mission 30:going to travel ~日本~
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「だよな!オレも道具を使った事あるが、いつもと反応違ってイイよな。でもディーヴァは嫌がるんだよなぁ…」
「うむ。女は最初嫌がるんだ。だが徐々に…喜ぶ!
どんどん使えよ、使って損はない!」
「やっぱりか。爺さん話が分かるじゃねぇか」
「まだまだヒヨッコのお前にゃ負けんぞ~。
若い頃はそれで妻を喜ばせたもんじゃ!やはりソコをそれで攻めながら、自分ので…な!」
ダンテのいるであろうテラスへ戻ると、そこには祖父もいた。
そして、なんだかヤラシイ会話がなされており、ディーヴァは火が出そうなくらい顔を赤くして俯いてしまった。
「なーにが自分ので、ですか!」
「あでっ」
それを咎めるように、祖父の頭に落とされる茶のお盆。
鈍い痛みを我慢して振り向く初老の祖父は、殴られたのも嬉しそうにしている。
「おう、ただいま綾女」
「まったく…ただいまじゃありませんよ。なんて会話してるんですか!ダンテ君も!」
「「サーセン」」
「ディーヴァちゃんが到着してるのよ。ちゃんとしてちょうだい」
「そのようだの。おお…ディーヴァ、私の愛しい孫娘や……」
「は、初めまして…おじい、ちゃん……?」
近寄ろうとして気がついた。
すんごくお酒臭い!
先ほど帰ったばかりといっていたが、すでに出来上がっている。
「はいはい。酔っ払いは酔いを覚ましてから挨拶しましょうね。お酒はおしまい。
地域の会合で飲んできたのでしょう?なんでまた飲んでるんですか」
「だって足りんもん…」
ディーヴァからはちょうど見えなかったのだが、ダンテも一緒になって一杯やっているようだ。
空の酒瓶がひとつ、転がっていた。
「あーあ、ダンテまで…何してるんだか」
「はは、悪いな」
この際ダンテはおいといて、確か祖父はイギリス人だったか…大酒飲みなのも少しは頷けようもの。
ディーヴァにもイギリス人の友人がいるが皆、酒好きが多い。
それにしてもこの祖父と祖母のやり取り……何か親近感のようなものを感じる。
親近感というか、ダンテと自分の未来の姿を思い浮かべてしまった。
「もう!しょうがないおひと!」
空の酒瓶を片しながらぷりぷり怒る祖母の様子など、まるで鏡を見ているようだ。
「追加の酒とツマミのフィッシュ&チップスを出してくれ。頼むから」
「飲み過ぎはお医者様から止められております。それに今はお節しかありませんよ。あ、ダンテ君はそこにあるお酒、うんと飲んでいいからね」
「ど、どもっす…」
いいと言われようとこの状況で飲み続けるわけにも行かず、ダンテですらグラスを置いた。
「冷たいのぅ…」
「はいはい。酒瓶は片しますよっと」
ヨヨヨ、と椅子に寄りかかりぶつくさ文句を垂れる祖父を横目にし、祖母は酒瓶片手にディーヴァを連れ出すべく動いた。
今の状態のここにディーヴァを置いていては、変態会話を更に聞かせる結果になりそうで怖い。
「さ、行きましょうか」
「え?でも…」
「あの人のことはダンテ君にお任せしましょ。会話ならあとで酔いがさめた頃に…ね」
「うん…」
ごめんね、ダンテ…。
酔っ払い祖父に絡まれてどう対応していいかと迷うダンテを残し、ディーヴァはそこを後にした。
そんな後ろ姿を見た祖父が、ダンテに
「蓮に…あの子にそっくりだ。よく似ている……」
と、懐古の表情を浮かべながら、何度もかわいいかわいいと漏らしていたのを、ディーヴァは知らない。
「よく考えたらお正月だものね、ディーヴァちゃんがこっちに到着次第、着せたい物があったの」
「着せたい物?」
「これよ」
畳張りの部屋へ通されたディーヴァは目を見開く。
部屋を覆い尽くすんじゃないか、と思うくらいめいっぱい広げて飾られていたのは、色鮮やかな色彩の大振袖。
薄紅色から徐々に真紅に染まる地色、銀と金の刺繍と鮮やかな赤と黒と橙の大輪の花々、竜胆色の生地に描かれた花模様の帯…。
とても、とても美しかった。
「わあ、綺麗……」
思わずほぅ…と、感嘆の吐息が漏れる。
