mission 21:attend and instinct ~優しさの裏の欲求~
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「さ、その辺に座って」
風邪をひいているのだから無理はいけない、とそのままレディの家へとやって来たディーヴァ。
言われるままに、毛足が長く座りこめばふんわりと体を受け止めるもこもこのラグカーペットに身を預ける。
レディの家には初めて来たが、部屋自体は結構な広さのコンドミニアムであり、本人同様にスタイリッシュかつ使い勝手のよい家具で埋められていた。
ところどころには女の子らしさを感じさせる小さな花柄の物もある。
「素敵なお部屋だね」
「そう?気に入ったものだけを部屋に置いてったらこうなっただけよ」
部屋着に着替えたレディがこともなげにそう言う。
因みにすでにディーヴァも部屋着…いや、こちらはパジャマか。
羊模様のフリース素材のワンピースタイプパジャマに身を包んでいる。
今日はこのままパジャマパーティーのノリで過ごす予定である。
もちろん無理はしない程度に、だが。
「風邪を治すのもここに来た目的だから、無理はしちゃダメよ。
はい、はちみつ入りホットレモネード。飲める?」
「うん、ありがと」
レモネードにははちみつがたくさん入っているようで、独特の苦みはなくレモンの酸っぱさとはちみつの優しい甘みだけが残る。
とても美味しく、体が温まった。
「飲んだら薬飲んで少し休みましょう。休む時はそこのベッド使って休んでね」
ディーヴァと同じくレモネードを啜りながら、くいくいとベッドを指さすレディ。
「あれ…でも、レディの寝る場所は?」
「こっち」
そばにあるリクライニングフロアソファーをポンポンと叩いてここで寝る、というレディ。
寝心地は良さそうではあるが、ベッドとどちらが寝心地がいいか…そんなの聞かずともわかるだろう、ベッドだ。
「え…あたしがソファーで寝るよ」
「気にしないで。ディーヴァの風邪を早くしっかり治すのが第一だけど、一緒にたくさんお話したりするのも目的なんだからね。
ディーヴァは早く風邪を治すことだけ考えて」
「う…ん、わかった」
風邪を治すため、その後は薬を飲んで早めに休んだディーヴァ。
ダンテの行動について考えずにすむからだろうか、何も気にせずに眠れると思うだけで、とても安心して眠れた。
早く治して、レディとお話いっぱい出来るといいな…なんて考えながら。
***
昼食と薬、そして睡眠を十分に取ったこともあり、夕方にはディーヴァはすっかり風邪も治っていた。
今はレディの家のキッチンで、レディと一緒に夕飯を作っている。
さすがにお酒は飲めないが、今夜はお酒でも入るノリで本来のパジャマパーティーのようなことをしようと思うのだ。
それにはスナックやお菓子、簡単につまめる料理が必要である。
「治ったばかりなんだから、あまり無理はしないでよ」
「うん、もちろん。でも美味しいもの食べながらやるのが醍醐味でしょ?」
「そうね」
コメディタッチの話題のドラマを見てカラカラ笑いながら、ラグの上に無造作に置いた小さなお菓子や料理をつまみ、女性同士だからこそ繰り広げられる話をしていく。
最近のファッション、興味のあるものなど他愛のない話から、ちょっと深いお互いの今までの話、もちろん恋バナだってそこには含まれる。
所謂ガールズトークである。
と、話題がひと段落したところで、ジュースを一口飲んだレディが一番聞きたかったことに入った。
「…で。そろそろ何があったのか詳しく聞いてもいいかしら?」
「ダンテのこと、だよね…」
「そう。何をされたの?ダンテの奴、内なる悪魔にでも呑まれてとうとう変態行動までしちゃった?」
実はここまでで今回のダンテの話題は出ていなかったのだ。
否、ディーヴァがダンテの話をしようとしなかっただけなのであるが。
「あー…うーん、と……」
言いづらそうにもじもじするディーヴァ。
ディーヴァはそういったことにはもともと疎い方であり、内容が内容だけに恥ずかしい。
「恥ずかしがらないでも大丈夫よ。私しか聞いてないから」
「うん…」
ディーヴァはダンテにどんなからかいを受けたか、どんなスケベなことをされたか、たどたどしくであったがレディに話して聞かせた。
その中には普段のダンテの変態行動も含まれている。
レディはディーヴァの気持ちもすごくわかる。
わかったのだが…少しばかりダンテ側の気持ちにも立つことで、どちらの考えも考慮してみた。
こういうことは他人が入ることではないかもしれない。
だが、第三者視点の考えというのも解決には少なからず大事になる…そんなこともある。
ディーヴァの話は否定しないように気を付けながら、レディは聞いてみた。
「ディーヴァはダンテと出会って何年たつの?」
「えっと…3年、くらいかな」
「えっ!3年……」
ダンテは3年もお預け状態らしい。
