更に上の階へ移動して岩に座っていた女は、銃のチェックをしていた。
マガジンを入れランチャーを背負いなおすと、先を急ごうと立ち上がる。

「随分と……」

その背中に男の声がかかった。
あの剃髪で黒衣の男の物である。

元々追っていたのがこの男だったか、女は男に銃口を向けた。

「強くなったものだな」
「貴様！」
「私に銃を向けるのか？家族……父親である私に」

この二人は父と子の関係だったようだ。
なぜ、ここまで憎しみ合うのか、それはまだわからない。

「私に家族がいるとしたら……死んだ母さんだけだ！」

女はキッと男を睨むと、躊躇うことなく引き金をひいた。

一発、二発……三発四発。
確実に当たると思われたそれは、男の姿がかき消えたことでたやすくかわされてしまった。

「それは悲しいな。お前の名前も私が付けたというのに」

声は聞こえど姿は見えず。
周辺を警戒して銃を左右に向ける女。
だが男は左右ではなく、上から来た。

「なぁ、愛しい娘よ！」

男は上に逆さのまま、まるで蝙蝠のように立っている。
そして持っていた分厚い本を女の顔面に投げつけて注意をそらすと、下に落ちてきた。

対応の遅れた女は、男に塔の外へと投げ飛ばされ、階下へと落ちていった。

落ちながらも銃弾を放つのは忘れない。
その憎しみのこもった弾丸は、男の顔に一筋の傷を残していった。





●あとがき
夢主に試練の部屋を攻略させるとか鬼畜すぎた。
次はバージルとの戦闘。