mission 12:angelic wings ~特訓と成果~
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顎に手をやりながらダンテが唸っている。
「でも…そうだな。そこまで言うなら、夜に外に出た時でも、結界が出るよう特訓すっか」
その言葉に先刻の『天使を抱えて赤い半魔が大飛翔!』という話が蘇る。
「え、やっぱり空のお散歩に行くの?」
「当たり前だ。オレが行きたくなったからなー!」
「魔人化したダンテ、ちょっと怖いのに…」
「我慢しろって」
コツン、とディーヴァの額を軽く小突くと、ダンテは笑った。
しかし、ディーヴァの特訓への執着は止まらない。
「あのね、もう1つあるんだけど…」
「何?まだ何かあるのか」
「うん…。キスとか、血を飲んでもらう以外に回復方法がないと困るよね…って、思ってさあ…」
人差し指を突き合せ、言いづらそうにチラチラとダンテの顔をうかがいながら言うディーヴァ。
その言葉は終盤になるにつれ、尻すぼみになっていく。
「はあ……?」
目を丸くしてからたっぷり10秒の時を経て、ダンテは却下という決断を下した。
「今のままでイイだろうが。つか、そこはキスで我慢してろ」
「えー!やだー!」
「お前…ッ!オレとキスしたくないのかよ!?」
声高に叫ぶディーヴァを咎めるように、ダンテは言う。
我が家のお姫様は愛する騎士とのキスが嫌いなのか、それともキスは上手いと思っていたのは自分だけで実はかなり下手くそに感じているのだろうか。
そう考えると、地獄の底のさらに最下層まで心が落ち込んでしまいそうだ。
「そ、そんなことない…、す、好きだよ?でも、腰砕けになっちゃう…あたしの身が持たないの!」
あらら。
下手の正反対だったよう。
キスがうまい、というのは最上級の褒め言葉だ。
地獄に落ちたダンテの心に、天から放たれる一筋の救いの光が差し込んだ。
その救いの光の元をたどれば、そこにあったのは、ディーヴァの笑顔。
ダンテは天に舞い上がりそうな嬉しさを感じながら、ディーヴァの言葉に苦笑して答えた。
「ははは。まだその先をしてるわけでもねぇってのに、腰が立たないってお前なぁ…」
「はうう…しょうがないでしょ。ダンテのキス、すごいんだもん」
ぷいとそっぽを向いて顔を隠す。
チラと見えたその顔は耳まで朱に染まっていた。
その後、集中力を高めるように精神統一をしたり、ダンテから恐怖を与えてもらったりして特訓を重ねた。
結局、それに何日間かかかってしまった。
だが四苦八苦しながらの特訓の末、出来たことといえば、手を対象者に当ててのヒーリング効果だけだった。
それも、微々たるものであり、かすり傷1つ治すにもかなりの精神的負荷がかかる。
RPG風に言えばMP10あるうち、そのヒール魔法だけで8くらい消費している状態といえる。
それしか出来ない自分に自信喪失、それ以上のやる気が削がれ、ディーヴァは落ち込んでいた。
それでもダンテが喜んでくれたからよしとしよう。
何も出来なかったよりはまだまし!
