mission 29:exposure,denunciation ~悪魔だって傷つく~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それからどんな道を通って帰ってきたのかは覚えていない。
気がつけば自宅の目の前だった。
蛇やダンテから受けた傷に包帯を巻いて、軽く衣服を着替えるとディーヴァは、依頼完了の連絡を先方に入れることにした。
「世の中には悪魔なんかよりよっぽど悪魔のような人間がいるんですね」
報告を終えて国のお偉方がそれを書き留める筆音が聞こえる間、ボソリと小さく皮肉を交える。
なんと言ったのかと聞き返す相手に、慌てて誤魔化す。
「いえ、こちらの話です。
それより、人間に悪魔の存在が少しバレてしまいましたので、そこの対処だけお願いしますね」
言い切ったディーヴァは、相手が何か言う前に受話器を下ろす。
そして、くるぅりとターンすると、ソファに座っていただけのダンテへと労いの言葉をかけた。
「お疲れ様、ダンテ」
「…ああ。ディーヴァも攫われたり色々大変だったな…」
体の方は大丈夫か…と、そう声をかけようとして気付く。
ディーヴァの体が負った怪我で一番酷いものは、ダンテがつけた噛み跡なのだ。
ディーヴァに触れる資格は、今の自分にはない。
ダンテに近づくディーヴァに、ダンテはソファから立ち上がり、後ずさりしてそれ以上の侵入を拒んだ。
「来るなよ、頼むから来るな…」
「え、ダンテ…?」
「オレはディーヴァに触れる資格がない。そんな大きな怪我させて。
オレは自分を許せない…!」
頭を抱え込んだダンテは、そう言ってしゃがみこんでしまった。
顔を上げようとしないダンテの肩に手を置けば、ダンテの体はびくりと跳ねる。
ディーヴァは我が子に言い聞かせるかのように、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「でもね、ダンテ…。
それはあの悪魔のせいなんだよ?仕方なかったの。ダンテが気に病むことないでしょ?」
「けど、ディーヴァだって痛かっただろ?
あの時のオレを、怖いと思っただろ?…あいつらみたいに」
「そんなこと…」
ないとは言い切れない。
元より悪魔と天使という、相反する種族の血をひいているのだから、怖くないといえば嘘になる。
「少しでも怖いと思ったならもうほっといてくれ。…一緒にいなくていい。
それがオレへの戒めに、罰になる」
ダンテの言葉を聞いた瞬間、ディーヴァの中に怒りの感情が生まれた。
「何バカな事言ってるの!そんな事して何になるのよ!」
そして無理やり顔を上げさせたダンテの頬に勢いよく飛ぶ、ディーヴァの平手打ち。
バチン!といい音が聞こえ、これは痛そうだ…。
「つ~~~っ」
が、手を痛めたのは、平手打ちを繰り出したディーヴァの方だった。
ダンテの頬は少し赤くなったが、一瞬後にはぴんぴんしており、どうともなっていない。
反対に、ディーヴァの手を心配する始末。
「だ、大丈夫か?」
「う~~~…こっちが怪我しちゃう…」
涙目でダンテを恨みがましく見るディーヴァは、やっと顔が見えたダンテに、そのまま気持ちをぶつけた。
「そりゃ怖い時だってあるよ!
あたしは天使の、ダンテは悪魔の家系。そんなの当たり前じゃない!
それがダンテが正気を失くしてわけわかんなくなってるなら、余計怖いに決まってる!
でも、今のダンテなんか1gも、1μだってこわくないんだから!!」
啖呵をきるかの如く、言い切ったディーヴァに臆したのか、ダンテは吃驚してただ聞いていた。
ダンテと同じ目線に膝をついたディーヴァが、ダンテの頬に両手を伸ばしてそっと包み込む。
「あたしは今のダンテを一人になんてできないよ…」
目が逸らせない。
ディーヴァの瞳からはポロポロと透明な涙が流れていた。
「ね、ダンテ。何であたしがダンテと一緒にいると思ってるの?
好きだからだよ、愛してるからだよ。
…いやだったらもうここにあたしはいない。あたしは好きでダンテと一緒にいるの…!」
そして、ディーヴァ自ら唇を押し付けてきた。
突然のキスにダンテは驚いて目を見開くが、与えられる愛の口付けを素直に甘受した。
数秒間の触れるだけのキスを終え、ディーヴァが額をコツンと合わせて見つめてくる。
「言葉だけじゃ足りないなら、これがもっと手っ取り早く愛が伝わる一番の方法だと思ったの…だから、」
それだけで充分だった。
愛を言葉で伝えるのは時に大事なことだが、キスの前には言葉はいらない。
ダンテは返答の代わりにと、唇を重ねた。
始めは啄むように優しく、徐々に奥深く、舌を絡ませて…。
熱い吐息と唾液を絡ませるべく、ぎゅっと抱きしめ合う。
ダンテはディーヴァの背と頭に、ディーヴァはダンテの背にいっぱいに腕を回してしっかりと体も密着させる。
だがそうすれば、包帯から滲む芳醇な天使の血の香りが鼻に届くもので…。
「ダンテ、いいよ。もっと血も欲しかったんでしょ?好きに飲んで」
天使の血の香りを嗅いだ時のダンテは、目を赤く染めて、獲物たるソレを欲する事が多い。
血の香りにあてられたか、例によってダンテは瞳を赤く光らせていた。
「いい、のか…?」
「うん。でも、痛い事はしないでね…」
「わかってる」
包帯を解けば未だ乾ききらぬディーヴァの痛々しい傷口が目に入る。
