mission 17:graduation and work ~将来の夢~
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この愛しい存在を、自分は傷つけ、殺したいと本当に思ったか?
暗示ごときに負けるような、そんな想いをディーヴァに向けていたか?
……いいや、違う。
悪魔の特性からか、ディーヴァを食べてしまいたいと思うことこそ多々あるが、ずっとずっと守っていきたい大事な存在だ。
これまでディーヴァの気持ちを尊重し、色々我慢してきた。
我慢の利かない自分にしては珍しくずっと我慢できているし、ディーヴァと出会ってからは我慢強さがかなり鍛えられた。
だから、こんな暗示には負けないはず。
なのに…。
「ダンテ…?」
思考は黒く塗りつぶされ、再びその手はディーヴァの首に伸びる。
どれだけ力や体が鍛えられても、まだまだ悪魔としても、人間としても未熟な精神…。
自分の弱さを、弱点をつかれるとこんなにも脆い。
再び力を込められ、今にもくびり殺されんとするディーヴァ。
その瞬間、三氷棍の姿から犬の姿に変わったケルベロスが飛んできた。
「悪く思うな、ダンテ!」
大きく踏みしめた足から鋭く尖った氷柱が生える。
そのすべてがダンテを貫き、串刺しにした。
「がっ、はっ…!!」
血の華がパッと咲く。
ダンテはそのまま全身を血で塗らし、後方へ吹っ飛んで…動きを止めた。
「きゃあああ!ダ、ダンテッ!!ケル、あなた何を…!?」
「ディーヴァが危険に思えてな。咄嗟にこの技を放ってしまった…すまぬ」
そう言われてしまうと責めるに責められない。
ドクドクと溢れる血は中々止まらず不安になるが、その氷柱の生えた場所はすべてが急所を外れていた。
無理に引き抜くと、血がさらに吹き出そうで怖い。
ディーヴァはダンテの自己治癒による氷柱の除去に任せた。
「死んでない、よかった…」
「これでも加減はしてあるからな。それよりも起きた時にまた襲ってこないとも限らぬ。より強く血の絆を結んで、解呪しておかねば」
「血の…絆?」
涙で濡れた目をゴシとこすり、ディーヴァが聞く。
「いつも通りだ、血を与えておけばよい」
顔をあげて、残りの敵を見つめるケルベロス。
「あとは我に任せておけ。…海上だけにしか悪魔のいない今ならば我にかかれば一発だ」
黒いゴールデンレトリーバーのまぁるい瞳をこちらに向け、かわいらしく片目を瞑るケルベロスからは言葉通りの強さは感じない。
「ダンテにも負けぬ技を魅せてやろう。…ダンテには秘密だぞ」
くうん、1つ鳴きディーヴァに鼻を小さく押し付ける。
「ガァァウ!!」
そして、今のが嘘のように勇ましい大きな咆哮を上げる。
ケルベロスは高く跳躍しながら、巨大な三頭犬、元の姿を露にすると海上へ向けて氷霧を激しくぶつけた。
分厚い氷の足場が海上を覆い、そこへ降り立つ。
「グルルル…」
そこにはテメンニグルで相対した時、いやそれ以上の威厳を称えた地獄の門番が鎮座していた。
「ガアアアアアア!!」
すべてを吹き飛ばしそうな雄叫び。
逃げ惑わんとするセイレーン目掛け、ケルベロスは鋭い爪を振りおろし、大顎で噛み砕き、氷柱を落としていった。
瞬く間に減ってゆくセイレーン。
血のかわりに撒き散らされるのはセイレーンの羽毛ばかり。
これが血の通う悪魔だったとしたらまさに血みどろスプラッタ状態だろう。
「す、すごい…」
ディーヴァはゴクリと唾を飲み込んだ。
これがあの、ケル?
テメンニグルの時は本気じゃなかったの?
そう思わせるほどの凶暴さと残虐さを極める動きと攻撃だった。
「お前で最後だ」
バクン!
最後のセイレーンの頭を噛み、力任せに引きちぎって吐き捨てる。
容赦なさすぎるが、これが…この無情な戦闘が本来の悪魔の戦いなのかもしれない。
戦闘を終え何事もなかったかのように可愛らしい犬の姿に戻ったケルベロスを、ディーヴァは初めて恐ろしいと思った。
暗示ごときに負けるような、そんな想いをディーヴァに向けていたか?
