mission 29:exposure,denunciation ~悪魔だって傷つく~
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ディーヴァの首元の肌が甘く匂い立つ。
そのすぐ下に走る頚動脈の脈動が、魅惑的にダンテの目に映った。
(う…くそッ!目の前のディーヴァが獲物にみえちまう…)
ドクッ、ドクッ…!
早鐘を打つ悪魔の心音。
天使の血欲しさに喉がカラカラに渇き、喉がゴクリと鳴ってしかたがなかった。
ガマン…デキナイ……。
なんとか魔人化だけは解いたダンテ。
だが、その悪魔の感情までは消し去れない。
大きく口を開けると、ディーヴァの肩口に鋭い牙を突き立てた。
その肩口をくいちぎるかのように、噛みつき喰らう。
「え…?」
ブチィッ…!!
飛び散る血、はらはらと舞う服の切れ端。
一瞬、何が起こったのかよくわからなかった。
「ぁあああっ!!」
肩に発生した激しい痛みに、ディーヴァは叫んで仰け反る。
もがいてそこから脱しようとするも、ダンテはディーヴァの体を話さずに肩に口をつけたまま。
抵抗しても無駄だった。
ジュルジュル、血を吸い取る音が嫌でも聞こえる。
容赦無く無理やり奪われる感覚に、恐怖を覚えるディーヴァだが、反対にダンテは美味そうに血を啜っていた。
「ひ、あぁぁ…、ダンテ、やめてぇ……」
「くくく…美味ぇ……」
が、満足するにつれ思考がクリアになってゆく。
ダンテは突然、口と体を離してむせ込んだ。
ごほごほっ!!
「ッ…!!オレは…なんてことを…!」
人々に悪魔の姿を見られたことよりも、自分のしてしまったことが信じられない。
愛する者を、また傷つけてしまった。
自分自身が許せなくて、思い切り拳を握りしめる。
食い込んだ爪が手のひらの皮膚を突き破り、血がダラダラと垂れるがダンテは尚も握りしめた。
痛々しいその光景に心痛めたか、ディーヴァはダンテの手をそっと包み込み、手のひらを開かせて自傷を止めさせた。
「だめ…そんなことしたらダンテのおててが痛い。…かわいそう」
「こんなの…痛くねぇ。お前の痛みに比べたらなんでもねぇよ」
ダンテの目に映る、自分よりもっと痛々しいディーヴァの姿。
傷口からは未だ血が伝い、服を赤く染めていた。
「それだけじゃなくて…」
肩口に刻まれたダンテの噛み傷の方が痛いはずなのに、ディーヴァはダンテの心配をしていた。
痛みだけでなく、周りの目を。
ダンテとディーヴァを囲む、人々の視線。
シュウシュウと、音を立てて怪我の治っていくダンテの姿が、その異端者を見る目に映っていた。
「あいつ…怪我が治っていくぞ…」
「さっきは血を啜ってたし、やっぱり化け物よ!」
化け物だ、怪物だと口々に糾弾の言葉や罵詈雑言を受けるダンテ。
ダンテは何も言わず黙って聞いているだけだったが、その目にはわずかながら深い悲しみが浮かんでいた。
ダンテが黙っていても、大事な恋人がそんなことを言われたらディーヴァが黙っていない。
「ダンテはみんなを…人間を助けるためと、悪魔を倒そうと頑張ってるのに…!
これが、そのダンテに対する態度!?…ひどい…!」
人々に詰め寄るべく、ダンテから離れて一歩前に踏み出す。
…パァン!
