mission 27:cruel kind and patience ~本音と気遣い~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ねぇディーヴァ、これから一緒にお酒飲みに行かない?」
「えっ!お酒?」
悪魔退治の仲介料をダンテから剥ぎ取るのを忘れたと、夕方に事務所へ寄ったレディにそう声をかけられたのは、それから4月に入ってすぐのことだった。
「去年お酒飲めるようになったんでしょ?」
なんとタイミングがいいのだろう。
ダンテと一緒にいても今は楽しくないし、それにディーヴァ自身、誰かに話を聞いて貰いたかった。
渡りに舟とはこのことだと、レディの続きの言葉を聞く。
「私、何度か誘おうと思ってたのよ。たまには女同士で一杯やりましょ」
「うん!あたしもレディとお酒飲みに行きたいな!行こう行こう!」
…と、勢いで頷いてしまったが、ダンテの了解を得ていなかった。
まあ…今のダンテからなら、多分行ってもいいよのお許しが簡単にもらえるはず。
チラリと目で後ろの定位置に座るダンテを確認する。
視線に気がついたか、ダンテは
「酒強くないんだから1、2杯にしとけよ」
と、言っただけだった。
もうちょっとでいい、ディーヴァがどこかに行くのを心配するいつものダンテになって欲しかった。
ディーヴァはレディと出掛けられる嬉しさ半分、ダンテへの寂しさ半分で唇をキュッと結び鼻を小さく鳴らした。
3月下旬の寒さと雪が嘘のような暖かさの中、ディーヴァとレディは薄手の上着を着込み、レディ行きつけのこ洒落たバーへと来ていた。
落ち着いて話ができそうな奥の席に落ち着けば、あとは2人だけの女子会が始まる。
「何飲もうかしらね…ディーヴァは、何のお酒ならわかるかしら」
「んー…前にダンテとお酒を飲みに行った時は、綺麗なオレンジ色のと、リンゴ味のやつと、夕日みたいな色したのと、チョコみたいに甘くってお酒強いのだったと思う」
虚空に目をやり、顎を指でとんとん。
お酒の名前がまったく出てこない上に大雑把過ぎるディーヴァに、レディは苦笑した。
「名前は忘れちゃったのね」
「ごめん、けっこう酔ってたから…」
「いいのよ。確か、ディーヴァはリンゴ好きなのよね…」
「うん、大好き!!」
女性でも照れてしまいそうになるディーヴァの、花が咲いたような笑顔。
この笑顔が近くにあって、ダンテはどうして酒場に行くのをあっさり許したのか…そのあたりについても聞いてみたいと思いつつ、メニューに指と目を走らせた。
「あ、リンゴのブランデーが使われてるのがあるわね。甘さが控えめみたいだけどどうかしら?」
「じゃあ、それにする!」
リンゴ大好きリンゴ星人のディーヴァは、目を輝かせながら即答する。
「なら頼むわよ。マスター、この子に『ストロング・マティーニ』私に『ニコラシカ』を頂戴」
その言葉のきっかり3分後、カクテルが2人のもとへと届いた。
「「乾杯」」
グラスを軽く合わせ鳴らして、くぴ…と一口。
ディーヴァの口の中に広がる、甘過ぎない大人向けの甘味と爽やかなリンゴの酸味。
「はぁ~…美味しい…」
「ディーヴァ、大人の味も理解できるようになってきたわね」
「そりゃ、もう大人だもの」
「大人のディーヴァちゃん?
