学校にいる間、仕事の調査をしたりしている時以外は、ダンテは基本的にディーヴァと行動を共にした。
しかし、一緒にいない時はサボリに明け暮れ、大抵がカフェテリアで惰眠を貪る…いつものダンテとなんら変わりない気がする。

カフェテリアのテーブルに突っ伏し、クー…と寝息をたてるデビルハンター。
ここにはダンテの脅威になる天敵はいなく、いたって平和。

誰か知らない者が近づいても、ダンテは起きることはない。
ただ、愛しのディーヴァが近づいた場合はすぐに飛び起きれるよう、脳に目覚まし機能をセット済みだ。

寝ていてもダンテの美男子ぷりは健在。
その美術彫刻のごとく整った美しい寝顔を見、頬を染める女生徒も少なくない。
しかも、起きたら起きたで、話はウィットに飛んでいて聞き手を楽しませるし、基本は女性を大切にするフェミニストだ。
更にその青い瞳は相手を魅了…。
ダンテはあっという間に人気者になった。

そんなわけでディーヴァは、自分がいない時間、ダンテが女生徒に囲まれて楽しそうに会話するのを何度も目撃した。
そして今回も……。

キャッキャウフフと女生徒達がダンテを中心に何やら談笑。
ダンテも非常に楽しそうに会話していた。

そして、話は突如として変わる。

「ところで彼女いるの？」
「アタシ、立候補したいな～」

クラスの女子ではない、他のクラス、他の学年の女子がダンテを逆ナンパしていた。
ちょうど授業が終わってからダンテの元へと歩いていたディーヴァもそれは聞こえ、思わずその足がピタリと止まる。

「むー…」

胸の内を嫌な気分に黒く染めながら、ディーヴァはダンテの返答を待った。

「オレにはもう愛する女性がいる。あいつ以外にオレの女が務まるやつなんか、この世界のどこにもいねぇ」

意外や意外。
ダンテはあっさりと、その誘いの話を断ってしまった。
優しいダンテのことだし、オブラートを何重にも重ねて相手が傷つかない発言をするかと思っていた。

ディーヴァは黒くくすんでいた胸の内を光で満たし、顔をぱああああ！と明るくさせた。

話も終わり、少々残念そうに去っていく女生徒達。
…と、手を振るダンテの背中に軽い衝撃が。
ふわりと香るベリーと花のシャンプー、ディーヴァだ。

「ダンテ、好きーっ！」
「ディーヴァ……。オレも好きだぜ？」
「あたしの方がダンテの何倍もダンテのこと好きだよ！…そうだ！カフェテリアの甘いものおごってあげる！！」
「ん？マジか。ところで授業は？」
「もうお昼だよ。ごはん食べよ！」

なるほど、カフェテリアは少しずつ混み始めていた。
笑ってから２人は席を立って、食券売り場へと歩く。

ここの料理は美味い。
ディーヴァが作る料理には負けるが。