mission 7:reunion and duel ~VSバージル1~
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
赤い布はためく通路が上へと続く。
それは元は旗だったのかもしれないが、今は長い年月を経て、襤褸のように風化してしまっている。
「月が相変わらずおっきいね」
「ああ、満月だな。……怖いか?」
満月の日は悪魔が元気になる日。
天使の血族であるディーヴァには、とても恐ろしい物だ。
「ちょっぴりね」
ディーヴァは肩をすくめてそう返した。
そんな彼女の鼻の頭にぽつり、雨粒が落ちてきた。
それは小雨のような物だったが、少しずつ落ちる量が多くなってくる。
「雨だ……なんだかこの雨は土砂降りになりそうだね……」
「着るか?」
「何度もいうけど大丈夫だから、ダンテはちゃんと服を着ててってば」
冬だから気温は寒く、雨に濡れては風邪をひく。
かといってディーヴァを建物内に置いていくなどもってのほか。
ダンテはまたもコートを脱いでたくましい腹筋を見せつけながら、ディーヴァに渡した。
だがディーヴァはまたまた突っぱねる。
「バージルさんにまで変態って言われちゃうよ?笑われちゃうよ?」
「あいつにまで言われちゃかなわねぇ」
ダンテは素直に受け取って着なおした。
……これから戦いが始まるだろう。
大きな満月を目の前に、バージルは一人ダンテを待ち佇んでいた。
最上部への扉をくぐると、例によって封印が施される。
封印の悪魔達は、まるで逃げるなと言いたげに嘲笑い続けていた。
始めは小雨だった雨も、ディーヴァの言う通り激しい雨に変わっていく。
肌を刺す冷たさにディーヴァは小さく足をすり合わせた。
確かに寒い、凍えそうである。
共に階段をあがるディーヴァだったが、ここまでだ。とダンテは手で制した。
そしてケルベロスを渡す。
「持っててくれ」
「ケルは持ってかないの?」
「ああ。リベリオンと、小ウルサイ双剣兄弟があればいい。悪いけど遊びに来たわけじゃないんだ。
きっと激しい戦いになるからな」
「そんな……!」
「ディーヴァはここで待ってろ」
「うん。……でも兄弟なのに戦うなんてね」
「……ああ」
兄弟だからこそ、だ。
ダンテはディーヴァを残し、バージルの元へと歩く。
バージルはダンテに背を向けた状態で待っていた。
弟の到着と共に、ゆっくりと向き直る。
「来たか」
ちらり、ダンテを見やるバージル。
そのまま後方に見えた極々薄いティントグリーンの髪、ディーヴァの存在を目の端に入れた。
双子は相対する。
ダンテは右手にアイボリーを手にし、いつでも戦闘に入れるよう注意しながら言葉を紡ぐ。
「全く大したパーティだな。酒もねえ、食い物もねえ……パーティを飾る華については、ディーヴァがいるからなんとかなってるだろうけどな」
「それはすまなかったな、気が急いて準備もままならなかった。
だがディーヴァがいる。それだけで十分だろう?違うか?」
確かにそうだ。
さすがに酒の代わりにはならないが、ディーヴァは食事にすらなる。
食事、と言ってもダンテにとってはキスの事だが。
その間も、ダンテは落ち着きなく歩きながら話す。
「まあいいさ、ざっと一年ぶりの再会だ。まずはキスの一つでもしてやろうか?