ただただ、美しく綺麗だとしか上手く言い表せなかった。
「蓮の成人式のために買った着物なんだけど…あの子、着ない内に日本を出てっちゃってね」
「成人式…」
という事は母は未成年の内に渡米したのか。
せめて成人式くらい出席していればいい思い出が出来ただろうと、頭の隅で考えてみる。
「ディーヴァちゃん、代わりに着てもらえないかしら」
「ほぇっ!?」
「着るのは嫌?」
「そ、そんなことないけど…」
こんな高価そうな着物、自分なんかが着たら悪い。
それに、着物を着るのでなく、着物に着られてしまうに違いなかった。
「このままここに飾られていても着物がかわいそうよ。着物は着てなんぼ。
せっかくの機会だから、ね?」
「きっと似合わない。…けどそれでいいなら……」
「あら、蓮に似合うと思って用意した振袖よ。蓮の娘であるディーヴァちゃんが似合わないわけないわ」
真新しい襦袢に腰紐、真っ白な足袋…母が使わずじまいだったものが、ようやく開封される。
なんだか申し訳ないような、それでいて嬉しいような気持ちになりながら、ディーヴァはそれらに袖を通した。
「んっ…けっこうキツめなんだね。着物用の下着まで着るんだぁ……」
「そうね。でも、その分気持ちがしゃんとするのよ。ただ、胸を潰すのが一番大変だけどね」
本格的に着させてくれるつもりなようで、長襦袢を羽織り腰紐を締めてくれる祖母。
キュッと締まる度、ディーヴァの口からウッという声が漏れる。
「…苦しすぎない?」
「だ、だいじょぶ」
苦しさで目をチカチカさせたまま、言っても意味がない。
少しだけ緩められてようやくまともに話しができるようになった。
「それにしても、これは自分で着るの難しそうだね。浴衣ならなんとか1人で着れるんだけど…」
「ふふ、無理に覚えなくても私が着付け出来るから大丈夫よ。
浴衣の着付けは学校で覚えたの?」
「ううん。ママが教えてくれたの」
「…そう……。あの子ったら、着物はダサい~なんて嫌がってたのに…」
着物を嫌がっていても、昔教えた着物の着付けをちゃんと覚えていてくれた。
それは直接結びつくものでなくとも、家族を忘れていないのと同じ事。
嬉しそうに祖母はそう、こぼした。
「んー…ふくら雀結びが一番かわいいわね。はい完成」
半刻ほど過ぎ、ちょっぴり内臓が出そうな思いをしながらも様々な行程を経て、ディーヴァはようやく振袖を着終わった。
帯結びは振袖では一般的なふくら雀だが、これが一番ディーヴァを可愛く見せている。
けっこう重いし、きつく感じるが日本の正式な和装を着ているのだ、と思うと嬉しさの方が増してくる。
やはり、四分の一とはいえ、日本の血は脈々と受け継いでいるようだ。
「あらー、かわいい!あ、かわいいというか、とっても綺麗で色っぽいわね!」
くるぅりとその場で1回転させたディーヴァを見た祖母が満足そうに笑う。
しかし、ディーヴァ本人としては不服な部分が多々あった。
おはしょり多めにしても目立つ、その裾。
「でも、丈が…ちょっと長い………?」
「そうねぇ、蓮は身長があったものね。確かに丈が少し長いけど、よく似合ってるわ」
しかたない。
クォーターのアメリカ人とはいえ、ディーヴァの身長は低い方だ。
反対にハーフの母親の方が身長は高かった。
「さぁ、髪もまとめちゃいましょうか。簡単にだけど、こうやってまとめて…と。
ほら、鏡をごらんなさい」
そう言って部屋の隅にあった姿見の布を外し、振袖で着飾り終わったディーヴァを映す。
そこにはいつもの自分とはまったく違う印象の女性がいた。
「これ…ほんとにあたし?」
かわいいではない、美しいのだ。
自分はナルシストでもないので自分を美しいと思った事など全くないが、この自分には美人ですねと、そう言ってあげたくなった。
着物ひとつ、髪のまとめ方ひとつでここまで変わるものとは……思わず見とれてしまう。
「長くかかっちゃったから、早くおじいちゃんや彼にも見てもらいましょうね」
「うん!」
祖父にはもちろんの事、ダンテにも今の自分を見て欲しい。
「うむ。女は最初嫌がるんだ。だが徐々に…喜ぶ!
