mission 8:distant love ~嫉妬の地獄と逃走と~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
バージルにさらわれたディーヴァは、数分後にようやく地に足をつけた。
ざっと三分間くらいは滞空時間があったかもしれない。
地面に降ろしてもらったあと、しばらくは悲しみや憤りはなりを潜め、げっそりとした表情をさらしていた。
ダンテとの飛翔盤すらここまでひどくなかった。それほどまでの揺れかたをした滞空時間であった。
のちにディーヴァはそう語ったという。
三人はテメンニグル最深部たる礼典室に向かっていた。
バージルとその隣をぴたりとついて回るディーヴァ、そして少し後ろをアーカムが歩いていく。
天使がいる、だというのに悪魔は襲ってこなかった。
バージルとアーカム、二人の冷酷な悪魔の前に怖じ気づいたのか、ただ運よくいなかっただけか……。
いずれにせよ、悪魔なんていないほうが大変喜ばしい。
だが、疲弊していたディーヴァはダンテのことを思い出しているのか、今はとても悲しげでそれでいて寂しげな表情。
バージルは、時折横目でそれを確認し、眉間にしわを寄せる。
ダンテのことなど忘れてしまえばいい。
ダンテだけでなく悪魔の全てを忘れ、安住の地で平和に生きればいい。
もちろん、そこに自分はいない。
心苦しいが、自分のことも忘れていい。
その方が天使にとっては幸せというものだろう。
バージルはディーヴァをどうにかして下界に早く帰してやりたかった。
この魔の空間に、天使であるディーヴァは神聖な気をまといすぎている。
それは自分の中の悪魔にすら『獲物』であると訴えかけるほどで、思わず喰らってしまいたい衝動にかられた。
だが帰してやりたくも、今はまだ出来ない。
ディーヴァを連れたまま塔の封印を解くのには不安が残るが、アーカムが言うには天使の血があれば封印解除ののち、よりよいスパーダの力が解放されるという。
それは指先からでも良い。ほんの少しの血をもらってから、人間の世界へと送り届ければよかろう。人間の世界、その中でも天使に友好的な街、そこはどこであったか。考える必要はありそうだが。
そう考えたバージルは、守るべくそばを離れさせなかった。
なにを考えているのか定かではないアーカムの近くは、雑魚悪魔よりも危ない気がする……。
そしてこちらは会話がない状態で、落ち着かないディーヴァ。
このピリピリとした空気に押し潰されそうだ。
耐えられなくなったディーヴァは、バージルの服の端を小さくつまむ。
悪魔は出てこなくともここは悪魔の巣窟。
いつ悪魔が飛び出してくるかもわからない。
他に繕う相手もいない。
そして固く結んだままだった、口を開いた。
「バージルさん……この地から離れろって言ったのはこの塔が出現するからだったんですね」
「ああ。……なぜ早くこの地を出なかった。
出ていれば、このような怖い目に会わなくてすんだのだ」
咎め怒っているような声音。
でもその中には心配だけでなく、残念でたまらないという、失望に似たものがあった。
「ごめんなさい。
だってそう言われただけではどうしていいかわからなかったんです。それにダンテが聞いたらなんて言うか……」
「……ダンテの話はするな」
「でも!…………はい」
そうやって考えてくれる優しさもあるというのに、なぜダンテには優しくできないんだろう?
