mission 29:exposure,denunciation ~悪魔だって傷つく~
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ゴゴゴゴゴ…!
地鳴りのような音が聞こえる。
出処は悪魔。
悪魔の腹の虫が鳴いた音のようで、地獄の底から響くようなその音に、ディーヴァは恐怖でガタガタとうち震えた。
『腹が減った』
元より常に空腹の悪魔な上、今や極上の獲物を前にしながらお預けをくらっている状態である。
ストレスもかなり溜まっていることだろう、悪魔の無数の目が血走って機嫌が悪いのが見てとれた。
「もうすこしの辛抱だ。奴はこっちに向かっているだろうし、奴を倒したら俺もこの女も、全てを好きに食えばいい」
『いいや、我慢できぬ』
その言葉と同時、男に伸ばされた悪魔の長い尾。
尾の先でぐるぐる巻きにしたかと思うと…大きく開けた口に持っていく。
「な…!俺に世界が終わる瞬間を見せてくれるんじゃなかっ…!!」
ブチッ!!
男が最後まで言うことは叶わなかった。
丸呑みというより、体の半分を噛み千切るに近く、上半身と下半身が綺麗に別れ、血飛沫が上がる。
ディーヴァのすぐ足元まで、血だまりは迫っていた。
グチャ…ッ!!バキッ、メキョ…!!
何か柔らかな物が潰れるような音、硬いものが折れる音。
目を、そして耳を塞ぎたくなるような光景と音がそこにはあった。
「ぁ、あぁ…、い、いやぁ…!!」
それでも視線をそらせず、見開いた目からは涙がこぼれる。
人間だったものの肉片、飛び散る臓物に、気持ち悪さがこみあげ、ディーヴァは耐えきれずその場で吐き戻した。
「うぇ…っ…」
無理もない。
ディーヴァでなくても、普通の人間ならば吐かずにはいられぬ凄惨な光景が目の前に展開されているのだから…。
ゴクン……。
そのうち、残った下半身をも悪魔が咀嚼し嚥下を終えた。
『見せてやるさ、我の中からな…』
もう魂も体もない男に向け、悪魔は呟いた。
そして次は、恐怖に震えるディーヴァに向き直る。
『ゲフ、男は不味いな。
やはり喰うなら女に限る。…それが天使なら尚のこと美味いのだろうな』
想像しただけでも水溜りができるほどの唾液が分泌されて滴り落ちている。
鎌首をもたげ、ゆらゆら動く悪魔の頭に、ディーヴァは慌てて周りの結界を確認した。
「け、結界に消し飛ばされたくなかったらそれ以上近づかないでよ!」
『ふむ…結界、か。確かに厄介だが、我とて一時とはいえ、腹が満たされれば力も溢れる…』
「…?」
男を捕らえたのと同じ尾の先で、結界近くをなぞるように動かす。
『今ならお前如きの結界なぞ、痛くも痒くもないわ…!』
バシ!
言い切ったと同時、思い切りひと払いした尾で、ディーヴァの結界は薄いガラスのように砕け散ってしまった。
「きゃあっ!
…う、うそ…っ」
光の欠片が、空気中に漂い、飛散して溶けるように消えていく。
最後の光が消えると、悪魔とディーヴァを隔てる壁は何もなくなった。
『邪魔な結界はなくなったようだな…』
「ひっ!」
ダンテはまだこない。
結界もない。
逃げるには、この鎖を何とかしなくてはならない。
でないと、行き着く先は悪魔の胃袋で、魂すら残らない。
ガチャガチャ!!
ディーヴァは手首に繋がる鎖を必死に外そうともがいた。
「ひぐっ…!やだ、外れてよぉ…!」
手首が赤くなるのも気にせず、無理やり引っ張る。
何度目かの引きで、壁が脆かったのか固定されていた金具が土壁ごとボロリと崩れた。
衝撃でディーヴァは体ごと後方へと転がる。
「きゃんっ!」
悪魔の口がディーヴァのいた場所に到達するのは同時だった。
『上手く避けたか…。次は確実に喰うから逃げるな』
避けられなかったら今頃は上半身を噛みちぎられて、男と同じ状態になっていただろう。
想像して腰が抜けそうになるが、今は逃げなければ。
「逃げるな、ですって?お断りします!」
走るスピードは遅くとも、逃げ足だけは速いとダンテすら言い切る自身の足。
ディーヴァは悪魔の頭が迫るのを何度もかい潜り、その部屋から脱出した。
その際、擦り傷切り傷だらけになってしまったが、喰われるよりはマシだ。
あとはこちらに向かっているであろう、ダンテと合流すればいい。
「ダンテ…どーこぉぉぉーっ!!」
ディーヴァは叫びながら、鉄骨がむき出しなばかりの廊下を駆け抜けた。
地鳴りのような音が聞こえる。
出処は悪魔。
悪魔の腹の虫が鳴いた音のようで、地獄の底から響くようなその音に、ディーヴァは恐怖でガタガタとうち震えた。
『腹が減った』
元より常に空腹の悪魔な上、今や極上の獲物を前にしながらお預けをくらっている状態である。
ストレスもかなり溜まっていることだろう、悪魔の無数の目が血走って機嫌が悪いのが見てとれた。
「もうすこしの辛抱だ。奴はこっちに向かっているだろうし、奴を倒したら俺もこの女も、全てを好きに食えばいい」
『いいや、我慢できぬ』
その言葉と同時、男に伸ばされた悪魔の長い尾。
尾の先でぐるぐる巻きにしたかと思うと…大きく開けた口に持っていく。
「な…!俺に世界が終わる瞬間を見せてくれるんじゃなかっ…!!」
ブチッ!!
