mission 0:lost mankind heart ~双子の片割れ~
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久しぶりに依頼が入った。
顔馴染みの依頼で、二泊三日の泊まり込みの悪魔退治らしい。
「悪い、どうしても断れなかった」
「だーかーらー、何でお仕事を断ろうとするの。まだ借金だっていっぱいあるんだから、断ることないでしょ」
申し訳なさそうに言うのでディーヴァがぴしゃりと言い放つと、ダンテは言葉を詰まらせながら心配していることを続けた。
「だってお前……夜一人だぞ?大丈夫かよ」
「子どもじゃないんだから、二泊くらいなら大丈夫だよ。心配性だなぁ」
ダンテはディーヴァが一人で眠れないという事を心配しているらしかった。
だが、ここ最近はダンテがいなくても眠れる自信がある。
家族の死を、全てを乗り越えられなかった時とは違うのだ。
「そうか?ならいいけどよ……」
そして、最後まで心配そうにしながらダンテは出掛けていった。
そんなことよりも、これから悪魔を相手にする自分を心配してほしい。
ディーヴァはダンテの無事を強く願って見送った。
***
しかし、一人でも眠れると豪語したが、いない間はやはり寂しい思いをした。
「長引くことも特にはなさそうだ。明日の夜には帰れるぞ」
ダンテから電話でそんな連絡をもらった時などは、嬉しくてたまらなかったのを思い出す。
ディーヴァは、ウキウキしながら食事のメニューを考えた。
明日の夜は何にしようか。
ダンテの好物をたくさん作らないと。
そして食材のチェックのため、冷蔵庫のドアを開けた。
ぱかっ。……ない。ほとんど空である。
これでは明日だけでなく、今日の自分の夕飯すら作れないではないか。
そういえば、ダンテが出かけてからロクな食事を取っていなかった。
ダンテがいないと食欲すらわかず、ろくに食べていなかった。食いしん坊のあたしがだ。
それだけディーヴァの頭の中はダンテでいっぱいだったということ。
「あわわわわ……なんてこと」
しかしこれはキッチンを預かるものとしてありえない失態だ。
ディーヴァは財布の入ったエコバックを肩にかけると、マーケットへの道を急いだ。
夕方に差し掛かろうとしている時間帯だが、まだ、悪魔はやってきたりしないだろう。
ここら辺の悪魔は普段、ダンテが倒しているのだから。
***
その考えは甘かった。
夕方頃というのは東国の地・日本などでは逢魔ヶ時と言い『魔』の動き出す時間である。
そして、いくら日々ダンテが悪魔を倒していても、奴等はゴミに集るハエのように魔界からわき出てくるのだ。
普段は守られていて手の出せない『天使』に気がつけば……言わずとももうわかるだろう。
ディーヴァの通った後からは、悪魔が次々に沸いて出てきた。
「……ん?
ひぃ!!」
ディーヴァが気がついた時には、まるで親鳥に続く小鳥のように悪魔の列が後ろについていた。
だがこんな気持ちの悪く禍々しい小鳥はいらない。お断りである。
「ダンテがいない時なのにどうしよう……銃もないし」
隠れられそうな場所を探しながら、スピードを上げて悪魔から距離をとる。
このまま悪魔に追われたままでは、下手に人通りの多い場所に行くこともできない。
もしこのまま大通りに移動しようものなら、悪魔の存在が公になるだけでなく人々が危険に晒されてしまう。
ディーヴァはそれを決してよしとしなかった。
「痛ッ!!」
キョロキョロしながら走っていたため、鉄骨の棒が突き出ているのに気がつかなかった。
鋭くとがっていた先端でディーヴァは右腕に怪我をした。
その強烈な痛みに、ディーヴァは立ち止まらざるを得なかった。
半袖を着ていたため、直接切り裂かれた腕に血が滲み、重力に沿って滴り落ちる。
その血の匂いが余計に悪魔達を刺激し、より凶暴な咆哮をあげて迫ってくる。
ドクドクと波打つような断続的な痛みに顔をしかめると、ディーヴァは悪魔から後ずさる。
とすん。
よく見れば後ろは壁だった。
運悪く袋小路に逃げ込んでしまったようで、絶体絶命とはこのことである。
「や……こないで……」
これ以上の出血を抑えるため負傷した右腕をかばい、ディーヴァは腰が抜けてその場に座りこんでしまう。
悪魔からこれから与えられるであろう、死の痛みを想像し、目をギュッと閉じた。
ズバッ!キィィインーー!