美味しいからといってあまり一気に飲まないようにね」
ちびちびではあるが、案外ピッチの早いディーヴァに、そう注意を呼び掛ける。
「う…わかってるよ…。ダンテみたいなこと言わないで」
「ごめんね」
レディは自分に届いたニコラシカ…上のレモンをかじっては酒を喉へ流し込み、クスクス笑った。
「ところで、レディはなんだかとってもオシャレなの飲んでるね。
上の白いのはお砂糖?」
「ええ、砂糖よ」
琥珀色の液体が注がれたグラスの上に、帽子のように乗せられたレモンスライスと砂糖。
レモンスライスで砂糖を包み、それをかじりながらグラスの酒を飲むのだが、これは口の中ではじめて完成するカクテルだ。
「レモンだけなら酸味が強いけど、砂糖があるからそんなに酸っぱく感じないわ。気になるならディーヴァも次はこれを飲んでみる?」
「うん」
お酒を飲むのも楽しい。
それが好きな友達となら、なおさら。
でも、やっぱり一番楽しくて嬉しいのは…。
そばにいてほしいのは…。
「えっ!お酒?」
悪魔退治の仲介料をダンテから剥ぎ取るのを忘れたと、夕方に事務所へ寄ったレディにそう声をかけられたのは、それから4月に入ってすぐのことだった。
「去年お酒飲めるようになったんでしょ?」
なんとタイミングがいいのだろう。
ダンテと一緒にいても今は楽しくないし、それにディーヴァ自身、誰かに話を聞いて貰いたかった。
渡りに舟とはこのことだと、レディの続きの言葉を聞く。
「私、何度か誘おうと思ってたのよ。たまには女同士で一杯やりましょ」
「うん!あたしもレディとお酒飲みに行きたいな!行こう行こう!」
…と、勢いで頷いてしまったが、ダンテの了解を得ていなかった。
まあ…今のダンテからなら、多分行ってもいいよのお許しが簡単にもらえるはず。
チラリと目で後ろの定位置に座るダンテを確認する。
視線に気がついたか、ダンテは
「酒強くないんだから1、2杯にしとけよ」
と、言っただけだった。
もうちょっとでいい、ディーヴァがどこかに行くのを心配するいつものダンテになって欲しかった。
ディーヴァはレディと出掛けられる嬉しさ半分、ダンテへの寂しさ半分で唇をキュッと結び鼻を小さく鳴らした。
3月下旬の寒さと雪が嘘のような暖かさの中、ディーヴァとレディは薄手の上着を着込み、レディ行きつけのこ洒落たバーへと来ていた。
落ち着いて話ができそうな奥の席に落ち着けば、あとは2人だけの女子会が始まる。
「何飲もうかしらね…ディーヴァは、何のお酒ならわかるかしら」
「んー…前にダンテとお酒を飲みに行った時は、綺麗なオレンジ色のと、リンゴ味のやつと、夕日みたいな色したのと、チョコみたいに甘くってお酒強いのだったと思う」
虚空に目をやり、顎を指でとんとん。
お酒の名前がまったく出てこない上に大雑把過ぎるディーヴァに、レディは苦笑した。
「名前は忘れちゃったのね」
「ごめん、けっこう酔ってたから…」
「いいのよ。確か、ディーヴァはリンゴ好きなのよね…」
「うん、大好き!!」
女性でも照れてしまいそうになるディーヴァの、花が咲いたような笑顔。
この笑顔が近くにあって、ダンテはどうして酒場に行くのをあっさり許したのか…そのあたりについても聞いてみたいと思いつつ、メニューに指と目を走らせた。
「あ、リンゴのブランデーが使われてるのがあるわね。甘さが控えめみたいだけどどうかしら?」
「じゃあ、それにする!」
リンゴ大好きリンゴ星人のディーヴァは、目を輝かせながら即答する。
「なら頼むわよ。マスター、この子に『ストロング・マティーニ』私に『ニコラシカ』を頂戴」
その言葉のきっかり3分後、カクテルが2人のもとへと届いた。
「「乾杯」」
グラスを軽く合わせ鳴らして、くぴ…と一口。
ディーヴァの口の中に広がる、甘過ぎない大人向けの甘味と爽やかなリンゴの酸味。
「はぁ~…美味しい…」
「ディーヴァ、大人の味も理解できるようになってきたわね」
「そりゃ、もう大人だもの」
「大人のディーヴァちゃん?
美味しいからといってあまり一気に飲まないようにね」
ちびちびではあるが、案外ピッチの早いディーヴァに、そう注意を呼び掛ける。
「う…わかってるよ…。ダンテみたいなこと言わないで」
「ごめんね」
レディは自分に届いたニコラシカ…上のレモンをかじっては酒を喉へ流し込み、クスクス笑った。
「ところで、レディはなんだかとってもオシャレなの飲んでるね。
上の白いのはお砂糖?」
「ええ、砂糖よ」
琥珀色の液体が注がれたグラスの上に、帽子のように乗せられたレモンスライスと砂糖。
レモンスライスで砂糖を包み、それをかじりながらグラスの酒を飲むのだが、これは口の中ではじめて完成するカクテルだ。
「レモンだけなら酸味が強いけど、砂糖があるからそんなに酸っぱく感じないわ。気になるならディーヴァも次はこれを飲んでみる?」
「うん」
お酒を飲むのも楽しい。
それが好きな友達となら、なおさら。
でも、やっぱり一番楽しくて嬉しいのは…。
そばにいてほしいのは…。