どんどん使えよ、使って損はない!」
「やっぱりか。爺さん話が分かるじゃねぇか」
「まだまだヒヨッコのお前にゃ負けんぞ~。
若い頃はそれで妻を喜ばせたもんじゃ!やはりソコをそれで攻めながら、自分ので…な!」
ダンテのいるであろうテラスへ戻ると、そこには祖父もいた。
そして、なんだかヤラシイ会話がなされており、ディーヴァは火が出そうなくらい顔を赤くして俯いてしまった。
「なーにが自分ので、ですか!」
「あでっ」
それを咎めるように、祖父の頭に落とされる茶のお盆。
鈍い痛みを我慢して振り向く初老の祖父は、殴られたのも嬉しそうにしている。
「おう、ただいま綾女」
「まったく…ただいまじゃありませんよ。なんて会話してるんですか!ダンテ君も!」
「「サーセン」」
「ディーヴァちゃんが到着してるのよ。ちゃんとしてちょうだい」
「そのようだの。おお…ディーヴァ、私の愛しい孫娘や……」
「は、初めまして…おじい、ちゃん……?」
近寄ろうとして気がついた。
すんごくお酒臭い!
先ほど帰ったばかりといっていたが、すでに出来上がっている。
「はいはい。酔っ払いは酔いを覚ましてから挨拶しましょうね。お酒はおしまい。
地域の会合で飲んできたのでしょう?なんでまた飲んでるんですか」
「だって足りんもん…」
ディーヴァからはちょうど見えなかったのだが、ダンテも一緒になって一杯やっているようだ。
空の酒瓶がひとつ、転がっていた。
「あーあ、ダンテまで…何してるんだか」
「はは、悪いな」
この際ダンテはおいといて、確か祖父はイギリス人だったか…大酒飲みなのも少しは頷けようもの。
ディーヴァにもイギリス人の友人がいるが皆、酒好きが多い。
それにしてもこの祖父と祖母のやり取り……何か親近感のようなものを感じる。
親近感というか、ダンテと自分の未来の姿を思い浮かべてしまった。
「もう!しょうがないおひと!」
空の酒瓶を片しながらぷりぷり怒る祖母の様子など、まるで鏡を見ているようだ。
「追加の酒とツマミのフィッシュ&チップスを出してくれ。頼むから」
「飲み過ぎはお医者様から止められております。それに今はお節しかありませんよ。あ、ダンテ君はそこにあるお酒、うんと飲んでいいからね」
「ど、どもっす…」
いいと言われようとこの状況で飲み続けるわけにも行かず、ダンテですらグラスを置いた。
「冷たいのぅ…」
「はいはい。酒瓶は片しますよっと」
ヨヨヨ、と椅子に寄りかかりぶつくさ文句を垂れる祖父を横目にし、祖母は酒瓶片手にディーヴァを連れ出すべく動いた。
今の状態のここにディーヴァを置いていては、変態会話を更に聞かせる結果になりそうで怖い。
「さ、行きましょうか」
「え?でも…」
「あの人のことはダンテ君にお任せしましょ。会話ならあとで酔いがさめた頃に…ね」
「うん…」
ごめんね、ダンテ…。
酔っ払い祖父に絡まれてどう対応していいかと迷うダンテを残し、ディーヴァはそこを後にした。
そんな後ろ姿を見た祖父が、ダンテに
「蓮に…あの子にそっくりだ。よく似ている……」
と、懐古の表情を浮かべながら、何度もかわいいかわいいと漏らしていたのを、ディーヴァは知らない。
「よく考えたらお正月だものね、ディーヴァちゃんがこっちに到着次第、着せたい物があったの」
「着せたい物?」
「これよ」
畳張りの部屋へ通されたディーヴァは目を見開く。
部屋を覆い尽くすんじゃないか、と思うくらいめいっぱい広げて飾られていたのは、色鮮やかな色彩の大振袖。
薄紅色から徐々に真紅に染まる地色、銀と金の刺繍と鮮やかな赤と黒と橙の大輪の花々、竜胆色の生地に描かれた花模様の帯…。
とても、とても美しかった。
「わあ、綺麗……」
思わずほぅ…と、感嘆の吐息が漏れる。
ただただ、美しく綺麗だとしか上手く言い表せなかった。
「蓮の成人式のために買った着物なんだけど…あの子、着ない内に日本を出てっちゃってね」