ダンテもそうだ。
兄弟で殺し合うなんて自分だったら考えられない。
たった一人の家族なのに傷つけあうなんて悲しいこと。
家族は仲良くするべきだ。
でも、二人とも頑固そうな気がする。
ディーヴァが言ったところで何も変わらない。
それでもダンテの方がまだ人の言うことは聞きそうな気がするため、ディーヴァは次にダンテと会えたら。
そう……悪魔の心に支配されていない、いつものダンテに会えたら、家族なんだから仲良くしてと、改めて言うことにした。
きっとまたダンテには会える。
大丈夫……次に会ったダンテはいつものダンテだ。
決心したディーヴァは、無言のままバージルについて歩いた。
……早くダンテに会いたい。
ざっと三分間くらいは滞空時間があったかもしれない。
地面に降ろしてもらったあと、しばらくは悲しみや憤りはなりを潜め、げっそりとした表情をさらしていた。
ダンテとの飛翔盤すらここまでひどくなかった。それほどまでの揺れかたをした滞空時間であった。
のちにディーヴァはそう語ったという。
三人はテメンニグル最深部たる礼典室に向かっていた。
バージルとその隣をぴたりとついて回るディーヴァ、そして少し後ろをアーカムが歩いていく。
天使がいる、だというのに悪魔は襲ってこなかった。
バージルとアーカム、二人の冷酷な悪魔の前に怖じ気づいたのか、ただ運よくいなかっただけか……。
いずれにせよ、悪魔なんていないほうが大変喜ばしい。
だが、疲弊していたディーヴァはダンテのことを思い出しているのか、今はとても悲しげでそれでいて寂しげな表情。
バージルは、時折横目でそれを確認し、眉間にしわを寄せる。
ダンテのことなど忘れてしまえばいい。
ダンテだけでなく悪魔の全てを忘れ、安住の地で平和に生きればいい。
もちろん、そこに自分はいない。
心苦しいが、自分のことも忘れていい。
その方が天使にとっては幸せというものだろう。
バージルはディーヴァをどうにかして下界に早く帰してやりたかった。
この魔の空間に、天使であるディーヴァは神聖な気をまといすぎている。
それは自分の中の悪魔にすら『獲物』であると訴えかけるほどで、思わず喰らってしまいたい衝動にかられた。
だが帰してやりたくも、今はまだ出来ない。
ディーヴァを連れたまま塔の封印を解くのには不安が残るが、アーカムが言うには天使の血があれば封印解除ののち、よりよいスパーダの力が解放されるという。
それは指先からでも良い。ほんの少しの血をもらってから、人間の世界へと送り届ければよかろう。人間の世界、その中でも天使に友好的な街、そこはどこであったか。考える必要はありそうだが。
そう考えたバージルは、守るべくそばを離れさせなかった。
なにを考えているのか定かではないアーカムの近くは、雑魚悪魔よりも危ない気がする……。
そしてこちらは会話がない状態で、落ち着かないディーヴァ。
このピリピリとした空気に押し潰されそうだ。
耐えられなくなったディーヴァは、バージルの服の端を小さくつまむ。
悪魔は出てこなくともここは悪魔の巣窟。
いつ悪魔が飛び出してくるかもわからない。
他に繕う相手もいない。
そして固く結んだままだった、口を開いた。
「バージルさん……この地から離れろって言ったのはこの塔が出現するからだったんですね」
「ああ。……なぜ早くこの地を出なかった。
出ていれば、このような怖い目に会わなくてすんだのだ」
咎め怒っているような声音。
でもその中には心配だけでなく、残念でたまらないという、失望に似たものがあった。
「ごめんなさい。
だってそう言われただけではどうしていいかわからなかったんです。それにダンテが聞いたらなんて言うか……」
「……ダンテの話はするな」
「でも!…………はい」
そうやって考えてくれる優しさもあるというのに、なぜダンテには優しくできないんだろう?
ダンテもそうだ。
兄弟で殺し合うなんて自分だったら考えられない。
たった一人の家族なのに傷つけあうなんて悲しいこと。
家族は仲良くするべきだ。
でも、二人とも頑固そうな気がする。
ディーヴァが言ったところで何も変わらない。
それでもダンテの方がまだ人の言うことは聞きそうな気がするため、ディーヴァは次にダンテと会えたら。
そう……悪魔の心に支配されていない、いつものダンテに会えたら、家族なんだから仲良くしてと、改めて言うことにした。
きっとまたダンテには会える。
大丈夫……次に会ったダンテはいつものダンテだ。
決心したディーヴァは、無言のままバージルについて歩いた。
……早くダンテに会いたい。