mission 20:to the direction of blue abyss ~兄と弟~
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ここはテメンニグルから降りた地上。
先に降りていたレディは天を見上げて待っていた。
ゴツゴツとブーツを踏み鳴らす足音に気が付いて、振り向く。
そこにはズタズタなコートをまとったダンテと、もっとズタズタボロボロな服をまとうディーヴァがいた。
「ふう、ひどい目にあった!……お、まだいたのか?」
待っていたレディに気がつき、話しかける。
「貸した物があるからね」
貸してもらったもの、といえば背中に担いだカリーナ=アンのことだ。
これは道中かなり役に立った。
ダンテは肩からおろし、レディに返そうとした。
が、ちょっとためらって手を引っ込めた。
「利子までは取らないよな」
「考えとく」
「利子って……また借金増えるのはごめんなんだけどなあ……」
ディーヴァが苦笑しながらその手元を覗いた。
この人の前で借金と請求書の話はタブーである。
考えておくとの言葉に少し引っ掛かりを覚えながらもやっと返したダンテ。
その足でゆっくりと歩み、天を見上げた。
夜明けの到来はあとわずか、長い長い夜がようやく終盤を迎える。
「これでしばらく大丈夫だ。だが奴らは復活する……近いうちにな」
いつの世にもアーカムのような人間はいるものである。
悪魔の心を持った人間が。
そして魔界からはこれからもずっと自分やディーヴァを狙う者は現れ続ける。
魔界から……。
魔界に落ちた自分の兄を思う。
あの時、斬られてもそのまま手を伸ばしていたら……と。
殺しあっても、憎しみあっても、ディーヴァが言うようにたった一人の家族だった。
「バージル……」
誰にも聞こえないくらい小さな小さな声で、兄の名を呟く。
……ぽた。
ひとしずくの滴がダンテの頬を伝い落ちた。
「泣いてるの?」
横にいて気がついたレディが覗き込むも、ダンテは顔をそらすことで、ディーヴァとレディ両者に見えないようにした。
「雨だよ」
「降ってないみたいだけど?」
手のひらを広げて一応確認するレディだが、そのしずくが涙なのは丸分かり。
ダンテのその態度に、ディーヴァさえも涙だとわかっていた。
ディーヴァは小さく笑みを浮かべるとダンテに合わせ、涙をこぼすダンテに気がつかないふりをした。
「うん、空が泣いてるんだよね。雨だよね、ダンテ……」
「ああ……悪魔は泣かないもんだしな」
「そうね。でも……家族のために涙を流せる悪魔もいるのかも。そう思わない?」
「かもな」
悪魔のような人間がいれば、人間のように悲しみ、喜び、愛する悪魔もいる。
三人はかすかに見え始めた太陽を眺めた。
「ところで……」
目を細めたレディが、銃弾を放つ。
それは目の前の敵に命中、着弾して爆音をあげた。
「これから忙しくなりそうね、お互い?」
「きゃ……、悪魔!?」
気が付けば、四方八方を悪魔の軍団に囲まれていた。
テメンニグルの残党だろうか、もう朝がやってくる時間だと言うのにご苦労様なことだ。
「やってくれるよ。でも、こういうノリは嫌いじゃないぜ!なあ、ディーヴァ?」
「あたしは嫌いだけど……。ま、いいか」
ダンテが少しでも元気を取り戻してくれるなら、悪魔でもなんでも来て構わない。
ディーヴァは苦笑して、定位置のダンテの背中に隠れた。
湿っぽいのは似合わない。
ダンテはエボニーとアイボリーを悪魔に向けて構える。
「楽しすぎて―――狂っちまいそうだ!」
●あとがき
ついにバージルとの決戦が終わった。
残りはエピローグですね。
先に降りていたレディは天を見上げて待っていた。
ゴツゴツとブーツを踏み鳴らす足音に気が付いて、振り向く。
そこにはズタズタなコートをまとったダンテと、もっとズタズタボロボロな服をまとうディーヴァがいた。
「ふう、ひどい目にあった!……お、まだいたのか?」
待っていたレディに気がつき、話しかける。
「貸した物があるからね」
貸してもらったもの、といえば背中に担いだカリーナ=アンのことだ。
これは道中かなり役に立った。
ダンテは肩からおろし、レディに返そうとした。
が、ちょっとためらって手を引っ込めた。
「利子までは取らないよな」
「考えとく」
「利子って……また借金増えるのはごめんなんだけどなあ……」
ディーヴァが苦笑しながらその手元を覗いた。
この人の前で借金と請求書の話はタブーである。
考えておくとの言葉に少し引っ掛かりを覚えながらもやっと返したダンテ。
その足でゆっくりと歩み、天を見上げた。
夜明けの到来はあとわずか、長い長い夜がようやく終盤を迎える。
「これでしばらく大丈夫だ。だが奴らは復活する……近いうちにな」
いつの世にもアーカムのような人間はいるものである。
悪魔の心を持った人間が。
そして魔界からはこれからもずっと自分やディーヴァを狙う者は現れ続ける。
魔界から……。
魔界に落ちた自分の兄を思う。
あの時、斬られてもそのまま手を伸ばしていたら……と。
殺しあっても、憎しみあっても、ディーヴァが言うようにたった一人の家族だった。
「バージル……」
誰にも聞こえないくらい小さな小さな声で、兄の名を呟く。
……ぽた。
ひとしずくの滴がダンテの頬を伝い落ちた。
「泣いてるの?」
横にいて気がついたレディが覗き込むも、ダンテは顔をそらすことで、ディーヴァとレディ両者に見えないようにした。
「雨だよ」
「降ってないみたいだけど?」
手のひらを広げて一応確認するレディだが、そのしずくが涙なのは丸分かり。
ダンテのその態度に、ディーヴァさえも涙だとわかっていた。
ディーヴァは小さく笑みを浮かべるとダンテに合わせ、涙をこぼすダンテに気がつかないふりをした。
「うん、空が泣いてるんだよね。雨だよね、ダンテ……」
「ああ……悪魔は泣かないもんだしな」
「そうね。でも……家族のために涙を流せる悪魔もいるのかも。そう思わない?」
「かもな」
悪魔のような人間がいれば、人間のように悲しみ、喜び、愛する悪魔もいる。
三人はかすかに見え始めた太陽を眺めた。
「ところで……」
目を細めたレディが、銃弾を放つ。
それは目の前の敵に命中、着弾して爆音をあげた。
「これから忙しくなりそうね、お互い?」
「きゃ……、悪魔!?」
気が付けば、四方八方を悪魔の軍団に囲まれていた。
テメンニグルの残党だろうか、もう朝がやってくる時間だと言うのにご苦労様なことだ。
「やってくれるよ。でも、こういうノリは嫌いじゃないぜ!なあ、ディーヴァ?」
「あたしは嫌いだけど……。ま、いいか」
ダンテが少しでも元気を取り戻してくれるなら、悪魔でもなんでも来て構わない。
ディーヴァは苦笑して、定位置のダンテの背中に隠れた。
湿っぽいのは似合わない。
ダンテはエボニーとアイボリーを悪魔に向けて構える。
「楽しすぎて―――狂っちまいそうだ!」
●あとがき
ついにバージルとの決戦が終わった。
残りはエピローグですね。