mission 0:lost mankind heart ~双子の片割れ~
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次の日、学校から帰宅したディーヴァは、一度荷物を置くと昨日の場所へ向かった。
待ち合わせた場所に到着するとバージルはすでに来ている。
「遅い」
「バージルさん、お待たせしましてすみません」
ディーヴァは息を切らせて、申し訳なさそうに眉尻を下げた。
実は時間は遅れてなどいなかったのだが、これがバージルなりのあいさつだったらしい。
バージルは制服姿のディーヴァに目を丸くした。
かっちりした制服姿などスラム街にはあまりにも浮いている格好だ。
「貴様、学生だったのか……ここはスラム街だと思ったが?」
「スラムですよ。でもダンテはここで暮らしているから……」
ディーヴァは顔を赤くしながらダンテと出会った時のこと、暮らし始めた経緯を事細かに述べた。
楽しかったこと、大変だったこと、恐ろしい思いをしたこと。
そして今は想いが通じあっている恋人同士であることを話して聞かせた。
バージルは、その中に有益になりそうな情報がないかと黙って聞いている。
……コロコロと良く表情を変える女だ。
話す内容によって百面相をするディーヴァに、思わず薄く笑みをこぼしてしまった。
「あ、今笑いましたね?」
「……知らん」
「絶対笑いましたよ!」
「ならばそういうことにしておこう」
長く話していることで気を許したディーヴァは、自分が天使の血族であることも話した。
ダンテの兄でもあるということで、気を許し、信用してしまったのだ。
彼はダンテとは違い、目的のためには手段を選ばない……そんな人物だと教えられていたことすら忘れて。
「天使だと……?」
だからディーヴァといると体の中からざわざわと何かが暴れるような感覚がしていたのか。
昨日からずっと感じていた違和感にもこれで合点がいく。
我慢していた物は天使の力への強い渇望だったのだ。
天使の力は悪魔の糧となるもの。
俺にこそふさわしい。
「その力、俺によこせ」
強い口調でバージルはディーヴァに命令した。
「……血が欲しいってことですか」
一度ダンテに自分の血を与えているディーヴァは、悪魔の血を引いた者達がどれだけ天使の血を欲しがるものか知っている。
ひどい怪我や呪いの力すら弾き飛ばしたこの力は、喉から手が出るほど欲しいものだろう。
「ちょっとだけならいいですよ?悪魔にとってあたしの存在は魅力的らしいですからね。
今ならちょうど怪我してるしー」
ディーヴァは昨日怪我した右腕の包帯を解いた。
昨日の怪我は意外と深く、治っていないので包帯を解けばまだ血が滲んでくる。
「いや……やはり、やめておこう」
ディーヴァの自己犠牲精神に、興が醒めていくのを感じる。
どんなに渇望していても、絶望と共に食らってこそ。
自ら差し出されるのでは意味がない。
「そうですか……」
ディーヴァはホッとしたような、断られて残念なような、何となく微妙な気分だった。
バージルは思い出した。
この場で力を奪うことはしないにしても、あの男に言われた通り、ディーヴァを利用しなくてはならない。
ディーヴァを使えば、何が何でもダンテは塔に昇ってくることだろう。
それは彼女を攫ってしまうのが一番手っ取り早くて楽なのだが、ダンテの怒りをかえばいいだけでもある。
さすれば沸点の低いダンテは間違いなくやり返しにくるからだ。
どちらにせよ、ディーヴァはキーパーソンと言える。
待ち合わせた場所に到着するとバージルはすでに来ている。
「遅い」
「バージルさん、お待たせしましてすみません」
ディーヴァは息を切らせて、申し訳なさそうに眉尻を下げた。
実は時間は遅れてなどいなかったのだが、これがバージルなりのあいさつだったらしい。
バージルは制服姿のディーヴァに目を丸くした。
かっちりした制服姿などスラム街にはあまりにも浮いている格好だ。
「貴様、学生だったのか……ここはスラム街だと思ったが?」
「スラムですよ。でもダンテはここで暮らしているから……」
ディーヴァは顔を赤くしながらダンテと出会った時のこと、暮らし始めた経緯を事細かに述べた。
楽しかったこと、大変だったこと、恐ろしい思いをしたこと。
そして今は想いが通じあっている恋人同士であることを話して聞かせた。
バージルは、その中に有益になりそうな情報がないかと黙って聞いている。
……コロコロと良く表情を変える女だ。
話す内容によって百面相をするディーヴァに、思わず薄く笑みをこぼしてしまった。
「あ、今笑いましたね?」
「……知らん」
「絶対笑いましたよ!」
「ならばそういうことにしておこう」
長く話していることで気を許したディーヴァは、自分が天使の血族であることも話した。
ダンテの兄でもあるということで、気を許し、信用してしまったのだ。
彼はダンテとは違い、目的のためには手段を選ばない……そんな人物だと教えられていたことすら忘れて。
「天使だと……?」
だからディーヴァといると体の中からざわざわと何かが暴れるような感覚がしていたのか。
昨日からずっと感じていた違和感にもこれで合点がいく。
我慢していた物は天使の力への強い渇望だったのだ。
天使の力は悪魔の糧となるもの。
俺にこそふさわしい。
「その力、俺によこせ」
強い口調でバージルはディーヴァに命令した。
「……血が欲しいってことですか」
一度ダンテに自分の血を与えているディーヴァは、悪魔の血を引いた者達がどれだけ天使の血を欲しがるものか知っている。
ひどい怪我や呪いの力すら弾き飛ばしたこの力は、喉から手が出るほど欲しいものだろう。
「ちょっとだけならいいですよ?悪魔にとってあたしの存在は魅力的らしいですからね。
今ならちょうど怪我してるしー」
ディーヴァは昨日怪我した右腕の包帯を解いた。
昨日の怪我は意外と深く、治っていないので包帯を解けばまだ血が滲んでくる。
「いや……やはり、やめておこう」
ディーヴァの自己犠牲精神に、興が醒めていくのを感じる。
どんなに渇望していても、絶望と共に食らってこそ。
自ら差し出されるのでは意味がない。
「そうですか……」
ディーヴァはホッとしたような、断られて残念なような、何となく微妙な気分だった。
バージルは思い出した。
この場で力を奪うことはしないにしても、あの男に言われた通り、ディーヴァを利用しなくてはならない。
ディーヴァを使えば、何が何でもダンテは塔に昇ってくることだろう。
それは彼女を攫ってしまうのが一番手っ取り早くて楽なのだが、ダンテの怒りをかえばいいだけでもある。
さすれば沸点の低いダンテは間違いなくやり返しにくるからだ。
どちらにせよ、ディーヴァはキーパーソンと言える。