mission 14:blood is thicker than water ~家族というもの~
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それからしばらく。
誠に勝手ながら本日臨時休業。
という張り紙を事務所入り口に張ったディーヴァ。
どうせ依頼来ないでしょ、という話は受け付けないのでそこんところよろしく。
まあ、便利屋という職業柄、毎日がお休みみたいなものではあるし、ダンテに至っては週休6日制を豪語しているという体たらく。
あまり変わらないような気もするが、万が一突発的な依頼が来ないとも限らない。
そんなわけでお休みをとってどこへ行くのか…というと。
ディーヴァの屋敷の荷物の整理、掃除に行くのだ。
ディーヴァ自身はもともとこの日に行くと計画していた。
だが、ダンテに言ったら「オレも行く」と言われてしまい、ならば…ということで休みにしたのだ。
そして、たどり着いた実家。
うむ、いつみても広いし大きいし、悪魔に襲われたあの日以来、清浄な空気に包まれたままだ。
未だ廃墟でもなんでもなく誰か住んでいるんじゃないか、という感じがするのはディーヴァの管理のおかげか否か…。
「あ~、疲れた」
たどり着いてすぐ、ダンテはテラスに置いてあるロッキングチェアにどっかりと腰を下ろした。
そしてちゃっかり昼寝をする体勢に入っている。
まだ何もしていないのに疲れたとは…。
まったく、掃除嫌い・苦手というだけはある。
「ダンテ、何しに来たのか忘れた?」
ギコギコとチェアを揺らすダンテが、片目だけ開けてこちらを見る。
「こんないい天気の日には昼寝するのが一番だ。ほら、気持ちいいからお前も来てみろ」
「きゃ」
ダンテはディーヴァの腕をとると、引き寄せて自分の腕の中に閉じ込めた。
ロッキングチェアは狭いということもなく、ふたりをほどよくすっぽりと包みこみ、ゆっくりと揺れ動く。
テラスの格子状の天井に絡みついた木々、そこから垂れ下がる深緑の木の葉が、ちょうどいい日差しと影をこちらに落としている。
眩しすぎることもなく、日陰でまったく日が差さないというわけでもないそれ。
日の光、優しく吹く風、ゆりかごのように揺れる椅子…確かにとても気持ちいい。
というか、ロッキングチェアに乗ってここで昼寝に読書、編み物など、幼少期より長い年月を過ごしてきたディーヴァはそんなことなどとうの昔に知っていた。
「今日は寝るために来たんじゃないもん。こうやってゆっくりするのはいつでも出来るでしょ」
「はあ…わかったよ」
ディーヴァが体を起こすのに合わせ、ダンテもゆっくりと体を起こす。
そばに持ってきていたらしい掃除用具をディーヴァから手渡され、ダンテは掃除することにした。
長い長い回廊のような廊下の掃除をダンテの担当にし、ディーヴァは母親の私室の整頓に入る。
この屋敷の私室系の部屋の中でも、母親の部屋は特別大きい。
廊下を掃除するダンテと同じくらい大変だろう。
「ん…なんだろう……」
そして『それ』はベッドわきのナイトテーブルで見つけた。
大切そうに紐でまとめられた、手紙の束。
そのどれもが白地に赤と青の線で縁どられ、エアメールであることがうかがえる。
その送り主は全て同じだ。
「ミ、ヨ…ハシ、……アヤ、メ…?」
母の旧姓は確か聖代橋だ。
つまりこれは母の実家、日本からの手紙だ!
昔、まだ幼かった頃に母に聞いたことがある。
その当時はちょうど父方の祖父母が高齢のため亡くなったばかりだった。
だが、その時は『死』というものがどういうものか理解していなかったため、なぜ2人は土の中に眠っているのか、いつ起きるのかと首をかしげていた。
子どもは時に残酷だ。
そして疑問に思ったから聞いたのだ。
ママの方のおじいちゃんは、おばあちゃんはどこ?…と。
母はあの時、何も言わずただ笑って自分の頭を撫でてくれた。
ふかふかしたベッドに腰かけて身を沈み込ませながら、ディーヴァは手紙を束ねる紐をゆるゆると解いた。
「……ッ…」
その中には母が何も言わずに笑っていた理由が、すべて書かれていた。
読み進めるに従い、ディーヴァの瞳は潤み、涙が零れ落ちて文面に染みを作っていった。
「ディーヴァ、まとめたゴミはどうすれば…」
がちゃり扉が開き、ダンテが顔を覗かせた。
振り向くディーヴァは目を潤ませ、大粒の雫をポロポロと落とし続けている。
「ぐす…、ダンテぇ…」
「泣いてるのか!どうした!?」
すぐに駆け寄り、ダンテもベッドに座ると、ふかふかのベッドは大きく軋んだ。
その腰に手を添えて抱き寄せると、ディーヴァは手元の手紙をダンテにも見せた。
「…手紙?」
宛名書き、送り主情報こそアルファベットだったが、その中身はすべて日本語。
