mission 26:return to the home and turmoil ~小さな違和感~
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「あ~それから、生ハム&ガーリック・ポテトミックス・スペシャル、オリーブ抜きでLサイズ、よろしくな」
大量のピザやサイドメニューの注文を終えたダンテが、受話器を置く。
ディーヴァが怪我をしてしまったので、今回のメイン料理はデリバリーのピザになったのだ。
ちなみに、上で話していた種類のピザが、ダンテの好物である。
「メインはそれでいいけど、デザートがないね」
サイドメニューは頼んだが、デザートはろくなものがなく、頼まなかったのだ。
「だな。しゃあねぇ、買ってきたイチゴでも洗って食うか?」
「それもいいけど…ダンテ、あたしワガママ言っていいかな?」
「なんだ?言ってみろ」
キスが欲しい、ハグが欲しい。
少し、そんなことを言ってみたいが、今は言葉にするのが怖い。
「あたし、ダンテが作ったザッハトルテが食べたい」
「わかった、作…って、ザッハトルテ?なんだそりゃ」
「チョコレートケーキの王様だよ。大丈夫、ダンテなら作れるよ」
「…わかった、やってみるとするか」
というわけで、ダンテの初!本格的な料理は、ザッハトルテという難易度の高そうな代物になった。
数分後、黒いシックなエプロンで身を包んだダンテは、キッチンにて訝し気な表情で腕を組んでいた。
材料や器具を用意しているディーヴァが不思議に思うほど、唸っている。
「どしたのダンテ」
「いや…ディーヴァってチーズケーキのが好きだろ?チョコレートケーキが食べたいなんて珍しいなと思ってな」
「たまにはそんな時もあるの!」
「はぁ…まあいいが、作り方を伝授する先生役は頼むぜ?」
「はぁい」
ディーヴァが的確な指示をしていく横で、ダンテが非常にゆっくりと、でもどことなく乱雑にケーキを作っていく。
ダンテにもできなくもないが、やはり料理はディーヴァがやるべきなのだということが、早々にわかった。
ディーヴァがチョコレートスポンジに、アプリコットジャムを塗る横で、ダンテがチョコレートと生クリームのグラサージュを作っている。
ダンテの勢いでボウルの中身が跳ねまくっている。
ダンテのエプロンや頬にも…。
「ダンテー」
「何だ?」
ちゅ。
「ほっぺについてたよ」
「んー、ありがとな。でも今は料理中だから、そういうのはまたあとで」
上手くかわされてしまった。
料理に集中したいから、とは考えにくい。
ダンテは、ディーヴァが料理している時、あんなにも邪魔してくるではないか。
うー…。
続いてディーヴァは、ダンテの手が少し空いた時を見計らい、その背にそうっと腕を回してみた。
「こらこらディーヴァ。抱き着くのはやめろって。危ないだろ?」
「えっ…!…あ、あはは。ハグしてみただけだよ、うん……」
抱きついた時同様、そっと離れるディーヴァ。
危ないことなど何もないはずだ。
何故ならば、オーブンから取り出したばかりのケーキを扱っているわけでもないし、包丁を手にしているわけでもない。
添えるための、生クリームをホイップしているのだから。
これではいつもの自分とダンテの立ち位置が、まったく逆ではないか。
「よし、出来たぞ!」
「ふぇっ?あ、ああ…お疲れさま、ダンテ」
出来上がったザッハトルテを目の前にしても、ディーヴァの気分はどことなく上がってこなかった。
焼き立て熱々のピザに他にも美味しいサイドメニューの数々。
たっぷり生クリームを添えられたウィーン風チョコレートケーキのザッハトルテ。
それらを囲んでの、お祝いパーティーはとても楽しかったし、美味しくてたまらなかった。
だが、やはりどうしても気になってしまって仕方がない。
ダンテがエッチなことは何もしてこないどころか、キスすらろくにしてこない。
ハグさえも挨拶のようなものだけ。
触ることすらしてこない。
ためらっているというかは、突き放すようなそれ。
とはいっても満月でもあるまいし、一緒のベッドで眠るところは変わらない。
ディーヴァは寝る前に、試しにちょっとだけ、確認のために悪戯してみようと思った。
ダンテの後ろに立ったディーヴァは、後ろから手を伸ばしてダンテの目を手のひらで覆い隠した。
「だーれだ」
あまりしたくないが、胸をダンテの背に思い切り押し付けて…だ。
「あのなあ、ディーヴァ。他に誰もいない状況で誰だ、はないだろ」
結果…呆れ顔のダンテに、やんわり手をどけられただけだ。
やはりだ、またキスしてこなかった。
ダンテの言動に、小さな小さな違和感が生じる。
