mission 29:exposure,denunciation ~悪魔だって傷つく~
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廃工場の倉庫群が立ち並ぶ、町の一区画。
「はぁ…はぁ…、ここか…」
男が寄越した使い魔を締め上げて、ダンテはやっとここまでたどり着いた。
建物全体に悪魔の力が外に漏れぬよう、四方に特殊な魔方陣を書いていたようで、これならダンテから隠れられたとしても頷ける。
神経を研ぎ澄ませれば…なるほど、悪魔の気配は微量ながら確かに感じられた。
そしてわずかな天使の力、ディーヴァの気配も。
「しかし…まさかディーヴァが連れ去られてたとはな。待ってろディーヴァ、今行く…!」
悪魔を倒すべく…というより、今や目的はディーヴァ奪還。
大事なお姫様を助けに行く王子の気分で、ダンテは足を踏み入れた。
が、朽ちかけた鉄の門扉を蹴り飛ばしてさあ中へ一歩、と思ったその時だった。
よく知った神聖なる気配、次いで禍々しい悪魔の気配が近くなり、そして…。
硬く錠がかけられた廃工場の扉が、バーンと大きな物音を立てて吹き飛んだ。
ダンテが銃弾を撃ち込んだわけでもないのに、だ。
「ちょ、オイ…まだオレは何もしてないぜ」
狼狽えつつも、もくもくと煙の上がっているそこから、愛しい気配を感じ取り、急ぐダンテ。
煙の中を進んだ先には、やはりというかなんというか…ディーヴァが、座りこんでむせていた。
ディーヴァが扉を破壊できるわけがないので、多分、悪魔に扉ごと吹き飛ばされてしまったのだろう。
それを証拠に、ディーヴァは満身創痍だ。
「けほけほ、出…出られた、けど足捻った……はぅぅ…」
「ディーヴァ!!」
「!?…ダ、ンテ…!」
やっと会えた…。
お互い無事に再会と相成って、手と手を伸ばし合う。
パズルのピースとピースが合わさるように、しっかりと抱き合ったダンテとディーヴァは、その温もりを確かめる。
この温もり、この香り、この感じ…これぞ、いつも変わらぬ愛しい恋人だ。
「って、危ねえ!!」
グワッッ!!
吹き飛んだ工場入り口の奥から、何かがすごい勢いでやってくるのがわかった。
それを半魔の良すぎる視力で確認したダンテは、ディーヴァをサッと抱えて上に飛び上がる。
大口を開けてディーヴァめがけ突っ込んできたのは、テラテラ光る鱗、ギョロギョロ動く無数の目玉、大きな体に鋭い牙。
ダンテが最初に対峙した時より数倍強力に進化した、蛇の悪魔だった。
ディーヴァを抱えて飛び上がらなかったら、今頃は仲良く悪魔の腹の中だったろう。
「ふう、間一髪ってとこか」
悪魔はそのまま、自身が吹き飛ばして出来た瓦礫へと、体ごと突っ込んでいった。
少し遠くへと降り立ったダンテはディーヴァを下ろし、目線を合わせるように屈みこんで顔を覗き込む。
その途端、ディーヴァの大きな瞳からはボロボロと涙が零れ落ちた。
「ダンテ…!こわかった…、こわ、かった…っ!
食べられちゃうかと…っ」
ダンテに思い切り抱きついて涙するディーヴァの頭を、落ち着くようにと優しく撫でる。
「よしよし…もう大丈夫だ。さ、傷も手当てしような」
「うん…」
真っ赤に腫れているまぶたに、ちゅっと口付ける。
ホッとしたのか、ディーヴァは、ずっとこわばったままだった体から力を抜き、ダンテに身を預けた。
ダンテからの優しいキスに、体が…心が癒されるのを感じる。
情事を重ねているわけでもないのに、体の芯が喜びに打ち震えるのを感じた。
ダンテとディーヴァがお互いを確かめ合って、いちゃいちゃしているのを邪魔するように背後の瓦礫が崩れる。
そしてそこから、禍々しい悪魔の殺意も漏れ出していた。
そうだった。
悪魔は倒せたわけではなく、ただ少しの間ログアウトしただけであり、未だ戦闘中。
ハッとしたダンテは、そちらを見ながらディーヴァに呟いた。
「ディーヴァ、手当ては後になりそうだがいいよな?」
「え、うん…」
ドゥン…!!