ダンテにはわからなかった。
ダンテは傍らで泣きながら手紙を読むディーヴァをただただ撫で、その理由を話してくれる時を待った。
誠に勝手ながら本日臨時休業。
という張り紙を事務所入り口に張ったディーヴァ。
どうせ依頼来ないでしょ、という話は受け付けないのでそこんところよろしく。
まあ、便利屋という職業柄、毎日がお休みみたいなものではあるし、ダンテに至っては週休6日制を豪語しているという体たらく。
あまり変わらないような気もするが、万が一突発的な依頼が来ないとも限らない。
そんなわけでお休みをとってどこへ行くのか…というと。
ディーヴァの屋敷の荷物の整理、掃除に行くのだ。
ディーヴァ自身はもともとこの日に行くと計画していた。
だが、ダンテに言ったら「オレも行く」と言われてしまい、ならば…ということで休みにしたのだ。
そして、たどり着いた実家。
うむ、いつみても広いし大きいし、悪魔に襲われたあの日以来、清浄な空気に包まれたままだ。
未だ廃墟でもなんでもなく誰か住んでいるんじゃないか、という感じがするのはディーヴァの管理のおかげか否か…。
「あ~、疲れた」
たどり着いてすぐ、ダンテはテラスに置いてあるロッキングチェアにどっかりと腰を下ろした。
そしてちゃっかり昼寝をする体勢に入っている。
まだ何もしていないのに疲れたとは…。
まったく、掃除嫌い・苦手というだけはある。
「ダンテ、何しに来たのか忘れた?」
ギコギコとチェアを揺らすダンテが、片目だけ開けてこちらを見る。
「こんないい天気の日には昼寝するのが一番だ。ほら、気持ちいいからお前も来てみろ」
「きゃ」
ダンテはディーヴァの腕をとると、引き寄せて自分の腕の中に閉じ込めた。
ロッキングチェアは狭いということもなく、ふたりをほどよくすっぽりと包みこみ、ゆっくりと揺れ動く。
テラスの格子状の天井に絡みついた木々、そこから垂れ下がる深緑の木の葉が、ちょうどいい日差しと影をこちらに落としている。
眩しすぎることもなく、日陰でまったく日が差さないというわけでもないそれ。
日の光、優しく吹く風、ゆりかごのように揺れる椅子…確かにとても気持ちいい。
というか、ロッキングチェアに乗ってここで昼寝に読書、編み物など、幼少期より長い年月を過ごしてきたディーヴァはそんなことなどとうの昔に知っていた。
「今日は寝るために来たんじゃないもん。こうやってゆっくりするのはいつでも出来るでしょ」
「はあ…わかったよ」
ディーヴァが体を起こすのに合わせ、ダンテもゆっくりと体を起こす。
そばに持ってきていたらしい掃除用具をディーヴァから手渡され、ダンテは掃除することにした。
長い長い回廊のような廊下の掃除をダンテの担当にし、ディーヴァは母親の私室の整頓に入る。
この屋敷の私室系の部屋の中でも、母親の部屋は特別大きい。
廊下を掃除するダンテと同じくらい大変だろう。
「ん…なんだろう……」
そして『それ』はベッドわきのナイトテーブルで見つけた。
大切そうに紐でまとめられた、手紙の束。
そのどれもが白地に赤と青の線で縁どられ、エアメールであることがうかがえる。
その送り主は全て同じだ。
「ミ、ヨ…ハシ、……アヤ、メ…?」
母の旧姓は確か聖代橋だ。
つまりこれは母の実家、日本からの手紙だ!
昔、まだ幼かった頃に母に聞いたことがある。
その当時はちょうど父方の祖父母が高齢のため亡くなったばかりだった。
だが、その時は『死』というものがどういうものか理解していなかったため、なぜ2人は土の中に眠っているのか、いつ起きるのかと首をかしげていた。
子どもは時に残酷だ。
そして疑問に思ったから聞いたのだ。
ママの方のおじいちゃんは、おばあちゃんはどこ?…と。
母はあの時、何も言わずただ笑って自分の頭を撫でてくれた。
ふかふかしたベッドに腰かけて身を沈み込ませながら、ディーヴァは手紙を束ねる紐をゆるゆると解いた。
「……ッ…」
その中には母が何も言わずに笑っていた理由が、すべて書かれていた。
読み進めるに従い、ディーヴァの瞳は潤み、涙が零れ落ちて文面に染みを作っていった。
「ディーヴァ、まとめたゴミはどうすれば…」
がちゃり扉が開き、ダンテが顔を覗かせた。
振り向くディーヴァは目を潤ませ、大粒の雫をポロポロと落とし続けている。
「ぐす…、ダンテぇ…」
「泣いてるのか!どうした!?」
すぐに駆け寄り、ダンテもベッドに座ると、ふかふかのベッドは大きく軋んだ。
その腰に手を添えて抱き寄せると、ディーヴァは手元の手紙をダンテにも見せた。
「…手紙?」
宛名書き、送り主情報こそアルファベットだったが、その中身はすべて日本語。
ダンテにはわからなかった。
ダンテは傍らで泣きながら手紙を読むディーヴァをただただ撫で、その理由を話してくれる時を待った。