mission 19:her wish, his feeling ~天使のおしごと~
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…と、もう一口紅茶を口にしようとカップを持ち上げた時、注がれた液体に映る自分の顔が不自然にぐにゃりと歪むのが見えた。
見ているとカップの縁も、持ち上げる自分の指も、テーブルも、その向こうに座る主人の姿までも歪んでいく。
「あ、れ……?」
カップがするりと手から滑り落ちる。
手を伸ばしても、その手すら歪んで見えてカップはそのまま大きな音をたてて砕けちった。
ディーヴァは意識をなくし、椅子の背もたれにぐったりと体を沈み込ませた。
その向こうで主人は今までと同じ、しかしどこか下卑たような笑みをディーヴァへと向けていた。
***
一方、こちらはダンテ。
ディーヴァが仕事に行きはじめたことで、ダンテは若干不貞腐れていた。
ダンテの『これからしばらくは、ずっと一緒にいられる』という幻想が儚くも崩れ去ったことが原因だ。
学校に通っていた時間に比べればとても短い就業時間だというに、いい大人が内心とはいえ駄々をこねる様はみっともない以外の何物でもない。
言葉に出さないでディーヴァを仕事に送り出しているだけ、大人になったと言えよう。
そんな不貞腐れたダンテはひとり、近くのレストランカフェでむなしくストロベリーサンデーをかっこんでいる。
時期を外した苺はすべてが冷凍品。
不味くはないが旬のものには劣るし、やはりストロベリーサンデーはディーヴァが作ったものが一番美味しい。
苺の旬である冬が今から待ち遠しい。
ディーヴァの作るストロベリーサンデーが食べたい。
今ダンテがいるこの店も、たまにディーヴァと来る場所である。
隣に彼女がいないのがこんなにも心が張り裂けるほどに寂しいとは自分自身、まったく思わなかった…。
わかっている、自分は深刻なディーヴァ依存症だ。
「…ん?」
ストロベリーサンデーを口に運んでいると、聞き覚えのあるファミリーネームとハウスキーパーという単語が耳に届いた。
確か、そのファミリーネームはディーヴァがハウスキーパーとして働きに出ている家のものではなかったか。
珍しい名前だったのでよく覚えている。
「どうどうどう!落ち着けよ」
「これが落ち着いてられる?キィィィィ!違う男に襲われたような女、貴方は愛せるわけ!?」
「僕は君がどんなでも愛してるよ…」
「…ぐすっ、ありがと……。わたしも愛してるわ…」
ありゃまあ、いちゃいちゃラブラブしやがって。
人のいちゃいちゃ現場なぞ見てもなんにも楽しくない!
オレもディーヴァが隣にいれば今ごろは…。
「しっかし、人のよさそうな顔してとんでもない変態じい様なんだなあ…その雇い主」
「ええ、本当に。背が小さい子や童顔の子ばかり雇って、裸の写真撮ったり色々…信じられない」
「君も童顔だからねえ…。訴えないでいいの?」
「他の子もそうだけど、襲われたなんて恥ずかしくて訴えられないわ。
…本当にあの変態ジジイ、最低よ。わたしが辞めたあともまた広告出してたわ。誰かがまた犠牲になってるかと思うと涙がでそう…」
ディーヴァに思いを馳せていたダンテの耳に再び聞こえてきた驚愕の話。
「僕が今夜、君を綺麗に消毒してあげるからそんなに悲しまないで、ね?」
「…ホント?じゃあ、優しく上書きしてよ」
いちゃいちゃラブラブのカップルの話からわかった。
ディーヴァが危ない!!
