mission 10:bitter enmity ~オレの彼女が嫉妬しすぎてかわいい~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「この先が礼典室だ」
一方、最深部へと進むバージルとアーカムは早くもあと少しで礼典室……というところまで辿り着いていた。
「テメンニグルは完全な姿となり、我々は魔界へと辿り着く事が出来る……スパーダの封じた魔界へとな」
アーカムは本を開きながら、呟く。
いつも要所要所でその赤い本を開いているが、呪文でも載っているのか。
まさかかの有名な魔導書、『黒い雌鶏』や『赤竜』を手にしているとでもいうのだろうか。
アーカムは本の文字をなぞりながらも続ける。
「しかしその封印を解くのがスパーダの息子とは……皮肉な話だ」
ゴゴゴゴゴ……。
大きな音を立てて閂のような物が外れていき、扉が開いた。
アーカムは一歩下がり、恭しくお辞儀してバージルに先に進むよう示す。
そのまま進むバージルであったが、背後のアーカムが来た道を気にしているのに気がつき立ち止まった。
「そんなにあの女が気になるか」
「何のことだね?」
驚いたように振り返るアーカム。
白を切るつもりのようだが、バージルはわずかな動揺すら見切った。
「何故あの女を殺さなかった。おそらく貴様の娘だろうがよもや情に負けたとでも?」
「そんなことは……」
バージルに寄り否定するアーカムだが、バージルがそれをよしとするはずもない。
素早く抜き放った閻魔刀を、バージルはアーカムに向け一閃させた。
アーカムの手元から落ちた本に、血がパタパタと垂れて染みをつける。
「悪魔の力を得るため妻さえも犠牲にした……そう聞いたからこそ貴様を利用していた。
もう少し使える奴だと思っていたが見当違いだったか……」
腹から背中にかけて、閻魔刀を生やしたアーカム。
その傷口からはおびただしい量の血液が重力に従い落ちている。
非情にもバージルは刃を反し、さらに奥へと突き刺した。
……鬼である。
「不完全な力しか得られなかったのも頷ける」
アーカムは虫の息だ。
だが、吐血し震えながらも、バージルを睨みつけて言った。
「貴様はどうなんだ。天使になどほだされおって……どう考えても貴様こそが冷酷になりきれん不完全な存在だろう?」
びしゃびしゃと血がさらに本を汚し、赤い表紙が紅く緋く染まっていった。
「人間でもない悪魔でもない、不完全な……」
その話はバージルにとって最大のタブー。
バージルは怒気をはらんだ表情で、アーカムを氷の瞳に映した。
「黙れ」
素早く刀を引きぬき、高速で振り斬る。
アーカムが地に倒れたのはバージルが刀を戻したのと同時だった。
「ここまでくればもはや貴様に利用価値はない。それと……ほだされてなどはいない、ただ単に欲しいものは欲しい……それだけだ」
口ではそう言いつつも、やはり捨てきれぬ心があるのは言われた通り自分が不完全な半魔だからたろうか。
倒れるアーカムを残し、バージルはそのまま歩いて行ってしまったのだった。
「ディーヴァ……」
そう、小さく呟いて。
一方、最深部へと進むバージルとアーカムは早くもあと少しで礼典室……というところまで辿り着いていた。
「テメンニグルは完全な姿となり、我々は魔界へと辿り着く事が出来る……スパーダの封じた魔界へとな」
アーカムは本を開きながら、呟く。
いつも要所要所でその赤い本を開いているが、呪文でも載っているのか。
まさかかの有名な魔導書、『黒い雌鶏』や『赤竜』を手にしているとでもいうのだろうか。
アーカムは本の文字をなぞりながらも続ける。
「しかしその封印を解くのがスパーダの息子とは……皮肉な話だ」
ゴゴゴゴゴ……。
大きな音を立てて閂のような物が外れていき、扉が開いた。
アーカムは一歩下がり、恭しくお辞儀してバージルに先に進むよう示す。
そのまま進むバージルであったが、背後のアーカムが来た道を気にしているのに気がつき立ち止まった。
「そんなにあの女が気になるか」
「何のことだね?」
驚いたように振り返るアーカム。
白を切るつもりのようだが、バージルはわずかな動揺すら見切った。
「何故あの女を殺さなかった。おそらく貴様の娘だろうがよもや情に負けたとでも?」
「そんなことは……」
バージルに寄り否定するアーカムだが、バージルがそれをよしとするはずもない。
素早く抜き放った閻魔刀を、バージルはアーカムに向け一閃させた。
アーカムの手元から落ちた本に、血がパタパタと垂れて染みをつける。
「悪魔の力を得るため妻さえも犠牲にした……そう聞いたからこそ貴様を利用していた。
もう少し使える奴だと思っていたが見当違いだったか……」
腹から背中にかけて、閻魔刀を生やしたアーカム。
その傷口からはおびただしい量の血液が重力に従い落ちている。
非情にもバージルは刃を反し、さらに奥へと突き刺した。
……鬼である。
「不完全な力しか得られなかったのも頷ける」
アーカムは虫の息だ。
だが、吐血し震えながらも、バージルを睨みつけて言った。
「貴様はどうなんだ。天使になどほだされおって……どう考えても貴様こそが冷酷になりきれん不完全な存在だろう?」
びしゃびしゃと血がさらに本を汚し、赤い表紙が紅く緋く染まっていった。
「人間でもない悪魔でもない、不完全な……」
その話はバージルにとって最大のタブー。
バージルは怒気をはらんだ表情で、アーカムを氷の瞳に映した。
「黙れ」
素早く刀を引きぬき、高速で振り斬る。
アーカムが地に倒れたのはバージルが刀を戻したのと同時だった。
「ここまでくればもはや貴様に利用価値はない。それと……ほだされてなどはいない、ただ単に欲しいものは欲しい……それだけだ」
口ではそう言いつつも、やはり捨てきれぬ心があるのは言われた通り自分が不完全な半魔だからたろうか。
倒れるアーカムを残し、バージルはそのまま歩いて行ってしまったのだった。
「ディーヴァ……」
そう、小さく呟いて。