これを目に焼き付ける事こそが、自分への戒めだと、たっぷり10秒間見つめると、ダンテはその傷口に唇をつけ、痛みを与えぬよう気をつけながら舐めるように血を啜った
気がつけば自宅の目の前だった。
蛇やダンテから受けた傷に包帯を巻いて、軽く衣服を着替えるとディーヴァは、依頼完了の連絡を先方に入れることにした。
「世の中には悪魔なんかよりよっぽど悪魔のような人間がいるんですね」
報告を終えて国のお偉方がそれを書き留める筆音が聞こえる間、ボソリと小さく皮肉を交える。
なんと言ったのかと聞き返す相手に、慌てて誤魔化す。
「いえ、こちらの話です。
それより、人間に悪魔の存在が少しバレてしまいましたので、そこの対処だけお願いしますね」
言い切ったディーヴァは、相手が何か言う前に受話器を下ろす。
そして、くるぅりとターンすると、ソファに座っていただけのダンテへと労いの言葉をかけた。
「お疲れ様、ダンテ」
「…ああ。ディーヴァも攫われたり色々大変だったな…」
体の方は大丈夫か…と、そう声をかけようとして気付く。
ディーヴァの体が負った怪我で一番酷いものは、ダンテがつけた噛み跡なのだ。
ディーヴァに触れる資格は、今の自分にはない。
ダンテに近づくディーヴァに、ダンテはソファから立ち上がり、後ずさりしてそれ以上の侵入を拒んだ。
「来るなよ、頼むから来るな…」
「え、ダンテ…?」
「オレはディーヴァに触れる資格がない。そんな大きな怪我させて。
オレは自分を許せない…!」
頭を抱え込んだダンテは、そう言ってしゃがみこんでしまった。
顔を上げようとしないダンテの肩に手を置けば、ダンテの体はびくりと跳ねる。
ディーヴァは我が子に言い聞かせるかのように、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「でもね、ダンテ…。
それはあの悪魔のせいなんだよ?仕方なかったの。ダンテが気に病むことないでしょ?」
「けど、ディーヴァだって痛かっただろ?
あの時のオレを、怖いと思っただろ?…あいつらみたいに」
「そんなこと…」
ないとは言い切れない。
元より悪魔と天使という、相反する種族の血をひいているのだから、怖くないといえば嘘になる。
「少しでも怖いと思ったならもうほっといてくれ。…一緒にいなくていい。
それがオレへの戒めに、罰になる」
ダンテの言葉を聞いた瞬間、ディーヴァの中に怒りの感情が生まれた。
「何バカな事言ってるの!そんな事して何になるのよ!」
そして無理やり顔を上げさせたダンテの頬に勢いよく飛ぶ、ディーヴァの平手打ち。
バチン!といい音が聞こえ、これは痛そうだ…。
「つ~~~っ」
が、手を痛めたのは、平手打ちを繰り出したディーヴァの方だった。
ダンテの頬は少し赤くなったが、一瞬後にはぴんぴんしており、どうともなっていない。
反対に、ディーヴァの手を心配する始末。
「だ、大丈夫か?」
「う~~~…こっちが怪我しちゃう…」
涙目でダンテを恨みがましく見るディーヴァは、やっと顔が見えたダンテに、そのまま気持ちをぶつけた。
「そりゃ怖い時だってあるよ!
あたしは天使の、ダンテは悪魔の家系。そんなの当たり前じゃない!
それがダンテが正気を失くしてわけわかんなくなってるなら、余計怖いに決まってる!
でも、今のダンテなんか1gも、1μだってこわくないんだから!!」
啖呵をきるかの如く、言い切ったディーヴァに臆したのか、ダンテは吃驚してただ聞いていた。
ダンテと同じ目線に膝をついたディーヴァが、ダンテの頬に両手を伸ばしてそっと包み込む。
「あたしは今のダンテを一人になんてできないよ…」
目が逸らせない。
ディーヴァの瞳からはポロポロと透明な涙が流れていた。
「ね、ダンテ。何であたしがダンテと一緒にいると思ってるの?
好きだからだよ、愛してるからだよ。
…いやだったらもうここにあたしはいない。あたしは好きでダンテと一緒にいるの…!」
そして、ディーヴァ自ら唇を押し付けてきた。
突然のキスにダンテは驚いて目を見開くが、与えられる愛の口付けを素直に甘受した。
数秒間の触れるだけのキスを終え、ディーヴァが額をコツンと合わせて見つめてくる。
「言葉だけじゃ足りないなら、これがもっと手っ取り早く愛が伝わる一番の方法だと思ったの…だから、」
それだけで充分だった。
愛を言葉で伝えるのは時に大事なことだが、キスの前には言葉はいらない。
ダンテは返答の代わりにと、唇を重ねた。
始めは啄むように優しく、徐々に奥深く、舌を絡ませて…。
熱い吐息と唾液を絡ませるべく、ぎゅっと抱きしめ合う。
ダンテはディーヴァの背と頭に、ディーヴァはダンテの背にいっぱいに腕を回してしっかりと体も密着させる。
だがそうすれば、包帯から滲む芳醇な天使の血の香りが鼻に届くもので…。
「ダンテ、いいよ。もっと血も欲しかったんでしょ?好きに飲んで」
天使の血の香りを嗅いだ時のダンテは、目を赤く染めて、獲物たるソレを欲する事が多い。
血の香りにあてられたか、例によってダンテは瞳を赤く光らせていた。
「いい、のか…?」
「うん。でも、痛い事はしないでね…」
「わかってる」
包帯を解けば未だ乾ききらぬディーヴァの痛々しい傷口が目に入る。
これを目に焼き付ける事こそが、自分への戒めだと、たっぷり10秒間見つめると、ダンテはその傷口に唇をつけ、痛みを与えぬよう気をつけながら舐めるように血を啜った