mission 8:distant love ~嫉妬の地獄と逃走と~
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ダンテがギガピートと格闘し、心臓部を目指して進んでいる頃……。
ディーヴァ達三人は、礼典室へ向けて着々と歩みを進めていた。
今は円刃通路である。
壁いっぱいに丸い形の鋭い刃が高速で回っている場所、といえばわかるだろうか。
ディーヴァが言いにくそうにしながらバージルに呼びかけた。
「あ、あの……ね、……バージルさん」
「なんだ?」
歩みを止めたバージルがディーヴァに向き直る。
アーカムはちらりとそれを視界に入れながらも、バージルとディーヴァを置いて先に進んでいった。
もじもじしながらディーヴァは言う。
「あたし、ちょっとおトイレ行きたくなっちゃったんですけど……」
わずかに頬を染めて恥ずかしそうに進言するディーヴァ。
生理現象はしかたあるまい。
だが、ここは悪魔の塔であり、遊園地のアトラクションではないのだ。
悪魔に排泄機能があるかどうかはともかく……ここに洗面所はない。
「そんな物が悪魔の塔にあると思うか?」
「ですよねー」
ため息交じりに言うディーヴァに、バージルはしばし思案してから、こう答えた。
「待っていてやるからその辺でしてこい」
「えっその辺で!?」
「なんだ?」
「……いえ!喜んで行かせていただきまぁすっ!」
野外で用を足すなどアメリカでは犯罪行為であり、ディーヴァはもちろん未経験のこと。
だが、ここは法の及ばぬ悪魔の巣窟。
気にしていたらきりがないだろう。
ディーヴァは前のフロア……地下水脈の場所に戻り、適当な場所を探した。
だが、その背後にはついて来る者が。
バージルがぴったりとくっついてきていたのだ。
「え、バージルさんも覗く気ですか?」
「なっ!!」
驚き固まったバージル。
その表情は次第に赤く染まっていく。
そこにこのディーヴァのトドメの一言。
「ダンテと同じ変態になっちゃいますね?」
ダンテと同じ。
その言葉はバージルの嫌いな物。
双子だから色々似ているのは当たり前なことだと思うのだが、この兄弟はお互いのことも、お互い似ているということも大嫌いなようだった。
同じと言われていい顔をするはずもなく、バージルは思い切り顔をしかめた。
「待っていてやるから終わったら来い」
そう言い残し、バージルは円刃通路へと戻ってしまった。
ダンテに向けて、軽蔑の思いすら抱きながら。
「どうしようもないヤツだとは思っていたが、女子の排泄行為まで覗くとは見損なったぞ、ダンテ……」
もっと徹底的に痛め付けておくべきだった。
滅べ、変態。
そしてこちらはバージルが行ったのを見届けたディーヴァ。
実はトイレに行きたいなど真っ赤なウソである。
こうでも言わなくてはバージルは自分から目を離さないだろう。
どこにいるかはわからないが、ディーヴァはダンテを探したかった。
会いたかったのだ。
ディーヴァは胸の内ポケットから紙とペンを取り出すと、サラサラと何か書き残してその辺の石ころを重石がわりにした。
「ごめんなさい、バージルさん」
小さく扉に向かってつぶやくと、ディーヴァは駆けだした。
ダンテの姿を求めて……。
それから10分くらいか。
遅い。とても遅い。何かあったのかと心配してしまう。
例えば最中に悪魔に襲われただとか、そんな物だ。
だが、万が一まだその最中で覗きになってしまったら?そう思うと一歩を踏み出せないでいた。
ダンテならきっと悪魔に襲われたかと思って、とか言い訳しながらすぐに覗きそうである。
「遅い!!ディーヴァ、早くし……いない」
そこから更にしばらくし、あまりに遅いディーヴァを心配したバージルが決心して扉を開けた。
扉を開けたところにあったのは小さな書置きのメモ。
『バージルさんへ
ここまで守ってくださってありがとうございました。
やっぱりあたしにはダンテが必要です。
彼を探します!
