ならそろそろベッドへ向かう時間。
夢主にあるまじき、ひっじょーーーに嫌そうな顔をしたディーヴァが「や」と漏らす。
客間に敷いてあるお布団に向かいたい。
いや、むしろこの気持ちいいこたつから一歩も出たくない。
「ダンテもこたつであったまろ?気持ちいいから出たくなくなるよー」
「それは知ってる。でも、今は出かけるのが先だぞ」
「あ、おうちにもこたつ買おうか!でもアメリカに売ってるかな?」
「ディーヴァ…。こたつはあとで買ってやる。とにかく行くぞ。ほら、風邪ひくといけねぇから上着も着て…」
こたつからディーヴァを引きずり出そうとこたつ布団を引っぺがすダンテ。
だが、こたつテーブルの端を掴み、ディーヴァはそこから離れまいと踏ん張った。
「いーやーだー!あたし行かないー!こたつと結婚するーーー!」
「ディーヴァ、それダメ人間の発言だぜ」
ため息まじりに言えば、行動はピタリと止まる。
その隙にダンテはディーヴァをこたつから出し、抱きしめてやった。
お互いお風呂を済ませて結構たつが、同じ石鹸のいい香りがまだ漂っていて気分も、そして機嫌をも落ち着かせる。
「………行ったら疲れるのに。寒いのに。
誰かに反対されたってあたしが選ぶのはダンテなのに」
「ディーヴァ……」
「それに、あたし眠いのに…」
「おい。それが本音だろ」
なんと嬉しい言葉か、と思ったのもつかの間。
もしかしたらまだ時差ボケが抜けきっていないのか眠い!というのがディーヴァの一番の気持ちのようだ。
「うん、まぁ…ディーヴァがオレを選んでくれるのは自惚れじゃないがわかってる。
けど、やっぱり反対されてるよりは周りに認められていたいって、オレは思ったんだ。……ついてきてくれるよな?」
「………わかった…」
ダンテの真剣な表情に、眠気が少し飛ぶ。
そこでようやく、ディーヴァは首を縦に振ったのだった。
腕組みした祖父に言われ、顔を見合わせて喜ぶダンテとディーヴァ。
「だが!!……それは、とある条件を満たしたらだ」
「「条件?」」
鸚鵡返しに2人が聞くと、ニヤリと意地悪く笑みを返された。
外履きを人数分用意した祖父は、テラスから外へと出て家の裏を向く。
同じようにダンテとディーヴァが目を向ければそこには、大きく聳える山がある。
火山だとかそういう類いではないのだが、そこそこ大きい山が。
ここへ来る時の目印にしていたからよく覚えている。
「裏の山の中に山神様の祠がある。ここからだとちょうどてっぺんあたりに赤い鳥居が見えるだろう?あそこじゃ」
指差した先を見ると本当に小さくではあるが、赤い鳥居が見えた。
「今夜の夜中に2人でそこへ行き、山神様の好物を供えてお祈りするんじゃ。
そして代わりにお札を持って帰って来い。それが条件だ」
「なんだ、簡単じゃねぇか。ブツを届けてきて、代わりのブツを持ってくりゃいいんだろ」
「うーん。でも、あたし…夜中は嫌だな~」
半分悪魔のダンテからすれば簡単な、暗闇が大嫌いなディーヴァからすればとても嫌な条件。
行きたくないなぁ、と漏らす背後でカタン、と物音が。
3人で振り返れば、昼食だと呼びに来たらしい祖母が目を丸くしていた。
「まさか2人に昔からのあのしきたりをさせる気じゃないでしょうね…?」
「おお、昼餉の時間だの。ちょうど腹が空いてきたところだ」
「話をはぐらかさない!」
「はぁ…そのまさかだ」
「あのしきたりは、もう廃れていて知っている人の方が少ないんですよ?それをさせようって…正気ですか」
「簡単なことじゃったろう?私も昔、お前さんとの結婚を認めてもらうのにやったじゃないか」
「はぁ…あきれた!貴方がやったのは昼間の明るいうちにでしょ。しかも、結局途中で棄権したわよね」
「そんなこともあったかの~?」
驚いた。
この地方では昔から結婚の許しを得るのに、そんなしきたりがあったようだ。
しかも、祖父母も挑戦した挙句、棄権した…とな。
「なんだかよくわからねぇが、ディーヴァとの幸せの為ならなんだってするぜ。魂売ってでもな」
「なら話は早い、頑張れよ~」
「え゛!やるの!?」
「当たり前だろ」
「はぁ…わかったよ。あたしも頑張…」
る、と言おうとしたところで、追加の言葉。
「ああ、そうそう。
途中に今にも落ちそうな橋や自力で登らないと上がれない崖、それに真っ暗な洞窟を通らなくてはいけないからの。気をつけるんだぞ☆」
今にも落ちそうな橋?ファイト一発な崖?真っっっ暗な洞窟!?