そう察知したダンテは「釣りはいらねえ」とストロベリーサンデーの代金をマスターに投げ、乱暴に店を飛び出した。
ディーヴァが働きに出掛けているであろう、とある高級住宅地。
その屋敷へと走るダンテは、燃え盛る紅蓮の風のよう。
トリックスターを使うどころの騒ぎではなく、真っ昼間から無意識に魔人化して急いでいた。
「はあ、はあ…」
滅多に息の切れないダンテが息を切らし、額には汗を浮かべている。
不法侵入だろうとかまうものか。
「ディーヴァッ!!」
ダンテは勢いよく屋敷の扉を開け放った。
だが屋敷内をくまなく探したがどこにもいない。
しかし、ダンテの研ぎ澄まされた悪魔としての感覚はディーヴァがこの地にいると伝えて続けていた。
「下、…か」
ディーヴァの天使としての力の流れはたとえ本人が地面の下にいようと、意識がなかろうと途絶えない。
そして隠し階段などは大抵、書斎や書庫に隠されている。
一階に設えられていた小さな書庫に足を踏み入れたダンテは、入り口を開ける方法など見つけようとせず下からのわずかな気配が漏れる箇所へと必殺の蹴りを入れた。
蹴破られた壁。
そこには石造りの牢獄への階段がぽっかり広がる。
「…ビンゴ。無事でいろよ、ディーヴァ…!」
闇が口を開けて招くようなそこを、ダンテは足早に降りていった。
見ているとカップの縁も、持ち上げる自分の指も、テーブルも、その向こうに座る主人の姿までも歪んでいく。
「あ、れ……?」
カップがするりと手から滑り落ちる。
手を伸ばしても、その手すら歪んで見えてカップはそのまま大きな音をたてて砕けちった。
ディーヴァは意識をなくし、椅子の背もたれにぐったりと体を沈み込ませた。
その向こうで主人は今までと同じ、しかしどこか下卑たような笑みをディーヴァへと向けていた。
***
一方、こちらはダンテ。
ディーヴァが仕事に行きはじめたことで、ダンテは若干不貞腐れていた。
ダンテの『これからしばらくは、ずっと一緒にいられる』という幻想が儚くも崩れ去ったことが原因だ。
学校に通っていた時間に比べればとても短い就業時間だというに、いい大人が内心とはいえ駄々をこねる様はみっともない以外の何物でもない。
言葉に出さないでディーヴァを仕事に送り出しているだけ、大人になったと言えよう。
そんな不貞腐れたダンテはひとり、近くのレストランカフェでむなしくストロベリーサンデーをかっこんでいる。
時期を外した苺はすべてが冷凍品。
不味くはないが旬のものには劣るし、やはりストロベリーサンデーはディーヴァが作ったものが一番美味しい。
苺の旬である冬が今から待ち遠しい。
ディーヴァの作るストロベリーサンデーが食べたい。
今ダンテがいるこの店も、たまにディーヴァと来る場所である。
隣に彼女がいないのがこんなにも心が張り裂けるほどに寂しいとは自分自身、まったく思わなかった…。
わかっている、自分は深刻なディーヴァ依存症だ。
「…ん?」
ストロベリーサンデーを口に運んでいると、聞き覚えのあるファミリーネームとハウスキーパーという単語が耳に届いた。
確か、そのファミリーネームはディーヴァがハウスキーパーとして働きに出ている家のものではなかったか。
珍しい名前だったのでよく覚えている。
「どうどうどう!落ち着けよ」
「これが落ち着いてられる?キィィィィ!違う男に襲われたような女、貴方は愛せるわけ!?」
「僕は君がどんなでも愛してるよ…」
「…ぐすっ、ありがと……。わたしも愛してるわ…」
ありゃまあ、いちゃいちゃラブラブしやがって。
人のいちゃいちゃ現場なぞ見てもなんにも楽しくない!
オレもディーヴァが隣にいれば今ごろは…。
「しっかし、人のよさそうな顔してとんでもない変態じい様なんだなあ…その雇い主」
「ええ、本当に。背が小さい子や童顔の子ばかり雇って、裸の写真撮ったり色々…信じられない」
「君も童顔だからねえ…。訴えないでいいの?」
「他の子もそうだけど、襲われたなんて恥ずかしくて訴えられないわ。
…本当にあの変態ジジイ、最低よ。わたしが辞めたあともまた広告出してたわ。誰かがまた犠牲になってるかと思うと涙がでそう…」
ディーヴァに思いを馳せていたダンテの耳に再び聞こえてきた驚愕の話。
「僕が今夜、君を綺麗に消毒してあげるからそんなに悲しまないで、ね?」
「…ホント?じゃあ、優しく上書きしてよ」
いちゃいちゃラブラブのカップルの話からわかった。
ディーヴァが危ない!!
そう察知したダンテは「釣りはいらねえ」とストロベリーサンデーの代金をマスターに投げ、乱暴に店を飛び出した。
ディーヴァが働きに出掛けているであろう、とある高級住宅地。
その屋敷へと走るダンテは、燃え盛る紅蓮の風のよう。
トリックスターを使うどころの騒ぎではなく、真っ昼間から無意識に魔人化して急いでいた。
「はあ、はあ…」
滅多に息の切れないダンテが息を切らし、額には汗を浮かべている。
不法侵入だろうとかまうものか。
「ディーヴァッ!!」
ダンテは勢いよく屋敷の扉を開け放った。
だが屋敷内をくまなく探したがどこにもいない。
しかし、ダンテの研ぎ澄まされた悪魔としての感覚はディーヴァがこの地にいると伝えて続けていた。
「下、…か」
ディーヴァの天使としての力の流れはたとえ本人が地面の下にいようと、意識がなかろうと途絶えない。
そして隠し階段などは大抵、書斎や書庫に隠されている。
一階に設えられていた小さな書庫に足を踏み入れたダンテは、入り口を開ける方法など見つけようとせず下からのわずかな気配が漏れる箇所へと必殺の蹴りを入れた。
蹴破られた壁。
そこには石造りの牢獄への階段がぽっかり広がる。
「…ビンゴ。無事でいろよ、ディーヴァ…!」
闇が口を開けて招くようなそこを、ダンテは足早に降りていった。