mission 1:opening ~招待状と悪魔の歓迎~
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その日、ディーヴァは変な夢を見た。
ディーヴァが大きなザクロをマーケットで買うと、中からダンテが出てきた、という夢だ。
そのダンテは剣を何本も携えると、上空へ長く伸びた島へ、頭が三つある犬と蝙蝠と光り輝きながら飛ぶ狼を連れて行った。
ダンテは途中、大きな鯨に飲み込まれて体の中を冒険したり、女性に眉間パンチをされたりしていた。
さらに、好敵手となったらしい赤でなく青いコートのダンテと共に、黒っぽいヘドロの塊を退治しに行っていた。
そんな夢だった。
それは、まるで昔に母から聞いた日本の童話のような展開である。
ディーヴァはわけがわからないまま目を覚ました。
自分もすぐそばで体験していたかのようで、あまりにもリアル過ぎた。汗までかいている。
起きたばっかりだというのに、何だかどっと疲れが押し寄せる。
「何、今の夢……」
ディーヴァは寝ぼけ頭で上手く働かない脳を総動員して考えた。
隣ではくかー、と口を開けて幸せそうにダンテが寝ている。
変な夢や悪い夢とは無縁であろう。
人が悩んでいるというのに、何だか腹立たしく思う。
むぎゅう。
鼻を摘んでみたがダンテは安心できる場所につき熟睡中なのか、まったく目を覚まさなかった。いつもは狸寝入りしてるくせに。
「この寝坊助め……ま、いいか」
いつもよりも跳ね方がすばらしい状態の前髪を押さえると、ディーヴァは起き上がることにした。
***
ヴルストの焼ける芳ばしい薫りに、ダンテが珍しく起こさずとも起きてきた。
「ん~いい匂いだな……」
ディーヴァを抱きすくめながら、フライパンの中をダンテが覗き込む。
熱されたヴルストの皮はぱちんと弾け、油が飛んだ。
「危ないから離れてくれる?」
「んー、もうちょっとだけ」
「……ダンテの分がなくなるけどいいんだね?」
その言葉にダンテはおとなしくディーヴァを放した。
「さあ、放したぞ」
ダンテが唇をつきだして目をつぶっている。
おはようのキスを要求しているのだ。
去年のクリスマス以来、ダンテは毎日これを要求してくるようになった。
毎日のことだが、この行為は恥ずかしくてディーヴァは未だに慣れない。
されるならまだいいが、自分からなんて真っ平御免だ。
ディーヴァは少し考えた末、熱々のヴルストをダンテの唇に押し付けた。
「うあっち!」
ジュ。
ダンテの唇がヴルストと同様にいい音をたてる。
ディーヴァはそれをふぅふぅと冷ましてから自分の唇に押し当てると、そのまま食べた。
「はい、これで間接キスね」
「火傷したぞ!さてはお前ドSだな!」
あっけらかんと言うディーヴァとは対照的に、ダンテは涙目になりながら唇を押さえた。
「S?サイズはFだけど……って、何言わせんの!!」
「お、やっぱりFカップだったか、そうだと思ったぜ」
ディーヴァは顔を赤くしながらつっこんだが、自分で暴露したことである。
ダンテは良いことを聞いたとほくほく顔になった。
「それにしても、二度とキス出来なくなったらどうすんだよ」
「もう治ってるじゃん!それにもしそうなったら、あたしの血で治してあげる」
もうキスしないからいいと言われるかと思った。
だが、ディーヴァは血を与えてでも治してくれるそうだ。
つまり、キスはこれからもしていいよということ。
素直じゃないお姫様である。
***
食事を終えたダンテが思い出したように言った。
「あ、そうだ。そろそろ店の名前を決めようかと思うんだが」
「やっとなの、長かったねぇ……」
ディーヴァは嬉しそうに笑って言う。
確かダンテは、店の名前が決まったら仕事もたくさんすると言っていたのだ。
見ればダンテもその青い目をキラキラさせて喜びを表現していた。
「便利屋としての記念すべき一つ目の仕事だな!」
「で、何になったの?」
「いや、決まってないから決めるんだ」
しれっと言い放つダンテにずるっと椅子から滑り落ちそうになった。
「期待して聞いたあたしがバカだった……」
「一緒に考えてくれよ、darling」
「しょうがないなあ。学校から帰ったらね」
時計を確認すると、もうすぐ学校の送迎バスが指定の場所にやってくる時間だ。
ディーヴァは慌てて、飲んでいた紅茶のカップを洗った。
「ごめん、もう行かなきゃ!」