「え……?」
何かを鋭い物で切り裂く音、そしてそれをしまうような音がすぐ傍で聞こえた。
ダンテのリベリオンのような叩き斬るといった音ではない。
もっと鋭利な刃物の音だ。
「フン。下級悪魔が、弱いものだ…」
ディーヴァがゆっくりと目を開けると、そこには男性がこちらに背を向けて立っていた。
悪魔は、ものの見事に真っ二つに裂けて砂と化している。
残りの悪魔は怖じ気づいて何処かへ消えてしまった。
暗くてよくわからないが、男はダンテとは対照的な、青いコートのような物を着ているのがわかった。
よく見れば、先ほどの何か斬る音は日本刀のようで、男は片手に刀を所持していた。
「あ……あの、助けていただきありがとうございました」
「別にお前を助けたわけではない。悪魔共が通行の邪魔だっただけだ……」
ディーヴァが感謝の気持ちを述べると、男はさも興味ないと言った風にさらっと言ってのける。
理由はどうであれ、この男のおかげで助かったのだ。
これがお礼を言わずにいられようか。
「それでも、助かりました……あの、デビルハンターの方ですか?」
悪魔を知っているということは、それすなわちデビルハンターの可能性が高いということになる。
武器も持っていて腕もたつなら、なおさらそうとしか考えがつかない。
だが、男はディーヴァのその考えを否定した。
「違う」
だったら日本刀を持っているだけの危ない人なのだろうか?
しかし、このスラム街において他人を助けてくれるような人だ。
そんな人に限って危ない人であるわけがない。
ディーヴァは都合良くも、そう考えることにした。
顔馴染みの依頼で、二泊三日の泊まり込みの悪魔退治らしい。
「悪い、どうしても断れなかった」
「だーかーらー、何でお仕事を断ろうとするの。まだ借金だっていっぱいあるんだから、断ることないでしょ」
申し訳なさそうに言うのでディーヴァがぴしゃりと言い放つと、ダンテは言葉を詰まらせながら心配していることを続けた。
「だってお前……夜一人だぞ?大丈夫かよ」
「子どもじゃないんだから、二泊くらいなら大丈夫だよ。心配性だなぁ」
ダンテはディーヴァが一人で眠れないという事を心配しているらしかった。
だが、ここ最近はダンテがいなくても眠れる自信がある。
家族の死を、全てを乗り越えられなかった時とは違うのだ。
「そうか?ならいいけどよ……」
そして、最後まで心配そうにしながらダンテは出掛けていった。
そんなことよりも、これから悪魔を相手にする自分を心配してほしい。
ディーヴァはダンテの無事を強く願って見送った。
***
しかし、一人でも眠れると豪語したが、いない間はやはり寂しい思いをした。
「長引くことも特にはなさそうだ。明日の夜には帰れるぞ」
ダンテから電話でそんな連絡をもらった時などは、嬉しくてたまらなかったのを思い出す。
ディーヴァは、ウキウキしながら食事のメニューを考えた。
明日の夜は何にしようか。
ダンテの好物をたくさん作らないと。
そして食材のチェックのため、冷蔵庫のドアを開けた。
ぱかっ。……ない。ほとんど空である。
これでは明日だけでなく、今日の自分の夕飯すら作れないではないか。
そういえば、ダンテが出かけてからロクな食事を取っていなかった。
ダンテがいないと食欲すらわかず、ろくに食べていなかった。食いしん坊のあたしがだ。
それだけディーヴァの頭の中はダンテでいっぱいだったということ。
「あわわわわ……なんてこと」
しかしこれはキッチンを預かるものとしてありえない失態だ。
ディーヴァは財布の入ったエコバックを肩にかけると、マーケットへの道を急いだ。
夕方に差し掛かろうとしている時間帯だが、まだ、悪魔はやってきたりしないだろう。
ここら辺の悪魔は普段、ダンテが倒しているのだから。
***
その考えは甘かった。
夕方頃というのは東国の地・日本などでは逢魔ヶ時と言い『魔』の動き出す時間である。
そして、いくら日々ダンテが悪魔を倒していても、奴等はゴミに集るハエのように魔界からわき出てくるのだ。
普段は守られていて手の出せない『天使』に気がつけば……言わずとももうわかるだろう。
ディーヴァの通った後からは、悪魔が次々に沸いて出てきた。
「……ん?