同じ女からしてもなかなかかわいく、魅力的な体をしているディーヴァ。
それに加えディーヴァは天使、ダンテは天使を餌とする悪魔…相反する血をひいているのだ。
そんな存在と一緒に暮らすだけではなく、普段一緒のベッドで寝ているというではないか。
隣に寝ているにもかかわらず、今まで無理矢理手籠めにしていないというなら、普段は理性を総動員して体に相当な我慢を強いているに違いない。
その苦しさはレディにはおよそ想像もつかなかった。
…あいつはそんなに我慢していたのか。
パッと見、手が早そうにも見えるのに(失礼)、けっこうちゃんとしている。
「あいつ…以外と我慢強いのね」
「え?」
「ううん、なんでもないわ」
少しダンテを見直さないといけなさそうだ。
レディはディーヴァの滑らかな髪を撫でて梳かしながら、優しい声音で諭すように話した。
「ディーヴァの気持ちもすごくよくわかる。けれどディーヴァもダンテにすべてを許す時…『いつか』が来るんでしょう?」
ディーヴァは何も言わず、小さくコクリと頷いただけだが、そこには確かな意思が感じられた。
「その『いつか』はそんなに遠くないと思う。…違うかしら?」
「……うん、そんなに遠くない未来だとあたしも思ってる。
ダンテにはいっぱい我慢してもらってるし。あたし、自分のすべてで、ダンテを癒せる…そんな存在になりたい。
だからもうちょっとダンテのこと受け入れたいとは思うんだけど……でも…」
ディーヴァは『こわい』、と一言小さくもらした。
先ほどまでのガールズトークの中でレディがわかったことだが、ディーヴァは本当に箱入りの娘だったようであり、学校では女友達から守られ、家では両親とひどいシスコンの兄に守られ蝶よ花よと育てられてきたようだった。
性知識もあまり持っておらずここ数年で少しずつ知ってきたようだ。
典型的な「赤ちゃんはどこからくるの?」「キャベツ畑で生まれるのよ」のタイプである。
しかし、ダンテに出会うまでの話の中で恋バナのひとつもほとんど出てこなかったのは残念である。
この分では男の子が近寄ってきても、周りを固める友人と兄あたりに排除されていた…ということか。
色々な意味でダンテはディーヴァの初めての男、ということになる。
泣き出しそうなディーヴァをあやし、レディは苦笑するしかなかった。
この問題についてはこれ以上は酷だろう。
「まあ…進むのは少しずつでいいと思うわ。…うん」
取りあえず、ディーヴァはダンテのことを本気で嫌になったわけではないことはわかった。
本人としても落ち着いたら早くダンテの元へ帰りたいのだ、ということも言われずとも伝わってきた。
風邪をひいているのだから無理はいけない、とそのままレディの家へとやって来たディーヴァ。
言われるままに、毛足が長く座りこめばふんわりと体を受け止めるもこもこのラグカーペットに身を預ける。
レディの家には初めて来たが、部屋自体は結構な広さのコンドミニアムであり、本人同様にスタイリッシュかつ使い勝手のよい家具で埋められていた。
ところどころには女の子らしさを感じさせる小さな花柄の物もある。
「素敵なお部屋だね」
「そう?気に入ったものだけを部屋に置いてったらこうなっただけよ」
部屋着に着替えたレディがこともなげにそう言う。
因みにすでにディーヴァも部屋着…いや、こちらはパジャマか。
羊模様のフリース素材のワンピースタイプパジャマに身を包んでいる。
今日はこのままパジャマパーティーのノリで過ごす予定である。
もちろん無理はしない程度に、だが。
「風邪を治すのもここに来た目的だから、無理はしちゃダメよ。
はい、はちみつ入りホットレモネード。飲める?」
「うん、ありがと」
レモネードにははちみつがたくさん入っているようで、独特の苦みはなくレモンの酸っぱさとはちみつの優しい甘みだけが残る。
とても美味しく、体が温まった。
「飲んだら薬飲んで少し休みましょう。休む時はそこのベッド使って休んでね」
ディーヴァと同じくレモネードを啜りながら、くいくいとベッドを指さすレディ。
「あれ…でも、レディの寝る場所は?」
「こっち」
そばにあるリクライニングフロアソファーをポンポンと叩いてここで寝る、というレディ。
寝心地は良さそうではあるが、ベッドとどちらが寝心地がいいか…そんなの聞かずともわかるだろう、ベッドだ。
「え…あたしがソファーで寝るよ」
「気にしないで。ディーヴァの風邪を早くしっかり治すのが第一だけど、一緒にたくさんお話したりするのも目的なんだからね。
ディーヴァは早く風邪を治すことだけ考えて」
「う…ん、わかった」
風邪を治すため、その後は薬を飲んで早めに休んだディーヴァ。
ダンテの行動について考えずにすむからだろうか、何も気にせずに眠れると思うだけで、とても安心して眠れた。
早く治して、レディとお話いっぱい出来るといいな…なんて考えながら。
***
昼食と薬、そして睡眠を十分に取ったこともあり、夕方にはディーヴァはすっかり風邪も治っていた。