「待て。……送ってく」
ダンテはすでに用意していたバイクのキーを指でクルクルと回し、ディーヴァに見せつけた。
ディーヴァが大きなザクロをマーケットで買うと、中からダンテが出てきた、という夢だ。
そのダンテは剣を何本も携えると、上空へ長く伸びた島へ、頭が三つある犬と蝙蝠と光り輝きながら飛ぶ狼を連れて行った。
ダンテは途中、大きな鯨に飲み込まれて体の中を冒険したり、女性に眉間パンチをされたりしていた。
さらに、好敵手となったらしい赤でなく青いコートのダンテと共に、黒っぽいヘドロの塊を退治しに行っていた。
そんな夢だった。
それは、まるで昔に母から聞いた日本の童話のような展開である。
ディーヴァはわけがわからないまま目を覚ました。
自分もすぐそばで体験していたかのようで、あまりにもリアル過ぎた。汗までかいている。
起きたばっかりだというのに、何だかどっと疲れが押し寄せる。
「何、今の夢……」
ディーヴァは寝ぼけ頭で上手く働かない脳を総動員して考えた。
隣ではくかー、と口を開けて幸せそうにダンテが寝ている。
変な夢や悪い夢とは無縁であろう。
人が悩んでいるというのに、何だか腹立たしく思う。
むぎゅう。
鼻を摘んでみたがダンテは安心できる場所につき熟睡中なのか、まったく目を覚まさなかった。いつもは狸寝入りしてるくせに。
「この寝坊助め……ま、いいか」
いつもよりも跳ね方がすばらしい状態の前髪を押さえると、ディーヴァは起き上がることにした。
***
ヴルストの焼ける芳ばしい薫りに、ダンテが珍しく起こさずとも起きてきた。
「ん~いい匂いだな……」
ディーヴァを抱きすくめながら、フライパンの中をダンテが覗き込む。
熱されたヴルストの皮はぱちんと弾け、油が飛んだ。
「危ないから離れてくれる?」
「んー、もうちょっとだけ」
「……ダンテの分がなくなるけどいいんだね?」
その言葉にダンテはおとなしくディーヴァを放した。
「さあ、放したぞ」
ダンテが唇をつきだして目をつぶっている。
おはようのキスを要求しているのだ。
去年のクリスマス以来、ダンテは毎日これを要求してくるようになった。
毎日のことだが、この行為は恥ずかしくてディーヴァは未だに慣れない。
されるならまだいいが、自分からなんて真っ平御免だ。
ディーヴァは少し考えた末、熱々のヴルストをダンテの唇に押し付けた。
「うあっち!」
ジュ。
ダンテの唇がヴルストと同様にいい音をたてる。
ディーヴァはそれをふぅふぅと冷ましてから自分の唇に押し当てると、そのまま食べた。
「はい、これで間接キスね」
「火傷したぞ!さてはお前ドSだな!」
あっけらかんと言うディーヴァとは対照的に、ダンテは涙目になりながら唇を押さえた。
「S?サイズはFだけど……って、何言わせんの!!」
「お、やっぱりFカップだったか、そうだと思ったぜ」
ディーヴァは顔を赤くしながらつっこんだが、自分で暴露したことである。
ダンテは良いことを聞いたとほくほく顔になった。
「それにしても、二度とキス出来なくなったらどうすんだよ」
「もう治ってるじゃん!それにもしそうなったら、あたしの血で治してあげる」
もうキスしないからいいと言われるかと思った。
だが、ディーヴァは血を与えてでも治してくれるそうだ。
つまり、キスはこれからもしていいよということ。
素直じゃないお姫様である。
***
食事を終えたダンテが思い出したように言った。
「あ、そうだ。そろそろ店の名前を決めようかと思うんだが」
「やっとなの、長かったねぇ……」
ディーヴァは嬉しそうに笑って言う。
確かダンテは、店の名前が決まったら仕事もたくさんすると言っていたのだ。
見ればダンテもその青い目をキラキラさせて喜びを表現していた。
「便利屋としての記念すべき一つ目の仕事だな!」
「で、何になったの?」
「いや、決まってないから決めるんだ」
しれっと言い放つダンテにずるっと椅子から滑り落ちそうになった。
「期待して聞いたあたしがバカだった……」
「一緒に考えてくれよ、darling」
「しょうがないなあ。学校から帰ったらね」
時計を確認すると、もうすぐ学校の送迎バスが指定の場所にやってくる時間だ。
ディーヴァは慌てて、飲んでいた紅茶のカップを洗った。
「ごめん、もう行かなきゃ!」
「待て。……送ってく」
ダンテはすでに用意していたバイクのキーを指でクルクルと回し、ディーヴァに見せつけた。