それとも……こっちのキスの方がいいか」
一度構えなおすと、銃口をバージルに突きつける。
ダンテは案外、怒っているようだった。
何に対してか、それはもちろんあの時の件に、昔からの喧嘩の続き。見つけようと思えば怒る理由はたくさんある。
そしてディーヴァと会ったことがあるという、バージルに対してでもあった。
すぐ上では雷が轟き、雷光にお互いの顔が照らされる。
「感動の再会って言うらしいぜ、こういうの」
「……らしいな」
戦いが始まる……そう思われたが、それはダンテによって遮られた。
ダンテの周りにはゆらぁりと、どす黒い空気が立ち込めた。
それはまさに『オレ、怒ってます!』と言っているかのよう。
「ところで、バージルおにいちゃんよォ……オレのいない間にディーヴァに勝手に会ったそうじゃねぇか」
「それがどうした。ちょうど貴様がいなかっただけだろう」
「オレがまとわせておいたはずの魔力……てめえの魔力に置き換えやがったな?何しやがった!まさかディーヴァの怪我はてめぇが……」
「俺は何もしていない。
それに……貴様の弱い魔力を纏うよりはましだろう?」
鼻で笑うバージル。
もちろん沸点の低いダンテが怒りを抑えられるはずもなく。
「な ん だ と」
「それともこう言って欲しいのか?『手を出した』と」
ダンテはクワッと目を見開いて怒りの表情を浮かべた。
追い打ちをかけるかのように追加の言葉を見舞うバージルに、ダンテは更に怒り狂う。
「てんめぇぇえ!!」
すぐに怒るダンテがおかしくてバージルはつい笑ってしまった。
訂正を入れるが、その後に続く言葉でダンテの怒りのボルテージは一気に限界突破。
「ククク、悪魔から助けただけだ。
だがやはり双子は似るものだな、女の好みは似ているらしい。
俺もディーヴァがほしい。貴様よりは俺のほうがあいつを守れる自信があるぞ?」
「なっ!!どうせ魔界に行きたいだとか悪魔になりたいだとか、強さを求めてこんなことやってんだろうが!
そんな奴に大事なディーヴァをくれてやるわけないだろっ!!」
「貴様はバカか。魔界などに連れて行くわけにはいかんだろう。
名残惜しいが、俺からも貴様からも届かぬ安全な場所に逃がしてやろうとしているだけだ。
むしろ感謝して欲しいものだな」
なんと良心的な悪魔……いや、半魔だろう。
ダンテよりもよほどディーヴァのことを気にかけているかのような紳士ぶりだ。
「ばっかじゃねーの!
ディーヴァはオレといてこそ幸せなんだよ。……バージルにも誰にもディーヴァはわたさねぇ!」
ダンテの目は今やギラギラと獲物を逃がさない、といった感じだ。
ここまで来るとダンテがそのうちヤンデレに進化しそうで怖い。
「見苦しいなダンテ。それならば貴様から奪うまでだ」
「やってみろ!」
「……後悔するなよ」
売り言葉に買い言葉。
チャキッ!
バージルは閻魔刀の鯉口を切った。
それは元は旗だったのかもしれないが、今は長い年月を経て、襤褸のように風化してしまっている。
「月が相変わらずおっきいね」
「ああ、満月だな。……怖いか?」
満月の日は悪魔が元気になる日。
天使の血族であるディーヴァには、とても恐ろしい物だ。
「ちょっぴりね」
ディーヴァは肩をすくめてそう返した。
そんな彼女の鼻の頭にぽつり、雨粒が落ちてきた。
それは小雨のような物だったが、少しずつ落ちる量が多くなってくる。
「雨だ……なんだかこの雨は土砂降りになりそうだね……」
「着るか?」
「何度もいうけど大丈夫だから、ダンテはちゃんと服を着ててってば」
冬だから気温は寒く、雨に濡れては風邪をひく。
かといってディーヴァを建物内に置いていくなどもってのほか。
ダンテはまたもコートを脱いでたくましい腹筋を見せつけながら、ディーヴァに渡した。
だがディーヴァはまたまた突っぱねる。
「バージルさんにまで変態って言われちゃうよ?笑われちゃうよ?」
「あいつにまで言われちゃかなわねぇ」
ダンテは素直に受け取って着なおした。
……これから戦いが始まるだろう。
大きな満月を目の前に、バージルは一人ダンテを待ち佇んでいた。
最上部への扉をくぐると、例によって封印が施される。
封印の悪魔達は、まるで逃げるなと言いたげに嘲笑い続けていた。
始めは小雨だった雨も、ディーヴァの言う通り激しい雨に変わっていく。
肌を刺す冷たさにディーヴァは小さく足をすり合わせた。
確かに寒い、凍えそうである。
共に階段をあがるディーヴァだったが、ここまでだ。とダンテは手で制した。
そしてケルベロスを渡す。
「持っててくれ」
「ケルは持ってかないの?」
「ああ。リベリオンと、小ウルサイ双剣兄弟があればいい。悪いけど遊びに来たわけじゃないんだ。
きっと激しい戦いになるからな」
「そんな……!」
「ディーヴァはここで待ってろ」
「うん。……でも兄弟なのに戦うなんてね」
「……ああ」
兄弟だからこそ、だ。
ダンテはディーヴァを残し、バージルの元へと歩く。
バージルはダンテに背を向けた状態で待っていた。
弟の到着と共に、ゆっくりと向き直る。
「来たか」
ちらり、ダンテを見やるバージル。
そのまま後方に見えた極々薄いティントグリーンの髪、ディーヴァの存在を目の端に入れた。
双子は相対する。
ダンテは右手にアイボリーを手にし、いつでも戦闘に入れるよう注意しながら言葉を紡ぐ。
「全く大したパーティだな。酒もねえ、食い物もねえ……パーティを飾る華については、ディーヴァがいるからなんとかなってるだろうけどな」
「それはすまなかったな、気が急いて準備もままならなかった。
だがディーヴァがいる。それだけで十分だろう?違うか?」
確かにそうだ。
さすがに酒の代わりにはならないが、ディーヴァは食事にすらなる。
食事、と言ってもダンテにとってはキスの事だが。
その間も、ダンテは落ち着きなく歩きながら話す。
「まあいいさ、ざっと一年ぶりの再会だ。まずはキスの一つでもしてやろうか?