「成人式…」
という事は母は未成年の内に渡米したのか。
せめて成人式くらい出席していればいい思い出が出来ただろうと、頭の隅で考えてみる。
「ディーヴァちゃん、代わりに着てもらえないかしら」
「ほぇっ!?」
「着るのは嫌?」
「そ、そんなことないけど…」
こんな高価そうな着物、自分なんかが着たら悪い。
それに、着物を着るのでなく、着物に着られてしまうに違いなかった。
「このままここに飾られていても着物がかわいそうよ。着物は着てなんぼ。
せっかくの機会だから、ね?」
「きっと似合わない。…けどそれでいいなら……」
「あら、蓮に似合うと思って用意した振袖よ。蓮の娘であるディーヴァちゃんが似合わないわけないわ」
真新しい襦袢に腰紐、真っ白な足袋…母が使わずじまいだったものが、ようやく開封される。
なんだか申し訳ないような、それでいて嬉しいような気持ちになりながら、ディーヴァはそれらに袖を通した。
「んっ…けっこうキツめなんだね。着物用の下着まで着るんだぁ……」
「そうね。でも、その分気持ちがしゃんとするのよ。ただ、胸を潰すのが一番大変だけどね」
本格的に着させてくれるつもりなようで、長襦袢を羽織り腰紐を締めてくれる祖母。
キュッと締まる度、ディーヴァの口からウッという声が漏れる。
「…苦しすぎない?」
「だ、だいじょぶ」
苦しさで目をチカチカさせたまま、言っても意味がない。
少しだけ緩められてようやくまともに話しができるようになった。
「それにしても、これは自分で着るの難しそうだね。浴衣ならなんとか1人で着れるんだけど…」
「ふふ、無理に覚えなくても私が着付け出来るから大丈夫よ。
浴衣の着付けは学校で覚えたの?」
「ううん。ママが教えてくれたの」
「…そう……。あの子ったら、着物はダサい~なんて嫌がってたのに…」
着物を嫌がっていても、昔教えた着物の着付けをちゃんと覚えていてくれた。
それは直接結びつくものでなくとも、家族を忘れていないのと同じ事。
嬉しそうに祖母はそう、こぼした。
「んー…ふくら雀結びが一番かわいいわね。はい完成」
半刻ほど過ぎ、ちょっぴり内臓が出そうな思いをしながらも様々な行程を経て、ディーヴァはようやく振袖を着終わった。
帯結びは振袖では一般的なふくら雀だが、これが一番ディーヴァを可愛く見せている。
けっこう重いし、きつく感じるが日本の正式な和装を着ているのだ、と思うと嬉しさの方が増してくる。
やはり、四分の一とはいえ、日本の血は脈々と受け継いでいるようだ。
「あらー、かわいい!あ、かわいいというか、とっても綺麗で色っぽいわね!」
くるぅりとその場で1回転させたディーヴァを見た祖母が満足そうに笑う。
しかし、ディーヴァ本人としては不服な部分が多々あった。
おはしょり多めにしても目立つ、その裾。
「でも、丈が…ちょっと長い………?」
「そうねぇ、蓮は身長があったものね。確かに丈が少し長いけど、よく似合ってるわ」
しかたない。
クォーターのアメリカ人とはいえ、ディーヴァの身長は低い方だ。
反対にハーフの母親の方が身長は高かった。
「さぁ、髪もまとめちゃいましょうか。簡単にだけど、こうやってまとめて…と。
ほら、鏡をごらんなさい」
そう言って部屋の隅にあった姿見の布を外し、振袖で着飾り終わったディーヴァを映す。
そこにはいつもの自分とはまったく違う印象の女性がいた。
「これ…ほんとにあたし?」
かわいいではない、美しいのだ。
自分はナルシストでもないので自分を美しいと思った事など全くないが、この自分には美人ですねと、そう言ってあげたくなった。
着物ひとつ、髪のまとめ方ひとつでここまで変わるものとは……思わず見とれてしまう。
「長くかかっちゃったから、早くおじいちゃんや彼にも見てもらいましょうね」
「うん!」
祖父にはもちろんの事、ダンテにも今の自分を見て欲しい。