mission 1:prayer and voluntary ~心の回復~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
やっぱりダンテは元気がない。
掃除が終わったあとストロベリーサンデーを手早に作り紅茶を淹れてのお茶にしたのだが、それはいつもストロベリーサンデーを目の前に出され手放しで喜んでいるものと同じとはいえないものだった。
「さ、2人ともお疲れさま。お茶が入ったよ。もちろん、ストロベリーサンデーもね」
「おお、ありがとな」
「ネヴァンもどうぞ」
湯気を立てるティーカップも、もともとこの物件についていた物であり真っ白で飾りっ気がない。
しかしよく洗ったためか埃をかぶっていた跡などは微塵も感じられず、琥珀色の紅茶が白地によく引き立っていた。
ネヴァンにも椅子に座るよう勧め、自分もソファに座る。
それはダンテの隣であり、肌が重なりそうなほどのぎゅうぎゅうさ加減。
「あら、私にまで?」
「あたりまえだよ、ネヴァンも掃除してくれたんだから」
「ありがと」
口をつけるとダージリンの豊かな香りが鼻孔を満たし、疲れた体と心を癒す。
ダンテは紅茶に映る自分の顔をじっと見つめながら静かに飲んだ。
紅茶に映る顔、そのパーツはどこまでいってもバージルの物と同じ。
双子だからそれはしかたないことだ。
なぜあのまま行かせてしまったのか。
例え斬りつけられようと、手を振り払われようと連れ帰ればよかったのに。
バージルと同じ顔をした自分が咎めるように問いかけてくる。
「……ッ!」
鏡が目に入る度にそう思う自分がいた。
「ダンテ?ダンテの好きなストロベリーサンデー溶けちゃうよ?」
「っああ!…今食べる」
自分の分だけではなくディーヴァの分。
それとネヴァンの分までご丁寧に用意されたストロベリーサンデー。
それは大粒の宝石のような苺を身につけ、キラキラと白磁の肌にまとっていた。
まるでアミュレットにも似た、赤い輝き。
「ふぅん、これがダンテの好物のストロベリーサンデーなのね」
ツンツンと長い爪でグラスをつつくネヴァン。
魔界ではいったい何が主食なのやら、何を嗜好品として生きているのやら。
とても気にはなるが、その答えを聞くには何やら脳が警鐘を鳴らす。
ディーヴァは一瞬迷ってから聞くのはやめにした。
ストロベリーサンデーをようやく食べ始めたダンテがスプーンを咥えたまま、勧めた。
「美味いから食ってみろよ」
「そうね、食べないとわからないものもあるし、いただくわ」
「うん、ネヴァンの口にも合うといいんだけどね」
スプーンでひと掬い、ぱくり。
「……あ。美味しいわね!」
「どういたしましてー」
ネヴァンの口に合ったようで、顔をほころばせてストロベリーサンデーを頬張る。
悪魔とはいえやはり美女が笑うといいものである。
しかし、勧めていた張本人、ダンテはどっからどうみても、嬉しそうじゃないし、いつものダンテじゃない。
ディーヴァだけではなく、付き合いの浅いネヴァンにまでそれがわかった。
好物を前にして嬉しがってはいるのだ。
それはわかる。
それでも、覇気がなく、どことなく元気がない気がした。
自分の分のストロベリーサンデーを食べながらネヴァンと顔を見合わせるディーヴァ。
そしてネヴァンも、戦闘時に魔具として参加をしていたため、バージルとダンテの事を間近で見て知っているのだ。
お互い小さくため息を吐いた。
「えーと、お茶が終わったらさ、ダンテ?」
「…」
「おーい、ダンテー?」
呼びかけても返事がない。
ディーヴァはしかたなしにダンテの肩をトントンと叩いてこちら側に意識を呼び戻した。
「あ。悪い、なんだ」
「うん、自分の部屋の掃除してね。終わったらあとは好きにしていいから」
「わかった。早めに終わらせるよ、ディーヴァが一緒に眠る大事な愛の巣があるんだしな!」
「愛の巣だなんて、変な事言わないでよ」
「ははは」
