mission 29:exposure,denunciation ~悪魔だって傷つく~
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それから1日でさらに大勢の人間が消えた。
十中八九、あの悪魔が人間を貪り食っているに違いない。
人間に気を取られて逃がしてしまったことといい、悪魔に好き勝手にさせてしまっていることといい、このままではデビルハンターの名折れだ。
ダンテは公衆電話に立ち寄り、ディーヴァに依頼が終わらず帰れなくなったことを泣く泣く話してぶすっ垂れると、再び依頼に取り掛かった。
逃がしたならば、もう一度見つけ…今度こそ悪魔の息の根を止めればいいだけのこと。
が、一度目の遭遇から一向に姿を見せなくなった悪魔はダンテに隠れて、人間を食い散らかしてばかり。
悪魔とダンテのハイド&シークの始まりだった。
「お預けくらっちまったからな…早いとこ仕留めてディーヴァのナカで癒されたいもんだ」
愛する者ならば、何度でも抱きたいもの。
その楽しみな時間のためにも、早く依頼を終わらせなくては。
***
その頃、当の悪魔は男が地面に書いた『魔』の気配を消すことのできる結界の中で、ほぼ完全な姿となっていた。
向こう側の透けて見えるところなど皆無で、召喚された時の弱弱しい低級悪魔とはいえぬ身…今や、普通では人間界には到底呼び込めぬほどの強さを持ち始めていた。
『結構な数の人間を喰ったものだ』
体の内側から魔力が満ち溢れる。
猛毒をはらんだ真紫の息が、牙の並ぶ口からもれだしており、かの有名な幻獣の『アスプ』や『バジリスク』かと思うほど。
男も口を布で覆わねば、吸い込むだけでそのまま死んでしまいそうだった。
「うん、強くなったと思うよ。
そろそろ昨日のデビルハンターを殺りに行くのか?」
今ならば勝てるかもしれない。
男の願望を叶えるにはあのデビルハンターは邪魔な存在…仕留めておかねば、あとで絶対面倒なことになる。
だが、悪魔は男の提案には渋い顔をした。
『強くなった、だがまだ足りぬ…あのデビルハンターにはまだ及ばぬ力よ…』
せめて相手の弱点がわかれば…。
そう呟く悪魔に、男は唇に弧を描かせて笑う。
「あのデビルハンターのことは調べておいた。ダンテって名前らしい」
『ダンテだと!?』
「どうかしたのか?」
『いや、気にするな』
…なるほど、道理で強いわけだ。
昨日 初めて対峙した時から、ビシビシと強い力は感じていた。
テメンニグルでの強さの噂は魔界にも広まっている…逆賊スパーダの息子であるということも。
いくら人間を食べて力をつけても、勝てるかどうか危うい。
河岸を変えることも視野に入れておくべきか…。
「奴のアキレス腱ならわかってる」
『何?』
アキレス腱、つまりは一番の弱点。
悪魔であり人間でもあるダンテには、確かにその出生ゆえの弱みはありそうだ。
「奴には恋人がいる。それも命よりも何よりも大事にしている恋人が…」
どうやってこの短時間で調べたのかはわからないが、その手の中にはディーヴァが写る一枚の写真が。
『ならば利用しない手はないな…!美味そうだし、最後は喰ろうてやるわ…』
宙に投げられた写真を、悪魔は尾を一閃させ、真っ二つにした。
まるでディーヴァ本人を八つ裂きにするかの如く。
『ククク、まずはそいつを捕まえるぞ…!』
舌なめずりした悪魔は体を震わせ、僅かに力む。
尾の付け根から小さな卵…とは言っても十分に鶏の卵の大きさのそれを、大量に産卵した。
どちゃっ!!