ごめんなさい。
ディーヴァ』
丸みを帯びたかわいらしい文字でそう書いてあった。
まだそうそう遠くへは行っていないはずだが、これ以上アーカムを待たせるわけにもいくまい。
何より、この塔の構造に詳しいのは自分ではなくアーカムだ。
天使の血がなくとも最悪スパーダの力自体は手に入る。
それにもしも、悪魔に襲われることなくダンテとディーヴァが再会できたとしたら、またディーヴァとも会えるはず。
悪魔に先に会ったらそれまでだが。
その時は……もうしかたない。つらいが、彼女には運がなかったのだ。
それでもすでに失った物は大きい。
ディーヴァはダンテを選んだということなのだから。
バージルより、ダンテを。
安全な生活より、死と隣り合わせになりかねないダンテとの生活を。
「チッ」
そう思い、バージルはディーヴァを追うことをあきらめた。
ディーヴァ達三人は、礼典室へ向けて着々と歩みを進めていた。
今は円刃通路である。
壁いっぱいに丸い形の鋭い刃が高速で回っている場所、といえばわかるだろうか。
ディーヴァが言いにくそうにしながらバージルに呼びかけた。
「あ、あの……ね、……バージルさん」
「なんだ?」
歩みを止めたバージルがディーヴァに向き直る。
アーカムはちらりとそれを視界に入れながらも、バージルとディーヴァを置いて先に進んでいった。
もじもじしながらディーヴァは言う。
「あたし、ちょっとおトイレ行きたくなっちゃったんですけど……」
わずかに頬を染めて恥ずかしそうに進言するディーヴァ。
生理現象はしかたあるまい。
だが、ここは悪魔の塔であり、遊園地のアトラクションではないのだ。
悪魔に排泄機能があるかどうかはともかく……ここに洗面所はない。
「そんな物が悪魔の塔にあると思うか?」
「ですよねー」
ため息交じりに言うディーヴァに、バージルはしばし思案してから、こう答えた。
「待っていてやるからその辺でしてこい」
「えっその辺で!?」
「なんだ?」
「……いえ!喜んで行かせていただきまぁすっ!」
野外で用を足すなどアメリカでは犯罪行為であり、ディーヴァはもちろん未経験のこと。
だが、ここは法の及ばぬ悪魔の巣窟。
気にしていたらきりがないだろう。
ディーヴァは前のフロア……地下水脈の場所に戻り、適当な場所を探した。
だが、その背後にはついて来る者が。
バージルがぴったりとくっついてきていたのだ。
「え、バージルさんも覗く気ですか?」
「なっ!!」
驚き固まったバージル。
その表情は次第に赤く染まっていく。
そこにこのディーヴァのトドメの一言。
「ダンテと同じ変態になっちゃいますね?」
ダンテと同じ。
その言葉はバージルの嫌いな物。
双子だから色々似ているのは当たり前なことだと思うのだが、この兄弟はお互いのことも、お互い似ているということも大嫌いなようだった。
同じと言われていい顔をするはずもなく、バージルは思い切り顔をしかめた。
「待っていてやるから終わったら来い」
そう言い残し、バージルは円刃通路へと戻ってしまった。
ダンテに向けて、軽蔑の思いすら抱きながら。
「どうしようもないヤツだとは思っていたが、女子の排泄行為まで覗くとは見損なったぞ、ダンテ……」
もっと徹底的に痛め付けておくべきだった。
滅べ、変態。
そしてこちらはバージルが行ったのを見届けたディーヴァ。
実はトイレに行きたいなど真っ赤なウソである。
こうでも言わなくてはバージルは自分から目を離さないだろう。
どこにいるかはわからないが、ディーヴァはダンテを探したかった。
会いたかったのだ。
ディーヴァは胸の内ポケットから紙とペンを取り出すと、サラサラと何か書き残してその辺の石ころを重石がわりにした。
「ごめんなさい、バージルさん」
小さく扉に向かってつぶやくと、ディーヴァは駆けだした。
ダンテの姿を求めて……。
それから10分くらいか。
遅い。とても遅い。何かあったのかと心配してしまう。
例えば最中に悪魔に襲われただとか、そんな物だ。
だが、万が一まだその最中で覗きになってしまったら?そう思うと一歩を踏み出せないでいた。
ダンテならきっと悪魔に襲われたかと思って、とか言い訳しながらすぐに覗きそうである。
「遅い!!ディーヴァ、早くし……いない」
そこから更にしばらくし、あまりに遅いディーヴァを心配したバージルが決心して扉を開けた。
扉を開けたところにあったのは小さな書置きのメモ。
『バージルさんへ
ここまで守ってくださってありがとうございました。
やっぱりあたしにはダンテが必要です。
彼を探します!
ごめんなさい。
ディーヴァ』
丸みを帯びたかわいらしい文字でそう書いてあった。
まだそうそう遠くへは行っていないはずだが、これ以上アーカムを待たせるわけにもいくまい。
何より、この塔の構造に詳しいのは自分ではなくアーカムだ。
天使の血がなくとも最悪スパーダの力自体は手に入る。
それにもしも、悪魔に襲われることなくダンテとディーヴァが再会できたとしたら、またディーヴァとも会えるはず。
悪魔に先に会ったらそれまでだが。
その時は……もうしかたない。つらいが、彼女には運がなかったのだ。
それでもすでに失った物は大きい。
ディーヴァはダンテを選んだということなのだから。
バージルより、ダンテを。
安全な生活より、死と隣り合わせになりかねないダンテとの生活を。
「チッ」
そう思い、バージルはディーヴァを追うことをあきらめた。