その時、銃を携帯していたらしき、1人の男性がダンテに向かって発砲した。
「死ね!」
眉間を狙ったのだろう、弾丸は大きく狙いをはずれ、ダンテの頬に軽く掠っただけだった。
一筋の血が流れ落ちるが、その傷も一瞬で治る。
傷は治ったとしても、そういうことをされれば心はどんどん傷付いていくもの。
ディーヴァはダンテを守るようにして、目の前に立ち塞がった。
「やめてください!ダンテは化け物なんかじゃない!」
「ディーヴァ…」
小さな腕を懸命に広げて、ダンテを守ろうとする姿に、何かが胸の奥から込み上げる。
でも、人々には想いは届かない。
「邪魔だ、どけ!」
「一緒にいる女も悪魔の手先よ!」
「奴は魔女に違いない。構わねえ、撃て!」
とうとうディーヴァも悪魔の仲間扱い。
その銃口がディーヴァの方にも向けられてしまった。
「そんな…きゃっ!」
当たる!そう思い目を瞑るが。
放たれた弾丸は、ディーヴァの体のどこにも届かなかった。
「…ぇ?」
目を開ければダンテの手の甲がそこにあった。
銃弾を手で掴み取り、ちょうど握りつぶすところだった。
「ディーヴァ、大丈夫か?」
「…ぅん、だいじょぶ…」
「オレだけなら許せたが、ディーヴァにまでその矛先を向けるってんなら容赦しねぇ」
ディーヴァにかける優しい言葉とは裏腹に、人々に向けるのは怒りの言葉。
ゴゴゴ、魔人化した時と比べ物にならない魔力の高まりが、ダンテを中心に空気中に渦を巻いた。
他者に魔力を無理やり引き出されるのとは違い、ダンテの意思での魔力の使用はここまで差があるものなのか。
「ひぃ!ば、化け物!!」
「いいから、全部撃て!殺せ!!」
銃社会のサガか、護身用に持ち歩いていたらしいピストルを、次々に手にして撃ってくる人間達。
そのすべては、ダンテが弾いてしまっているからいいものの、言葉の弾丸は、確実にダンテとディーヴァに届いていた。
「痛い目見せねぇとわかんねぇのかよ」
ダンテが一歩踏み出したところで、その手を掴み、ディーヴァが止めた。
「……だめ。…行こう、ダンテ……」
「……ディーヴァ!…でも、」
「相手が人間だから止めたわけじゃない。
ダンテを化け物なんて言う最悪な人間がいるところ、いつまでもいたくないの」
淡々とした口調。
こんな風になんの感情も感じない冷たい目をしたディーヴァを、ダンテは初めて見たかもしれない。
ゾッとするほど冷たい目だった。
「…わかった…」
くすぶる思いを抱えながらも、ダンテはディーヴァを抱えると、そこから逃げるように飛び上がり去った。
そのすぐ下に走る頚動脈の脈動が、魅惑的にダンテの目に映った。
(う…くそッ!目の前のディーヴァが獲物にみえちまう…)
ドクッ、ドクッ…!
早鐘を打つ悪魔の心音。
天使の血欲しさに喉がカラカラに渇き、喉がゴクリと鳴ってしかたがなかった。
ガマン…デキナイ……。
なんとか魔人化だけは解いたダンテ。
だが、その悪魔の感情までは消し去れない。
大きく口を開けると、ディーヴァの肩口に鋭い牙を突き立てた。
その肩口をくいちぎるかのように、噛みつき喰らう。
「え…?」
ブチィッ…!!
飛び散る血、はらはらと舞う服の切れ端。
一瞬、何が起こったのかよくわからなかった。
「ぁあああっ!!」
肩に発生した激しい痛みに、ディーヴァは叫んで仰け反る。
もがいてそこから脱しようとするも、ダンテはディーヴァの体を話さずに肩に口をつけたまま。
抵抗しても無駄だった。
ジュルジュル、血を吸い取る音が嫌でも聞こえる。
容赦無く無理やり奪われる感覚に、恐怖を覚えるディーヴァだが、反対にダンテは美味そうに血を啜っていた。
「ひ、あぁぁ…、ダンテ、やめてぇ……」
「くくく…美味ぇ……」
が、満足するにつれ思考がクリアになってゆく。
ダンテは突然、口と体を離してむせ込んだ。
ごほごほっ!!