そんな音を立てて生まれ落ちたるは、ネバネバした羊膜のようなものに覆われた毒々しい色の卵。
驚く暇もないほどすぐに表面は乾き、ひび割れたと思った瞬間には中から鋭い牙を持った蛇がたくさん生まれてきた。
「この蛇は…?」
『ただの分身よ。こいつらと共に行け…!』
わらわらと集まってきた蛇が、男の服の下へと潜り込み隠れる。
気色の悪いそれを、男は嫌な顔ひとつせず、むしろ表情のうかがえない無言のまま受け入れた。
十中八九、あの悪魔が人間を貪り食っているに違いない。
人間に気を取られて逃がしてしまったことといい、悪魔に好き勝手にさせてしまっていることといい、このままではデビルハンターの名折れだ。
ダンテは公衆電話に立ち寄り、ディーヴァに依頼が終わらず帰れなくなったことを泣く泣く話してぶすっ垂れると、再び依頼に取り掛かった。
逃がしたならば、もう一度見つけ…今度こそ悪魔の息の根を止めればいいだけのこと。
が、一度目の遭遇から一向に姿を見せなくなった悪魔はダンテに隠れて、人間を食い散らかしてばかり。
悪魔とダンテのハイド&シークの始まりだった。
「お預けくらっちまったからな…早いとこ仕留めてディーヴァのナカで癒されたいもんだ」
愛する者ならば、何度でも抱きたいもの。
その楽しみな時間のためにも、早く依頼を終わらせなくては。
***
その頃、当の悪魔は男が地面に書いた『魔』の気配を消すことのできる結界の中で、ほぼ完全な姿となっていた。
向こう側の透けて見えるところなど皆無で、召喚された時の弱弱しい低級悪魔とはいえぬ身…今や、普通では人間界には到底呼び込めぬほどの強さを持ち始めていた。
『結構な数の人間を喰ったものだ』
体の内側から魔力が満ち溢れる。
猛毒をはらんだ真紫の息が、牙の並ぶ口からもれだしており、かの有名な幻獣の『アスプ』や『バジリスク』かと思うほど。
男も口を布で覆わねば、吸い込むだけでそのまま死んでしまいそうだった。
「うん、強くなったと思うよ。
そろそろ昨日のデビルハンターを殺りに行くのか?」
今ならば勝てるかもしれない。
男の願望を叶えるにはあのデビルハンターは邪魔な存在…仕留めておかねば、あとで絶対面倒なことになる。
だが、悪魔は男の提案には渋い顔をした。
『強くなった、だがまだ足りぬ…あのデビルハンターにはまだ及ばぬ力よ…』
せめて相手の弱点がわかれば…。
そう呟く悪魔に、男は唇に弧を描かせて笑う。
「あのデビルハンターのことは調べておいた。ダンテって名前らしい」
『ダンテだと!?』
「どうかしたのか?」
『いや、気にするな』
…なるほど、道理で強いわけだ。
昨日 初めて対峙した時から、ビシビシと強い力は感じていた。
テメンニグルでの強さの噂は魔界にも広まっている…逆賊スパーダの息子であるということも。
いくら人間を食べて力をつけても、勝てるかどうか危うい。
河岸を変えることも視野に入れておくべきか…。
「奴のアキレス腱ならわかってる」
『何?』
アキレス腱、つまりは一番の弱点。
悪魔であり人間でもあるダンテには、確かにその出生ゆえの弱みはありそうだ。
「奴には恋人がいる。それも命よりも何よりも大事にしている恋人が…」
どうやってこの短時間で調べたのかはわからないが、その手の中にはディーヴァが写る一枚の写真が。
『ならば利用しない手はないな…!美味そうだし、最後は喰ろうてやるわ…』
宙に投げられた写真を、悪魔は尾を一閃させ、真っ二つにした。
まるでディーヴァ本人を八つ裂きにするかの如く。
『ククク、まずはそいつを捕まえるぞ…!』
舌なめずりした悪魔は体を震わせ、僅かに力む。
尾の付け根から小さな卵…とは言っても十分に鶏の卵の大きさのそれを、大量に産卵した。
どちゃっ!!
そんな音を立てて生まれ落ちたるは、ネバネバした羊膜のようなものに覆われた毒々しい色の卵。
驚く暇もないほどすぐに表面は乾き、ひび割れたと思った瞬間には中から鋭い牙を持った蛇がたくさん生まれてきた。
「この蛇は…?」
『ただの分身よ。こいつらと共に行け…!』
わらわらと集まってきた蛇が、男の服の下へと潜り込み隠れる。
気色の悪いそれを、男は嫌な顔ひとつせず、むしろ表情のうかがえない無言のまま受け入れた。