今はレディの家のキッチンで、レディと一緒に夕飯を作っている。
さすがにお酒は飲めないが、今夜はお酒でも入るノリで本来のパジャマパーティーのようなことをしようと思うのだ。
それにはスナックやお菓子、簡単につまめる料理が必要である。
「治ったばかりなんだから、あまり無理はしないでよ」
「うん、もちろん。でも美味しいもの食べながらやるのが醍醐味でしょ?」
「そうね」
コメディタッチの話題のドラマを見てカラカラ笑いながら、ラグの上に無造作に置いた小さなお菓子や料理をつまみ、女性同士だからこそ繰り広げられる話をしていく。
最近のファッション、興味のあるものなど他愛のない話から、ちょっと深いお互いの今までの話、もちろん恋バナだってそこには含まれる。
所謂ガールズトークである。
と、話題がひと段落したところで、ジュースを一口飲んだレディが一番聞きたかったことに入った。
「…で。そろそろ何があったのか詳しく聞いてもいいかしら?」
「ダンテのこと、だよね…」
「そう。何をされたの?ダンテの奴、内なる悪魔にでも呑まれてとうとう変態行動までしちゃった?」
実はここまでで今回のダンテの話題は出ていなかったのだ。
否、ディーヴァがダンテの話をしようとしなかっただけなのであるが。
「あー…うーん、と……」
言いづらそうにもじもじするディーヴァ。
ディーヴァはそういったことにはもともと疎い方であり、内容が内容だけに恥ずかしい。
「恥ずかしがらないでも大丈夫よ。私しか聞いてないから」
「うん…」
ディーヴァはダンテにどんなからかいを受けたか、どんなスケベなことをされたか、たどたどしくであったがレディに話して聞かせた。
その中には普段のダンテの変態行動も含まれている。
レディはディーヴァの気持ちもすごくわかる。
わかったのだが…少しばかりダンテ側の気持ちにも立つことで、どちらの考えも考慮してみた。
こういうことは他人が入ることではないかもしれない。
だが、第三者視点の考えというのも解決には少なからず大事になる…そんなこともある。
ディーヴァの話は否定しないように気を付けながら、レディは聞いてみた。
「ディーヴァはダンテと出会って何年たつの?」
「えっと…3年、くらいかな」
「えっ!3年……」
ダンテは3年もお預け状態らしい。
同じ女からしてもなかなかかわいく、魅力的な体をしているディーヴァ。
それに加えディーヴァは天使、ダンテは天使を餌とする悪魔…相反する血をひいているのだ。
そんな存在と一緒に暮らすだけではなく、普段一緒のベッドで寝ているというではないか。
隣に寝ているにもかかわらず、今まで無理矢理手籠めにしていないというなら、普段は理性を総動員して体に相当な我慢を強いているに違いない。
その苦しさはレディにはおよそ想像もつかなかった。
…あいつはそんなに我慢していたのか。
パッと見、手が早そうにも見えるのに(失礼)、けっこうちゃんとしている。
「あいつ…以外と我慢強いのね」
「え?」
「ううん、なんでもないわ」
少しダンテを見直さないといけなさそうだ。
レディはディーヴァの滑らかな髪を撫でて梳かしながら、優しい声音で諭すように話した。
「ディーヴァの気持ちもすごくよくわかる。けれどディーヴァもダンテにすべてを許す時…『いつか』が来るんでしょう?」
ディーヴァは何も言わず、小さくコクリと頷いただけだが、そこには確かな意思が感じられた。
「その『いつか』はそんなに遠くないと思う。…違うかしら?」
「……うん、そんなに遠くない未来だとあたしも思ってる。
ダンテにはいっぱい我慢してもらってるし。あたし、自分のすべてで、ダンテを癒せる…そんな存在になりたい。
だからもうちょっとダンテのこと受け入れたいとは思うんだけど……でも…」
ディーヴァは『こわい』、と一言小さくもらした。
先ほどまでのガールズトークの中でレディがわかったことだが、ディーヴァは本当に箱入りの娘だったようであり、学校では女友達から守られ、家では両親とひどいシスコンの兄に守られ蝶よ花よと育てられてきたようだった。
性知識もあまり持っておらずここ数年で少しずつ知ってきたようだ。
典型的な「赤ちゃんはどこからくるの?」「キャベツ畑で生まれるのよ」のタイプである。
しかし、ダンテに出会うまでの話の中で恋バナのひとつもほとんど出てこなかったのは残念である。
この分では男の子が近寄ってきても、周りを固める友人と兄あたりに排除されていた…ということか。
色々な意味でダンテはディーヴァの初めての男、ということになる。
泣き出しそうなディーヴァをあやし、レディは苦笑するしかなかった。
この問題についてはこれ以上は酷だろう。
「まあ…進むのは少しずつでいいと思うわ。…うん」
取りあえず、ディーヴァはダンテのことを本気で嫌になったわけではないことはわかった。
本人としても落ち着いたら早くダンテの元へ帰りたいのだ、ということも言われずとも伝わってきた。