それとも……こっちのキスの方がいいか」
一度構えなおすと、銃口をバージルに突きつける。
ダンテは案外、怒っているようだった。
何に対してか、それはもちろんあの時の件に、昔からの喧嘩の続き。見つけようと思えば怒る理由はたくさんある。
そしてディーヴァと会ったことがあるという、バージルに対してでもあった。
すぐ上では雷が轟き、雷光にお互いの顔が照らされる。
「感動の再会って言うらしいぜ、こういうの」
「……らしいな」
戦いが始まる……そう思われたが、それはダンテによって遮られた。
ダンテの周りにはゆらぁりと、どす黒い空気が立ち込めた。
それはまさに『オレ、怒ってます!』と言っているかのよう。
「ところで、バージルおにいちゃんよォ……オレのいない間にディーヴァに勝手に会ったそうじゃねぇか」
「それがどうした。ちょうど貴様がいなかっただけだろう」
「オレがまとわせておいたはずの魔力……てめえの魔力に置き換えやがったな?何しやがった!まさかディーヴァの怪我はてめぇが……」
「俺は何もしていない。
それに……貴様の弱い魔力を纏うよりはましだろう?」
鼻で笑うバージル。
もちろん沸点の低いダンテが怒りを抑えられるはずもなく。
「な ん だ と」
「それともこう言って欲しいのか?『手を出した』と」
ダンテはクワッと目を見開いて怒りの表情を浮かべた。
追い打ちをかけるかのように追加の言葉を見舞うバージルに、ダンテは更に怒り狂う。
「てんめぇぇえ!!」
すぐに怒るダンテがおかしくてバージルはつい笑ってしまった。
訂正を入れるが、その後に続く言葉でダンテの怒りのボルテージは一気に限界突破。
「ククク、悪魔から助けただけだ。
だがやはり双子は似るものだな、女の好みは似ているらしい。
俺もディーヴァがほしい。貴様よりは俺のほうがあいつを守れる自信があるぞ?」
「なっ!!どうせ魔界に行きたいだとか悪魔になりたいだとか、強さを求めてこんなことやってんだろうが!
そんな奴に大事なディーヴァをくれてやるわけないだろっ!!」
「貴様はバカか。魔界などに連れて行くわけにはいかんだろう。
名残惜しいが、俺からも貴様からも届かぬ安全な場所に逃がしてやろうとしているだけだ。
むしろ感謝して欲しいものだな」
なんと良心的な悪魔……いや、半魔だろう。
ダンテよりもよほどディーヴァのことを気にかけているかのような紳士ぶりだ。
「ばっかじゃねーの!
ディーヴァはオレといてこそ幸せなんだよ。……バージルにも誰にもディーヴァはわたさねぇ!」
ダンテの目は今やギラギラと獲物を逃がさない、といった感じだ。
ここまで来るとダンテがそのうちヤンデレに進化しそうで怖い。
「見苦しいなダンテ。それならば貴様から奪うまでだ」
「やってみろ!」
「……後悔するなよ」
売り言葉に買い言葉。
チャキッ!
バージルは閻魔刀の鯉口を切った。