mission 20:a cold and spoiled child ~寝込んだ彼に優しくしよう~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
氷枕を作ってきたディーヴァは、ダンテの頭の下にそれをゆっくりと置いた。
水と氷で膨らんだそれが、ダンテの頭が沈み込むに従ってへこむ。
風邪による熱をひんやり冷やして奪うにつれ、ダンテの表情も幾分か安らかなものに変わっていった。
「ねぇダンテ、何なら食べれる?お薬飲むのに何か食べないと」
「気持ち悪いから何もいらねぇ…」
少しでも何か胃に入れなくては薬は飲めない。
ダンテが落ち着くのを待ったディーヴァは、ダンテの目の前に風邪薬の入っている瓶を軽く振ってみせつけた。
だが、当人はもぞもぞと布団をかぶって、それを拒否してしまった。
「病気の時でも食べれそうなもの作ってくるからしばらく待ってて」
ディーヴァは困ったように笑うと、くるりと踵を返して、その場をあとにしようとした。
が、その足はダンテにとめられた。
「ディーヴァ、行くなよ…行かないでくれ」
熱く力の弱弱しい手がディーヴァの手を掴み、その場にひきとめる。
「でも、あとでお腹空いた時にすぐ食べれるようなもの用意しとかないと…」
「そばにいてほしい、ただそれだけでいいんだ。
そうすればオレはよく眠れるし、きっと風邪も治る」
治るわけがない。
そう言いたかったが、ディーヴァは口には出さずに代わりにため息を吐いた。
「ダンテが眠るまでだからね」
「それでいい。オレが眠りにつくまでくらい、オレのことだけ見ててくれ」
「わかった…それまでは料理も家事も全部、お預けにするよ」
そう言って、ダンテの頭をぽふぽふなでなでするディーヴァ。
こうしているとダンテが自分の子どもか、はたまた弟か何かのように思えてくる…不思議だ。
しかし、すぐに眠りに落ちると思われたダンテがなかなか寝ない。
やはり薬を飲まなくては眠気も襲ってこないのかもしれない。
別にダンテが寝ないとキッチンに行けないとかそんなことを気にしているわけではなく、体を休ませないと風邪が治らないと純粋に心配しているのだ。
「ダンテ寝ないの?寝ないと体治らないよ」
「寝たいけど、ディーヴァがこうやってずっとオレの隣にいてくれる時なんてめったにないだろ。
なんかこのまま寝ちまうのももったいなく思ってな」
「いつも一緒にいるじゃない。夜だって一緒に寝てるし」
「確かに夜はな。でも昼間は隣で昼寝しても、一緒にいても何かしらの邪魔が入る。ディーヴァがオレだけに構ってくれる時は少ない」
片頬を手で頬杖をついて支え、もう片方でダンテの柔らかな髪をゆっくり撫でる。
「ダンテって、けっこう構ってちゃんだねえ。あたし、これでもダンテ優先で行動してるんだけどな」
「独り占めはできてない…」
拗ねたように言うと、髪を撫でていたディーヴァの手をそっと顔に引き寄せ、ダンテは自分の頬に這わした。
頬を撫でてくれ、と言わんばかりに甘えるダンテ。
ダンテが満足するまでゆるゆると頬に触れ、撫でたディーヴァは、頃合いを見計らってその手をダンテの手へと移動させた。
「おてて握っててあげるからちゃんと休んで。…ね?」
「…ん」
やわらかなディーヴァの手のひらが小さくダンテの手を包み込む。
高熱で火照るダンテの体温と同じような、だけどどこか違うディーヴァの体温…とても落ち着く。
とろとろと瞼が下がり始め、そしてダンテは夢に手を引かれるように目を閉じた。
ディーヴァはいつもにもまして優しい気がする。
風邪をひくたびにこんな優しいディーヴァになってくれるんだったら、風邪をひくのも悪くないかな、などと不謹慎なことを考えてしまう。
が、その考えはすぐに撤回となった。
「ダンテ、お願いだからはやく元気になって…。あたし、ダンテが元気じゃないといやだよ、生きた心地がしないよ…」