無理矢理そう考えて、ディーヴァは覚えたての力の精度をあげるべく、ダンテの背に手のひらを当てた。
「あったかいな…」
手を当てているからではない。
見た目こそただ手を当てているようにしか見えないが、柔らかな力の波動がダンテに流れ込んでくる。
その力は微量の熱を生み出し、対象者を優しく暖めてくれていた。
寒い時にも重宝しそうである。
もちろん、キスや血をもらった時の熱量に比べたら本当に微量ではあるが。
「そう?これ、あったかいんだ…」
「ああ。何もできなかったとしても、このあたたかさだけで十分の収穫だとオレは思う。
もちろん、回復効果という成果があったんだからその努力も無意味じゃなかった。それでいいだろ?」
「ダンテ……。そう言ってもらえてすごく嬉しい。ありがと…」
手を当てた背中にぴとりとはりつき、ディーヴァは幸せそうに笑みをこぼした。
「でも…そうだな。そこまで言うなら、夜に外に出た時でも、結界が出るよう特訓すっか」
その言葉に先刻の『天使を抱えて赤い半魔が大飛翔!』という話が蘇る。
「え、やっぱり空のお散歩に行くの?」
「当たり前だ。オレが行きたくなったからなー!」
「魔人化したダンテ、ちょっと怖いのに…」
「我慢しろって」
コツン、とディーヴァの額を軽く小突くと、ダンテは笑った。
しかし、ディーヴァの特訓への執着は止まらない。
「あのね、もう1つあるんだけど…」
「何?まだ何かあるのか」
「うん…。キスとか、血を飲んでもらう以外に回復方法がないと困るよね…って、思ってさあ…」
人差し指を突き合せ、言いづらそうにチラチラとダンテの顔をうかがいながら言うディーヴァ。
その言葉は終盤になるにつれ、尻すぼみになっていく。
「はあ……?」
目を丸くしてからたっぷり10秒の時を経て、ダンテは却下という決断を下した。
「今のままでイイだろうが。つか、そこはキスで我慢してろ」
「えー!やだー!」
「お前…ッ!オレとキスしたくないのかよ!?」
声高に叫ぶディーヴァを咎めるように、ダンテは言う。
我が家のお姫様は愛する騎士とのキスが嫌いなのか、それともキスは上手いと思っていたのは自分だけで実はかなり下手くそに感じているのだろうか。
そう考えると、地獄の底のさらに最下層まで心が落ち込んでしまいそうだ。
「そ、そんなことない…、す、好きだよ?でも、腰砕けになっちゃう…あたしの身が持たないの!」
あらら。
下手の正反対だったよう。
キスがうまい、というのは最上級の褒め言葉だ。
地獄に落ちたダンテの心に、天から放たれる一筋の救いの光が差し込んだ。
その救いの光の元をたどれば、そこにあったのは、ディーヴァの笑顔。
ダンテは天に舞い上がりそうな嬉しさを感じながら、ディーヴァの言葉に苦笑して答えた。
「ははは。まだその先をしてるわけでもねぇってのに、腰が立たないってお前なぁ…」
「はうう…しょうがないでしょ。ダンテのキス、すごいんだもん」
ぷいとそっぽを向いて顔を隠す。
チラと見えたその顔は耳まで朱に染まっていた。
その後、集中力を高めるように精神統一をしたり、ダンテから恐怖を与えてもらったりして特訓を重ねた。
結局、それに何日間かかかってしまった。
だが四苦八苦しながらの特訓の末、出来たことといえば、手を対象者に当ててのヒーリング効果だけだった。
それも、微々たるものであり、かすり傷1つ治すにもかなりの精神的負荷がかかる。
RPG風に言えばMP10あるうち、そのヒール魔法だけで8くらい消費している状態といえる。
それしか出来ない自分に自信喪失、それ以上のやる気が削がれ、ディーヴァは落ち込んでいた。
それでもダンテが喜んでくれたからよしとしよう。
何も出来なかったよりはまだまし!
無理矢理そう考えて、ディーヴァは覚えたての力の精度をあげるべく、ダンテの背に手のひらを当てた。
「あったかいな…」
手を当てているからではない。
見た目こそただ手を当てているようにしか見えないが、柔らかな力の波動がダンテに流れ込んでくる。
その力は微量の熱を生み出し、対象者を優しく暖めてくれていた。
寒い時にも重宝しそうである。
もちろん、キスや血をもらった時の熱量に比べたら本当に微量ではあるが。
「そう?これ、あったかいんだ…」
「ああ。何もできなかったとしても、このあたたかさだけで十分の収穫だとオレは思う。
もちろん、回復効果という成果があったんだからその努力も無意味じゃなかった。それでいいだろ?」
「ダンテ……。そう言ってもらえてすごく嬉しい。ありがと…」
手を当てた背中にぴとりとはりつき、ディーヴァは幸せそうに笑みをこぼした。