考えただけでくらくらする。
「…前言撤回、無理。そんな危なさそうなトコあたし行かない、行きたくない。
ダンテ一人で行ってきていいよ」
テメンニグルに行った時は、瓦礫と化した事務所前に残る方が危なかったから一緒に行った。
が、今回の場合は違う。
待っていた方がどう考えても安全だと、の脳は判断した。
「そうね、無理に行かなくてもいいのよ。そんなの年寄りの戯言とでも思ってちょうだい」
「お前さんももう充分に年寄り「え?」……いや、ナンデモアリマセン」
そして祖母もそれに賛同してくれたが、さらにさらに続きの一言。
「結ばれたい者同士、2人で行かんと意味ないからな~。なんでも、1人で行ってたどり着いた場合…お札がどこにもないそうじゃ」
「何その構造!?」
叫ぶように言うディーヴァ。
そんなディーヴァを、ダンテはポンポンと落ち着かせるよう撫でてなだめた。
「大丈夫、オレが守ってやるって。今までも、いつでもそうしてきただろ?」
「そう…だけど……」
渋るディーヴァをそのままに、ダンテは行くと決めた。
「夜中になったらディーヴァと行ってくる。それまでにヤマガミサマとやらの好物を用意しておいてくれ」
「あいわかった」
「はぁ…2人とも、無理は決してしないんですよ?」
とりあえずここでその話は終わり。
ダイニングルームへと移動した4人は、豪華なお節料理と主食に用意された囲炉裏の炭でぷくりと焼いた餅を昼食に、食事と相成った。
ディーヴァが好物だと話すや否やチーズを乗せて焼いた餅、甘い物の好きなダンテのためか金柑の甘露煮に、2人とも好きなリンゴのコンポート、そして甘口辛口と揃った日本酒。
それに各種三段に詰め込まれたお節の数々。
祖母の作った料理はとても美味しかった。
そう、とても美味しかったのだが、ディーヴァは今夜の事を思うと、あまり味わう暇もなく食べてしまったのである。
心に余裕があったならその作り方や食材の変わった切り方など、たくさん聞いて得る物も多かったろう…。
お風呂もいただき夜になって居間にあったこたつでぬくぬくうとうと、山へ出かけることも忘れ始めた頃。
ダンテが目を輝かせて「行くぞ」と呼びかけてきた。
夜は悪魔の時間、つまりダンテの活動も活発になってくる時間だ。
普段ならそろそろベッドへ向かう時間。
夢主にあるまじき、ひっじょーーーに嫌そうな顔をしたディーヴァが「や」と漏らす。
客間に敷いてあるお布団に向かいたい。
いや、むしろこの気持ちいいこたつから一歩も出たくない。
「ダンテもこたつであったまろ?気持ちいいから出たくなくなるよー」
「それは知ってる。でも、今は出かけるのが先だぞ」
「あ、おうちにもこたつ買おうか!でもアメリカに売ってるかな?」
「ディーヴァ…。こたつはあとで買ってやる。とにかく行くぞ。ほら、風邪ひくといけねぇから上着も着て…」
こたつからディーヴァを引きずり出そうとこたつ布団を引っぺがすダンテ。
だが、こたつテーブルの端を掴み、ディーヴァはそこから離れまいと踏ん張った。
「いーやーだー!あたし行かないー!こたつと結婚するーーー!」
「ディーヴァ、それダメ人間の発言だぜ」
ため息まじりに言えば、行動はピタリと止まる。
その隙にダンテはディーヴァをこたつから出し、抱きしめてやった。
お互いお風呂を済ませて結構たつが、同じ石鹸のいい香りがまだ漂っていて気分も、そして機嫌をも落ち着かせる。
「………行ったら疲れるのに。寒いのに。
誰かに反対されたってあたしが選ぶのはダンテなのに」
「ディーヴァ……」
「それに、あたし眠いのに…」
「おい。それが本音だろ」
なんと嬉しい言葉か、と思ったのもつかの間。
もしかしたらまだ時差ボケが抜けきっていないのか眠い!というのがディーヴァの一番の気持ちのようだ。
「うん、まぁ…ディーヴァがオレを選んでくれるのは自惚れじゃないがわかってる。
けど、やっぱり反対されてるよりは周りに認められていたいって、オレは思ったんだ。……ついてきてくれるよな?」
「………わかった…」
ダンテの真剣な表情に、眠気が少し飛ぶ。
そこでようやく、ディーヴァは首を縦に振ったのだった。