眠りに落ちる寸前に聞こえたの、囁きにも近しい小さな涙声。
早く元気にならないとな、と夢うつつに思うダンテだった。
水と氷で膨らんだそれが、ダンテの頭が沈み込むに従ってへこむ。
風邪による熱をひんやり冷やして奪うにつれ、ダンテの表情も幾分か安らかなものに変わっていった。
「ねぇダンテ、何なら食べれる?お薬飲むのに何か食べないと」
「気持ち悪いから何もいらねぇ…」
少しでも何か胃に入れなくては薬は飲めない。
ダンテが落ち着くのを待ったディーヴァは、ダンテの目の前に風邪薬の入っている瓶を軽く振ってみせつけた。
だが、当人はもぞもぞと布団をかぶって、それを拒否してしまった。
「病気の時でも食べれそうなもの作ってくるからしばらく待ってて」
ディーヴァは困ったように笑うと、くるりと踵を返して、その場をあとにしようとした。
が、その足はダンテにとめられた。
「ディーヴァ、行くなよ…行かないでくれ」
熱く力の弱弱しい手がディーヴァの手を掴み、その場にひきとめる。
「でも、あとでお腹空いた時にすぐ食べれるようなもの用意しとかないと…」
「そばにいてほしい、ただそれだけでいいんだ。
そうすればオレはよく眠れるし、きっと風邪も治る」
治るわけがない。
そう言いたかったが、ディーヴァは口には出さずに代わりにため息を吐いた。
「ダンテが眠るまでだからね」
「それでいい。オレが眠りにつくまでくらい、オレのことだけ見ててくれ」
「わかった…それまでは料理も家事も全部、お預けにするよ」
そう言って、ダンテの頭をぽふぽふなでなでするディーヴァ。
こうしているとダンテが自分の子どもか、はたまた弟か何かのように思えてくる…不思議だ。
しかし、すぐに眠りに落ちると思われたダンテがなかなか寝ない。
やはり薬を飲まなくては眠気も襲ってこないのかもしれない。
別にダンテが寝ないとキッチンに行けないとかそんなことを気にしているわけではなく、体を休ませないと風邪が治らないと純粋に心配しているのだ。
「ダンテ寝ないの?寝ないと体治らないよ」
「寝たいけど、ディーヴァがこうやってずっとオレの隣にいてくれる時なんてめったにないだろ。
なんかこのまま寝ちまうのももったいなく思ってな」
「いつも一緒にいるじゃない。夜だって一緒に寝てるし」
「確かに夜はな。でも昼間は隣で昼寝しても、一緒にいても何かしらの邪魔が入る。ディーヴァがオレだけに構ってくれる時は少ない」
片頬を手で頬杖をついて支え、もう片方でダンテの柔らかな髪をゆっくり撫でる。
「ダンテって、けっこう構ってちゃんだねえ。あたし、これでもダンテ優先で行動してるんだけどな」
「独り占めはできてない…」
拗ねたように言うと、髪を撫でていたディーヴァの手をそっと顔に引き寄せ、ダンテは自分の頬に這わした。
頬を撫でてくれ、と言わんばかりに甘えるダンテ。
ダンテが満足するまでゆるゆると頬に触れ、撫でたディーヴァは、頃合いを見計らってその手をダンテの手へと移動させた。
「おてて握っててあげるからちゃんと休んで。…ね?」
「…ん」
やわらかなディーヴァの手のひらが小さくダンテの手を包み込む。
高熱で火照るダンテの体温と同じような、だけどどこか違うディーヴァの体温…とても落ち着く。
とろとろと瞼が下がり始め、そしてダンテは夢に手を引かれるように目を閉じた。
ディーヴァはいつもにもまして優しい気がする。
風邪をひくたびにこんな優しいディーヴァになってくれるんだったら、風邪をひくのも悪くないかな、などと不謹慎なことを考えてしまう。
が、その考えはすぐに撤回となった。
「ダンテ、お願いだからはやく元気になって…。あたし、ダンテが元気じゃないといやだよ、生きた心地がしないよ…」
眠りに落ちる寸前に聞こえたの、囁きにも近しい小さな涙声。
早く元気にならないとな、と夢うつつに思うダンテだった。