「ッ…!!オレは…なんてことを…!」
人々に悪魔の姿を見られたことよりも、自分のしてしまったことが信じられない。
愛する者を、また傷つけてしまった。
自分自身が許せなくて、思い切り拳を握りしめる。
食い込んだ爪が手のひらの皮膚を突き破り、血がダラダラと垂れるがダンテは尚も握りしめた。
痛々しいその光景に心痛めたか、ディーヴァはダンテの手をそっと包み込み、手のひらを開かせて自傷を止めさせた。
「だめ…そんなことしたらダンテのおててが痛い。…かわいそう」
「こんなの…痛くねぇ。お前の痛みに比べたらなんでもねぇよ」
ダンテの目に映る、自分よりもっと痛々しいディーヴァの姿。
傷口からは未だ血が伝い、服を赤く染めていた。
「それだけじゃなくて…」
肩口に刻まれたダンテの噛み傷の方が痛いはずなのに、ディーヴァはダンテの心配をしていた。
痛みだけでなく、周りの目を。
ダンテとディーヴァを囲む、人々の視線。
シュウシュウと、音を立てて怪我の治っていくダンテの姿が、その異端者を見る目に映っていた。
「あいつ…怪我が治っていくぞ…」
「さっきは血を啜ってたし、やっぱり化け物よ!」
化け物だ、怪物だと口々に糾弾の言葉や罵詈雑言を受けるダンテ。
ダンテは何も言わず黙って聞いているだけだったが、その目にはわずかながら深い悲しみが浮かんでいた。
ダンテが黙っていても、大事な恋人がそんなことを言われたらディーヴァが黙っていない。
「ダンテはみんなを…人間を助けるためと、悪魔を倒そうと頑張ってるのに…!
これが、そのダンテに対する態度!?…ひどい…!」
人々に詰め寄るべく、ダンテから離れて一歩前に踏み出す。
…パァン!
その時、銃を携帯していたらしき、1人の男性がダンテに向かって発砲した。
「死ね!」
眉間を狙ったのだろう、弾丸は大きく狙いをはずれ、ダンテの頬に軽く掠っただけだった。
一筋の血が流れ落ちるが、その傷も一瞬で治る。
傷は治ったとしても、そういうことをされれば心はどんどん傷付いていくもの。
ディーヴァはダンテを守るようにして、目の前に立ち塞がった。
「やめてください!ダンテは化け物なんかじゃない!」
「ディーヴァ…」
小さな腕を懸命に広げて、ダンテを守ろうとする姿に、何かが胸の奥から込み上げる。
でも、人々には想いは届かない。
「邪魔だ、どけ!」
「一緒にいる女も悪魔の手先よ!」
「奴は魔女に違いない。構わねえ、撃て!」
とうとうディーヴァも悪魔の仲間扱い。
その銃口がディーヴァの方にも向けられてしまった。
「そんな…きゃっ!」
当たる!そう思い目を瞑るが。
放たれた弾丸は、ディーヴァの体のどこにも届かなかった。
「…ぇ?」
目を開ければダンテの手の甲がそこにあった。
銃弾を手で掴み取り、ちょうど握りつぶすところだった。
「ディーヴァ、大丈夫か?」
「…ぅん、だいじょぶ…」
「オレだけなら許せたが、ディーヴァにまでその矛先を向けるってんなら容赦しねぇ」
ディーヴァにかける優しい言葉とは裏腹に、人々に向けるのは怒りの言葉。
ゴゴゴ、魔人化した時と比べ物にならない魔力の高まりが、ダンテを中心に空気中に渦を巻いた。
他者に魔力を無理やり引き出されるのとは違い、ダンテの意思での魔力の使用はここまで差があるものなのか。
「ひぃ!ば、化け物!!」
「いいから、全部撃て!殺せ!!」
銃社会のサガか、護身用に持ち歩いていたらしいピストルを、次々に手にして撃ってくる人間達。
そのすべては、ダンテが弾いてしまっているからいいものの、言葉の弾丸は、確実にダンテとディーヴァに届いていた。
「痛い目見せねぇとわかんねぇのかよ」
ダンテが一歩踏み出したところで、その手を掴み、ディーヴァが止めた。
「……だめ。…行こう、ダンテ……」
「……ディーヴァ!…でも、」
「相手が人間だから止めたわけじゃない。
ダンテを化け物なんて言う最悪な人間がいるところ、いつまでもいたくないの」
淡々とした口調。
こんな風になんの感情も感じない冷たい目をしたディーヴァを、ダンテは初めて見たかもしれない。
ゾッとするほど冷たい目だった。
「…わかった…」
くすぶる思いを抱えながらも、ダンテはディーヴァを抱えると、そこから逃げるように飛び上がり去った。