重いであろう瓦礫と、大量の埃が空中に舞い上がる。
そこから出てきたのは、全く傷ついていない、無傷の悪魔だった。
「はぁ…はぁ…、ここか…」
男が寄越した使い魔を締め上げて、ダンテはやっとここまでたどり着いた。
建物全体に悪魔の力が外に漏れぬよう、四方に特殊な魔方陣を書いていたようで、これならダンテから隠れられたとしても頷ける。
神経を研ぎ澄ませれば…なるほど、悪魔の気配は微量ながら確かに感じられた。
そしてわずかな天使の力、ディーヴァの気配も。
「しかし…まさかディーヴァが連れ去られてたとはな。待ってろディーヴァ、今行く…!」
悪魔を倒すべく…というより、今や目的はディーヴァ奪還。
大事なお姫様を助けに行く王子の気分で、ダンテは足を踏み入れた。
が、朽ちかけた鉄の門扉を蹴り飛ばしてさあ中へ一歩、と思ったその時だった。
よく知った神聖なる気配、次いで禍々しい悪魔の気配が近くなり、そして…。
硬く錠がかけられた廃工場の扉が、バーンと大きな物音を立てて吹き飛んだ。
ダンテが銃弾を撃ち込んだわけでもないのに、だ。
「ちょ、オイ…まだオレは何もしてないぜ」
狼狽えつつも、もくもくと煙の上がっているそこから、愛しい気配を感じ取り、急ぐダンテ。
煙の中を進んだ先には、やはりというかなんというか…ディーヴァが、座りこんでむせていた。
ディーヴァが扉を破壊できるわけがないので、多分、悪魔に扉ごと吹き飛ばされてしまったのだろう。
それを証拠に、ディーヴァは満身創痍だ。
「けほけほ、出…出られた、けど足捻った……はぅぅ…」
「ディーヴァ!!」
「!?…ダ、ンテ…!」
やっと会えた…。
お互い無事に再会と相成って、手と手を伸ばし合う。
パズルのピースとピースが合わさるように、しっかりと抱き合ったダンテとディーヴァは、その温もりを確かめる。
この温もり、この香り、この感じ…これぞ、いつも変わらぬ愛しい恋人だ。
「って、危ねえ!!」
グワッッ!!
吹き飛んだ工場入り口の奥から、何かがすごい勢いでやってくるのがわかった。
それを半魔の良すぎる視力で確認したダンテは、ディーヴァをサッと抱えて上に飛び上がる。
大口を開けてディーヴァめがけ突っ込んできたのは、テラテラ光る鱗、ギョロギョロ動く無数の目玉、大きな体に鋭い牙。
ダンテが最初に対峙した時より数倍強力に進化した、蛇の悪魔だった。
ディーヴァを抱えて飛び上がらなかったら、今頃は仲良く悪魔の腹の中だったろう。
「ふう、間一髪ってとこか」
悪魔はそのまま、自身が吹き飛ばして出来た瓦礫へと、体ごと突っ込んでいった。
少し遠くへと降り立ったダンテはディーヴァを下ろし、目線を合わせるように屈みこんで顔を覗き込む。
その途端、ディーヴァの大きな瞳からはボロボロと涙が零れ落ちた。
「ダンテ…!こわかった…、こわ、かった…っ!
食べられちゃうかと…っ」
ダンテに思い切り抱きついて涙するディーヴァの頭を、落ち着くようにと優しく撫でる。
「よしよし…もう大丈夫だ。さ、傷も手当てしような」
「うん…」
真っ赤に腫れているまぶたに、ちゅっと口付ける。
ホッとしたのか、ディーヴァは、ずっとこわばったままだった体から力を抜き、ダンテに身を預けた。
ダンテからの優しいキスに、体が…心が癒されるのを感じる。
情事を重ねているわけでもないのに、体の芯が喜びに打ち震えるのを感じた。
ダンテとディーヴァがお互いを確かめ合って、いちゃいちゃしているのを邪魔するように背後の瓦礫が崩れる。
そしてそこから、禍々しい悪魔の殺意も漏れ出していた。
そうだった。
悪魔は倒せたわけではなく、ただ少しの間ログアウトしただけであり、未だ戦闘中。
ハッとしたダンテは、そちらを見ながらディーヴァに呟いた。
「ディーヴァ、手当ては後になりそうだがいいよな?」
「え、うん…」
ドゥン…!!
重いであろう瓦礫と、大量の埃が空中に舞い上がる。
そこから出てきたのは、全く傷ついていない、無傷の悪魔だった。