「ネヴァン、ケルベロス…ダンテの邪魔はあまりしない方がいいぞ」

ロダンが数種類の皿を抱えて戻ってきた。
どの皿からも食欲をそそるいい匂いが漂ってきている。

「通しにしては多少多いが…」

コト、と置かれた皿、みっつ。
串に刺さってよく焼かれた豚肉…ジュウジュウと肉汁が流れ出しており、上のチーズソースが程よく焦げていた。

「豚肉のシチリア風チーズ串焼き、ベークドビーンズ、野菜スティック３種のディップ添えだ」

野菜スティックのディップは３種類あり、スモークサーモンのオレンジ色、アボカドの緑、バジルチーズの白が目にも鮮やか。
大好きなチーズが使われた料理に、ディーヴァの目はキラキラと輝いた。

「わあ、美味しそう…！」
「食事もこっちで取ろうと思ってたからまだなんだ。助かるぜ」

料理に舌鼓をうちながら、人生初のお酒だ！とばかりにドリンクメニューを覗きこむディーヴァ。

「もぐもぐ…うーーーん、なんかいろいろなお酒がある…よくわかんないや。…ダンテ、」
「はいはい、わかったよ」

料理に集中するためもあり、ダンテに回されたメニュー表。
だが、ダンテはそれを早々に閉じ、野菜スティックを齧りながらロダンに話しかけた。

「いろんなの飲ませてやりたいんだが、アンタなら最初はどんなのがいいと思う？」
「お酒飲むのは初めてだから、あたしちょっと緊張するな。
もぐもぐ、そうは見えないかもしれないけどさ」

確かに、一心不乱にベークドビーンズを口に運ぶ姿からは緊張の欠片も見えない。

「今まで家族のを一口とかすらないみたいだぜ？イマドキ珍しいよなぁ…」
「ふむ、ならばスプモーニあたりにしておこう」
「お、いいねぇ」

そう言って、カンパリと書かれた赤い液体の入った瓶、生のグレープフルーツと、トニックウォーターと書かれた透明な瓶を取り出すロダン。
ミキシンググラスの中にカンパリを入れ、しぼったグレープフルーツと炭酸を注ぎ、軽くステア。
目の前でカクテルを作る様子を見るのはとても楽しかった。