……いいや、違う。
悪魔の特性からか、ディーヴァを食べてしまいたいと思うことこそ多々あるが、ずっとずっと守っていきたい大事な存在だ。
これまでディーヴァの気持ちを尊重し、色々我慢してきた。
我慢の利かない自分にしては珍しくずっと我慢できているし、ディーヴァと出会ってからは我慢強さがかなり鍛えられた。
だから、こんな暗示には負けないはず。
なのに…。
「ダンテ…?」
思考は黒く塗りつぶされ、再びその手はディーヴァの首に伸びる。
どれだけ力や体が鍛えられても、まだまだ悪魔としても、人間としても未熟な精神…。
自分の弱さを、弱点をつかれるとこんなにも脆い。
再び力を込められ、今にもくびり殺されんとするディーヴァ。
その瞬間、三氷棍の姿から犬の姿に変わったケルベロスが飛んできた。
「悪く思うな、ダンテ!」
大きく踏みしめた足から鋭く尖った氷柱が生える。
そのすべてがダンテを貫き、串刺しにした。
「がっ、はっ…!!」
血の華がパッと咲く。
ダンテはそのまま全身を血で塗らし、後方へ吹っ飛んで…動きを止めた。
「きゃあああ!ダ、ダンテッ!!ケル、あなた何を…!?」
「ディーヴァが危険に思えてな。咄嗟にこの技を放ってしまった…すまぬ」
そう言われてしまうと責めるに責められない。
ドクドクと溢れる血は中々止まらず不安になるが、その氷柱の生えた場所はすべてが急所を外れていた。
無理に引き抜くと、血がさらに吹き出そうで怖い。
ディーヴァはダンテの自己治癒による氷柱の除去に任せた。
「死んでない、よかった…」
「これでも加減はしてあるからな。それよりも起きた時にまた襲ってこないとも限らぬ。より強く血の絆を結んで、解呪しておかねば」
「血の…絆?」
涙で濡れた目をゴシとこすり、ディーヴァが聞く。
「いつも通りだ、血を与えておけばよい」
顔をあげて、残りの敵を見つめるケルベロス。
「あとは我に任せておけ。…海上だけにしか悪魔のいない今ならば我にかかれば一発だ」
黒いゴールデンレトリーバーのまぁるい瞳をこちらに向け、かわいらしく片目を瞑るケルベロスからは言葉通りの強さは感じない。
「ダンテにも負けぬ技を魅せてやろう。…ダンテには秘密だぞ」
くうん、1つ鳴きディーヴァに鼻を小さく押し付ける。
「ガァァウ!!」
そして、今のが嘘のように勇ましい大きな咆哮を上げる。
ケルベロスは高く跳躍しながら、巨大な三頭犬、元の姿を露にすると海上へ向けて氷霧を激しくぶつけた。
分厚い氷の足場が海上を覆い、そこへ降り立つ。
「グルルル…」
そこにはテメンニグルで相対した時、いやそれ以上の威厳を称えた地獄の門番が鎮座していた。
「ガアアアアアア!!」
すべてを吹き飛ばしそうな雄叫び。
逃げ惑わんとするセイレーン目掛け、ケルベロスは鋭い爪を振りおろし、大顎で噛み砕き、氷柱を落としていった。
瞬く間に減ってゆくセイレーン。
血のかわりに撒き散らされるのはセイレーンの羽毛ばかり。
これが血の通う悪魔だったとしたらまさに血みどろスプラッタ状態だろう。
「す、すごい…」
ディーヴァはゴクリと唾を飲み込んだ。
これがあの、ケル?
テメンニグルの時は本気じゃなかったの?
そう思わせるほどの凶暴さと残虐さを極める動きと攻撃だった。
「お前で最後だ」
バクン!
最後のセイレーンの頭を噛み、力任せに引きちぎって吐き捨てる。
容赦なさすぎるが、これが…この無情な戦闘が本来の悪魔の戦いなのかもしれない。
戦闘を終え何事もなかったかのように可愛らしい犬の姿に戻ったケルベロスを、ディーヴァは初めて恐ろしいと思った。