態度には出さないように気を付けているものの、ディーヴァの内側には不満が確実に募っていった。
●あとがき
恋人らしいことをしてこないという、なんだかおかしなダンテ…。
大量のピザやサイドメニューの注文を終えたダンテが、受話器を置く。
ディーヴァが怪我をしてしまったので、今回のメイン料理はデリバリーのピザになったのだ。
ちなみに、上で話していた種類のピザが、ダンテの好物である。
「メインはそれでいいけど、デザートがないね」
サイドメニューは頼んだが、デザートはろくなものがなく、頼まなかったのだ。
「だな。しゃあねぇ、買ってきたイチゴでも洗って食うか?」
「それもいいけど…ダンテ、あたしワガママ言っていいかな?」
「なんだ?言ってみろ」
キスが欲しい、ハグが欲しい。
少し、そんなことを言ってみたいが、今は言葉にするのが怖い。
「あたし、ダンテが作ったザッハトルテが食べたい」
「わかった、作…って、ザッハトルテ?なんだそりゃ」
「チョコレートケーキの王様だよ。大丈夫、ダンテなら作れるよ」
「…わかった、やってみるとするか」
というわけで、ダンテの初!本格的な料理は、ザッハトルテという難易度の高そうな代物になった。
数分後、黒いシックなエプロンで身を包んだダンテは、キッチンにて訝し気な表情で腕を組んでいた。
材料や器具を用意しているディーヴァが不思議に思うほど、唸っている。
「どしたのダンテ」
「いや…ディーヴァってチーズケーキのが好きだろ?チョコレートケーキが食べたいなんて珍しいなと思ってな」
「たまにはそんな時もあるの!」
「はぁ…まあいいが、作り方を伝授する先生役は頼むぜ?」
「はぁい」
ディーヴァが的確な指示をしていく横で、ダンテが非常にゆっくりと、でもどことなく乱雑にケーキを作っていく。
ダンテにもできなくもないが、やはり料理はディーヴァがやるべきなのだということが、早々にわかった。
ディーヴァがチョコレートスポンジに、アプリコットジャムを塗る横で、ダンテがチョコレートと生クリームのグラサージュを作っている。
ダンテの勢いでボウルの中身が跳ねまくっている。
ダンテのエプロンや頬にも…。
「ダンテー」
「何だ?」
ちゅ。
「ほっぺについてたよ」
「んー、ありがとな。でも今は料理中だから、そういうのはまたあとで」
上手くかわされてしまった。
料理に集中したいから、とは考えにくい。
ダンテは、ディーヴァが料理している時、あんなにも邪魔してくるではないか。
うー…。
続いてディーヴァは、ダンテの手が少し空いた時を見計らい、その背にそうっと腕を回してみた。
「こらこらディーヴァ。抱き着くのはやめろって。危ないだろ?」
「えっ…!…あ、あはは。ハグしてみただけだよ、うん……」
抱きついた時同様、そっと離れるディーヴァ。
危ないことなど何もないはずだ。
何故ならば、オーブンから取り出したばかりのケーキを扱っているわけでもないし、包丁を手にしているわけでもない。
添えるための、生クリームをホイップしているのだから。
これではいつもの自分とダンテの立ち位置が、まったく逆ではないか。
「よし、出来たぞ!」
「ふぇっ?あ、ああ…お疲れさま、ダンテ」
出来上がったザッハトルテを目の前にしても、ディーヴァの気分はどことなく上がってこなかった。
焼き立て熱々のピザに他にも美味しいサイドメニューの数々。
たっぷり生クリームを添えられたウィーン風チョコレートケーキのザッハトルテ。
それらを囲んでの、お祝いパーティーはとても楽しかったし、美味しくてたまらなかった。
だが、やはりどうしても気になってしまって仕方がない。
ダンテがエッチなことは何もしてこないどころか、キスすらろくにしてこない。
ハグさえも挨拶のようなものだけ。
触ることすらしてこない。
ためらっているというかは、突き放すようなそれ。
とはいっても満月でもあるまいし、一緒のベッドで眠るところは変わらない。
ディーヴァは寝る前に、試しにちょっとだけ、確認のために悪戯してみようと思った。
ダンテの後ろに立ったディーヴァは、後ろから手を伸ばしてダンテの目を手のひらで覆い隠した。
「だーれだ」
あまりしたくないが、胸をダンテの背に思い切り押し付けて…だ。
「あのなあ、ディーヴァ。他に誰もいない状況で誰だ、はないだろ」
結果…呆れ顔のダンテに、やんわり手をどけられただけだ。
やはりだ、またキスしてこなかった。
ダンテの言動に、小さな小さな違和感が生じる。
態度には出さないように気を付けているものの、ディーヴァの内側には不満が確実に募っていった。
●あとがき
恋人らしいことをしてこないという、なんだかおかしなダンテ…。