ひぃ!!」
ディーヴァが気がついた時には、まるで親鳥に続く小鳥のように悪魔の列が後ろについていた。
だがこんな気持ちの悪く禍々しい小鳥はいらない。お断りである。
「ダンテがいない時なのにどうしよう……銃もないし」
隠れられそうな場所を探しながら、スピードを上げて悪魔から距離をとる。
このまま悪魔に追われたままでは、下手に人通りの多い場所に行くこともできない。
もしこのまま大通りに移動しようものなら、悪魔の存在が公になるだけでなく人々が危険に晒されてしまう。
ディーヴァはそれを決してよしとしなかった。
「痛ッ!!」
キョロキョロしながら走っていたため、鉄骨の棒が突き出ているのに気がつかなかった。
鋭くとがっていた先端でディーヴァは右腕に怪我をした。
その強烈な痛みに、ディーヴァは立ち止まらざるを得なかった。
半袖を着ていたため、直接切り裂かれた腕に血が滲み、重力に沿って滴り落ちる。
その血の匂いが余計に悪魔達を刺激し、より凶暴な咆哮をあげて迫ってくる。
ドクドクと波打つような断続的な痛みに顔をしかめると、ディーヴァは悪魔から後ずさる。
とすん。
よく見れば後ろは壁だった。
運悪く袋小路に逃げ込んでしまったようで、絶体絶命とはこのことである。
「や……こないで……」
これ以上の出血を抑えるため負傷した右腕をかばい、ディーヴァは腰が抜けてその場に座りこんでしまう。
悪魔からこれから与えられるであろう、死の痛みを想像し、目をギュッと閉じた。
ズバッ!キィィインーー!
「え……?」
何かを鋭い物で切り裂く音、そしてそれをしまうような音がすぐ傍で聞こえた。
ダンテのリベリオンのような叩き斬るといった音ではない。
もっと鋭利な刃物の音だ。
「フン。下級悪魔が、弱いものだ…」
ディーヴァがゆっくりと目を開けると、そこには男性がこちらに背を向けて立っていた。
悪魔は、ものの見事に真っ二つに裂けて砂と化している。
残りの悪魔は怖じ気づいて何処かへ消えてしまった。
暗くてよくわからないが、男はダンテとは対照的な、青いコートのような物を着ているのがわかった。
よく見れば、先ほどの何か斬る音は日本刀のようで、男は片手に刀を所持していた。
「あ……あの、助けていただきありがとうございました」
「別にお前を助けたわけではない。悪魔共が通行の邪魔だっただけだ……」
ディーヴァが感謝の気持ちを述べると、男はさも興味ないと言った風にさらっと言ってのける。
理由はどうであれ、この男のおかげで助かったのだ。
これがお礼を言わずにいられようか。
「それでも、助かりました……あの、デビルハンターの方ですか?」
悪魔を知っているということは、それすなわちデビルハンターの可能性が高いということになる。
武器も持っていて腕もたつなら、なおさらそうとしか考えがつかない。
だが、男はディーヴァのその考えを否定した。
「違う」
だったら日本刀を持っているだけの危ない人なのだろうか?
しかし、このスラム街において他人を助けてくれるような人だ。
そんな人に限って危ない人であるわけがない。
ディーヴァは都合良くも、そう考えることにした。