愛の巣はベッドのことをさしているようだ。
冗談を言ってのけるダンテだが、その笑顔は無理して笑っているようにしか見えなかった。
掃除が終わったあとストロベリーサンデーを手早に作り紅茶を淹れてのお茶にしたのだが、それはいつもストロベリーサンデーを目の前に出され手放しで喜んでいるものと同じとはいえないものだった。
「さ、2人ともお疲れさま。お茶が入ったよ。もちろん、ストロベリーサンデーもね」
「おお、ありがとな」
「ネヴァンもどうぞ」
湯気を立てるティーカップも、もともとこの物件についていた物であり真っ白で飾りっ気がない。
しかしよく洗ったためか埃をかぶっていた跡などは微塵も感じられず、琥珀色の紅茶が白地によく引き立っていた。
ネヴァンにも椅子に座るよう勧め、自分もソファに座る。
それはダンテの隣であり、肌が重なりそうなほどのぎゅうぎゅうさ加減。
「あら、私にまで?」
「あたりまえだよ、ネヴァンも掃除してくれたんだから」
「ありがと」
口をつけるとダージリンの豊かな香りが鼻孔を満たし、疲れた体と心を癒す。
ダンテは紅茶に映る自分の顔をじっと見つめながら静かに飲んだ。
紅茶に映る顔、そのパーツはどこまでいってもバージルの物と同じ。
双子だからそれはしかたないことだ。
なぜあのまま行かせてしまったのか。
例え斬りつけられようと、手を振り払われようと連れ帰ればよかったのに。
バージルと同じ顔をした自分が咎めるように問いかけてくる。
「……ッ!」
鏡が目に入る度にそう思う自分がいた。
「ダンテ?ダンテの好きなストロベリーサンデー溶けちゃうよ?」
「っああ!…今食べる」
自分の分だけではなくディーヴァの分。
それとネヴァンの分までご丁寧に用意されたストロベリーサンデー。
それは大粒の宝石のような苺を身につけ、キラキラと白磁の肌にまとっていた。
まるでアミュレットにも似た、赤い輝き。
「ふぅん、これがダンテの好物のストロベリーサンデーなのね」
ツンツンと長い爪でグラスをつつくネヴァン。
魔界ではいったい何が主食なのやら、何を嗜好品として生きているのやら。
とても気にはなるが、その答えを聞くには何やら脳が警鐘を鳴らす。
ディーヴァは一瞬迷ってから聞くのはやめにした。
ストロベリーサンデーをようやく食べ始めたダンテがスプーンを咥えたまま、勧めた。
「美味いから食ってみろよ」
「そうね、食べないとわからないものもあるし、いただくわ」
「うん、ネヴァンの口にも合うといいんだけどね」
スプーンでひと掬い、ぱくり。
「……あ。美味しいわね!」
「どういたしましてー」
ネヴァンの口に合ったようで、顔をほころばせてストロベリーサンデーを頬張る。
悪魔とはいえやはり美女が笑うといいものである。
しかし、勧めていた張本人、ダンテはどっからどうみても、嬉しそうじゃないし、いつものダンテじゃない。
ディーヴァだけではなく、付き合いの浅いネヴァンにまでそれがわかった。
好物を前にして嬉しがってはいるのだ。
それはわかる。
それでも、覇気がなく、どことなく元気がない気がした。
自分の分のストロベリーサンデーを食べながらネヴァンと顔を見合わせるディーヴァ。
そしてネヴァンも、戦闘時に魔具として参加をしていたため、バージルとダンテの事を間近で見て知っているのだ。
お互い小さくため息を吐いた。
「えーと、お茶が終わったらさ、ダンテ?」
「…」
「おーい、ダンテー?」
呼びかけても返事がない。
ディーヴァはしかたなしにダンテの肩をトントンと叩いてこちら側に意識を呼び戻した。
「あ。悪い、なんだ」
「うん、自分の部屋の掃除してね。終わったらあとは好きにしていいから」
「わかった。早めに終わらせるよ、ディーヴァが一緒に眠る大事な愛の巣があるんだしな!」
「愛の巣だなんて、変な事言わないでよ」
「ははは」
愛の巣はベッドのことをさしているようだ。
冗談を言ってのけるダンテだが、その笑顔は無理して笑っているようにしか見えなかった。