男が最後まで言うことは叶わなかった。
丸呑みというより、体の半分を噛み千切るに近く、上半身と下半身が綺麗に別れ、血飛沫が上がる。
ディーヴァのすぐ足元まで、血だまりは迫っていた。
グチャ…ッ!!バキッ、メキョ…!!
何か柔らかな物が潰れるような音、硬いものが折れる音。
目を、そして耳を塞ぎたくなるような光景と音がそこにはあった。
「ぁ、あぁ…、い、いやぁ…!!」
それでも視線をそらせず、見開いた目からは涙がこぼれる。
人間だったものの肉片、飛び散る臓物に、気持ち悪さがこみあげ、ディーヴァは耐えきれずその場で吐き戻した。
「うぇ…っ…」
無理もない。
ディーヴァでなくても、普通の人間ならば吐かずにはいられぬ凄惨な光景が目の前に展開されているのだから…。
ゴクン……。
そのうち、残った下半身をも悪魔が咀嚼し嚥下を終えた。
『見せてやるさ、我の中からな…』
もう魂も体もない男に向け、悪魔は呟いた。
そして次は、恐怖に震えるディーヴァに向き直る。
『ゲフ、男は不味いな。
やはり喰うなら女に限る。…それが天使なら尚のこと美味いのだろうな』
想像しただけでも水溜りができるほどの唾液が分泌されて滴り落ちている。
鎌首をもたげ、ゆらゆら動く悪魔の頭に、ディーヴァは慌てて周りの結界を確認した。
「け、結界に消し飛ばされたくなかったらそれ以上近づかないでよ!」
『ふむ…結界、か。確かに厄介だが、我とて一時とはいえ、腹が満たされれば力も溢れる…』
「…?」
男を捕らえたのと同じ尾の先で、結界近くをなぞるように動かす。
『今ならお前如きの結界なぞ、痛くも痒くもないわ…!』
バシ!
言い切ったと同時、思い切りひと払いした尾で、ディーヴァの結界は薄いガラスのように砕け散ってしまった。
「きゃあっ!
…う、うそ…っ」
光の欠片が、空気中に漂い、飛散して溶けるように消えていく。
最後の光が消えると、悪魔とディーヴァを隔てる壁は何もなくなった。
『邪魔な結界はなくなったようだな…』
「ひっ!」
ダンテはまだこない。
結界もない。
逃げるには、この鎖を何とかしなくてはならない。
でないと、行き着く先は悪魔の胃袋で、魂すら残らない。
ガチャガチャ!!
ディーヴァは手首に繋がる鎖を必死に外そうともがいた。
「ひぐっ…!やだ、外れてよぉ…!」
手首が赤くなるのも気にせず、無理やり引っ張る。
何度目かの引きで、壁が脆かったのか固定されていた金具が土壁ごとボロリと崩れた。
衝撃でディーヴァは体ごと後方へと転がる。
「きゃんっ!」
悪魔の口がディーヴァのいた場所に到達するのは同時だった。
『上手く避けたか…。次は確実に喰うから逃げるな』
避けられなかったら今頃は上半身を噛みちぎられて、男と同じ状態になっていただろう。
想像して腰が抜けそうになるが、今は逃げなければ。
「逃げるな、ですって?お断りします!」
走るスピードは遅くとも、逃げ足だけは速いとダンテすら言い切る自身の足。
ディーヴァは悪魔の頭が迫るのを何度もかい潜り、その部屋から脱出した。
その際、擦り傷切り傷だらけになってしまったが、喰われるよりはマシだ。
あとはこちらに向かっているであろう、ダンテと合流すればいい。
「ダンテ…どーこぉぉぉーっ!!」
ディーヴァは叫びながら、鉄骨がむき出しなばかりの廊下を駆け抜けた。